確かめた結果
| 調べたもの | 「シェイピング」の語 |
| ASHA「Autism」Practice Portal | 見当たりません |
| e-Gov法令検索(全法令を横断) | 該当する法令はありますが、輸出貿易管理令などまったく別の文脈です |
| こども家庭庁 児童発達支援ガイドライン(令和6年7月) | 出てきません |
| こども家庭庁 放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月) | 出てきません |
| 文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月改訂) | 出てきません |
🔴 だから、この記事は
「シェイピングとは○○である」という定義を書きません。手順も段階も書きません。
そういう方法がないという意味ではありません。私が確かめられた範囲がここまで、という意味です。
かわりに、
一次情報にある近い記述を並べます。
🔴 「近づくにつれて」——ASHAの一文
ASHA「Autism」Incidental Teaching より
「臨床家は、子どもの興味にもとづいた自然に生じる教える機会を提供する。臨床家は子どものリードに従い、その試みが望ましいコミュニケーション行動に近づくにつれて、コミュニケーションの試みを強化する。」(G. G. McGee et al., 1999)
🔴 三つ、読み取れること
①
対象は「試み」です。
——できあがった正解ではありません。
②
「近づくにつれて」——完成してからではなく、
途中から。
③
「子どもの興味にもとづいた」「子どものリードに従い」——
大人が段階を決めて与える形としては書かれていません。
ASHAは、この方法をミリューセラピー(自然な環境に統合される方法)の一つとしても挙げ、「『セラピーの時間』だけでなく、一日を通して行われる日常の環境と活動の中での訓練を含む」(Kaiser et al., 1992)としています。
国の文書にある、近い向き
「段階的に」という考え方は、国の文書にもあります。
| どこに | 書かれていること |
| 放課後等デイサービスガイドライン | 「こどもが意欲的に関われるような遊びを通して、🔴成功体験の積み増しを促し、自己肯定感を育めるようにする」 |
児童発達支援ガイドライン <遊びを通じた社会性の促進> | 「一人遊び→並行遊び→大人が介入して行う連合的な遊び→協同遊びを通して、徐々に社会性の発達を支援する」 |
| 同(健康・生活) | 「生活に必要な基本的技能を獲得できるよう、生活の場面における環境の工夫を行いながら、こどもの状態に応じて適切な時期に適切な支援をする」 |
| 文部科学省の手引 | 「子供のいいところ、頑張っているところ、できたこと、可能性などを見つけて、適切に『ほめる』『認める』ことで自尊感情を高め」 |
🔴 「頑張っているところ」
手引が挙げているのは
「できたこと」だけではありません。頑張っているところと
可能性も並んでいます。
——ASHAの
「近づくにつれて」と重なる書き方です(→
ほめ方について)。
また、児発ガイドラインの「適切な時期に」という言い方は、年齢ではなく、その子の状態に応じてという書き方です(→身辺自立とは?)。
刻む前に確かめられること
ASHAは、評価の方法として動的アセスメント(dynamic assessment)を挙げています。
test–teach–retest
テストする → 教える → もう一度テストするこれにより
いま持っている力と
手がかりを与えたときにどのくらい伸びるか(学ぶ可能性)を
分けて見る、という考え方です。
🔴 ここから読めること
教えても動かないなら、刻み方ではなく出発点を疑う——という見方ができます。
ASHAはまた、支援を検討しうる状況の一つに
「学んだ技能を般化させることの困難」を挙げています。
教室でできたことが家や園で出てくるかまで見る、という書き方です(→
般化とは?/
スモールステップについて)。
- いま、どこまでできていますか——できた場面の条件も添えて(どこで/誰と/どんな手がかりで)
- 手がかりがあれば、どこまで伸びますか——動的アセスメントの考え方です
- その子の興味は、どこにありますか——ASHAは「子どもの興味にもとづいた」としています
- 試みているところは、どこですか——ASHAが強化の対象としているのは「試み」です
- いつ見直しますか——省令は少なくとも六月に一回以上と定めています
この記事で書かないこと
🔴「シェイピング」の定義・手順・段階の刻み方は書きません。確かめた一次情報のどれにもこの語がなく、定義を書けば、それは私の作文になってしまうためです。そういう方法がないという意味ではなく、確かめられた一次情報が手元にないという意味です。
🔴段数の目安も書きません。確認できた一次情報にその記述がありません。
🔴効果も書きません。効果がないという意味ではなく、ここでは判断しないという意味です。
書けるのは、ASHAと国の文書が実際に何と書いているかまでです。
どこに相談すればいいか
| 相談先 | 何のため |
| 通っている児童発達支援・放課後等デイサービス | いまの出発点と、次の一歩。計画の見直し(→モニタリングとは?) |
| 言語聴覚士 | ASHAは動的アセスメント(test–teach–retest)をこの領域の方法として挙げています |
| 作業療法士 | 動作・道具・姿勢の側から |
| 園・学校(担任・特別支援教育コーディネーター) | できている場面と、その条件の共有 |
| 小児科・児童精神科など | 診断に関する判断。療育は医療ではありません |
| 親の会・保護者同士の交流 | 同じ立場の人とつながる |
※本記事は一般的な情報提供です。支援の方法は事業所や専門職によって異なります。療育は医療ではありません。
出典
※上記の出典は2026年9月6日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
シェイピングの定義を教えてください
🔴この記事では定義を書きません。ASHAの自閉症のページにも、こども家庭庁のガイドラインにも、文部科学省の手引にもこの語が見当たらなかったためです(2026年9月6日確認)。
近い記述はありますか?
ASHAの偶発教授の説明です——「子どものリードに従い、その試みが望ましいコミュニケーション行動に近づくにつれて、コミュニケーションの試みを強化する」(G. G. McGee et al., 1999)。
何を認めればよいですか?
ASHAが強化の対象としているのは「試み」です。文部科学省の手引も「いいところ、頑張っているところ、できたこと、可能性」を挙げています。できたことだけではありません。
段階は何段に刻めばよいですか?
この記事では段数の目安を書きません。確認できた一次情報にその記述がないためです。
刻んでも進みません
ASHAは評価の方法として動的アセスメント(test–teach–retest)を挙げ、いま持っている力と手がかりがあればどこまで伸びるかを分けて見るとしています。刻み方ではなく出発点を疑うという見方ができます。
大人が段階を決めるのですか?
ASHAの記述は「子どもの興味にもとづいた」「子どものリードに従い」です。大人が段階を決めて与える形としては書かれていません。
国のガイドラインには、近い記述がありますか?
放課後等デイサービスガイドラインは「こどもが意欲的に関われるような遊びを通して、成功体験の積み増しを促し」としています。児発ガイドラインも遊びの発達を「徐々に」と書いています。
効果はありますか?
この記事では効果を書きません。効果がないという意味ではなく、ここでは判断しないという意味です。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
お子さまのこと、専門スタッフに相談してみませんか
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士・保育士など多職種の専門スタッフが在籍しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。