支援内容に、名指しで入っています
こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインは、家族支援を支援の四つの柱の一つとしています(→家族支援とは?)。その支援内容の一覧に、これがあります。
家族支援の支援内容(抜粋)
・家族の子育てに関する困りごとに対する相談援助・こどもの発達上のニーズについての気づきの促しとその後の支援・家族のレスパイトの時間の確保・心理的カウンセリングの実施🔴
・保護者同士の交流の機会の提供・きょうだい同士の交流の機会の提供やきょうだいに対する相談援助
別の箇所では、これが「保護者同士の交流の機会の提供(ピアの取組)」と書かれています。ピア——同じ立場の人、という意味です。
🔴 だから、こう尋ねられます
「保護者同士が話せる機会はありますか」「保護者会や、父母の会はありますか」——どちらも、
ガイドラインが職員に求めていることをそのまま尋ねる問いです。
実際に何が行われているかは事業所によって違います。
無い場合に責める話ではなく、あるかどうかを確かめてよい、という話です。
なぜ交流が支援内容なのか
ガイドラインは、家族支援の目的をはっきり書いています。
ガイドラインより
「乳幼児期は、親が障害のあるこどもを育てる初期の不安な時期であり、孤立感を感じやすい時期でもある。そのため、こどもと家族を早期から支援することで、孤立感を軽減できるようトータルに支援していくことが重要である。」
🔴 孤立感を軽減することが、目的として書かれています。知識を得ることや気持ちを整理することではありません。
そして、家族の側の力について
「家族の支援に当たっても、こどもの支援と同様、家族のウェルビーイングの向上につながるよう取り組んでいくことが必要であり、家族自身が内在的に持つ力を発揮できるよう、エンパワメントを前提とした支援をすることが重要である。」——
支えられる側としてだけではなく、
力を持っている側としても書かれています(→
強みに着目するという考え方)。
ガイドラインはまた、「理解のプロセス及び態様は、それぞれの家族で異なることを理解することが重要である」としています。同じ場にいても、同じ進み方をするものとしては書かれていません(→「ありのままを肯定していくプロセス」について)。
🔴 「ペアレントメンター」という語について
正確を期して、確かめた結果を書いておきます。
| 調べたもの | 「ペアレントメンター」の語 |
| e-Gov法令検索(全法令を横断) | 該当なし |
| こども家庭庁 児童発達支援ガイドライン(令和6年7月) | 出てきません |
| こども家庭庁 放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月) | 出てきません |
| 文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月改訂) | 出てきません |
🔴 これが意味すること
そういう取組がない、という意味ではありません。自治体や団体が実施している場合があります。
ただし
全国共通の制度としての定義を確かめられなかったため、
この記事では「ペアレントメンターとは○○である」と書きません。お住まいの自治体や
発達障害者支援センターに
「同じ立場の方に相談できるしくみはありますか」と尋ねるのが確実です。
なお発達障害者支援法 第14条の発達障害者支援センターは、発達障害者及びその家族その他の関係者に対して専門的な相談・助言を行うこととされています。年齢でも診断の有無でも、対象を限定していません。
参加が難しいときのこと
「行ったほうがいいのは分かるけれど、時間も気力もない」——そのための支援も、同じ一覧の中にあります。
| 困りごと | 同じ支援内容の一覧にあるもの |
| 時間が取れない | 「家族のレスパイトの時間の確保や就労等による預かりニーズに対応するための延長支援」(→レスパイトとは?) |
| 気持ちが重い | 「心理的カウンセリングの実施」——気持ちのことを相談してよい、と書かれています |
| きょうだいのことも気になる | 「きょうだい同士の交流の機会の提供やきょうだいに対する相談援助」(→きょうだい児支援とは?) |
| 母親ばかりになっている | 🔴「父親やきょうだい、さらには祖父母など、家族全体を支援していく観点が必要である」 |
🔴 「早期から」と書かれています
ガイドラインは
「こどもと家族を早期から支援することで、孤立感を軽減できるよう」としています。
——
困りきってから、とは書かれていません。
この記事で書かないこと
🔴具体的な団体名や、その活動内容は書きません。地域によって大きく異なり、ひとつを挙げることが、ほかを見えなくするためです。
🔴「ペアレントメンター」の定義も書きません。法令・国のガイドライン・手引のいずれにもこの語がなく、全国共通の定義を確かめられなかったためです。そういう取組がないという意味ではありません。
参加したほうがよいかどうかも書きません。ガイドラインが書いているのは機会を提供することが支援内容であることまでで、参加すべきかどうかは書かれていません。
書けるのは、国のガイドラインと条文が何と書いているかと、どこで尋ねられるかまでです。
どこに相談すればいいか
| 相談先 | 何のため |
| 通っている児童発達支援・放課後等デイサービス | 🔴ガイドラインが職員に「父母の会の活動を支援したり、保護者会等を開催したりする」ことを求めています。まずここで尋ねられます |
| 発達障害者支援センター | 発達障害者支援法 第14条。家族その他の関係者も相談の対象です。地域のしくみについても |
| 市区町村の障害福祉の窓口 | 自治体が実施する家族支援の事業について |
| 市区町村の子育て・母子保健の窓口 | 乳幼児健診、発達相談 |
| 相談支援専門員 | 関係機関との連絡調整 |
| 医療機関 | 🔴眠れない・気持ちが落ち込む状態が続くとき。療育は医療ではありません |
※本記事は一般的な情報提供です。実施の有無・内容は事業所と自治体により異なります。療育は医療ではありません。
出典
- こども家庭庁「各種ガイドライン・手引き等について」(児童発達支援ガイドライン 令和6年7月)「職員は、父母の会の活動を支援したり、保護者会等を開催したりすることにより、保護者同士が交流して理解を深め、保護者同士のつながりを密にして、安心して子育てを行っていけるような支援を行うことが必要である」/家族支援の支援内容(保護者同士の交流の機会の提供/保護者同士の交流の機会の提供(ピアの取組)/心理的カウンセリングの実施/家族のレスパイトの時間の確保や就労等による預かりニーズに対応するための延長支援/きょうだい同士の交流の機会の提供やきょうだいに対する相談援助)/「乳幼児期は、親が障害のあるこどもを育てる初期の不安な時期であり、孤立感を感じやすい時期でもある。そのため、こどもと家族を早期から支援することで、孤立感を軽減できるようトータルに支援していくことが重要である」/「家族自身が内在的に持つ力を発揮できるよう、エンパワメントを前提とした支援をすることが重要である」/「理解のプロセス及び態様は、それぞれの家族で異なることを理解することが重要である」/「父親やきょうだい、さらには祖父母など、家族全体を支援していく観点が必要である」。なお「ペアレントメンター」の語はこのガイドラインには見当たらない
- 発達障害者支援法(平成16年法律第167号)/e-Gov法令検索第14条(発達障害者支援センター。発達障害者及びその家族その他の関係者に対する専門的な相談・助言。年齢や診断の有無で対象を限定していない)
- e-Gov法令検索(法令横断のキーワード検索)2026年9月6日に全法令を横断して検索した結果、「ペアレントメンター」に該当する法令なし
- こども家庭庁「各種ガイドライン・手引き等について」(放課後等デイサービスガイドライン 令和6年7月)2026年9月6日に全文を確認した範囲で「ペアレントメンター」の語は見当たらない
※上記の出典は2026年9月6日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
親の会に入ったほうがよいのでしょうか?
この記事では、参加すべきかどうかを書きません。ガイドラインが書いているのは機会を提供することが支援内容であることまでです。
事業所に、そういう機会はありますか?
尋ねてよいことです。ガイドラインは職員に対して「父母の会の活動を支援したり、保護者会等を開催したりする」ことを求めており、支援内容にも「保護者同士の交流の機会の提供」が挙げられています。
なぜ交流が「支援」なのですか?
ガイドラインは家族支援の目的を「乳幼児期は……孤立感を感じやすい時期でもある。そのため……孤立感を軽減できるようトータルに支援していく」としています。孤立を減らすことが目的として書かれています。
「ペアレントメンター」とは何ですか?
🔴この記事では定義を書きません。法令・国のガイドライン・手引のいずれにもこの語が見当たらず、全国共通の定義を確かめられなかったためです。そういう取組がないという意味ではありません。自治体や発達障害者支援センターにお尋ねください。
参加する時間が取れません
同じ支援内容の一覧に「家族のレスパイトの時間の確保や就労等による預かりニーズに対応するための延長支援」も並んでいます。
母親ばかりが参加している気がします
ガイドラインは「『家族支援』は、大きなストレスや負担にさらされている母親が中心となる場合が多いが、父親やきょうだい、さらには祖父母など、家族全体を支援していく観点が必要である」としています。
周りと自分を比べてしまいます
ガイドラインは「理解のプロセス及び態様は、それぞれの家族で異なることを理解することが重要である」としています。同じ場にいても、同じ進み方をするものとしては書かれていません。
どの団体がありますか?
この記事では団体名を書きません。地域によって大きく異なり、ひとつを挙げることがほかを見えなくするためです。通っている事業所、
発達障害者支援センター、市区町村の窓口にお尋ねください。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
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