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✏️ 学びの困りごと

スモールステップとは?——「刻む」前に、どこまでできるかを見る方法があります

最終更新:2026年9月4日
「小さく分けましょう」——療育でも学校でも、よく言われます。

でも、どこで分ければいいのかは、たいてい教えてもらえません。刻みが大きすぎれば届かず、細かすぎれば終わりが見えなくなります。

この記事では、刻む前にやることがあるという話をします。ASHAが記述している動的アセスメント(test–teach–retest)——「今できること」と「教えたらできること」を分けて見る方法です。

スモールステップとは

目標を、達成できる小さな段階に分けて、順に積み上げていく進め方です。支援の場面で広く使われている考え方で、関連する用語には次のようなものがあります。

用語指していること
課題分析一つの活動を、細かい動作の順序に分けること
シェイピング目標に近い行動から順に、少しずつ形を近づけていくこと
プロンプトできるようにするための手がかり・補助
フェイディングその手がかりを、少しずつ減らしていくこと

実際に段階を定義した方法の例としては、PECS(絵カード交換式コミュニケーションシステム)があります。PECSは6つのフェイズで構成され、順に進む形が決められています(→PECSとは?)。

🔴 刻む前に——「今できること」と「教えたらできること」を分ける

ASHAは、評価の方法として動的アセスメントを次のように記述しています。

ASHAの記述
「動的アセスメントは、その人の現在の力と、学ぶ可能性(learning potential)の両方を明らかにするのに役立つ、言語の評価方法(test–teach–retest)である」

——テストする → 教える → もう一度テストする。この3段階で、教えたらどこまで動くかを見ます。

ここが、スモールステップを設計するときの手がかりになります。

やってみた結果読み取れること刻み方
教えたら、すぐできた手がかりが足りていなかっただけ刻まなくてよい。手がかりを足す
教えたら、少しできたそこが今の境目その一段だけ刻む
教えても、動かない段階がまだ手前にあるもっと手前に戻る。刻みを細かくしても届かない
いちばんよくある失敗
三つ目を、二つ目だと思って刻み続けることです。

届いていない課題を細かく刻んでも、届きません。刻みが細かくなるほど回数が増え、できない経験だけが積み重なります

「刻んでもうまくいかない」ときは、刻み方ではなく、出発点を疑うほうが早いことがあります。

※動的アセスメントは専門職が用いる評価方法です。ここでは、家庭で段階を考えるときの手がかりとして紹介しています。

国のガイドラインが書いている「成功体験」

こども家庭庁の放課後等デイサービスガイドラインは、基本活動の一つ「日常生活の充実と自立支援のための活動」について、こう書いています。

原文
「こどもが意欲的に関われるような遊びを通して、成功体験の積み増しを促し、自己肯定感を育めるようにする

また児童発達支援ガイドラインは、支援に当たっての留意事項として次のように書いています。

原文
「単に運動機能や検査上に表される知的能力にとどまらず、「育つ上での自信や意欲」、「発話だけに限定されないコミュニケーション能力の向上」、「自由で多様な選択」等も踏まえながら、こどものできること、得意なこと及び可能性に着目し可能性を拡げることや、苦手なことにも挑戦できる支援を行うこと」

「自信や意欲」が、検査の数値と並べて書かれている——スモールステップが目指しているのは、ここです。

家庭での使い方

  1. まず、一度やってもらう——どこまで自分でできるか。手を出す前に見るのが最初です。
  2. 止まったところで、手がかりを足す——ことばで言う、やってみせる、手を添える。どの手がかりで動いたかを覚えておきます。
  3. その一段だけを、練習の対象にする——前後は手伝ってかまいません。全部を一人でやらせない
  4. 手がかりを、少しずつ減らす——手を添える→指さす→ことばだけ→何も言わない。この順で減らします(フェイディング)。
  5. できた段は、そこで終わりにする——できた直後にもう一段足すと、できた感じが消えます
  6. 記録する——日付・どこまで自分でできたか・どの手がかりが要ったか。三行で足ります
例:くつ下をはく
「くつ下をはく」を一段と数えると、多くの子には大きすぎます。

①持つ ②つま先を入れる ③かかとまで引く ④上まで上げる——とすると、④だけできる、③と④ができる、と今の位置が見えます。

そして最後の一段から自分でやる形にすると、「自分で終えた」という形が毎回残ります。

うまくいかないときのチェック

様子見直すところ
何度やっても進まない出発点が手前すぎないか/遠すぎないか。教えても動かないなら、段階はもっと手前にあります
できたのに、次の日にできない手がかりを減らすのが早すぎた可能性。前の段に戻します
嫌がるようになった回数が多すぎる/時間が長すぎる。ASHAは支援検討の目安に「苦痛や不快をもたらす」を挙げています
場面が変わるとできない場所・道具・人が変わると成り立たないことがあります。いつもの場面から少しずつ広げます
この記事で書かないこと
「何段に分ければよい」という数字は書きません。確認できた一次情報に、段数の目安が示されていないためです。

段数は課題によっても、その子によっても変わります。決めるのは数字ではなく、やってみた結果です。

どこに相談すればいいか

相談先何のため
区市町村の発達相談窓口無料。診断の有無にかかわらず
児童発達支援放課後等デイサービス個別支援計画にもとづく段階的な支援
作業療法士(OT)着替え・食具・書字など、動作の段階を分けたいとき
言語聴覚士(ST)ことば・伝える手段の段階を分けたいとき

※本記事は一般的な情報提供です。診断や治療に関する判断は医師が行います。療育は医療ではありません。

出典

※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

何段に分ければいいですか?
数字は書きません。確認できた一次情報に段数の目安が示されていないためです。段数は課題によっても、その子によっても変わります。一度やってもらって、止まったところで分けるのが実際的な決め方です。
刻んでいるのに、うまくいきません
出発点を疑ってください。ASHAが記述する動的アセスメント(test–teach–retest)の考え方では、教えても動かないなら、段階はもっと手前にあります。届いていない課題を細かく刻んでも、できない経験が増えるだけになります。
手伝いすぎでしょうか?
前後を手伝うことは、その一段を練習の対象にするためのやり方です。手がかりは、手を添える→指さす→ことばだけ→何も言わないの順で少しずつ減らします(フェイディング)。減らすのが早すぎると、翌日にできなくなることがあります。
できた直後に、もう一段進めたくなります
できた段で終わるほうが、「できた」という形が残ります。国のガイドラインは「成功体験の積み増しを促し、自己肯定感を育めるようにする」と書いています。
スモールステップは、勉強にも使えますか?
考え方は同じです。一度やってもらい、止まったところで分ける——そのうえで、量と終わりを見える形にします(→集中が続かない子の学習)。
療育では、どのように使われますか?
個別支援計画にもとづいて段階を設定する形が一般的です。段階を定義した方法の例としては、6つのフェイズで構成されるPECSがあります。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

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