そもそも利用計画とは
受給者証を申請するとき、障害児支援利用計画(案)の提出が求められます。これは、どのサービスをどう組み合わせて使うかを示すものです(→障害児支援利用計画とは?)。
作り方には二つの道があります。
| 相談支援事業所に依頼 | セルフプラン |
| 作る人 | 相談支援専門員 | 保護者 |
| 費用 | 自己負担はありません | —— |
| 事業者との連絡調整 | あり(法第6条の2の2第7項) | 自分で行う |
| 定期的な見直し | あり(継続障害児支援利用援助/第8項) | 自分で行う |
| 申請の勧奨 | あり(第8項) | —— |
違いは「計画を書くかどうか」ではありません
書類を書く手間の話だと思われがちですが、条文を読むと違いはそこではありません。
相談支援に依頼すると、
計画を作ったあとの動き——
連絡調整・定期的な検証と見直し・申請の勧奨——が法律上の内容として付いてきます。
セルフプランは、そこを
自分で担う形になります。
セルフプランが選ばれる場面
- 相談支援事業所に空きがない——地域によって事情が異なります
- 使うサービスが1つで、内容がはっきりしている
- 早く手続きを進めたい
- 自分で組み立てたい
この記事で「どちらがよい」とは書きません
地域の状況やご家庭の事情によって、答えは変わります。
ただ
「セルフプランでもいいですよ」と言われたときに、
何が付いてこないかを知ったうえで選ぶ——そのための材料としてお読みください。
そして
あとから相談支援に切り替えることもできます。「空きが出たら依頼できますか」と窓口で確かめておくとよいと思います。
自分で作るときに書くこと
様式は自治体により異なります。共通して尋ねられるのは、条文が「勘案する」としている事柄——心身の状況、置かれている環境、利用に関する意向その他の事情——にあたる部分です。
- どうなったらいいか(望む生活)——ここが出発点です。「安心して過ごせる場所を作りたい」でかまいません
- いま困っていること——場面ごとに、具体的に
- いま使っているもの——園、医療、家族の支え
- 使いたいサービスと量——週に何回、どのサービス
- だれが担当するか——事業所名など
- 気をつけてほしいこと——本人の特性、体調、送迎
書き方に迷ったら
市町村の窓口に記入例を尋ねてかまいません。多くの自治体が記入例を用意しています。
また、書くために材料を整理したい場合は
発達相談で聞かれることメモがそのまま使えます。
記入例——公開されている様式で、項目の並びを見る
様式は自治体ごとに違いますが、記入例を公開している自治体があります。ここでは東京都世田谷区の「児童利用支援計画(セルフプラン)記入例」を例に、どんな順番で何を尋ねられるのかを見ていきます(新宿区については後述します)。
| 様式の項目 | そこで尋ねられていること |
| ①基本情報 | 児童本人の氏名・生年月日・住所/作成者(保護者)の氏名・連絡先・続柄 |
| ②本人・家族の情報 | 起床と就寝の時刻、気になる点/家族構成と保護者の就労状況/家庭内での介護やきょうだいの育児/通園・学校と、習い事などそれ以外の活動 |
| ③-1 本人の理解のために | 身辺の自立や健康面で気になること/お友達や学校のこと/苦手なこと・困っていること/大人になったら(希望する将来の生活)——選択肢にチェックを入れる形で、空欄に自分の言葉も書けます |
| ③-2 本人の考え | 大切にしていること/好きなこと・得意なこと。様式に「不明の場合は空欄可」と書かれています |
| ③-3 保護者の考え | 同じ2つを、保護者の目から |
| ④希望すること・必要なこと | 本人の希望と保護者の希望を、それぞれ分けて自由記載 |
| ⑤目標 | これから1年間でめざすこと、こうありたいと思うこと |
| ⑥週間計画 | 月〜日を6時から21時の枠で。あわせて「サービス提供によって実現する生活の全体像」と「主な日常生活上の活動」 |
| ⑦希望するサービス | 日中活動系(児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援など)と居宅介護系に、回数・時間を書く |
🔴 様式そのものに「同意事項」の欄があります
世田谷区の様式には、①のすぐ下に次の一文と確認欄が置かれています。
「私は、セルフプランの場合、相談支援事業者に依頼した場合に行われるサービス事業者との調整や定期的な計画の見直し(モニタリング)が実施されないことなどについて説明を受け、理解しています。」——この記事の前半で書いた「
違いは書類の手間ではない」という話は、
様式の同意欄そのものに書かれていることです。
「セルフプランを利用する理由」も尋ねられます
同じ様式には、理由を
1つだけ選ぶ欄があります。
・利用する福祉サービス等は自分で決めたいため
・計画相談支援を利用しなくても相談できる人がいるため
・身近な地域に指定障害児相談支援事業者がないため
・その他
——行政の側も、この4つを想定していることが読み取れます。
⑥週間計画は「1週間の絵」です
時間割のような表に、学校・園、通所、習い事、家で過ごす時間を置いていきます。あわせて「サービス提供によって実現する生活の全体像」という欄があり、ここにそのサービスで何を目指すのかを1〜2文で書きます。
⑤の目標と⑦の量(週に何日)が、この1枚でつながっているかを見ると、書き漏れに気づきやすくなります。
書き方——「できない」ではなく「どの場面か」
③や④の欄で手が止まりやすいのは、状態を一語で言い切ろうとするときです。様式が尋ねているのは診断名ではなく、生活の場面です。
| 手が止まる書き方 | 場面にして書き直すと |
| 落ち着きがない | 広い店の中では、手をつないでいても走り出してしまうことがある |
| ことばが遅い | ほしいものは指さしで伝わるが、二語文はまだ出ていない |
| お友達とうまくいかない | 順番を待つ場面で、ことばより先に手が出てしまうことがある |
| 切り替えが苦手 | 遊びを終えて次に移るとき、予告があれば動けるが、急だと泣く |
右の書き方には、いつ・どこで・どうなるかと、どうすればうまくいったかが入っています。⑤の目標や⑦の量を考えるとき、そのまま材料になります。
できていることも、同じくらい書く
③-2・③-3が
「大切にしていること」「好きなこと・得意なこと」を尋ねているのは、
支援の内容を決めるには両方が要るからです。
困っていることだけが並んだ計画は、読んだ人が
「何を伸ばす時間なのか」をつかみにくくなります。
材料を集める段階の整理には
発達相談で聞かれることメモが使えます。
新宿区の場合
新宿区は「サービス等利用計画・障害児支援利用計画について」のページで、セルフプランを提出できることを明記しています。
新宿区のページより
「相談支援専門員が作成するサービス等利用計画・障害児支援利用計画に代えて、
ご自身や身近な方、保護者が作成した「セルフプラン」を提出することもできます。」
- 様式・記入例は、このページには掲載されていません(2026年9月7日 確認)。書式は窓口でご確認ください
- 同じページから指定障害児相談支援事業所一覧(PDF)が公開されています。「空きが出たら依頼したい」と考えている場合は、この一覧が出発点になります
- 問い合わせ先=新宿区 福祉部 障害者福祉課/新宿区基幹相談支援センター
同じ「セルフプラン」でも、別の制度のものがあります
新宿区のサイトには
「要配慮者災害用セルフプラン」という、
災害時の備えのための別の書類もあります。検索で先に出てくることがありますが、
障害児通所支援の利用計画とは別のものです。
新宿区の受給者証の手続き全体は新宿区の受給者証に、区の相談窓口は新宿区の発達相談窓口にまとめています。
セルフプランのときに、自分で気をつけること
相談支援に依頼した場合に制度側が担う部分を、自分で見ることになります。
| 場面 | 自分で行うこと |
| 事業所を探す | 見学の申し込み、空き状況の確認 |
| 日程を組む | 園・医療・きょうだいの予定との調整 |
| 見直し | 合わなくなっていないかを定期的に振り返る |
| 量を変える | 支給量の変更申請は市町村の窓口へ |
| 受給者証の更新 | 期限を自分で管理(→更新手続き) |
見直しの目安を、自分で決めておく
参考として、
事業所側の個別支援計画は省令で
「少なくとも六月に一回以上」見直すことになっています(→
モニタリングとは?)。
セルフプランの場合も、
半年に一度は全体を振り返ると決めておくと、気づかないうちに合わなくなっていた、という事態を避けやすくなります。
そのとき、
事業所の個別支援計画の面談がちょうどよい機会になります。
更新のときに、いちばん気をつけること
受給者証には有効期間があり、更新の手続きが必要です(→受給者証の更新手続き)。
相談支援に依頼している場合との違い
相談支援に依頼している場合、
継続障害児支援利用援助として定期的な検証と見直しが制度の中で回ります。
セルフプランの場合、
期限の管理も、見直しのきっかけも、自分で持つことになります。
——受給者証を受け取ったら、
その場で有効期間を確かめて、カレンダーに入れておく。これがいちばん確実です。
- 有効期間はいつまでか——受給者証に記載されています
- 更新の案内は届くか——自治体によって異なります。届かない前提で管理するほうが安全です
- いつから手続きできるか——期限の何か月前からか、窓口で確認
- 計画案は再度必要か——更新時の扱いも自治体により異なります
- 量を変えたいか——更新は、見直しのよい機会になります
受給者証の有効期間は、市町村が1か月から12か月の範囲で定めます。お子さまによって長さが違うことがあるので、思い込みで判断しないでください。
困ったときの相談先は、変わりません
セルフプランでも、相談先が無くなるわけではありません。
| 相談先 | 何のため |
| 区市町村の障害児支援の窓口 | 支給量の変更、更新、相談支援への切り替え |
| 児童発達支援管理責任者 | 事業所での支援について。省令で面接が定められています |
| 区市町村の発達相談窓口 | 無料。診断の有無にかかわらず |
| 発達障害者支援センター | 発達障害者支援法第14条にもとづき都道府県等が指定 |
※本記事は一般的な情報提供です。セルフプランの可否・様式・運用は自治体により異なります。詳しくはお住まいの市町村の窓口でご確認ください。療育は医療ではありません。
出典
※上記の出典は2026年9月7日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
セルフプランの記入例はありますか?
自治体が公開しています。たとえば世田谷区は「児童利用支援計画(セルフプラン)記入例」をPDFで公開しており、①基本情報 ②本人・家族の情報 ③本人の理解のために・本人と保護者の考え ④希望すること ⑤目標 ⑥週間計画 ⑦希望するサービス、という順に並んでいます。様式は自治体ごとに違うので、お住まいの市区町村の様式をお使いください。
何を書けばいいか分かりません
状態を一語で言い切ろうとすると手が止まります。様式が尋ねているのは生活の場面です。「落ち着きがない」ではなく「広い店の中では手をつないでいても走り出してしまうことがある」のように、いつ・どこで・どうなるかとどうすればうまくいったかを書くと、目標やサービスの量を考える材料になります。
困っていることばかり書くことになりそうです
様式は「大切にしていること」「好きなこと・得意なこと」も尋ねています(世田谷区の記入例では③-2・③-3)。支援の内容を決めるには、できていることも要ります。困りごとだけが並ぶと、何を伸ばす時間なのかが伝わりにくくなります。
新宿区でもセルフプランは使えますか?
新宿区は「サービス等利用計画・障害児支援利用計画について」のページで、相談支援専門員が作成する計画に代えてご自身や身近な方、保護者が作成したセルフプランを提出することもできると案内しています。様式・記入例は同ページには掲載されていないため(2026年9月7日確認)、書式は窓口でご確認ください。
週間計画には何を書きますか?
1週間の予定を時間の枠に置いていきます。学校・園、通所、習い事、家で過ごす時間です。あわせて「サービス提供によって実現する生活の全体像」という欄があり、そのサービスで何を目指すのかを書きます。目標とサービスの量が、この1枚でつながっているかを確かめられます。
自分で作った計画でも、事業所はきちんと支援してくれますか?
計画の作り方によって、事業所の義務は変わりません。指定基準省令は、事業所の児発管についてアセスメントでの面接(第27条第3項)/文書による同意(第6項)/少なくとも六月に一回以上の見直し(第8項)を定めており、これはセルフプランかどうかに関わらず行われるものです。
セルフプランとは何ですか?
障害児支援利用計画を、保護者自身が作る形です。相談支援事業所に依頼せずに手続きを進めることができます。
相談支援に依頼するのと、何が違いますか?
書類を書く手間だけの違いではありません。児童福祉法が相談支援の内容として定める事業者との連絡調整・定期的な検証と見直し・申請の勧奨が、セルフプランでは自分で担う形になります。
どちらがいいですか?
この記事では断定しません。地域の状況やご家庭の事情によって答えが変わるためです。何が付いてこないかを知ったうえで選ぶための材料としてお読みください。
あとから相談支援に切り替えられますか?
切り替えられます。「空きが出たら依頼できますか」と市町村の窓口で確かめておくとよいと思います。
書き方が分かりません
市町村の窓口に記入例を尋ねてかまいません。多くの自治体が用意しています。材料の整理には発達相談で聞かれることメモがそのまま使えます。
セルフプランだと、見直しはどうすればいいですか?
半年に一度は全体を振り返ると決めておく方法があります。参考として、事業所側の個別支援計画は省令で「少なくとも六月に一回以上」見直すこととされており、その面談がちょうどよい機会になります。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
お子さまのこと、専門スタッフに相談してみませんか
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