法律が定める保育所等訪問支援
児童福祉法 第6条の2の2第5項
この法律で、保育所等訪問支援とは、
保育所その他の児童が集団生活を営む施設として内閣府令で定めるものに通う障害児又は
乳児院その他の児童が集団生活を営む施設として内閣府令で定めるものに入所する障害児につき、
当該施設を訪問し、
当該施設における障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援その他の便宜を供与することをいう。
| 条文の部分 | 意味 |
| 集団生活を営む施設に通う/入所する障害児 | 対象——園などに通っている、または入所している子 |
| 当該施設を訪問し | 形——支援者が出向きます |
| 当該施設における障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援 | 目的——その園で、まわりの子と過ごせるようにすること |
🔴 「その施設における」がポイントです
条文は
「当該施設における」と書いています。一般的な集団生活の力を伸ばすのではなく、
その園での過ごし方が対象です。
だから支援は、
その園の環境・その先生・そのクラスの子どもたちを前提に組み立てられます。事業所で身につけたことを園で使えるようにする、という順番とは逆の発想です。
対象になる施設
条文は施設を「内閣府令で定めるもの」としています。大きくは2つの型があります。
| 型 | 条文の言い方 | 例 |
| 通う施設 | 保育所その他の児童が集団生活を営む施設として内閣府令で定めるものに通う障害児 | 保育所、幼稚園、認定こども園、学校など |
| 入所する施設 | 乳児院その他の児童が集団生活を営む施設として内閣府令で定めるものに入所する障害児 | 乳児院、児童養護施設など |
実際にどの施設が対象になるかは、区市町村の運用によって幅があります。利用を考える場合は、お子さんが通っている園が対象になるかを窓口で確認してください。
23区の窓口は東京23区の申請窓口 一覧・比較にまとめています。
ほかの通所支援との違い
保育所等訪問支援は、障害児通所支援の4つのうちのひとつです(法第6条の2の2第1項)。4つを並べると、位置づけがはっきりします。
| サービス | 誰が動くか | 法律上の目的 | 条文 |
| 児童発達支援 | 子どもが通う | 基本的な動作・知識技能の習得と集団生活への適応 | 第2項 |
| 放課後等デイサービス | 子どもが通う | 生活能力の向上、社会との交流の促進 | 第3項 |
| 居宅訪問型児童発達支援 | 支援者が自宅へ | 基本的な動作・知識技能の習得と生活能力の向上 | 第4項 |
| 保育所等訪問支援 | 支援者が園などへ | その施設における障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援 | 第5項 |
4つとも同じ受給者証で使います
種類ごとに
支給量が定められるので(法第21条の5の7第7項)、
児童発達支援と保育所等訪問支援を併用することもできます。
「事業所に通いながら、園にも来てもらう」——制度上、可能な組み合わせです。
🔴 園の同意と協力が要ります
ほかの通所支援と違い、このサービスには第三者が関わります。園です。
条文が「当該施設を訪問し」と定めている以上、園が受け入れなければ成り立ちません。
| 必要なこと |
| 園の同意 | 訪問を受け入れてもらう |
| 園の協力 | 観察の時間、先生と話す時間の確保 |
| 保護者から園への説明 | 多くの場合、保護者が園に相談するところから始まります |
園にどう伝えるか
「園に問題があるから来てもらう」ではありません。条文の目的は
その園での集団生活への適応——つまり
園と一緒に考えるためのしくみです。
「専門職に来てもらって、園での過ごし方を一緒に見てもらいたい」という伝え方のほうが、実際に通りやすくなります。
言語聴覚士の場合、園との連携は法律上の義務でもあります。言語聴覚士法第43条第3項は「福祉に関する業務を行う者その他の関係者との連携を保たなければならない」と定めています(→言語聴覚士(ST)とは?)。
費用
保育所等訪問支援も障害児通所支援なので、費用のしくみは同じです。
家庭が払うのは世帯の状況に応じた負担上限月額まで(0円/4,600円/37,200円)で、その額が費用の10%を超えるときは10%が上限になります(法第21条の5の3第2項第2号)。
無償化の対象に含まれます
国の無償化(3歳になった年度が終わった翌日から小学校入学前まで)の対象サービスに
保育所等訪問支援は含まれます。
東京都の
0〜2歳の無償化も、対象サービスは児童発達支援・居宅訪問型児童発達支援・
保育所等訪問支援です。
詳しくは児童発達支援の利用料と無償化をご覧ください。
※食費など、利用者負担以外の実費は対象外です(法第21条の5の3第1項の「通所特定費用」)。
利用までの流れ
- 園に相談する——訪問を受け入れてもらえるか。ここが最初です。
- 区市町村の窓口に相談・申請する——障害児通所支援なので、窓口は区市町村です。
- 支給決定・受給者証——市町村が種類ごとに、月を単位として支給量を定めます(法第21条の5の7第7項)。すでに児童発達支援の受給者証がある場合は、種類を追加する変更の手続きになります。
- 事業所と契約——保育所等訪問支援を行っている事業所と契約します。
- 訪問・園との共有——訪問し、園の先生と共有します。
すでに受給者証をお持ちの場合も、種類が増える以上、手続きが必要です(→受給者証の更新)。
※保育所等訪問支援を行っている事業所は、児童発達支援に比べて多くありません。対象施設の範囲や支給量の決め方も区市町村によって異なります。必ずお住まいの区市町村の窓口でご確認ください。本記事は一般的な情報提供です。
出典
※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
どんなことをしてもらえるのですか?
児童福祉法第6条の2の2第5項は、目的を「当該施設における障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援」と定めています。つまりその園で、まわりの子どもたちと過ごせるようにすることです。一般的な力を伸ばすのではなく、その園での過ごし方が対象になります。
子どもは事業所に行かなくていいのですか?
行きません。支援者が園を訪問します。「園を休ませてまで通わせるのは難しい」というご家庭にとって、現実的な選択肢になります。
園の許可は要りますか?
必要です。条文が「当該施設を訪問し」と定めている以上、園が受け入れなければ成り立ちません。訪問の受け入れ、観察や先生と話す時間の確保について、園の同意と協力が要ります。多くの場合、保護者が園に相談するところから始まります。
児童発達支援と両方使えますか?
使えます。どちらも障害児通所支援で、市町村は種類ごとに支給量を定めます(法第21条の5の7第7項)。ただし種類が増える以上、すでに受給者証をお持ちの場合も変更の手続きが必要です。
費用はかかりますか?
しくみは児童発達支援と同じで、世帯の状況に応じた負担上限月額まで(0円/4,600円/37,200円)です。国の無償化にも、東京都の0〜2歳の無償化にも、保育所等訪問支援は対象として含まれています。食費などの実費は対象外です。
園に「問題がある」と思われないでしょうか?
条文の目的はその園での集団生活への適応で、園と一緒に考えるためのしくみです。「専門職に来てもらって、園での過ごし方を一緒に見てもらいたい」という伝え方をお勧めしています。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
制度のこと、見学のときに一緒に確認できます
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)では、受給者証の申請や利用料のしくみについても、見学・ご相談の際にご案内しています。手続きが不安な段階からお声がけいただけます。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。