ASHAが挙げている目安
ASHAは、ことばの出方がゆっくりな状態について、目安を次のように記述しています。
目安
2歳の時点で、表出語彙が50語未満、または2語の組み合わせが出ていないこと(Paul, 1991/Rescorla, 1989 として示されています)
つまり「2語文」は、語彙の数とセットで見られています。語が50語に届いていないうちは、二つをつなぐ材料がまだ足りない、という見方ができます(→単語がなかなか増えない)。
数え方を、先に決めてください
「50語」は、数え方で大きく変わります。
おすすめは
「同じ音を、同じ物に対して使えていれば1語」と決めてしまうことです。
「わんわん」が犬にも猫にも出るなら1語。はっきりしない音でも、同じ物に安定して使うなら数える。
大事なのは基準をそろえることで、正確な数そのものではありません。
同じ数え方で、月ごとに数えると、増え方が見えます。
🔴 「50〜70%が追いつく」の、正しい読み方
ASHAは、ことばの出方がゆっくりだった子どものうち50〜70%が追いつくと記述しています。
同時に、次のことも書かれています。
- 追いついた子と、そうでない子を、その時点で見分ける方法は示されていない——つまり区別は事後にしかできない
- ことばの出方がゆっくりだった群では、7歳の時点で言語の障害がある割合がおよそ20%(対照群はおよそ11%)
- 理解にも遅れがある場合は、経過がよくないとされていること
これが「様子を見ましょう」の限界です
多くが追いつく——これは事実です。
しかし
誰が追いつくかは、あとにならないと分からない。
だから「様子を見ましょう」は、
間違いではないが、それ自体では計画になっていないのです。
言われたときは
「いつ、何をもって見直しますか」と確かめておくと、次の一歩が決まります。
そして理解の面は、家庭では見落とされやすい部分です。話せていないと、理解できているかどうかは確かめにくいためです(→ことばの理解がゆっくり)。
単語から文へ——見るところ
ASHAは、ことばを音韻・形態・統語・意味・語用の五つの領域で整理しています。二語文は、このうち統語(文の組み立て)に関わりますが、そこだけを見るわけではありません。
| 見るところ | 確かめ方 |
| 語の数 | 同じ基準で数えて、月ごとに増えているか |
| 語の種類 | 名詞ばかりになっていないか。ASHAは動詞の獲得の遅れに触れています |
| 理解 | 言われたことが分かっているか(指示、物の名前) |
| 伝える手段 | ことば以外で伝えているか(指差し、身振り、手を引く) |
| やりとり | 同じ物に注意を共有できているか(→共同注意) |
🔴 動詞が出ているかを見てください
ASHAは
動詞(動作を表すことば)の獲得の遅れに触れています。
二語文の多くは
「なにが」+「どうする」の形です。
名詞ばかりが増えて動詞が出ていないと、
つなぐ相手がいない状態になります。
「食べる」「行く」「ちょうだい」「open」——動きのことばが出ているかを、数のついでに見てみてください。
家庭でできること
- 大人が二語で話す——「わんわん、いた」「ジュース、ちょうだい」。本人に言わせるのではなく、こちらが使う形にします。
- 一語に、一語足して返す——「ジュース」と言ったら「ジュース、のむ?」。今の一語を否定せずに、一つ足す。
- 動きのことばを増やす——物の名前だけでなく、「あける」「はいった」「おちた」を場面で言います。
- 待つ——先回りして出さず、間をあけます。伝える機会が生まれます。
- 数える——同じ基準で、月に一度。増えているかどうかが、いちばん大事な情報です。
- ことば以外の手段を止めない——指差しや身振りは、ことばと競合しません(→AACとは?)。
「言わせない」方法が、確立して存在します
ASHAは、話しことばの支援の一つとして
焦点化された刺激を記述しています。
これは
対象のことばを、決められた文脈で繰り返し聞かせる方法で、
子どもには一度も返答を求めません。
「言ってごらん」を繰り返さなくてよい——というより、
求めない形が方法として確立しているということです(→
言語聴覚士の個別支援では何をする?)。
確かめておきたいこと
- 聞こえ——まず耳鼻咽喉科へ。新生児で通っていても、あとから起こりえます(→聞こえの検査)
- 理解の面——ASHAは、理解にも遅れがある場合は経過がよくないとしています
- 家庭の言語——複数の言語がある場合(→家庭に二つの言語がある子のことば)
母子保健法第12条が定める健康診査は1歳6か月児と3歳児で、あいだにおよそ1年半の間隔があります。次の健診を待つ必要はありません。
どこに相談すればいいか
| 相談先 | 何のため |
| 耳鼻咽喉科 | まず聞こえの確認 |
| 言語聴覚士(ST) | 言語聴覚士法第2条は、検査・助言・指導を明記しています。医師の指示がなくても相談できます(→ST・OT・PTの違い) |
| 区市町村の発達相談窓口 | 無料。診断の有無にかかわらず。健診を待たなくてかまいません |
| 児童発達支援 | 「言語・コミュニケーション」は国のガイドラインが定める五つの支援領域の一つです |
※本記事は一般的な情報提供です。診断や治療に関する判断は医師が行います。療育は医療ではありません。
出典
※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
2歳で二語文が出ていないと、遅れているのですか?
ASHAは目安として2歳の時点で表出語彙50語未満、または2語の組み合わせがないことを挙げています(Paul, 1991/Rescorla, 1989)。ただしこれは相談を考える目安であって、診断の基準ではありません。診断は医師が行います。
多くは追いつくと聞きました。待っていいですか?
ASHAは50〜70%が追いつくとしています。しかし誰が追いつくかを、その時点で見分ける方法は示されていません。また、ことばの出方がゆっくりだった群では7歳の時点で言語の障害がある割合がおよそ20%(対照群はおよそ11%)とされています。
「様子を見ましょう」と言われました
間違いではありませんが、それ自体では計画になっていません。「いつ、何をもって見直しますか」と確かめておくと、次の一歩が決まります。
語の数え方が分かりません
「同じ音を、同じ物に対して使えていれば1語」と決めてしまうことをおすすめします。はっきりしない音でも、同じ物に安定して使うなら数えます。大事なのは基準をそろえて、同じ数え方で月ごとに数えることです。
単語は増えているのに、つながりません
動詞(動きのことば)が出ているかを見てみてください。ASHAは動詞の獲得の遅れに触れています。二語文の多くは「なにが」+「どうする」の形なので、名詞ばかりだとつなぐ相手がいない状態になります。
「言ってごらん」と促したほうがいいですか?
促さない方法が確立しています。ASHAは焦点化された刺激——対象のことばを決められた文脈で繰り返し聞かせ、子どもには一度も返答を求めない方法——を記述しています。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
ことばのこと、言語聴覚士に相談してみませんか
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士が在籍しています。ことばの専門評価と個別プログラムを、児童発達支援として提供しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。