ASHAは共同注意を「2人以上の人が、同じ物や出来事に注意の焦点を共有すること」と定義しています。
そして、社会的コミュニケーションは次の3つからできているとしています。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 共同注意(joint attention) | 同じ物や出来事に、注意を共有する |
| 社会的相互性(social reciprocity) | 一方のふるまいが、もう一方のふるまいに影響を与える。やりとりが行き来する |
| 社会的認知(social cognition) | 相手や場面を読み取る力 |
この3つのうち、いちばん早い時期に見えてくるのが共同注意です。
ことばは、音と、それが指しているものを結びつけて覚えていきます。
たとえば大人が「わんわん」と言ったとき、その子が大人が何を見ているかを分かって初めて、「わんわん=あの生き物」という結びつきが生まれます。
共同注意には、方向の違う2つがあります。どちらも大切ですが、育ち方は同じではありません。
| どういうことか | 場面の例 | |
|---|---|---|
| 応じる (応答の共同注意) | 相手が向けた注意に、こちらが合わせる | 大人が指さした方を見る/名前を呼ばれて振り向き、大人の視線の先を見る |
| 始める (始発の共同注意) | 自分から相手の注意を引き、同じものに向かせる | 見つけたものを指さして大人の顔を見る/おもちゃを持ってきて見せる |
「応じる」はできても「始める」が少ない、ということはよくあります。どちらがどれくらい出ているかを見ておくと、相談のときに具体的に話せます。
ここは、近年とくに強調されるようになった点です。
ASHAは、共同注意の現れ方として次のような例を挙げています。
「目が合わないから、この子は人に興味がない」——そう決めてしまうと、すでに起きている共有を見落とします。
ASHAは、自閉スペクトラム症のある人とそうでない人のあいだで起きるすれ違いについて、Milton(2012)の「二重の共感の問題」という枠組みを紹介しています。
ASHAは関連する研究として、情報の伝わり方は、自閉のある人が自閉でない人と関わるときのほうが、自閉のある人どうしで関わるときより難しく見えるという報告(Crompton et al., 2020)も挙げています。
これは、家庭や園での関わりにそのまま効いてきます。「その子に合わせ方を教える」だけでなく、「こちらの合わせ方を変える」——共同注意を育てる関わりは、その両方から考えることになります。
※ここで紹介しているのは共同注意のとらえ方に関する研究上の枠組みで、診断や特定のお子さまの状態を示すものではありません。
共同注意は、ジェスチャーの形にも表れます。ASHAは次の点を挙げています。
| 内容 | |
|---|---|
| 慣習的なジェスチャー | 渡す、指さす、うなずく・首を振る |
| 慣習的でないジェスチャー | 大人の手を引っぱって、ほしい物のほうへ持っていくなど |
ASHAは、慣習的でないジェスチャーが、慣習的なジェスチャーより先に、あるいはその代わりに現れることがあると説明しています。また、生後1年の後半に、表情・身振り・ボディランゲージをコミュニケーションの手段として使うことが遅れ、その後も慣習的でない形が残ることがある、ともされています。
なお、ことばが出ない・遅い気がするときで紹介しているように、ことばの出はじめが遅くても追いついていった子は、伝えるための身ぶりをより多く使っていたという報告があります。身ぶりが出ているかどうかは、それだけで見どころになります。
ASHAは、前言語期(ことばが出る前の時期)のコミュニケーションを標的とした関わりに、利益がありうるとする研究(Bradshaw et al., 2015/L. K. Koegel et al., 2014)を紹介しています。
また、早期の関わりが、多くの子どもの長期的な経過を改善しうるという研究も挙げられています(Dawson & Osterling, 1997/Dawson et al., 2010 ほか)。
つまりことばが出るのを待ってから始める必要はない、ということです。共同注意やジェスチャーは、ことばが出る前から働きかけられる部分です。
※これは一般的な情報の紹介であり、診断や治療の助言ではありません。お子さまの発達に医学的な心配がある場合は、小児科や児童精神科など医療機関にご相談ください。療育は医療ではありません。
共同注意やことばの育ちについては、言語聴覚士(ST)が検査・評価と助言を行います。言語聴覚士法第2条は、業務を「言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助」と定めています。
伝える手段を増やす方法としては、AAC(拡大・代替コミュニケーション)やマカトン法があります。これらを使っても話さなくなることはないと研究で示されています。
区市町村の発達相談窓口にも、診断の有無にかかわらず相談できます。東京23区の窓口は東京23区の申請窓口 一覧・比較にまとめています。
※上記の出典は2026年9月3日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士が在籍しています。ことばの専門評価と個別プログラムを、児童発達支援として提供しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。