🔴 ASHAは、評価で見る項目に挙げています
ASHAは、ことばの出はじめが遅い子どもの包括的な音声・言語評価にあたって、よくある心配として次の3つを挙げています。
| 評価で考慮される心配 | 内容 |
| 語を使い始めないこと | そもそも単語が出てこない |
| 「語彙爆発」がないこと | 単語が急に増える時期が来ない |
| 2年目に語を組み合わせ始めないこと | 生後2年目に、2語をつなげた言い方が出てこない |
つまり
「語彙爆発が来ない」は、専門職が評価のときに実際に見る項目のひとつです。「まだ来ていないだけ」で流されがちですが、気になっているなら、そのまま相談材料になります。
2歳の目安との関係
ことばが出ない・遅い気がするときでご紹介したとおり、研究で広く使われてきた目安は「2歳(24か月)で、話せることばが50語未満、かつ2語文が出ていない」です(Paul, 1991/Rescorla, 1989)。
この目安の50語という数と、2語文という組み合わせの始まり——その2つが揃うあたりが、語彙爆発と呼ばれる時期と重なります。
ASHAが挙げる3つの心配(語が出ない/語彙爆発がない/語を組み合わせない)は、この目安を、別の角度から言い換えたものと読むこともできます。
※これは診断の基準ではなく、研究で広く使われてきた目安です。ことばの育ちには大きな個人差があります。
数え方——迷ったときの決め方
「うちの子は何語話せるのか」を数えるとき、迷いやすいところがあります。
| 迷いやすいもの | 数え方の考え方 |
| 発音がはっきりしない | その子が同じものに、いつも同じ音を使っているなら1語に数えます。「ぶーぶー」でも「んま」でも構いません |
| ものの名前ではない | 「ちょうだい」「もっと」「ばいばい」なども1語です。意味を持って使えていれば数えます |
| まねをして言っただけ | その場のまねだけなら数えません。自分から、場面に合わせて使えているかで分けます |
| 家族にしか通じない | 数えます。通じる相手の広さは別に記録しておくと役に立ちます |
大事なのは「同じ基準で数え続ける」こと
数え方が厳しすぎても甘すぎても、
同じ基準で数え続ければ増え方は分かります。
紙でもスマホのメモでもかまいません。
日付を書いて残す——これだけです。
🔴 数より、「増える速さ」を見ます
ASHAは、ことばの目安について定期的に(たとえば6か月ごとに)見直すことが不可欠とし、あわせて語彙が増えていく速さも見る必要があるとしています。
また、意味の領域のつまずきの特徴として「話しことばの障害のない子どもに比べて、語彙が増えていく速さが遅い」ことを挙げています(第二言語の習得によるものではない場合)。
見るのは2つの数字
「今いくつか」と「6か月前からいくつ増えたか」。「2歳0か月で30語、2歳6か月で45語」——この形で言えると、専門職はそこから見立てを始められます。「なんとなく遅い気がする」とは、話がまったく変わります。
新しいことばが「入りにくい」ということ
ASHAは、意味の領域について、もう少し細かい特徴も挙げています。
- 初語と、語を組み合わせた言い方の獲得が遅かったという経過がある
- 新しい語と、それが指すものを、短い接触で結びつけることが弱い(ファスト・マッピング)
- 新しい語、とくに動作を表す語や、抽象的な意味の語の理解が難しい
- 動詞の獲得が遅れる
「一度で覚える」がしにくい
ファスト・マッピングとは、新しいことばを
一度か二度聞いただけで、それが何を指すか結びつける力のことです。
ここが弱い場合、
同じことばに出会う回数を増やすことが手立てになります。1回で入らないなら、10回、20回。それが必要な子がいます。
また名詞は増えるのに動詞が増えないという形も、記録しておく価値があります。詳しくはことばの「表出」と「理解」にまとめています。
語彙爆発が来ないとき、どう考えるか
落ち着いてお伝えしたい数字があります。
| 報告されていること | 数字 |
| ことばの出はじめが遅かった子が、就学前後までに追いつく割合 | 約50〜70%(Dale et al., 2003/Paul et al., 1996) |
| 7歳の時点で言語の障害があった割合(ことばの出はじめが遅かった子) | 20% |
| 同(そうでなかった子) | 11% |
半分以上の子は追いついていきます。ただしどちらになるかは、あとになってからしか分かりません(ASHA)。
だから「待つ」ではなく「測る」
語彙爆発が来ないことに気づいたら、
数えて、日付を書いて、6か月後にもう一度数える。
そして気になるなら、健診を待たずに相談する。
調べた結果「心配はいりません」となることも、大事な結果です。
家庭でできること
- 数える——今、話せることばを書き出します。日付を添えて。
- ことばを増やす前に、場面を絞る——おやつ、お風呂など毎日ある場面を決め、そこで使うことばを数語に絞ります。
- 大人が繰り返し使う——同じ場面で同じことばを、高い密度で。返答は求めません(焦点化された刺激)。
- 動詞を意識して入れる——「くつ」だけでなく「はく」。「ジュース」だけでなく「のむ」。動詞は遅れやすいと報告されています。
- 6か月後に、もう一度数える——ASHAが求めている見直しの間隔です。
どこに相談すればいいか
語彙の評価は言語聴覚士(ST)の領域です。実際の進め方は言語聴覚士の支援では、実際に何をするのかを、相談のタイミングはことばが出ない・遅い気がするときをご覧ください。
区市町村の発達相談窓口には、診断の有無にかかわらず相談できます。東京23区の窓口は東京23区の申請窓口 一覧・比較にまとめています。
※本記事は一般的な情報提供です。診断は医師が行います。療育は医療ではありません。
出典
※上記の出典は2026年9月3日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
語彙爆発が来ません。心配したほうがいいですか?
ASHAは「語彙爆発がないこと」を、ことばの出はじめが遅い子どもの評価で考慮する項目のひとつに挙げています。気になっているなら、そのまま相談材料になります。ただし、ことばの出はじめが遅かった子の約50〜70%は就学前後までに追いつくとも報告されています。
何語話せたら安心ですか?
研究で広く使われてきた目安は「2歳で50語未満、かつ2語文が出ていない」です。ただしこれは診断の基準ではありません。また、ASHAは数だけでなく語彙が増えていく速さも見る必要があるとしています。「今いくつか」と「6か月前からいくつ増えたか」の2つを記録してください。
発音がはっきりしない語も数えていいですか?
数えます。その子が同じものに、いつも同じ音を使っているなら1語です。「ぶーぶー」でも「んま」でもかまいません。大切なのは同じ基準で数え続けることで、そうすれば増え方が分かります。
まねをして言っただけの語は数えますか?
その場のまねだけなら数えません。自分から、場面に合わせて使えているかで分けます。「ちょうだい」「もっと」「ばいばい」のように、ものの名前でなくても、意味を持って使えていれば1語に数えます。
名詞は増えるのに、動詞が出てきません
ASHAは意味の領域の特徴として動詞の獲得の遅れと、動作を表す語や抽象的な意味の語の理解の難しさを挙げています。記録しておく価値のある観察です。家庭では「くつ」だけでなく「はく」のように、動詞を意識して入れてみてください。
何度言っても覚えません
ASHAはファスト・マッピング——新しい語とそれが指すものを短い接触で結びつけること——が弱い場合があると挙げています。一度で入らないなら、同じことばに出会う回数を増やすことが手立てになります。場面を絞り、そこで使うことばを数語に絞ると、回数を稼げます。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
ことばのこと、言語聴覚士に相談してみませんか
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士が在籍しています。ことばの専門評価と個別プログラムを、児童発達支援として提供しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。