法律の条文をそのまま並べると、違いがいちばんはっきりします。
| <b>ST</b>(言語聴覚士) | <b>OT</b>(作業療法士) | <b>PT</b>(理学療法士) | |
|---|---|---|---|
| 対象 | 音声機能、言語機能 又は聴覚に障害のある者 | 身体又は精神に 障害のある者 | 身体に障害のある者 |
| 目的 | その機能の維持向上 | 主として応用的動作能力 又は社会的適応能力の回復 | 主として基本的動作能力の回復 |
| 手段 | 言語訓練その他の訓練、 これに必要な検査及び助言、 指導その他の援助 | 手芸、工作その他の作業を 行なわせる | 治療体操その他の運動を 行なわせ、電気刺激・マッサージ・ 温熱その他の物理的手段を加える |
| 根拠法 | 言語聴覚士法 第2条 | 理学療法士及び 作業療法士法 第2条第2項 | 理学療法士及び 作業療法士法 第2条第1項 |
| 資格の制定 | 1997年 | 1965年 | 1965年 |
STだけ32年あとにできた資格です。人数の差も、ここから生まれています。
PTとOTの違いは、条文の中の「基本的動作能力」と「応用的動作能力又は社会的適応能力」という言葉に表れています。
| 法律の言葉 | 子どもの場面でいうと | |
|---|---|---|
| PT | 基本的動作能力の回復 | 寝返る、起き上がる、座る、立つ、歩く——体の土台になる動き |
| OT | 応用的動作能力 又は社会的適応能力の回復 | はさみを使う、箸を持つ、着替える、遊びに参加する——土台の動きを組み合わせて、生活の中で使うこと |
また、作業療法の対象は条文で「身体又は精神に障害のある者」とされており、理学療法(「身体に障害のある者」)より広く定められています。OTが感覚の受け取り方や気持ちの安定にも関わるのは、この条文の広さと対応しています。
3つの条文を並べると、STの位置づけが独特であることがわかります。
また、STの条文だけ「維持向上」という言葉が使われています(PT・OTは「回復」)。これは、失われた機能を取り戻す場面だけでなく、これから育っていく機能を支える場面も含めて読める書き方になっています。
ここが、実際の相談のしやすさに直結する違いです。
| 条文 | 医師の指示 | |
|---|---|---|
| PT | 「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう(第2条第3項) | 定義そのものに入っている |
| OT | 「作業療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、作業療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、作業療法を行なうことを業とする者をいう(第2条第4項) | 定義そのものに入っている |
| ST | 「言語聴覚士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、言語聴覚士の名称を用いて、…言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者をいう(第2条) | 定義には入っていない |
言語聴覚士について、医師または歯科医師の指示が必要と法律に書かれているのは、別の条文で、行為を限定してです。
つまり、PT・OTは業務全体が「医師の指示の下に」行われるのに対し、STは、嚥下訓練や人工内耳の調整といった特定の行為についてのみ、医師・歯科医師の指示が定められている——という構造の違いがあります。
ただし、言語聴覚士法第43条第2項は「主治の医師又は歯科医師があるときは、その指導を受けなければならない」と定めています。かかりつけの医師がいる場合は、その指導のもとで進めることになります。
※これは資格と法令の説明です。医療機関で受けるリハビリテーションは医療保険など別の制度が関わります。お子さまの発達に医学的な心配がある場合は、まず小児科や児童精神科など医療機関にご相談ください。療育は医療ではありません。
ST・OT・PTはいずれも名称独占の資格です。資格のない人がその名称を使うことは、法律で禁じられています。
| 条文 | 内容 | |
|---|---|---|
| ST | 言語聴覚士法 第45条 | 言語聴覚士でない者は、言語聴覚士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない(違反は30万円以下の罰金・第51条第2号) |
| PT | 理学療法士及び作業療法士法 第17条第1項 | 理学療法士でない者は、理学療法士という名称又は機能療法士その他理学療法士にまぎらわしい名称を使用してはならない |
| OT | 同法 第17条第2項 | 作業療法士でない者は、作業療法士という名称又は職能療法士その他作業療法士にまぎらわしい名称を使用してはならない |
理学療法士及び作業療法士法は、「機能療法士」「職能療法士」という具体的な名称まで挙げて禁じています。それだけ、紛らわしい名乗りが問題になりやすいということでもあります。
事業所の案内や求人で「言語聴覚士」「作業療法士」「理学療法士」と書かれていれば、国家資格者です。確かめたいときは、見学の際にそのまま尋ねてかまいません。
| 条文 | 内容 | |
|---|---|---|
| ST | 言語聴覚士法 第44条 | 正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。言語聴覚士でなくなった後においても、同様 |
| PT・OT | 理学療法士及び作業療法士法 第16条 | 正当な理由がある場合を除き、その業務上知り得た人の秘密を他に漏らしてはならない。理学療法士又は作業療法士でなくなつた後においても、同様 |
面談で話した内容が守られる根拠は、この条文にあります。資格を離れたあとも続く義務として定められています。
法律の言葉を、実際の困りごとに置き換えてみます。
| 気になっていること | まず相談する専門職 |
|---|---|
| ことばが出ない・増えない | ST |
| 発音がはっきりしない | ST |
| 聞き返しが多い、テレビの音が大きい | ST |
| こちらの言うことが伝わっているかわからない | ST |
| 食べる・飲み込むことが気になる | ST(嚥下訓練は医師・歯科医師の指示のもと) |
| 手先が不器用、はさみや箸が使いにくい | OT |
| 音や触られることに敏感/反応が薄い | OT |
| 着替え・トイレなど身のまわりのこと | OT |
| 座っていられない、姿勢が崩れる | OT/PT |
| 歩き方や体の動かし方、運動の発達 | PT |
米国言語聴覚学会(ASHA)も、言語聴覚士の役割として作業療法士・理学療法士・特別支援教育の担当者・視覚の専門家など、他の専門職への紹介を挙げています。「うちの担当ではない」で終わらせないことが、専門職の仕事に含まれているということです。
ST・OT・PTの3職種すべてが配置されている事業所は、多くありません。そのため実際には、「今いちばん困っていることは何か」から相談先を決めることになります。
ことばについて詳しくは、言語聴覚士(ST)とは?やことばが出ない・遅い気がするときもあわせてご覧ください。
※上記の出典は2026年9月3日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士が在籍しています。ことばの専門評価と個別プログラムを、児童発達支援として提供しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。