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💬 ことばの困りごと

ことばの理解がゆっくり——ASHAは「理解にも遅れがあると経過がよくない」と書いています

最終更新:2026年9月4日
何度言っても伝わらない。だんだん、「聞いていないのでは」「わざとでは」と思えてくる。

ことばの困りごとは話せているかどうかで語られがちですが、ASHA(米国言語聴覚学会)は理解の側(受容)と、表出の側を分けて整理しています。

そして——理解にも遅れがある場合は、経過がよくないとも書かれています。理解は、いちばん見落とされる部分です。

三つの類型

ASHAは、言語の障害を次の三つに整理しています。

類型内容気づかれやすさ
受容のみ理解の側に困難がある気づかれにくい
表出のみ表出(話すこと)の側に困難がある気づかれやすい
混合両方に困難がある表出のほうに目が向きやすい
なぜ理解は見落とされるのか
話せていると、分かっていると思われるからです。

そして子どもの側も、場面・表情・周りの動きから推測して動くことができます

「席について」が分からなくても、みんなが座れば座れる——指示が通っているように見える状態が成り立ちます。

だから、手がかりを外して確かめる必要があります(次の節)。

ASHAはことばを音韻・形態・統語・意味・語用の五つの領域で整理しています。理解の困難も、この五つのどこで起きているかで内容が変わります(→ことばの「表出」と「理解」とは?)。

🔴 経過について書かれていること

ASHAの記述
ことばの出方がゆっくりな子どものうち50〜70%が追いつくとされる一方、理解(受容)にも遅れがある場合は、経過がよくないとされています。

また、ことばの出方がゆっくりだった群では7歳の時点で言語の障害がある割合がおよそ20%(対照群はおよそ11%)とされています。

つまり「話せるようになるかどうか」より、「分かっているかどうか」のほうが、先を見るうえでは重い——という書かれ方です。

「様子を見ましょう」と言われたときは、理解の面も見てもらえているかを確かめる価値があります。

家庭で、理解を確かめる

手がかりを外すのがコツです。指さし・視線・場面の流れを添えないで言ってみます。

  1. 身振りをつけずに言う——「くつ、持ってきて」を、指さしなしで。通るかどうかを見ます。
  2. その場になくても分かるか——目の前にない物の名前を言って、取りに行けるか。
  3. 二つ続けてみる——「くつを持ってきて、いすに置いて」。一つは通るが二つは通らないことがあります。
  4. 言い方を変えてみる——同じ内容を、短く/別のことばで。言い方で通るなら、聞き取りや語の問題かもしれません。
  5. 静かな場所で試す——騒がしい場所だけ通らないなら、聞き取りの面を確かめます(→APD)。
  6. 記録する——通った言い方/通らなかった言い方を、そのまま。日付つきで。
この記録が、相談でいちばん効きます
「指示が通りません」より「身振りをつければ通るが、ことばだけだと通らない」のほうが、専門職は次の一手を決められます。

ASHAは評価の方法として動的アセスメント(test–teach–retest)を挙げ、今の力と、学ぶ可能性の両方を見るとしています。ご家庭の記録は、その手前の材料になります。

※これは家庭で気づくための方法であり、評価や診断ではありません。診断は医師が行います。

伝わりやすくする工夫

言い直しを重ねると、逆効果になることがあります
通らないと、ついもう一度、もっと長く言ってしまいます。

しかし理解の側に負担があるとき、長い言い直しは、処理する量を増やします

短くする・見せる・待つ——この三つのほうが通りやすくなることがあります。

国のガイドラインも、「言語・コミュニケーション」領域の支援内容として「話し言葉や各種の文字・記号等を用いて、相手の意図を理解したり、自分の考えを伝えたりするなど、言語を受容し表出することができるよう支援を行う」としています。

確かめておきたいこと

どこに相談すればいいか

相談先何のため
耳鼻咽喉科まず聞こえの確認
言語聴覚士(ST)理解の面も評価の対象です。記録を持っていくと話が早くなります
区市町村の発達相談窓口無料。診断の有無にかかわらず
児童発達支援「言語・コミュニケーション」は国のガイドラインが定める五つの支援領域の一つです

※本記事は一般的な情報提供です。診断や治療に関する判断は医師が行います。療育は医療ではありません。

出典

※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

話せているので、理解は大丈夫ですよね?
そうとは限りません。ASHAは、言語の障害を受容のみ・表出のみ・混合の三つに整理しています。受容(理解)のみの困難は気づかれにくい類型です。
指示が通らないのは、聞いていないからですか?
確かめる方法があります。身振りや指さしを添えずに言ってみることです。手がかりがあると推測で動けてしまうため、通っているように見える状態が成り立ちます。
理解の遅れは、あとで追いつきますか?
ASHAは、ことばの出方がゆっくりな子どものうち50〜70%が追いつくとする一方、理解にも遅れがある場合は経過がよくないとしています。「様子を見ましょう」と言われたときは、理解の面も見てもらえているかを確かめる価値があります。
通らないとき、もう一度言ったほうがいいですか?
長く言い直すと、処理する量が増えます。短くする・見せる・待つ——この三つのほうが通りやすくなることがあります。言い終わってから動くまでに時間がかかることもあるので、数秒待ってみてください。
騒がしい場所でだけ通りません
聞き取りの面を確かめる価値があります。まず耳鼻咽喉科へ。なお、聞き取りの困難については、ASHAが「診断・評価・治療について専門職の間に長年の見解の相違がある」と明記している領域です。断定的な説明には注意が必要です。
相談のときに、何を持っていけばいいですか?
通った言い方と、通らなかった言い方を、そのまま日付つきで書き留めたものです。「身振りをつければ通るが、ことばだけだと通らない」——この一行があるだけで、次の一手が決まりやすくなります。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

ことばのこと、言語聴覚士に相談してみませんか

のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士が在籍しています。ことばの専門評価と個別プログラムを、児童発達支援として提供しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。