数え方を決めることが、最初の一歩です
語の数は、数え方で大きく変わります。先に基準を決めてしまうと、比べられるようになります。
おすすめの決め方
「同じ音を、同じ物に対して使えていれば1語」・はっきりしない音でも、
同じ物に安定して使うなら数える
・「わんわん」が犬にも猫にも出るなら
1語・大人のまねをその場でしただけのものは
数えない・歌の一節や決まり文句は、分けずに
1つとして扱う
正確さより、同じ基準で数え続けることが大事です。
そのうえで、月に一度、同じやり方で数える。紙に書き出して、増えた分を足していくだけでかまいません。
この記録が、相談のときにいちばん役に立ちます
「あまり増えていない気がします」より
「3か月前が18語、今が21語です」のほうが、専門職は判断できます。
ASHAは、評価の方法として
動的アセスメント(test–teach–retest=テストする→教える→もう一度テストする)を挙げ、
今の力と、学ぶ可能性の両方を見るとしています。
ご家庭の記録は、その手前の材料になります。
🔴 「語彙爆発がないこと」は、評価で考慮されています
ASHAは、評価にあたって考慮する心配として、語彙爆発が見られないことを挙げています(→語彙爆発とは?)。
語彙爆発とは、ことばが一気に増えていく時期を指すことばです。
読みどころ
見られているのは
「今、何語あるか」ではなく、「増え方に、勢いがついたか」です。
だから
1回だけ数えても分かりません。月ごとに、同じ基準で数えた記録が要ります。
——数が少ないことより、
数か月にわたって増えていないことのほうが情報になります。
あわせてASHAは、ことばの出方がゆっくりな状態の目安として、2歳の時点で表出語彙が50語未満、または2語の組み合わせがないことを挙げています(Paul, 1991/Rescorla, 1989)(→二語文が出ない)。
🔴 種類も見てください——名詞ばかりになっていないか
ASHAは、動詞(動作を表すことば)の獲得の遅れに触れ、動作を表すことばや、抽象的なことばの理解に関わる面を記述しています。
| 語の種類 | 例 | 見るところ |
| 名詞 | わんわん、ブーブー、パパ | 最初に増えやすい部分 |
| 動詞 | たべる、いく、あける、ちょうだい | ここが出ているか |
| そのほか | もっと、ない、おおきい、いや | やりとりを広げる部分 |
動詞は、次の段階につながります
二語文の多くは
「なにが」+「どうする」の形です。
名詞ばかりが増えていると、
つなぐ相手がいない状態になります。
語の数を数えるついでに、
動きのことばが何語あるかも分けて数えてみてください。
ASHAはまたファスト・マッピング——新しいことばを、少ない出会いで結びつけていく働き——にも触れています。ことばの増え方は、出会う回数だけで決まるものではないという前提です。
家庭でできること
- 物の名前だけにしない——「くつ」だけでなく「はく」「ぬぐ」。動きのことばを、場面と一緒に。
- 短く言う——長い文の中の一語は拾いにくくなります。2〜3語に減らします。
- 同じ場面で、同じことばを繰り返す——ASHAが記述する焦点化された刺激は、対象のことばを決められた文脈で繰り返し聞かせる方法です。返答は求めません。
- 待つ——先回りして出さず、間をあけます。言う必要が生まれます。
- 選ばせる——「りんご? みかん?」。選ぶ場面は、ことばが出やすい場面です。
- ことば以外の手段を止めない——指差し・身振り・サインは、ことばと競合しません(→AACとは?)。
- 月に一度、同じ基準で数える。
遊びの形は、意図的に選ばれた方法です
ASHAは、支援のやり方を
自然さの連続体(Fey, 1986/Paul et al., 2018)として整理しています。
机の上で決まった手順で行うものから、日常の遊びの中で行うものまで幅があり、
遊びの形は「ゆるいやり方」ではなく、意図的に選ばれた位置です。
家庭でできることが「本格的でない」わけではありません。
確かめておきたいこと
※ASHAが挙げるのは相談・評価を考えるための考慮事項であり、診断の基準ではありません。診断は医師が行います。
どこに相談すればいいか
| 相談先 | 何のため |
| 耳鼻咽喉科 | まず聞こえの確認 |
| 言語聴覚士(ST) | 語彙の評価。記録を持っていくと話が早くなります |
| 区市町村の発達相談窓口 | 無料。診断の有無にかかわらず |
| 児童発達支援 | 「言語・コミュニケーション」は国のガイドラインが定める五つの支援領域の一つです |
※本記事は一般的な情報提供です。診断や治療に関する判断は医師が行います。療育は医療ではありません。
出典
※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
何語あれば安心ですか?
数だけでは決まりません。ASHAが評価にあたって考慮する心配として挙げているのは「語彙爆発が見られないこと」——つまり増え方です。1回数えるだけでは分からないため、月ごとに同じ基準で数えた記録が役に立ちます。
どう数えればいいですか?
「同じ音を、同じ物に対して使えていれば1語」と決めてしまうことをおすすめします。はっきりしない音でも、同じ物に安定して使うなら数えます。正確さより同じ基準で数え続けることが大事です。
名詞ばかりで、動詞が出ません
ASHAは動詞の獲得の遅れに触れています。二語文の多くは「なにが」+「どうする」の形なので、名詞ばかりだとつなぐ相手がいない状態になります。動きのことばを分けて数えてみることをおすすめします。
たくさん話しかければ増えますか?
回数だけで決まるものではありません。ASHAはファスト・マッピング——新しいことばを少ない出会いで結びつけていく働き——にも触れています。短く言う/同じ場面で同じことばを繰り返す/待つのほうが手がかりになりやすくなります。
「言ってごらん」と言ったほうがいいですか?
ASHAが記述する焦点化された刺激は、対象のことばを決められた文脈で繰り返し聞かせ、子どもには一度も返答を求めない方法です。求めない形が確立しています。
遊びの中で教えるのは、本格的ではないのでしょうか?
そうではありません。ASHAは支援のやり方を自然さの連続体として整理しており(Fey, 1986/Paul et al., 2018)、遊びの中で行う形も意図的に選ばれた位置として書かれています。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
ことばのこと、言語聴覚士に相談してみませんか
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士が在籍しています。ことばの専門評価と個別プログラムを、児童発達支援として提供しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。