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📖 用語・基礎知識

フェイディングとは?——ASHAは「薄められていく」を方法の説明に含めています

最終更新:2026年9月6日
フェイディング——手がかりを少しずつ減らしていくことを指して使われることばです。

この考え方は、米国言語聴覚協会(ASHA)の記述の中で方法の説明そのものに含まれています

ASHA「Social Communication Disorder」より(スクリプト):「子どもが社会的なやりとりの中で多様な言い方を使えるように教えるプロンプトの方略スクリプトによるプロンプトは、子どもがより自発的に使えるようになるにつれて、段階的に薄められていく(faded)。」(K. Nelson, 1978)

——🔴出すことと、薄めることは、別々の手順としては書かれていません。

先に、ことばの位置

調べたもの「フェイディング」の語
ASHA(Practice Portal)🔴「faded(薄められていく)」という語で出てきます。スクリプトの説明の中です
e-Gov法令検索(全法令を横断)該当なし
こども家庭庁 児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)出てきません
こども家庭庁 放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月)出てきません
文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月改訂)出てきません
🔴 だから、この記事は
薄め方の手順・段階・速さは書きません。確かめられた一次情報にそうした手順がないためです。

かわりに、なぜ薄めることが方法の説明に入っているのかを、ASHAの記述から並べます。

🔴🔴 ASHAが「プロンプト依存」を理由に推奨しない方法

ASHAの自閉症のページには「ASHAが推奨しない支援」という節があります。その一つが、薄めないことの帰結に関わります。

ASHAの立場表明(引用)
ラピッド・プロンプティング法(RPM)について——

「ラピッド・プロンプティング法(RPM)の使用は、プロンプト依存科学的妥当性の欠如のため推奨されない。さらに、RPMを用いて得られた情報は、障害のある人のコミュニケーションであるとみなすべきではない。」(ASHA, 2018b)
🔴 二つの問題が挙げられています
依存が生じること
誰の発言か分からなくなること

——薄めることは、この二つを避けるためのものとして読めます。

ASHAは、同じ節でファシリテイティッド・コミュニケーション(FC)について「メッセージは障害のある人ではなく『介助者』によって書かれているという科学的証拠が広範に存在する」(ASHA, 2018a)とも書いています。

🔴 手がかりそのものは否定されていません。ASHAは視覚的支援もスクリプトも支援の選択肢として記述しています(→プロンプトとは?)。

PECSが「言語プロンプトを使わない」理由

同じ考え方は、絵カード交換式コミュニケーション(PECS)の手続きにも表れています。

PECSの特徴として挙げられていること
はじめの段階で言語プロンプトを使わない——

これはプロンプト依存を避け、本人からの自発的な始発を育てるためと説明されています(→PECSとは?)。
🔴 「自発的に」が共通しています
ASHAのスクリプトの説明も「子どもがより自発的に使えるようになるにつれて」でした。

——薄める基準は、時間でも回数でもなく、「自発的に出てきているか」という書き方です。

国の文書にある、近い向き

「薄める」という語はありませんが、場面をまたいで使えるようになることを目的として書いた記述があります。

どこに書かれていること
指定基準省令 第26条の3「障害児が指定児童発達支援を利用することにより、地域の保育、教育等の支援を受けることができるようにすることで、……インクルージョンの推進に努めなければならない
児童発達支援ガイドライン(移行支援)「障害のあるこどもが、可能な限り、地域の保育、教育等を享受し、その中で適切な支援を受けられるようにしていく」
同(移行支援で共有する例)「得意不得意やその背景、声掛けのタイミングやコミュニケーション手段
🔴 「教室の中で完結させない」
省令は、療育を利用することが手段で、地域の保育・教育を受けられるようにすることが目的という書き方をしています。

——手がかりを薄めることは、この向きと重なります(→般化とは?)。

また、ASHAは専門的な支援を検討しうる状況の一つに「学んだ技能を般化させることの困難」を挙げています。本人の努力の問題としてではなく、支援を検討する項目です。

面談で確かめられること

  1. いまどんな手がかりを使っていますか——道具・声かけ・見本・待つ時間
  2. 薄めていく見込みはありますか——ASHAは薄めることを方法の説明に含めています
  3. 何を見て薄めますか——ASHAの言い方は「より自発的に使えるようになるにつれて」です
  4. 家や園でも同じ手がかりを置けますか——児発GLは共有の例に「声掛けのタイミングやコミュニケーション手段」を挙げています
  5. いつ見直しますか——省令は少なくとも六月に一回以上と定めています
🔴 急いで外すことではありません
ASHAの記述は「段階的に(gradually)」です。

そして、薄める基準として書かれているのは本人が自発的に使えるようになっているかであって、期限ではありません。

——この記事に「いつまでに」は書きません。確かめられた一次情報にその目安がないためです。

この記事で書かないこと

🔴薄め方の手順・段階・速さは書きません。確かめた一次情報にそうした手順がないためです。そういう方法がないという意味ではなく、確かめられた一次情報が手元にないという意味です。

🔴「いつまでに外すべきか」も書きません。ASHAが書いているのは「より自発的に使えるようになるにつれて」という基準までで、期限は示されていません。

🔴効果も書きません。効果がないという意味ではなく、ここでは判断しないという意味です。

書けるのは、ASHAと国の文書が実際に何と書いているかまでです。

どこに相談すればいいか

相談先何のため
通っている児童発達支援・放課後等デイサービス🔴「薄めていく見込みはありますか」。計画の見直し(→モニタリングとは?
言語聴覚士伝える手段とスクリプト。ASHAはこの領域を言語聴覚士の役割としています
園・学校(担任・特別支援教育コーディネーター)同じ手がかりを園・学校でも使えるか
作業療法士道具・姿勢の側から
保育所等訪問支援専門職が園・学校を訪問する制度
相談支援専門員関係機関との連絡調整

※本記事は一般的な情報提供です。支援の方法は事業所や専門職によって異なります。療育は医療ではありません。

出典

※上記の出典は2026年9月6日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

フェイディングとは何ですか?
米国言語聴覚協会(ASHA)は、スクリプトについて「子どもがより自発的に使えるようになるにつれて、段階的に薄められていくとしています。薄めることが、方法の説明そのものに含まれています。
なぜ薄めるのですか?
ASHAは、ある方法についてプロンプト依存と科学的妥当性の欠如のため推奨されない」(ASHA, 2018b)としています。挙げられている問題は①依存が生じること ②誰の発言か分からなくなることです。
では、手がかりは使わないほうがよいのですか?
そうは書かれていません。ASHAは視覚的支援もスクリプトも支援の選択肢として記述しています。
何を見て薄めればよいですか?
ASHAの言い方は「より自発的に使えるようになるにつれて」です。時間でも回数でもなく、自発的に出てきているかという書き方です。
いつまでに外すべきですか?
この記事では期限を書きません。ASHAが書いているのは基準までで、期限は示されていないためです。
薄め方の手順を教えてください
この記事では書きません。確かめた一次情報にそうした手順がないためです。通っている事業所や専門職とご相談ください。
PECSでも同じ考え方がありますか?
はい。PECSははじめの段階で言語プロンプトを使わないことが特徴として挙げられており、プロンプト依存を避け、自発的な始発を育てるためと説明されています。
園でも同じ手がかりを使えますか?
児発ガイドラインは、移行支援で共有する例に「声掛けのタイミングやコミュニケーション手段」を挙げています。省令 第26条の3も「地域の保育、教育等の支援を受けることができるようにすることで」としています。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

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