先に、この語の位置
| 調べたもの | 「プロンプト」の語 |
| ASHA「Autism」Practice Portal | 🔴あります。視覚的支援の説明と、推奨しない方法の説明に出てきます |
| e-Gov法令検索(全法令を横断) | 該当なし |
| こども家庭庁 児童発達支援ガイドライン(令和6年7月) | 出てきません |
| こども家庭庁 放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月) | 出てきません |
| 文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月改訂) | 出てきません |
🔴 だから、この記事は
プロンプトの種類・階層・出し方の手順は書きません。確かめられた一次情報にそうした整理がないためです。
かわりに、
ASHAが実際に書いていることだけを並べます。
🔴 ①手がかりとして——ASHAの記述
ASHA「活動スケジュールと視覚的支援」より
「活動スケジュールと視覚的支援は、物、写真、絵、書かれた言葉など、手がかりやプロンプトとして働くものを含む。これらは、一連の課題や活動をやりとげること、課題に注意を向けること、ある課題から別の課題へ移ること、さまざまな場面で情動の調整を保つことを助ける。」
🔴 助けるものとして四つ挙げられています。最後の「情動の調整」は見落とされやすいところです(→視覚支援とは?)。
スクリプト
「やりとりを始めたり、続けたりする書かれた/視覚的なプロンプトはスクリプトと呼ばれる。スクリプトは社会的なやりとりを促すためによく使われるが、教室で学習上のやりとりを助け、学習への参加を促すためにも使える。」(Hart & Whalon, 2008)
ASHAは社会的コミュニケーション障害のページでも、ソーシャル・スクリプトを「子どもが社会的なやりとりの中で多様な言い方を使えるように教えるプロンプトの方略。スクリプトによるプロンプトは、子どもがより自発的に使えるようになるにつれて、段階的に薄められていく(faded)」(K. Nelson, 1978)と記述しています。
🔴 「薄められていく」が、定義の中に入っています
プロンプトを出すことと、外していくことは、別々のことではありません。ASHAの説明では、
薄めていくところまでがその方法の説明に含まれています(→
フェイディングとは?)。
🔴🔴 ②「プロンプト依存」——ASHAが推奨しない方法
ASHAの自閉症のページには「ASHAが推奨しない支援」という節があります。その一つが、プロンプトに関わるものです。
ASHAの立場表明(引用)
ラピッド・プロンプティング法(RPM)について——
「ラピッド・プロンプティング法(RPM)の使用は、プロンプト依存と科学的妥当性の欠如のため推奨されない。さらに、RPMを用いて得られた情報は、障害のある人のコミュニケーションであるとみなすべきではない。」(ASHA, 2018b)
同じ節には、ほかに二つ挙げられています。
| 名前 | ASHAの立場(引用) |
| 聴覚統合訓練(AIT) | 「AITは、聴覚士および言語聴覚士による実践を正当化する有効性の科学的基準を満たしていない」(ASHA, 2004) |
| ファシリテイティッド・コミュニケーション(FC) | 「FCは信用を失った技法であり、用いられるべきではない」/「メッセージは障害のある人ではなく『介助者』によって書かれている」/「害に関する広範な証拠」(ASHA, 2018a) |
🔴 この二つを並べて読むと
ASHAは
手がかりそのものを否定していません。視覚的支援もスクリプトも、支援の選択肢として書いています。
問題として挙げられているのは
①依存が生じることと
②誰の発言かが分からなくなることです。
——
手がかりを出すときに、この二つを見ておくという読み方ができます。
PECSが「言語プロンプトを使わない」理由
同じ考え方は、絵カード交換式コミュニケーション(PECS)の説明にも出てきます。
ASHA「AAC」より
PECSの手続きでは、はじめの段階で
言語プロンプトを使わないことが特徴として挙げられています。
これは
プロンプト依存を避け、本人からの自発的な始発を育てるためと説明されています(→
PECSとは?)。
🔴 「手がかりを増やせば増やすほどよい」とは、どの記述にも書かれていません。
国の文書にある、近い記述
「プロンプト」という語はありませんが、手がかりを用意することは国のガイドラインに書かれています。
| どこに | 書かれていること |
| 児童発達支援ガイドライン(環境) | 「事業所等は……計画的に環境を整え、工夫して、こどもに対し支援を行わなければならない」/「時間や空間を本人にわかりやすく構造化すること」 |
| 同(自己評価表の注記) | 「『本人にわかりやすく構造化された環境』とは、こども本人がこの部屋で何をするのかがわかりやすいよう、机や本棚の配置などを工夫すること」 |
| 同(運動・感覚領域) | 「眼鏡や補聴器等の各種の補助機器やICTを活用することや、他の感覚や機器による代行が的確にできるよう支援する」 |
| 文部科学省「教育支援の手引」(知的障害の章) | 「言葉の理解を促すために絵カードなどの視覚的な情報を補足するなど、支援を工夫していくことも考えられる」 |
🔴 「外す」ことについて
国の文書に
手がかりを外していく手順は書かれていません。ただし、児発ガイドラインの移行支援は
「障害のあるこどもが、可能な限り、地域の保育、教育等を享受し、その中で適切な支援を受けられるようにしていく」としており、
場面をまたいで使えるようになることが目的として書かれています(→
般化とは?)。
この記事で書かないこと
🔴プロンプトの種類・階層・出す順番・外す手順は書きません。確かめた一次情報にそうした整理がないためです。そういう整理がないという意味ではなく、確かめられた一次情報が手元にないという意味です。
🔴効果も書きません。効果がないという意味ではなく、ここでは判断しないという意味です。
「どのくらい手を出してよいか」も書きません。ASHAが書いているのは依存が問題として挙げられていることと、スクリプトは段階的に薄められていくことまでです。
書けるのは、ASHAと国の文書が実際に何と書いているかまでです。
どこに相談すればいいか
| 相談先 | 何のため |
| 通っている児童発達支援・放課後等デイサービス | どんな手がかりを使っているか、どう薄めていく見込みか。計画の見直し(→モニタリングとは?) |
| 言語聴覚士 | 伝える手段とスクリプト。ASHAはこの領域を言語聴覚士の役割としています |
| 園・学校(担任・特別支援教育コーディネーター) | 同じ手がかりを園・学校でも使えるか |
| 作業療法士 | 道具・姿勢・感覚の側から |
| 保育所等訪問支援 | 専門職が園・学校を訪問する制度 |
| 小児科・児童精神科など | 診断に関する判断。療育は医療ではありません |
※本記事は一般的な情報提供です。支援の方法は事業所や専門職によって異なります。療育は医療ではありません。
出典
※上記の出典は2026年9月6日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
プロンプトの種類を教えてください
🔴この記事では書きません。確かめた一次情報に、種類や階層の整理がないためです。そういう整理がないという意味ではなく、確かめられた一次情報が手元にないという意味です。
手がかりを出しすぎるとよくないのですか?
ASHAは、ある方法について「プロンプト依存と科学的妥当性の欠如のため推奨されない」(ASHA, 2018b)という立場を出しています。依存が生じることが、問題として挙げられています。
では、手がかりは使わないほうがよいのですか?
そうは書かれていません。ASHAは視覚的支援やスクリプトを支援の選択肢として記述しています。問題として挙げられているのは①依存が生じることと②誰の発言かが分からなくなることです。
外していく方法はありますか?
ASHAはソーシャル・スクリプトについて
「子どもがより自発的に使えるようになるにつれて、段階的に薄められていく」(K. Nelson, 1978)としています。
薄めていくところまでが、その方法の説明に含まれています(→
フェイディングとは?)。
視覚的な手がかりは、何に役立ちますか?
ASHAは四つ挙げています——一連の課題や活動をやりとげること/課題に注意を向けること/ある課題から別の課題へ移ること/さまざまな場面で情動の調整を保つこと。
国の文書には出てきますか?
「プロンプト」の語は見当たりません(2026年9月6日確認)。ただし文部科学省の手引には「言葉の理解を促すために絵カードなどの視覚的な情報を補足するなど、支援を工夫していく」という記述があります。
園でも同じ手がかりを使えますか?
児発ガイドラインは移行支援で「障害のあるこどもが、可能な限り、地域の保育、教育等を享受し、その中で適切な支援を受けられるようにしていく」としています。共有の例として「声掛けのタイミングやコミュニケーション手段」も挙げられています。
効果はありますか?
この記事では効果を書きません。効果がないという意味ではなく、ここでは判断しないという意味です。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
お子さまのこと、専門スタッフに相談してみませんか
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士・保育士など多職種の専門スタッフが在籍しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。