四つの柱の一つです
児童発達支援ガイドラインは、支援を本人支援・家族支援・移行支援・地域支援/地域連携の四つに分け、総合的に提供するものとしています。
移行支援の考え方は、こう書かれています。
原文
「地域社会で生活する平等の権利の享受と、地域社会への参加・包摂(インクルージョン)の考え方に立ち、全てのこどもが共に成長できるよう、障害のあるこどもが、可能な限り、地域の保育、教育等を享受し、その中で適切な支援を受けられるようにしていくことや、同年代のこどもをはじめとした地域における仲間づくりを図っていくことが必要である」
🔴 移行先が無くても行います
原文
「事業所等における支援の中に『移行』という視点を取り入れ、具体的な移行先が既にある場合は、その移行先への移行に向けた支援を、現時点で特段の具体的な移行先がない場合は、こどもが地域で暮らす他のこどもと繋がりながら日常生活を送ることができるように支援を提供するなど、『移行支援』を行うことが重要である」
つまり「次の園が決まってから考える」ものではないということです。
またガイドラインは、「特に入園・入学時等のライフステージの移行時における『移行支援』は、こどもを取り巻く環境が大きく変化することも踏まえ、支援の一貫性の観点から、より丁寧な支援が求められる」としています。
ねらいと、支援内容
ガイドラインが挙げるねらいは四つです。
- 保育所等への移行支援
- ライフステージの切替えを見据えた将来的な移行に向けた準備
- 保育所等と併行利用している場合における併行利用先との連携
- 同年代のこどもをはじめとした地域における仲間づくり
支援内容として挙げられているものです。
| 支援内容(原文の項目) | 実際にどう役立つか |
| 具体的な移行や将来的な移行を見据えたこどもの発達の評価・支援 | 見立てを共有できる |
| 具体的な移行先との調整 | 事業所が園・学校と話してくれる |
| 移行先との支援方針・支援内容の共有や、こどもの状態・親の意向・支援方法についての伝達 | 「親の意向」も伝達の対象 |
| 家族への情報提供や移行先の見学調整 | 見学の段取りを手伝ってもらえる |
| 移行先の受け入れ体制づくりへの協力 | 受け入れ側の準備も支える |
| 移行先ヘの相談援助 | 移行後も園・学校が相談できる |
| 進路や移行先の選択についての本人や家族への相談援助 | 選ぶこと自体の相談 |
| 併行利用先とのこどもの状態や支援内容の共有 | 例=得意不得意やその背景、声掛けのタイミングやコミュニケーション手段の共有 |
| 併行利用の場合の利用日数や利用時間等の調整 | 園と療育の両立(→併用できる?) |
| 地域の保育所等や子育て支援サークル、児童館、地域住民との交流 | 地域での仲間づくり |
見どころ
「こどもの状態・親の意向・支援方法についての伝達」——親の意向が、伝えるべきものとして明記されています。
そして併行利用先との共有の例に挙げられているのが
「得意不得意やその背景、声掛けのタイミングやコミュニケーション手段」。
——
困りごとの一覧ではなく、「どうすればうまくいくか」を渡すという向きで書かれています。
園・学校に入ってからも、しくみがあります
移行したあとについては、別の制度があります。
| しくみ | 根拠・内容 |
| 保育所等訪問支援 | 児童福祉法第6条の2の2第5項=「当該施設における障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援」。専門職が園・学校を訪問する |
| 併行利用 | 園と児童発達支援の両方を使う(→併用できる?) |
| 個別の教育支援計画 | 発達障害者支援法第8条=作成の推進が国・地方公共団体の措置として定められている |
| 就学相談 | 教育委員会が行う。学びの場の相談 |
また発達障害者支援法第7条(保育)は、市町村について「発達障害児の健全な発達が他の児童と共に生活することを通じて図られるよう適切な配慮をするものとする」と定めています。
使うときの聞き方
- 「移行支援として、どんなことをしていただけますか」——ガイドラインの用語です
- 「園・学校とは、どんな形で情報を共有していただけますか」
- 「見学の段取りは、相談できますか」
- 「引き継ぎには、どんなことを書いていただけますか」——得意不得意やその背景、声かけのタイミングが入っているか
- 「移行したあとも相談できますか」——支援内容に「移行先ヘの相談援助」があります
※実際に提供される内容は事業所により異なります。ガイドラインは支援の指針です。
どこに相談すればいいか
| 相談先 | 何のため |
| 利用している事業所 | 移行支援として何ができるか |
| 相談支援専門員 | サービス全体の組み立て |
| 教育委員会の教育相談 | 就学相談(→就学相談とは?) |
| 区市町村の保育・障害児支援の窓口 | 園の入園、加配(→加配とは?) |
※本記事は一般的な情報提供です。制度の運用は自治体・事業所により異なります。療育は医療ではありません。
出典
※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
移行支援とは何ですか?
こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインが定める支援の四つの柱の一つで、保育所・幼稚園・学校など次の場へつなぐ支援です。
まだ次の場が決まっていません
ガイドラインは「現時点で特段の具体的な移行先がない場合は、こどもが地域で暮らす他のこどもと繋がりながら日常生活を送ることができるように支援を提供する」としています。決まってから始めるものではありません。
園への引き継ぎでは、何を伝えてもらえますか?
支援内容には「こどもの状態・親の意向・支援方法についての伝達」が挙げられています。併行利用先との共有の例として「得意不得意やその背景、声掛けのタイミングやコミュニケーション手段」が示されており、「どうすればうまくいくか」を渡す向きで書かれています。
移行したあとも相談できますか?
支援内容に「移行先ヘの相談援助」が挙げられています。また、専門職が園・学校を訪問する保育所等訪問支援という別のしくみもあります。
園と療育は両方使えますか?
併行利用が想定されており、支援内容に「併行利用の場合の利用日数や利用時間等の調整」が挙げられています。
小学校に向けては、いつから考えればいいですか?
時期は書きません。確認できた一次情報に時期の記載がないためです。ガイドラインは「ライフステージの切替えを見据えた将来的な移行に向けた準備」をねらいの一つに挙げています。就学相談の日程は自治体により異なるため、教育委員会にご確認ください。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
お子さまのこと、専門スタッフに相談してみませんか
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士・保育士など多職種の専門スタッフが在籍しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。