ASHAは活動スケジュールと視覚支援について、物、写真、絵、書かれた語が含まれ、それらが手がかり(cue)や促し(prompt)として働くと説明しています。
| 形 | 例 |
|---|---|
| 物 | 実物や、その一部(お風呂=タオル、外出=くつ) |
| 写真 | その子が実際に使っている物・行く場所の写真 |
| 絵 | イラスト、線画、絵文字のようなシンボル |
| 書かれた語 | 文字。読める子には、これがいちばん早いこともあります |
その子がどの形なら分かるかで選びます。写真より実物のほうが分かる子もいれば、文字がいちばん確かな子もいます。
ASHAは、活動スケジュールと視覚支援が助けることとして、次の4つを挙げています。
| 助けること | 場面の例 |
|---|---|
| 一連の課題や活動を完了する | 着替えの手順、帰りの支度を最後までやりきる |
| 課題に注意を向ける | 今やることが目に見えているので、そこに戻ってこられる |
| ひとつの課題から次へ移る(移行) | 遊びから片づけへ。切りかえの場面 |
| さまざまな場面で情動の調整を保つ | 見通しが立っていると、気持ちが崩れにくい |
視覚支援は、AAC(拡大・代替コミュニケーション)の枠組みの中にきちんと位置づけられます。
ASHAはAACを道具が要らないもの(unaided)と道具が要るもの(aided)に分け、後者をローテクとハイテクに分けています。
| 分類 | ASHAが挙げている選択肢 |
|---|---|
| 道具が要らない | 身ぶり、表情、手指文字、手のサイン、発声、発話 |
| 道具が要る・ローテク | コミュニケーションボード・ブック、物、絵、写真、視覚的スケジュール、書くこと |
| 道具が要る・ハイテク | パソコン・タブレット・スマートフォンのアプリ、文字の読み上げ、音声表出機器(SGD) |
視覚的スケジュールが、ASHAのAACの選択肢にはっきり挙げられています。つまり視覚支援は、その場しのぎの工夫ではなく、AACの一形態です。
そしてASHAは、ひとつの形だけを使う人も、道具が要らないもの・ローテク・ハイテクを組み合わせて使う人もいるとしています。視覚支援と、サインや絵カードを併用してかまいません。
ASHAは視覚的な促しの方法(visual prompting strategies)について、視覚的な手がかり(指さしや身ぶりなど)を使って次のことを助けると説明しています(Hodgdon, 1995)。
ASHAは、視覚的な促しを2種類に分けています。
| 種類 | 内容 | 使い分け |
|---|---|---|
| 全般的な促し | コミュニケーションのしくみ全体のほうを身ぶりで示す(「これを見て」と手で示す) | 自分で探せるようになってきたとき |
| 特定的な促し | 特定の場所を指さす(「ここ」と1か所を示す) | まだ迷うとき。確実に伝わります |
ASHAは、やりとりを始めたり、続けたりするための書かれた/視覚的な促しを「スクリプト」と呼ぶと説明しています。
「かして」「いれて」「てつだって」——よく必要になるひとことを、カードや紙に書いて手元に置いておく形です。
その場で思い出せなくても、そこに置いてあれば使える。ことばを知っているかどうかと、必要な瞬間に出せるかどうかは、別のことです。
うまくいかないときは、枚数を増やすより1枚に絞るほうが定着しやすくなります。
| 何をするか | 特徴 | |
|---|---|---|
| 視覚支援 | 見通しや手順を、目に見える形で示す | 幅が広い。伝える場面にも、気持ちを保つ場面にも使える |
| PECS | 絵カードを相手に手渡す | 自分から伝えることを教える。6つのフェイズで進む |
| マカトン法 | 話しことばにサインを添える | 話しことばと同時に使うことが前提 |
視覚支援は「大人が伝える」側にも、「子どもが伝える」側にも使えます。PECSは後者に、マカトン法は主に前者から始まります。目的で選び分けられます。
聞き取りにくさがある場合は、視覚支援がとくに助けになります(→聴覚情報処理(APD)とは?)。
言語聴覚士(ST)が、その子にどの形(実物・写真・絵・文字)が合うかを含めて評価します。ASHAは言語聴覚士の役割に他の専門職への紹介も挙げており、手の使い方や姿勢の面は作業療法士・理学療法士と分担します。
※本記事は一般的な情報提供です。診断は医師が行います。療育は医療ではありません。
※上記の出典は2026年9月3日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士が在籍しています。ことばの専門評価と個別プログラムを、児童発達支援として提供しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。