年長の1年間に、いつ何が起きるか
就学の手続きは、保護者が申し出て始まるものばかりではありません。市区町村の教育委員会がやらなければならないことが、期限つきで法令に書かれています。まずはその日付を並べてみます。すべて翌学年の初め(4月1日)から数えた期限です。
| 時期 | 起きること |
| 年長の4月〜夏ごろ | 就学相談の受付が始まる(開始日・締切は自治体で異なる) 根拠=自治体の判断。新宿区は令和8年度の受付を4月1日〜9月30日としています |
| 10月31日まで | 教育委員会が、10月1日現在の学齢簿を作成する 根拠=学校教育法施行令 第2条/文部科学省の手引 |
| 10月下旬ごろ | 就学時健康診断の日時・場所・実施の要領が保護者に通知される 根拠=学校保健安全法施行令 第3条 |
11月末ごろ 条文は「4か月前まで」。3か月前までの例外あり | 就学時の健康診断が行われる 根拠=学校保健安全法施行令 第1条 |
| 12月末ごろ(3月前まで) | 特別支援学校に就学する場合、市区町村教育委員会が都道府県教育委員会へ通知する 根拠=学校教育法施行令 第11条第1項 |
| 1月末ごろ(2月前まで) | 入学期日の通知(いわゆる就学通知)が保護者に届く。学校が2校以上ある市区町村では、就学すべき学校の指定も同時に行われる 根拠=学校教育法施行令 第5条/特別支援学校は第14条第1項 |
| 3月中旬ごろ(15日前まで) | 就学時健康診断票が、入学する学校の校長へ送られる 根拠=学校保健安全法施行令 第4条第2項 |
春から動くのには理由があります
10月末に名簿ができ、11月末に健診があり、1月末には通知が届きます。学びの場を検討し、保護者の意見を聴き、学校を見て、判断して——その全部が、この日付より前に収まっていなければなりません。多くの自治体が就学相談の受付を年長の春に始めるのは、そのためです。
家庭の側の1年を、同じ順番で並べると
- 4月〜6月 教育委員会の就学相談の案内を探す。申し込みの期限を確かめる。園の担任に、集団の中での様子を聞いておく。
- 6月〜9月 学校見学・学校公開に行く。通常の学級も、通級による指導も、特別支援学級も、特別支援学校も、見られるものは見ておく。相談の面談と検査を受ける。
- 10月 就学時健康診断の通知が届く。日時と会場(多くは通学区域の小学校)を家族の予定に入れる。
- 11月 就学時健康診断。同じ月に、放課後の準備(学童クラブの申請)が動き出す自治体があります。
- 12月〜1月 教育委員会から検討の結果が伝えられ、話し合いが行われる。入学期日の通知が届く。
- 2月〜3月 入学説明会。園・事業所から学校への引き継ぎ。通学路を歩く。生活のリズムを学校の朝に寄せていく。
※ 受付の開始日・締切・回数・呼び名は自治体ごとに違います。上の日付のうち法令に根拠があるのは、学齢簿・健康診断・通知の3つです。お住まいの教育委員会の案内で必ず確かめてください。
就学時健康診断は、いつ・どこで・何をするのか
就学時の健康診断は、学校保健安全法 第11条にもとづいて市区町村の教育委員会が行います。「行わなければならない」と書かれている、教育委員会の義務です。対象は、翌学年の初めから小学校等に就学させるべき者で、その市区町村の区域内に住所を有する子どもです。
時期は学校保健安全法施行令 第1条が定めています。学齢簿が作成された後、翌学年の初めから4か月前まで——就学に関する手続の実施に支障がない場合は3か月前までです。
🔴 条文に「11月30日」という日付は書かれていません。4か月前から逆算すると11月末になり、文部科学省の手引はこれを「毎年11月30日までに実施」と書いています。ただし条文には3か月前までという例外があるため、12月に行う自治体もあります。実際の日は、お住まいの教育委員会から届く通知でご確認ください。
検査の項目は7つと決まっています
施行令 第2条が、検査の項目を次の7つと定めています。
- 栄養状態
- 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無
- 視力及び聴力
- 眼の疾病及び異常の有無
- 耳鼻咽頭疾患及び皮膚疾患の有無
- 歯及び口腔の疾病及び異常の有無
- その他の疾病及び異常の有無
7つめの「その他」に、ことばと知能が入っています
学校保健安全法施行規則 第3条は、この7項目ごとに方法と技術的基準を定めています。その第10号は「その他の疾病及び異常の有無」について、知能及び呼吸器、循環器、消化器、神経系等について検査するものとし、知能については適切な検査によって知的障害の発見につとめ、呼吸器等については臨床医学的検査その他の検査によって言語障害・精神神経症その他の精神障害・骨や関節の異常・四肢運動障害等の発見につとめる、としています。「身体測定だけだと思っていた」という声が多い項目ですが、条文はここまで書いています。
会場と持ち物は、届く通知書に書かれています
日時・場所・実施の要領等は、あらかじめ保護者に通知しなければならないと施行令 第3条が定めています。会場や持ち物は自治体・学校ごとに違うため、この記事で持ち物の一覧を書くことはしません。届いた通知書が正本です。
新宿区の場合、区の案内には次のように書かれています(令和9年4月入学の回)。
- 会場はお住まいの通学区域の小学校
- 通知書は10月下旬までに発送。受診校と日程は通知書に記載
- 実施日は10月下旬から12月上旬にかけての平日。受付は午後の指定時間で、学校によっては2部制
- 当日は健康診断と併せて面接を行う。面接順や受付人数によっては終了まで時間がかかるため、時間に余裕をもって来てほしい、と書かれています
- 行けなくなったときは、通知書に書かれた受診校へ連絡して相談する
- 通知書が届かない・なくしたときは、教育委員会に連絡すれば再発行される
※ 上は新宿区の案内から取った例です。実施日・会場・欠席時の連絡先は自治体ごとに異なります。
健康診断の結果は、その後どう使われるのか
「この日に何かが決まってしまうのでは」と身構える方が多い日ですが、法律は、この健診の後に教育委員会が何をするかまで書いています。
学校保健安全法 第12条
市町村の教育委員会は、前条の健康診断の結果に基づき、治療を勧告し、保健上必要な助言を行い、及び学校教育法第十七条第一項に規定する義務の猶予若しくは免除又は特別支援学校への就学に関し指導を行う等適切な措置をとらなければならない。
つまり健診の主たる出口は、治療の勧告と保健上の助言です。そのうえで、就学に関する指導など適切な措置をとる、という組み立てになっています。健診の場でその日のうちに就学先が決まる、という書き方はされていません。
すでに相談につながっている場合と、そうでない場合
文部科学省の「障害のある子供の教育支援の手引」は、この健診の位置づけをこう説明しています——1歳6か月児健康診査、3歳児健康診査、自治体によっては5歳児健康診査も行われているが、障害の状態等が明確になっていない幼児や、園への通園・通所歴のない幼児については、就学時の健康診断とその結果に基づく対応が、就学先の学校や学びの場を決定するための情報を収集するうえで特に大きな意味をもつため、慎重を期して実施することが求められている、と。
裏を返すと、すでに健診や相談、通所支援を通じて情報が積み上がっている場合、就学時健康診断はその情報に加わる一つの機会です。同じ手引は、法定健診の担当者と就学支援の担当者が相互に連携し、健康診査で得られた情報をもとに、必要に応じて就学相談や学校見学・体験入学へ速やかにつなげる体制の整備に努める必要がある、とも書いています。
健診票は、入学する学校へ送られます
健診を行ったら、教育委員会は文部科学省令で定める様式により就学時健康診断票を作成し(施行令 第4条第1項)、翌学年の初めから15日前までに、入学する学校の校長へ送付しなければなりません(同条第2項)。3月中旬には、学校の手元に届いているということです。
学びの場は4つ。年長のうちに、見に行けます
小学校に上がるときの学びの場は、次の4つです。文部科学省の通知(令和4年4月27日)は、この4つの選択肢を本人及び保護者に説明していないことを「改善が必要な具体的な事例」として挙げています。説明を求めてかまいません。
| 学びの場 | 在籍と指導のかたち |
| 通常の学級 | 通常の学級に在籍し、そこで学ぶ |
| 通常の学級+通級による指導 | 通常の学級に在籍し、一部の時間だけ別に特別の指導を受ける |
| 特別支援学級 | 小学校の中に置かれた特別支援学級に在籍する |
| 特別支援学校 | 特別支援学校の小学部に在籍する |
それぞれの中身は別の記事にまとめています(→通級による指導とは?、特別支援学級とは?、特別支援学校とは?)。ここでは、年長の1年でそれをどう見に行くかのほうを書きます。
学校見学は、複数回・複数の場を見てよいものです
手引は、市区町村教育委員会に対して次のように求めています。
- いくつかの就学先となり得る学校や学びの場の見学の機会を設け、保護者が幅広い視点をもてるようにする
- 学校には、特別な準備をするのではなく日常の学校生活をありのままに見てもらうように伝える
- 単なる施設の見学に終始しないよう、その場面の学習のねらいや、次にどう発展していくのか、個に応じた指導や合理的配慮についても具体的に説明する
- 見学先の学校に通級指導教室が開設されていない場合でも、他校通級や巡回による通級指導を導入しているときは、他校の通級指導担当教師に参画してもらって説明するなど、保護者が具体的なイメージをもてるよう工夫する
- 見学は、保護者や本人の理解と納得が得られるまで複数回行うことが必要なケースもある
「もう1回見せてください」と言ってよい、と国が書いています
見学が1回で終わらなければいけない決まりはありません。手引は、型通りに進めることなく、保護者の意向を十分に把握しながら計画することが大切だ、としています。見学の後には、教育委員会の担当者が疑問や感想を確認し、今後の教育相談の進め方や手続きを説明することが必要だ、とも書かれています。
体験入学という機会もあります
体験入学は、子どもがその学校や学びの場の日課に沿って実際に授業に参加し、学習活動を体験する機会です。保護者にとっては、自分の子どもが実際に授業に参加している姿を見ることで、その時点で教育的ニーズに応える指導を提供できる場かどうかを、具体的かつ客観的に知る機会になる——手引はそう位置づけています。
自治体によっては、時期と対象が案内されています。新宿区の場合、6月に区立小・中学校の特別支援学級と区立養護学校の学校見学会があり、見学会以外の日の見学は直接学校に問い合わせる、と案内されています。また就学支援委員会で特別支援学級・特別支援学校への就学が適当という結果になった場合には、実際に授業を体験する体験入級の場が設けられ、日程は相談員が調整すると書かれています。
決定はどう進み、保護者の意向はどこで聞かれるのか
この項目は就学相談とは?に詳しく書いたので、ここでは1年の流れの中でどこに位置するかだけを押さえます。
平成25年に、決め方そのものが変わっています
手引は冒頭でこう書いています——平成25年9月の学校教育法施行令の改正により、就学先となる学校や学びの場の判断・決定に当たっては、障害のある子どもの障害の状態のみに着目して画一的に検討を行うのではなく、子ども一人一人の教育的ニーズ、学校や地域の状況、保護者や専門家の意見等を総合的に勘案して、個別に判断・決定する仕組みへと改められた、と。
この改正政令は平成25年9月1日から施行されています(附則)。10年以上前の情報を見ていると、これより前の説明に出会うことがあります。いま動いているのは、総合的に判断する仕組みのほうです。
意見を聴くことは、手続きに組み込まれています
- 学校教育法施行令 第18条の2——市町村の教育委員会は、通知をしようとするときは、その保護者及び教育学・医学・心理学その他の専門的知識を有する者の意見を聴くものとする
- 障害者基本法 第16条第2項——国及び地方公共団体は、障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならない(手引が留意点として引いている条文です)
- 手引は、市区町村教育委員会が総合的に判断した学びの場について、本人及び保護者の意見を最大限尊重しつつ、十分な説明と合意形成を図ったうえで、最終的に市区町村教育委員会が決定することが適当だ、としています
指定された学校を変えたいとき
学校が2校以上ある市区町村では、入学期日の通知と同時に就学すべき学校が指定されます(学校教育法施行令 第5条第2項)。この指定は、動かせない一本道ではありません。
学校教育法施行令 第8条
市町村の教育委員会は、……相当と認めるときは、保護者の申立てにより、その指定した小学校、中学校又は義務教育学校を変更することができる。
特別支援学校の指定についても、同じ形の規定が第16条にあります。どんな理由なら「相当」と認められるかの基準は自治体が定めているので、考えている場合は教育委員会に早めに尋ねてください。
入学までに家庭でしておくと、後がらくになること
「ひらがなを全部書けるようにしておかないと」と急ぐ声をよく聞きます。ただ、手引が就学に向けて整理するよう求めているのは、そこではありません。教育的ニーズを整理するための観点として挙げられているのは、次の3つです。
| 観点 | 中身 |
| ① 障害の状態等の把握 | 医学的側面からの把握と、心理学的・教育的側面からの把握 |
| ② 特別に必要な指導内容 | 就学前までに特別に必要とされる養育の内容と、義務教育段階で特別に必要とされる指導内容 |
| ③ 必要な支援の内容 | 教育上の合理的配慮を含む、必要な支援の内容 |
見るのは「できる・できない」ではない、と書かれています
手引は、子どもの様子を観察するときの留意点として「できる・できないの観点から行うのではなく、どのような教育環境や支援の内容があれば可能なのかなど、子供の成長・発達の可能性を探る視点をもって行うことが大切である」としています。家庭で書き出すときも、同じ形が使えます。
書き出しておくと、どの場面でも使えるもの
就学相談の面談でも、学校見学の質問でも、入学後の担任との共有でも、材料は同じです。年長の春のうちに一度書いておくと、そのつど作り直さずに済みます。
- 場面ごとの様子——「集団の中では」「一対一なら」「初めての場所では」。場面で違うこと自体が情報になります
- どんな条件があれば動けるか——「予告があれば切り替えられる」「見て分かる形にすれば伝わる」など。これがそのまま観点②③にあたります
- できていること・できつつあること——手引も、身に付いたこと・身に付きつつあること・まだのことを分けて引き継ぐことが大切だとしています
- 専門職の記録——評価や検査の結果を、いつ・どこで受けたかを添えて。手引は、既に個別の支援計画等がある場合はそれを十分に活用し、生育歴や家庭環境等を不必要に繰り返し尋ねることがないよう留意する必要がある、としています
- 希望と、その理由——「◯◯だから、この場がよいと思う」。理由まで書けると、意見として扱われやすくなります
書き出しの型は発達相談で聞かれることメモも参考になります。
生活のほうの準備
学校生活は、園とは時間の刻み方が変わります。ここは法令が決めていることではないので、断定はしません。ただ、年長の秋から冬にかけて家庭で試しやすいのは、次のようなことです。
- 起きる時刻を、少しずつ学校の朝に寄せていく
- 通学路を、実際に一緒に歩いてみる(曜日・時間帯を変えて2回歩くと、見えるものが変わります)
- 着替え・トイレ・持ち物の出し入れを、自分でやろうとする時間をとる(完璧でなくてかまいません)
- 「わかりません」「手伝ってください」と言う練習をする。入学後にいちばん効く一言です
- 「できた」を小さく積む(→スモールステップとは)
※ 発達には個人差があります。ここに挙げたことができていないと入学に差し支える、という意味ではありません。気になることは、就学相談や園の担任、かかりつけの医療機関にご相談ください。
園・事業所から学校へ、情報はどう引き継がれるのか
児童発達支援や保育所等訪問支援を使っている場合、「小学校に上がったら、また一から説明するのだろうか」という不安があると思います。手引には、引き継ぎの手順が独立した項目として書かれています。
手引「11 情報の引継ぎ」より
市区町村教育委員会は、原則として翌年度の就学予定者を対象に、入学前までに、それまでの支援の内容、その時点での教育的ニーズを踏まえた教育上の合理的配慮を含む必要な支援の内容等について、保護者や認定こども園・幼稚園・保育所や、医療、福祉、保健等の関係機関と連携して、個別の教育支援計画等として整理する。これは就学後に学校が作成する個別の教育支援計画の基となるもので、就学先の学校に引き継ぐものとする。
すでに園や医療・福祉・保健の関係機関が個別の支援計画やそれに類する計画を作成・活用している場合は、保護者の協力を得ながら、それらの関係資料を一貫性や一覧性が高く、関係機関の間の情報共有が容易なファイル(「相談支援ファイル」等)の形でとりまとめ、適宜、就学に関する情報を追加していく——手引はそう書いています。自治体によって呼び名が違うので、就学相談の窓口で「相談支援ファイルにあたるものはありますか」と尋ねるのが早道です。
同意を取るのは保護者、という前提
手引は、他機関から情報を集める場合について、本人及び保護者に対しその趣旨や目的を十分に説明し、同意を得ることに留意することが重要である、としています。また、個別の教育支援計画は作成後、本人及び保護者の了解を得た上で着実に就学先に引き継がれていくことが必要だ、とも書かれています。勝手に回っていくものではない、ということです。
保育所等訪問支援は、入学後も使えます
これは意外に知られていない点です。保育所等訪問支援は、児童福祉法にもとづく障害児通所支援の一つで、支援者が子どもの通う施設を訪問し、その施設における障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援を行うものです(児童福祉法 第6条の2の2)。
訪問先には、小学校と特別支援学校が入っています
訪問先となる施設は内閣府令で定められています。児童福祉法施行規則 第1条の2の5は、乳児院、保育所、児童養護施設、幼稚園、小学校(義務教育学校の前期課程を含む)及び特別支援学校、認定こども園、その他児童が集団生活を営む施設として市町村が認める施設、と列挙しています。「保育所等」という名前ですが、小学校は条文に明記されています。
しくみの詳細は保育所等訪問支援とは?に、利用の手続きは受給者証とは?にまとめています。
放課後の過ごし方は、健診と同じ時期に動き始めます
見落とされやすいのがここです。学童クラブと放課後等デイサービスは、根拠になる条文も、窓口も、動く時期も違います。
| 学童クラブ(放課後児童健全育成事業) / 放課後等デイサービス |
| 根拠 | 学童クラブ(放課後児童健全育成事業):児童福祉法 第6条の3第2項 放課後等デイサービス:児童福祉法 第6条の2の2 |
| 対象 | 学童クラブ(放課後児童健全育成事業):小学校に就学している児童で、保護者が労働等により昼間家庭にいないもの 放課後等デイサービス:学校教育法第1条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く)に就学している障害児 |
| 窓口 | 学童クラブ(放課後児童健全育成事業):区市町村の子ども・子育て担当(申請先が各クラブの自治体もあります) 放課後等デイサービス:区市町村の障害福祉担当(受給者証) |
どちらも条文が「就学している」と書いていることに注目してください。入学して初めて対象になるサービスです。ただし申し込みと準備は、年長の秋から冬に動きます。
学童クラブは、健診と同じころに受付が始まる自治体があります
新宿区の令和8年度(2026年4月入学の回)の案内では、次のように書かれていました。
- 関係書類の配付は令和7年11月5日から
- 一括申請の受付期間は令和7年11月5日〜12月5日(日曜・祝日を除く)
- 申請書類は希望する学童クラブに持参・郵送・電子申請。持参の場合は10分程度の簡単な面接がある
- 利用承認書の発送予定は令和8年2月上旬ごろ
- 3年生までの児童(障害等のある児童は6年生まで)は、定員を超えていても利用できる
- 基本利用料は月額6,000円(同一世帯の2人目以降は月額4,000円。生活保護受給世帯・住民税非課税世帯等は申請により免除の制度があります)
※ 新宿区の案内から取った例です。受付時期・利用料・優先の考え方は自治体ごとに大きく異なります。
放課後等デイサービスは、見学と受給者証の準備を先に
放課後等デイサービスは受給者証が要ります。児童発達支援をすでに使っている場合も、入学のタイミングで受給者証の内容を切り替える手続きが必要になります。見学は入学前でも受け付けている事業所が多いので、年長の秋から冬にかけて、通学路・下校時刻・送迎の可否をあわせて確かめておくと動きやすくなります。
手引にも、学校と放課後の場をつなぐ記述があります——障害のある子どもは学校に加えて放課後等デイサービス等で過ごす時間も長い場合があることから、子どもの成長や課題等を総合的に把握できるよう、学校や教育委員会関係者が日常的に事業者等との連携を図ることも有用である、と書かれています。
入学後に見直したくなったときのために
最後に、入学前に知っておくといちばん肩の力が抜ける話を書きます。就学時に決めたことは、6年間の固定ではありません。
国の手引が、誤解として名指ししています
実際の就学先決定後に柔軟に転学や学びの場の変更ができることについては、学校現場においても「一度決めた就学先や学びの場は変えることができない」と誤解されていることがある。このようなことが保護者の学校への信頼を失わせることもあることを踏まえ、教育委員会は、域内の小中学校等や特別支援学校の教職員に対して、障害の状態等を踏まえ柔軟に転学や学びの場の変更ができることについて周知を図り、理解を促すことが重要である。(手引 第2編第2章)
手引の第4章は、この見直しの進め方にあてられています。就学後の学びの場をスタートにして、小学校段階6年間の育ちを見通しながら柔軟な見直しができるようにしていくことが必要だ、とされ、そのために勘案するものとして、発達の程度、適応の状況、各教科等の学習の習得状況、自立活動の指導の状況、交流及び共同学習の実施時間数の状況等が挙げられています。
見直しは、日ごろの記録の積み重ねから始まります
- 市区町村教育委員会が定期的に教育相談を実施し、個別の教育支援計画や個別の指導計画にもとづく関係者による会議などを行う
- それらの計画を評価・改善していく中で、必要に応じて学びの場の変更の必要性を検討する
- 本人及び保護者と教育委員会や学校の間で合意形成が図られた後、最終的に市区町村教育委員会が変更を決定する
- 教育支援委員会等の役割には、就学後の学びの場の変更等についての助言も含まれる
だからこそ、入学前の段階で「見直しのための手続きはどうなっていますか」と尋ねておく意味があります。手引も、就学先決定の際に、見直すことや見直しのための手続についてもあらかじめ合意形成を図っておくことが大切だ、としています。
条文の側から見た変更のしくみ(学校教育法施行令 第6条の3ほか)は就学相談とは?にまとめています。
この1年で、迷ったときに戻ってくる4つのこと
情報が多い1年です。最後に、迷ったときの立ち返り先だけ短くまとめます。
- 日付は法令で決まっている——学齢簿は10月31日まで、就学時の健康診断は入学の4か月前まで、入学期日の通知は入学の2月前まで。案内が来ないときは、この日付を手がかりに教育委員会へ問い合わせられます。
- 見学は複数回・複数の場でよい——手引が、納得が得られるまで複数回必要なケースもあると書いています。
- 意見を聴くことは手続きに入っている——学校教育法施行令 第18条の2。お願いして聴いてもらうものではありません。
- 決めた後も変えられる——手引が、変えられないという受け取り方を誤解として名指ししています。
※ 就学に関する具体的な日程・様式・持ち物は、お住まいの区市町村教育委員会によって異なります。必ず教育委員会の案内でご確認ください。本記事は一般的な情報提供です。
出典
- 学校保健安全法(昭和33年法律第56号)/e-Gov法令検索第11条(市町村の教育委員会は、翌学年の初めから就学させるべき者で当該市町村の区域内に住所を有するものの就学に当たって、その健康診断を行わなければならない)/第12条(健康診断の結果に基づき、治療を勧告し、保健上必要な助言を行い、及び就学義務の猶予若しくは免除又は特別支援学校への就学に関し指導を行う等適切な措置をとらなければならない)
- 学校保健安全法施行令(昭和33年政令第174号)/e-Gov法令検索第1条(就学時の健康診断は、学齢簿が作成された後、翌学年の初めから4月前まで。就学に関する手続の実施に支障がない場合は3月前まで)/第2条(検査の項目=栄養状態/脊柱及び胸郭/視力及び聴力/眼/耳鼻咽頭及び皮膚/歯及び口腔/その他の疾病及び異常の有無 の7項目)/第3条(あらかじめ、日時・場所・実施の要領等を保護者に通知しなければならない)/第4条第2項(翌学年の初めから15日前までに、就学時健康診断票を入学する学校の校長に送付しなければならない)
- 学校保健安全法施行規則(昭和33年文部省令第18号)/e-Gov法令検索第3条(就学時の健康診断の方法及び技術的基準)。第10号=その他の疾病及び異常の有無は、知能及び呼吸器・循環器・消化器・神経系等について検査するものとし、知能については適切な検査によって知的障害の発見につとめ、言語障害・精神神経症その他の精神障害・骨、関節の異常及び四肢運動障害等の発見につとめる
- 学校教育法施行令(昭和28年政令第340号)/e-Gov法令検索第2条(学齢簿は毎学年の初めから5月前までに作成)/第5条第1項(入学期日は翌学年の初めから2月前までに通知)・第2項(学校が2以上のときは就学すべき学校を指定)/第8条(相当と認めるときは保護者の申立てにより指定した学校を変更することができる)/第11条第1項(認定特別支援学校就学者は翌学年の初めから3月前までに都道府県教育委員会へ通知)/第14条第1項(都道府県教育委員会は特別支援学校の入学期日を翌学年の初めから2月前までに通知)・第16条(保護者の申立てによる特別支援学校の指定変更)/第18条の2(通知をしようとするときは保護者及び教育学・医学・心理学その他の専門的知識を有する者の意見を聴く)/附則(平成25年9月1日施行の改正)
- 障害のある子供の教育支援の手引(令和3年6月・文部科学省初等中等教育局特別支援教育課)第1編・第2編第2編第1章(平成25年9月の学校教育法施行令改正により、障害の状態のみに着目した画一的な検討ではなく総合的に勘案して個別に判断・決定する仕組みへ改められた)/第2編第2章(就学に関する事前の相談・支援。学校見学は複数回必要なケースもある/学校には日常の学校生活をありのままに見てもらうよう伝える/他校通級の場合は他校の通級指導担当教師に参画してもらう/体験入学の位置づけ/「一度決めた就学先や学びの場は変えることができない」と誤解されていることがある/観察は「できる・できない」ではなく、どのような環境や支援があれば可能なのかという視点で)/第2編第3章(学齢簿は毎年10月31日までに10月1日現在で作成/就学時健康診断は毎年11月30日までに実施/障害の状態等が明確でない幼児や園への通園歴のない幼児には健診が特に大きな意味をもつ/教育的ニーズを整理する3つの観点/障害者基本法第16条第2項=可能な限りその意向を尊重しなければならない/本人及び保護者の意見を最大限尊重しつつ合意形成を図ったうえで市区町村教育委員会が決定/11 情報の引継ぎ=入学前までに個別の教育支援計画等として整理し就学先の学校に引き継ぐ、相談支援ファイル等、本人及び保護者の了解を得たうえで引き継ぐ)/第2編第4章(就学時に6年間が固定されるわけではない/定期的な教育相談と計画の評価にもとづく見直し/学校や教育委員会関係者と放課後等デイサービス事業者等との日常的な連携)
- 障害者基本法(昭和45年法律第84号)/e-Gov法令検索第16条第2項(国及び地方公共団体は、前項の目的を達成するため、障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならない)
- 障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(令和4年4月27日/4文科初第375号)文部科学省「改善が必要な具体的な事例」として、通常の学級/通常の学級における指導と通級による指導を組み合わせた指導/特別支援学級/特別支援学校という学びの場の選択肢を本人及び保護者に説明していないこと、を挙げている
- 児童福祉法(昭和22年法律第164号)/e-Gov法令検索第6条の2の2(放課後等デイサービス=学校教育法第1条に規定する学校〈幼稚園及び大学を除く〉又は専修学校等に就学している障害児につき、授業の終了後又は休業日に通わせ、生活能力の向上のために必要な支援・社会との交流の促進その他の便宜を供与する/保育所等訪問支援=児童が集団生活を営む施設として内閣府令で定めるものに通う障害児につき、当該施設を訪問し、障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援その他の便宜を供与する)/第6条の3第2項(放課後児童健全育成事業=小学校に就学している児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後に適切な遊び及び生活の場を与える事業)
- 児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号)/e-Gov法令検索第1条の2の5(保育所等訪問支援の訪問先=乳児院、保育所、児童養護施設、幼稚園、小学校〈義務教育学校の前期課程を含む〉及び特別支援学校、認定こども園、その他児童が集団生活を営む施設として市町村が認める施設)
- 就学時健康診断を実施します(令和9年4月に小学校へ入学する新1年生の方へ)/新宿区会場はお住まいの通学区域の小学校/就学時健康診断通知書は10月下旬までに発送し、受診校と日程は通知書に記載/実施日は10月下旬〜12月上旬の平日で受付は午後の指定時間、学校によっては2部制/当日は健康診断と併せて面接を行い、時間に余裕をもって来てほしいとの記載/行けなくなった場合は通知書記載の受診校へ連絡/通知書が届かない・紛失した場合は教育委員会が再発行
- 令和8年度 特別な支援を必要とするお子さんの就学相談・転学相談/新宿区受付期間は令和8年4月1日〜9月30日(電子申請)/流れ=相談受付→面接・発達検査→医師の面接→在籍園・在籍校等訪問→就学支援委員会→保護者への連絡・相談→就学先の決定(入学通知書の発送)/6月に区立小・中学校特別支援学級及び区立養護学校の学校見学会/特別支援学級・特別支援学校への就学が適当という結果になった場合の体験入級(日程は相談員が調整)
- 令和8年度 学童クラブ「定期利用」/新宿区関係書類の配付は令和7年11月5日から/一括申請受付期間は令和7年11月5日〜12月5日(日曜・祝日を除く)/持参の場合は10分程度の簡単な面接/利用承認書の発送予定は令和8年2月上旬ごろ/3年生までの児童(障害等のある児童は6年生まで)は定員を超えていても利用できる/基本利用料は月額6,000円、同一世帯の2人目以降は月額4,000円、生活保護受給世帯・中国残留邦人等支援受給世帯・当該年度住民税非課税世帯は申請により免除
※上記の出典は2026年9月7日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
就学時健康診断には、何を持っていけばよいですか?
持ち物は自治体・学校によって違うため、この記事では一覧を書いていません。学校保健安全法施行令 第3条は、教育委員会があらかじめ日時・場所・実施の要領等を保護者に通知しなければならないと定めています。届いた就学時健康診断通知書が正本です。新宿区の場合、通知書は10月下旬までに発送され、受診校と日程が記載されると案内されています。
就学時健康診断の日に都合がつかなくなったら、どうすればよいですか?
自治体の案内に従ってください。新宿区の場合は、就学時健康診断通知書に記載された受診校へ連絡して相談する、と案内されています。なお学校保健安全法施行令 第1条第2項は、健診の実施日の翌日以後に学齢簿へ新たに記載された就学予定者が他の市町村の教育委員会が行う健診を受けていないときは、その子について速やかに健診を行うものとする、と定めています。引っ越しなどで日程から外れた場合の受け皿は、政令の側にも用意されています。
就学時健康診断で、就学先が決まってしまうのですか?
条文はそう書いていません。学校保健安全法 第12条は、健診の結果に基づいて治療を勧告し、保健上必要な助言を行い、就学に関し指導を行う等の適切な措置をとることを教育委員会に求めています。また学びの場は、学校教育法施行令にもとづく別の手続きで、保護者及び専門的知識を有する者の意見を聴いたうえで決まります(→
就学相談とは?)。
入学期日の通知(就学通知)は、いつ届きますか?
学校教育法施行令 第5条第1項は、市町村の教育委員会は翌学年の初めから2月前までに入学期日を通知しなければならない、としています。4月1日の2月前なので、1月末ごろまでということになります。特別支援学校の場合は、都道府県の教育委員会が同じく2月前までに通知します(第14条第1項)。
指定された小学校を変えることはできますか?
できる場合があります。学校教育法施行令 第8条は、市町村の教育委員会は相当と認めるときは保護者の申立てにより、その指定した小学校等を変更することができる、と定めています(特別支援学校の指定については第16条に同じ形の規定があります)。どんな理由なら認められるかの基準は自治体が定めているので、教育委員会に早めにご相談ください。
保育所等訪問支援は、小学校に上がっても使えますか?
訪問先の施設は児童福祉法施行規則 第1条の2の5に列挙されていて、そこには
小学校(義務教育学校の前期課程を含む)及び特別支援学校が入っています。「保育所等」という名前ですが、小学校は条文に明記されています。利用の可否・回数は受給者証の支給決定によるので、区市町村の障害福祉担当にご確認ください(→
保育所等訪問支援とは?)。
放課後等デイサービスは、入学前から使えますか?
児童福祉法 第6条の2の2は、放課後等デイサービスを「学校教育法第1条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く)……に就学している障害児」への支援と定義しています。利用が始まるのは就学後です。ただし見学や相談は入学前からできますし、受給者証の切り替え手続きも先に進められます。年長の秋から冬に動き始めるご家庭が多い部分です。
入学してから「合わないかもしれない」と思ったら、変えられますか?
変えられます。文部科学省の手引は、「一度決めた就学先や学びの場は変えることができない」と学校現場でも誤解されていることがあると指摘し、教育委員会が教職員に対して柔軟に転学や学びの場の変更ができることの周知を図るよう求めています。見直しは、定期的な教育相談と、個別の教育支援計画・個別の指導計画の評価を通じて検討されます。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
お子さまのこと、専門スタッフに相談してみませんか
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士・保育士など多職種の専門スタッフが在籍しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。