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📖 用語・基礎知識

特別支援学級とは?——法律にあるのは「置くことができる」と、六つの区分です

最終更新:2026年9月6日
特別支援学級——小学校・中学校などの中に置かれる、少人数の学級です。

法律の書き方は、思っているよりそっけないかもしれません。

学校教育法 第81条第2項:「小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校には、次の各号のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。」

——「置かなければならない」ではなく「置くことができる」。だから、ある学校とない学校があります。

この記事では、条文と国の通知に何が書かれているかだけを追います。

法律のどこに書かれているか

特別支援学級の根拠は学校教育法 第81条です。三つの項からできていて、それぞれ言っていることが違います。

書かれていること
第1項幼稚園・小学校・中学校などにおいては、次項各号に該当する幼児児童生徒その他教育上特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対し、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする
第2項小学校・中学校などには、次の各号に該当する児童生徒のために、特別支援学級を置くことができる
第3項疾病により療養中の児童生徒に対して、特別支援学級を設け、又は教員を派遣して、教育を行うことができる
🔴 第1項は、学級の話ではありません
第1項は「幼稚園」も含めて書かれており、対象は「その他教育上特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒」まで広がっています。

つまり通常の学級にいる子も、特別支援学級に入っていない子も、この項の対象です。しかも語尾は「行うものとする」

支援は、学級に入ることの見返りではありません。条文の順番は、まず第1項(すべての子への教育)があり、そのうえで第2項(学級を置くことができる)が続きます。

第3項も見落とされがちです。入院や自宅療養が続いているとき、学校は特別支援学級を設けることも、教員を派遣することもできる、と条文にあります。

四つの学びの場(通常の学級/通常の学級と通級による指導の組み合わせ/特別支援学級/特別支援学校)と、それぞれの根拠条文を並べた図文部科学省の通知が挙げる「学びの場の選択肢」1通常の学級学校教育法 第81条第1項が対象に含む2通常の学級 + 通級による指導学校教育法施行規則 第140条(八区分)3特別支援学級学校教育法 第81条第2項(六区分)4特別支援学校学校教育法 第72条(五区分)🔴 この四つを本人及び保護者に説明していないことは、文部科学省の通知が「改善が必要な具体的な事例」として挙げています(令和4年4月27日通知)
文部科学省の通知(令和4年4月27日・4文科初第375号)が挙げる四つの学びの場と、それぞれの根拠条文。

対象は「六つの区分」

第81条第2項が挙げているのは、次の六つです。

条文の文言
知的障害者
肢体不自由者
身体虚弱者
弱視者
難聴者
その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの
🔴 「自閉症・情緒障害」も「発達障害」も、条文には出てきません
実際の学校では「知的障害学級」「自閉症・情緒障害学級」という呼び方をよく聞きます。しかし法律の条文に「自閉症」「情緒障害」「発達障害」という語はありません。

これらは第六号「その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの」に位置づけられています。

ちなみに通級による指導のほうは、学校教育法施行規則 第140条に「自閉症者」「情緒障害者」「学習障害者」「注意欠陥多動性障害者」が明記されています(そちらには知的障害が入っていません)。制度が違えば、条文の書き方も違います。

なお、学校教育法施行規則 第137条は「特別支援学級は、特別の事情のある場合を除いては、学校教育法第八十一条第二項各号に掲げる区分に従つて置くものとする」としています。区分ごとに置くのが原則、という書き方です。

何が違うのか——「特別の教育課程」

通常の学級ともっとも大きく違うのは、教育課程です。

学校教育法施行規則 第138条
特別支援学級に係る教育課程については、「特に必要がある場合は、(各条の規定にかかわらず)特別の教育課程によることができる」

——学年ごとに決められた時間割の枠から、外れてよい、という規定です。
学校教育法施行規則 第139条
特別の教育課程による特別支援学級では、「文部科学大臣の検定を経た教科用図書を使用することが適当でない場合には、……他の適切な教科用図書を使用することができる」

——教科書も、その子に合うものに替えられるということです。

そして、この「特別の教育課程」には自立活動を取り入れることが、学習指導要領に定められています。文部科学省の通知(令和4年4月27日)は、「特別支援学級において特別の教育課程を編成しているにもかかわらず自立活動の時間が設けられていない場合は、自立活動の時数を確保するべく、教育課程の再編成を検討するべきである」と述べています。

🔴 個別の教育支援計画は「作成しなければならない」

ここは、保護者にとって使える決まりです。

学校教育法施行規則 第134条の2(第139条の2により特別支援学級に準用)
「校長は、……個別の教育支援計画(学校と医療、保健、福祉、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体との連携の下に行う当該児童等に対する長期的な支援に関する計画をいう。)を作成しなければならない。」

🔴「校長は」「作成しなければならない」——努力義務ではありません。

第2項:「校長は、……作成するに当たつては、当該児童等又はその保護者の意向を踏まえつつ、あらかじめ、関係機関等と当該児童等の支援に関する必要な情報の共有を図らなければならない。」

同じ規定は、通級による指導を受けている児童生徒にも準用されます(施行規則 第141条の2)。つまり特別支援学級でも通級でも、個別の教育支援計画は作られているはずで、その作成にあたっては保護者の意向を踏まえることが省令に書かれています(→個別の教育支援計画とは?)。

面談で聞けること
「個別の教育支援計画を見せていただけますか」
「今年の自立活動の時間は、週に何時間ですか」
「どの教科を特別支援学級で、どの教科を通常の学級で学んでいますか」

どれも、条文や通知に根拠のある問いです。

🔴 国が示した「週の授業時数の半分以上」という目安

文部科学省は令和3年度に実態調査を行い、その結果を踏まえて「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について(通知)」(令和4年4月27日・4文科初第375号)を出しました。そこには、めずらしく数字の目安が書かれています。

通知 第2より
「特別支援学級に在籍している児童生徒については、原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級において児童生徒の一人一人の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた授業を行うこと。」

そして、その前段には——
「特別支援学級に在籍している児童生徒が、大半の時間を交流及び共同学習として通常の学級で学んでいる場合には、学びの場の変更を検討するべきである」

ただし、通知には例外も書かれています。「次年度に特別支援学級から通常の学級への学びの場の変更を検討している児童生徒について、段階的に交流及び共同学習の時数を増やしている等、当該児童生徒にとっての教育上の必要性がある場合においては、この限りではない」

この目安の読み方
この数字は「通常の学級で過ごす時間を減らせ」という意味ではありません。

通知の理由づけはこうです——必要な指導体制を整えないまま、交流及び共同学習として通常の学級で指導を受けることが継続する状況は、実質的には、通常の学級に在籍して通級による指導を受ける状況と変わらず、不適切である。

つまり「籍だけ特別支援学級にあって、実際の指導が伴っていない」状態を問題にしています。

国が「改善が必要」として挙げた五つの事例

同じ通知には、≪改善が必要な具体的な事例≫という見出しで五つが並んでいます。国の文書が名指しで挙げているものなので、そのまま引きます。

🔴 三つめが、いちばん保護者に関係します
四つの学びの場の選択肢を説明していないことが、国から「改善が必要な事例」として名指しされています。

ですから、就学相談や面談で「四つの選択肢について、それぞれ説明していただけますか」と尋ねることは、通知に沿った問いです。

四つとは——通常の学級/通常の学級+通級による指導/特別支援学級/特別支援学校です。

また、通知は通級による指導の実施形態についても「自校通級や巡回指導を一層推進することが望ましい」としています。他校通級しか案内されなかった場合、巡回指導という形があるかを尋ねてみる余地はあります。

決め方——合意形成と、意見が一致しないとき

学びの場は、最終的には市区町村教育委員会が決定します。ただし、その前に置かれているプロセスがあります。

  1. 就学に関する事前の相談・支援を早期からきめ細かく行う(→就学相談とは?
  2. 保護者及び専門的知識を有する者の意見を聴く(学校教育法施行令 第18条の2=「聴くものとする」)
  3. 本人及び保護者の意見を最大限尊重しつつ、十分な説明と合意形成を図る(文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」)
  4. 市区町村教育委員会が決定する
🔴 意見が一致しないときのことも、手引に書かれています
文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月改訂)より——

「あらかじめ、市区町村教育委員会がこうした意見を調整するためのプロセスを明確化し、本人及び保護者に示しておくことが望ましい」
「市区町村教育委員会は、あらかじめ本人及び保護者に対し、行政不服審査制度も含めた就学に関する異議申し立ての制度やプロセスについても情報提供を行っておくことが望ましい」
「就学に当たっての課題を明確にした上で体験入学を実施し、一定期間の体験入学の後に、再び……検討の場をもつ」

——異議申し立ての制度があることまで、国の手引は書いています。

また障害者基本法 第16条第2項は、「障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならない」と定めています。

そして、学びの場は一度決めたら終わりではありません。学校教育法施行令 第6条の3と第12条の2は、事情の変化により特別支援学校から小中学校へ、小中学校から特別支援学校へ、どちらの向きにも手続きを進められることを定めています。

この記事で書かないこと

「どの学びの場が向いているか」は書きません。国の手引が「子供一人一人の教育的ニーズ」を出発点としており、条文にも通知にもあてはめの基準は書かれていないためです。

学級の定員・設置の条件・自治体ごとの運用も書きません。設置は「置くことができる」という規定であり、実際にどの学校にどの区分の学級があるかは、市区町村ごとに異なります。

書けるのは、条文に何が書かれているかと、国が通知や手引で何を求めているかまでです。そこから先は、お住まいの市区町村教育委員会と学校にご確認ください。

どこに相談すればいいか

相談先何のため
市区町村教育委員会(就学相談の窓口)学びの場の相談、四つの選択肢の説明、体験入学、意見が一致しないときの調整
在籍する学校(担任・特別支援教育コーディネーター)個別の教育支援計画・個別の指導計画、自立活動の時数、交流及び共同学習の内容
特別支援学校(センター的機能)学校教育法 第74条にもとづき、小中学校等の要請に応じて助言・援助を行う立場です
発達障害者支援センター就学に関する相談、関係機関との連絡調整
通っている児童発達支援・放課後等デイサービス移行支援(→移行支援とは?)。就学時の情報の引き継ぎ

※本記事は一般的な情報提供です。学級の設置状況・就学相談の進め方は自治体により異なります。療育は医療ではありません。

出典

※上記の出典は2026年9月6日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

特別支援学級は、どの学校にもありますか?
条文は「置くことができる」という書き方です(学校教育法 第81条第2項)。「置かなければならない」ではないため、設置は学校・自治体によって異なります。どの区分の学級がどこにあるかは、市区町村教育委員会にご確認ください。
発達障害は、条文に書かれていますか?
第81条第2項の六つの区分に「発達障害」「自閉症」「情緒障害」という語はありません。第六号「その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの」に位置づけられています。一方、通級による指導のほうは施行規則 第140条に「自閉症者」「情緒障害者」「学習障害者」「注意欠陥多動性障害者」が明記されています。
通常の学級とは、何が違うのですか?
いちばん大きな違いは教育課程です。施行規則 第138条により「特別の教育課程によることができる」とされ、第139条により検定教科書が適当でない場合には他の適切な教科用図書を使用できます。また、特別の教育課程には自立活動を取り入れることとされています。
在籍していれば、ずっと特別支援学級で過ごすのですか?
いいえ。多くの学校で、教科によって通常の学級で学ぶ交流及び共同学習が行われています。ただし文部科学省の通知(令和4年4月27日)は「原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級において……授業を行うこと」としています。
その「半分以上」という目安は、通常の学級で過ごす時間を減らすためのものですか?
通知の理由づけは違います。必要な指導体制を整えないまま交流及び共同学習が続く状況は、実質的には通常の学級に在籍して通級による指導を受ける状況と変わらず不適切である、というものです。籍だけあって指導が伴っていない状態を問題にしています。
個別の教育支援計画は、必ず作られるのですか?
学校教育法施行規則 第134条の2は「校長は……作成しなければならない」と定めており、第139条の2により特別支援学級に、第141条の2により通級による指導に準用されます。作成にあたっては「当該児童等又はその保護者の意向を踏まえつつ」とされています。
学びの場の選択肢について説明がありませんでした
文部科学省の通知は、「通常の学級、通常の学級における指導と通級による指導を組み合わせた指導、特別支援学級、特別支援学校という学びの場の選択肢を、本人及び保護者に説明していない」ことを改善が必要な具体的な事例として挙げています。四つの選択肢の説明を求めることは、通知に沿った問いです。
教育委員会の判断に納得できないときは?
文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」は、意見を調整するためのプロセスを明確化して本人及び保護者に示しておくこと行政不服審査制度も含めた異議申し立ての制度やプロセスについても情報提供を行っておくことが望ましい、としています。まずは調整のプロセスを教育委員会にお尋ねください。
一度決まった学びの場は変えられますか?
学校教育法施行令 第6条の3と第12条の2は、事情の変化により特別支援学校から小中学校へ、小中学校から特別支援学校へ、どちらの向きにも手続きを進められることを定めています。
入院中や自宅療養中はどうなりますか?
学校教育法 第81条第3項は、疾病により療養中の児童生徒に対して、特別支援学級を設け、又は教員を派遣して、教育を行うことができるとしています。学校と教育委員会にご相談ください。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

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