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📖 用語・基礎知識

特別支援学校とは?——「設置しなければならない」学校と、在籍していなくても使える機能

最終更新:2026年9月4日
特別支援学校——その目的は、学校教育法にはっきり書かれています。

学校教育法 第72条:「特別支援学校は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。」

——二つのことが並んでいます。ひとつは「準ずる教育」。もうひとつは「自立を図るために必要な知識技能」。

そして、この学校には在籍していない子どもにも関係する条文があります。

目的に、二つのことが並んでいます

条文の前半条文の後半
「幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施す」「障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授ける
=ほかの学校と同じ教科の学び自立活動にあたる部分
🔴 「準ずる」は「劣る」ではありません
法令用語の「準ずる」は、それに準じて同じように扱うという意味です。

条文は、教科の学びをやめるとは書いていません。教科の学びに加えて、困難を克服し自立を図るための知識技能を授ける、という構造になっています。

この後半部分が、教育課程では自立活動という領域にあたります(→自立活動とは?)。通級による指導も「自立活動に相当する指導」とされており、学びの場が違っても、この部分は共通しています

対象は五つ。程度は政令に書かれています

第72条が挙げているのは視覚障害者・聴覚障害者・知的障害者・肢体不自由者・病弱者(身体虚弱者を含む)の五つです。

🔴 「発達障害」という区分はありません
第72条の五つに「発達障害」「自閉症」「情緒障害」という区分はありません。

比べてみると——
特別支援学級(学校教育法 第81条第2項)=六区分。発達障害は第六号「その他」に含まれる
通級による指導(学校教育法施行規則 第140条)=八区分。「自閉症者」「情緒障害者」「学習障害者」「注意欠陥多動性障害者」が明記
特別支援学校(学校教育法 第72条)=五区分

制度ごとに、条文の書き方が違います。

そして第75条は「障害の程度は政令で定める」としており、その政令が学校教育法施行令 第22条の3の表です。

学校教育法施行令 第22条の3(知的障害者の欄)
一 知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度のもの
二 知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもののうち、社会生活への適応が著しく困難なもの

🔴数値ではなく、生活の様子で書かれています。「意思疎通」「日常生活」「社会生活への適応」——検査の点数は、この条文には出てきません。

同じ表には視覚障害者・聴覚障害者・肢体不自由者・病弱者の欄もあります(視覚・聴覚には測定の方法も定められています)。全文は下の出典からご確認いただけます。

🔴 この表に当てはまれば決まる、ではありません
学校教育法施行令 第5条は、この表に当てはまる子ども(条文では「視覚障害者等」)のうち、市町村教育委員会が「その者の障害の状態、その者の教育上必要な支援の内容、地域における教育の体制の整備の状況その他の事情を勘案して」特別支援学校に就学させることが適当と認める者を「認定特別支援学校就学者」と呼んでいます。

🔴勘案する要素に「地域における教育の体制の整備の状況」が入っています。
——本人の状態だけで決まる仕組みには、条文上なっていません。

🔴 「設置しなければならない」学校です

ここは特別支援学級とのはっきりした違いです。

条文の語尾
特別支援学級(学校教育法 第81条第2項)「置くことができる」
特別支援学校(学校教育法 第80条)都道府県は……「設置しなければならない」

第80条は、都道府県に対して、その区域内の学齢児童生徒のうち第75条の政令で定める程度の障害のある者を就学させるに必要な特別支援学校を設置しなければならないとしています。設置の義務は都道府県にあり、一方で就学先の決定は市区町村教育委員会が行います。

🔴🔴 在籍していなくても使える——第74条のセンター的機能

この条文は、特別支援学校に通っていない子どもの保護者にも関係します。

学校教育法 第74条
「特別支援学校においては、第七十二条に規定する目的を実現するための教育を行うほか、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校又は中等教育学校の要請に応じて、第八十一条第一項に規定する幼児、児童又は生徒の教育に関し必要な助言又は援助を行うよう努めるものとする。

ここでいう「第81条第1項に規定する幼児、児童又は生徒」とは、教育上特別の支援を必要とする幼児児童生徒のことです(→特別支援学級とは?)。通常の学級に在籍している子も含まれます。

使い方
要請の主体は「学校」です。保護者が直接申し込む形ではありません。

ですから、園や学校との面談で——
「特別支援学校のセンター的機能に相談していただくことはできますか」
と尋ねる形になります。

文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」も、都道府県教育委員会が委嘱した特別支援学校の特別支援教育コーディネーター等が、域内の小中学校等へのセンター的機能の一環で専門家として参加することを挙げています。

どうやって決まるか

  1. 就学に関する事前の相談・支援を早期からきめ細かく行う(→就学相談とは?
  2. 保護者及び専門的知識を有する者の意見を聴く——学校教育法施行令 第18条の2は「聴くものとする」と定めています
  3. 本人及び保護者の意見を最大限尊重しつつ、十分な説明と合意形成を図る(文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」)
  4. 市区町村教育委員会が「認定特別支援学校就学者」を認定(学校教育法施行令 第5条)
  5. 翌学年の初めから3月前までに、都道府県教育委員会へ通知(同 第11条第1項)
🔴 手引が書いている三つのこと
文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月改訂)より——

「本人及び保護者の意見を最大限尊重しつつ……十分な説明と合意形成を図った上で、最終的に市区町村教育委員会において決定することが適当である」

「市区町村教育委員会は、あらかじめ本人及び保護者に対し、行政不服審査制度も含めた就学に関する異議申し立ての制度やプロセスについても情報提供を行っておくことが望ましい」

「就学に当たっての課題を明確にした上で体験入学を実施し、一定期間の体験入学の後に、再び就学先となる学校や学びの場についての検討の場をもつ」

さらに手引は、「その子供がその学校で十分な教育を受けられる環境が確保されていることが必要であり、その確認や実際の受入れ体制の準備を欠いたまま、市区町村教育委員会が就学に関する通知を発出することがあってはならない」とも述べています。

また障害者基本法 第16条第2項は、「障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならない」と定めています。

決めたあとも、変えられます

学校教育法施行令には、就学先を見直すための手続きが両方向に用意されています。

条と、見直しの向ききっかけ
第6条の3
特別支援学校 → 小学校・中学校等
「障害の状態、その者の教育上必要な支援の内容、地域における教育の体制の整備の状況その他の事情の変化により」適当と思料するとき、特別支援学校の校長が通知する
第12条の2
小学校・中学校等 → 特別支援学校
同様の事情の変化により適当でなくなったと思料するとき、在学する学校の校長が通知する
手引が求めている「見通し」
文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」は、就学先決定について「就学後の学びの場を出発点にして、可能な範囲で小学校段階6年間、中学校段階3年間の子供の育ちと学校や学びの場の柔軟な見直しの方向性についてもある程度見通しながら判断が行われる必要がある」としています。

そして、見直しのための手続についても、就学先を決める時点で合意形成を図っておくことが大切だとしています。

就学相談の場で「見直したくなったときの手続きを教えてください」と尋ねるのは、手引に沿った問いです。

居住地の学校とのつながり

特別支援学校は都道府県が設置するため、居住する地域から離れた学校に通うことがあります。国の手引は、この点をはっきり課題として書いています。

手引より
「特別支援学校に就学する場合には、居住する地域から離れた特別支援学校に通学することにより、居住する地域とのつながりをもちにくい場合があるため、特別支援学校に在籍する子供が居住する地域の学校に副次的な籍を置く取組等を活用しながら、居住地にある小中学校等との交流及び共同学習の積極的な実施に向け、あらかじめ本人及び保護者の意向を確認することも進めておくことが重要である。」

🔴「副次的な籍」——自治体によって呼び名や仕組みが異なります。就学相談の時点で確認しておける事柄として、手引が挙げています。

手引はさらに、この交流及び共同学習の実施について「本人及び保護者、特別支援学校、居住地にある小中学校等の三者が緊密に連携しながら協議の場をもち、十分な話し合いを行い合意していくことが望ましい」としています(→交流及び共同学習とは?)。

この記事で書かないこと

「どの学びの場が向いているか」は書きません。施行令 第5条が「勘案して」と書いており、条文にも手引にもあてはめの基準は示されていないためです。

学校ごとの教育課程・通学の方法・寄宿舎の有無も書きません。設置者は都道府県であり、学校ごとに異なるためです。

書けるのは、条文が何を目的として定めているか決定の手続きに何が書かれているか、そして在籍していなくても第74条の道があることまでです。

どこに相談すればいいか

相談先何のため
市区町村教育委員会(就学相談の窓口)学びの場の相談、体験入学、合意形成、意見が一致しないときの調整
都道府県教育委員会特別支援学校の設置者。専門家チーム・巡回相談員の派遣について
特別支援学校(センター的機能)学校教育法 第74条。園や学校からの要請という形で助言・援助を受けられます
在籍する園・学校(特別支援教育コーディネーター)センター的機能への要請、個別の教育支援計画
発達障害者支援センター就学に関する相談、関係機関との連絡調整

※本記事は一般的な情報提供です。設置状況・就学相談の進め方・副次的な籍の仕組みは自治体により異なります。療育は医療ではありません。

出典

※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

「準ずる教育」とは、程度の低い教育という意味ですか?
いいえ。法令用語の「準ずる」は、それに準じて同じように扱うという意味です。学校教育法 第72条は、幼稚園・小学校・中学校・高等学校に準ずる教育を施すことと、自立を図るために必要な知識技能を授けることを並べて目的としています。
発達障害は、特別支援学校の対象ですか?
学校教育法 第72条が挙げる五つの区分に「発達障害」はありません。一方、通級による指導(学校教育法施行規則 第140条)には「自閉症者」「情緒障害者」「学習障害者」「注意欠陥多動性障害者」が明記されています。制度ごとに条文の書き方が異なります。
学校教育法施行令 第22条の3の表に当てはまると、特別支援学校に決まるのですか?
条文上はそうなっていません。施行令 第5条は、この表に当てはまる者のうち、市町村教育委員会が「障害の状態、教育上必要な支援の内容、地域における教育の体制の整備の状況その他の事情を勘案して」適当と認める者を「認定特別支援学校就学者」としています。
在籍していないのですが、特別支援学校に相談できますか?
学校教育法 第74条は、特別支援学校が幼稚園・小学校・中学校等の要請に応じて、教育上特別の支援を必要とする幼児児童生徒の教育に関し必要な助言又は援助を行うよう努めるものとすると定めています。要請の主体は学校ですので、園や学校を通してご相談ください。
最終的に決めるのは誰ですか?
市区町村教育委員会です。ただしその前に、学校教育法施行令 第18条の2により保護者及び専門的知識を有する者の意見を聴くものとするとされ、国の手引は本人及び保護者の意見を最大限尊重しつつ合意形成を図ることを求めています。
納得できないときは、どうすればよいですか?
文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」は、市区町村教育委員会があらかじめ意見を調整するためのプロセスを明確化して示しておくこと行政不服審査制度も含めた異議申し立ての制度やプロセスについても情報提供を行っておくことが望ましいとしています。
入学後に、地域の小学校へ移ることはできますか?
学校教育法施行令 第6条の3は、事情の変化により地域の小中学校等に就学することが適当であると思料するときに、特別支援学校の校長が都道府県教育委員会に通知する手続きを定めています。逆向きの手続き(第12条の2)もあります。
地域の子どもとのつながりが心配です
国の手引は、居住する地域の学校に「副次的な籍」を置く取組を活用しながら、居住地にある小中学校等との交流及び共同学習の実施に向けてあらかじめ本人及び保護者の意向を確認することを重要としています。呼び名や仕組みは自治体により異なります。
体験入学はできますか?
国の手引は、「就学に当たっての課題を明確にした上で体験入学を実施し、一定期間の体験入学の後に、再び……検討の場をもつ」ことを挙げています。就学相談の窓口にご相談ください。
特別支援学級とは何が違うのですか?
設置の規定が違います。特別支援学級は「置くことができる」(学校教育法 第81条第2項)、特別支援学校は都道府県が「設置しなければならない」(同 第80条)です。対象の区分も、前者は六区分、後者は五区分と異なります。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

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