📣 放課後等デイサービスは 2027年4月 開所予定です(現在、指定申請の準備を進めています)
お問い合わせ・見学予約
🌱 のびのび発達ラボ|こどもの発達と学びの情報室(記事一覧へ
ホームのびのび発達ラボ > 💬 ことばの困りごと > 会話がかみ合わない——ASHAは「行き違いを直すこと」を技能として挙げています
💬 ことばの困りごと

会話がかみ合わない——ASHAは「行き違いを直すこと」を技能として挙げています

最終更新:2026年9月4日
「今日、何した?」と聞くと、まったく違う話が返ってくる。話がとぶ。ひとりでしゃべり続ける——

会話は、一つの力ではありません。

ASHA(米国言語聴覚学会)は、社会的コミュニケーションを四つの要素に分けて説明し、そのうえで会話に参加すること行き違いを修復することを具体的な技能として挙げています。

どこでかみ合っていないのかを、分けて見ていきます。

会話を、四つに分けて見る

ASHAが挙げる社会的コミュニケーションの四つの要素です。

要素ASHAの説明かみ合わないときの現れ方の例
語用社会的な文脈の中で、目的に沿ってことばを使うこと場に合わない話し方、丁寧さの調整
社会的相互交流少なくとも二人のあいだで起こるやりとり一方的に話す、順番が回らない
社会的認知自分と他者の心の状態・感情の状態を理解すること相手が知らないことを前提にせず話す
言語処理ことばを内的に組み立てること(表出)と、理解・解釈すること(受容)質問の意味が取れていない
四つ目を、最初に確かめてください
「かみ合わない」の多くが、実は理解の側で起きています。

「今日、何した?」——この質問は、時間の範囲(今日)と出来事の想起要約を同時に求めています。

答えられないのは会話の力ではなく、問いの難しさかもしれません(→ことばの理解がゆっくり)。

ASHAが技能として挙げているもの

ASHAは、社会的コミュニケーションに影響が出うる行動として次を挙げています。

「直せること」が、技能として並んでいます
この一覧に「かみ合った会話をすること」という項目はありません。

並んでいるのは始める・保つ・交代する・直す・調整する——どれも動作です。

つまり、かみ合わないこと自体をなくすのではなく、かみ合わなかったときに直せるようになることが目標として書かれている、と読めます。

🔴 「目を見て話しなさい」は、普遍ではありません

ASHAの記述
「目を合わせる、表情、ボディランゲージといった社会的コミュニケーションの行動は、社会文化的および個人的な要因の影響を受ける」

ASHAは、個人・家族・文化の中で、また相互のあいだで、許容される規範には幅広い範囲があるとしています。

会話の指導が目線と姿勢の指導になってしまうことがあります。しかしASHAの記述からは、それが誰にとっても同じ意味を持つとは限らないと読めます。

また、ASHAは二重の共感の問題(Milton 2012、Crompton et al. 2020)にも触れています。理解のずれは、一方の側だけの問題ではないという考え方です(→共同注意とは?)。

家庭でできること

  1. 質問を、答えられる形に変える——「今日、何した?」より「今日、給食なんだった?」。範囲をせまくすると答えが出ます。
  2. 選択肢にする——「公園? おうち?」。ことばで組み立てる負担を減らします。
  3. 今のことから聞く——過去の想起は難しい課題です。目の前のことから始めます。
  4. 写真や持ち物を手がかりにする——連絡帳、作品、給食の献立表。手がかりがあると話せることがあります(→視覚的支援)。
  5. 直し方を教える——「え?」ではなく「◯◯のこと?」と聞き返します。ASHAが技能に挙げているのは行き違いの修復です。直せた経験を積みます。
  6. 一方的に話すときは、区切りを作る——「じゃあ、こんどはお母さんの話ね」。順番交代の形を、その場で見せます。
止めるより、返すほうが早いことがあります
話がとんだとき、「関係ない話だよ」と止めるより、とんだ先の話に一度返してから戻すほうが、やりとりの回数は増えます。

ASHAが挙げているのは「話題を保つ」という技能です。保つ練習は、会話が続いている状態でしかできません。

確かめておきたいこと

ASHAが評価の結果として挙げているもの
ASHAは、評価の結果の一つとして「文化的・言語的な違いのみによるものであり、支援は不要」という判定がありうることを記述しています。

——違いは、障害ではないという区別が、評価の枠組みの中に組み込まれているということです。

どこに相談すればいいか

相談先何のため
言語聴覚士(ST)社会的コミュニケーションは言語聴覚士の対応領域です
区市町村の発達相談窓口無料。診断の有無にかかわらず
耳鼻咽喉科聞こえを外しておきたいとき
児童発達支援「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」は国のガイドラインが定める支援の領域です

※本記事は一般的な情報提供です。診断や治療に関する判断は医師が行います。療育は医療ではありません。

出典

※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

質問と違う答えが返ってきます
理解の側で起きていることがあります。「今日、何した?」は、時間の範囲・出来事の想起・要約を同時に求める難しい質問です。「今日、給食なんだった?」のように範囲をせまくすると答えが出ることがあります。
会話がかみ合わないのは、何の力の問題ですか?
ASHAは社会的コミュニケーションを語用・社会的相互交流・社会的認知・言語処理の四つの要素で説明しています。一つの力ではなく、どこでかみ合っていないかを分けて見る枠組みが示されています。
「目を見て話しなさい」と教えるべきですか?
ASHAは「目を合わせる、表情、ボディランゲージといった行動は、社会文化的および個人的な要因の影響を受ける」とし、許容される規範には幅広い範囲があるとしています。
話がとんだら、止めたほうがいいですか?
とんだ先に一度返してから戻すほうが、やりとりの回数は増えます。ASHAが技能に挙げているのは「話題を保つ」ことで、保つ練習は会話が続いている状態でしかできません。
聞き返し方を教えたほうがいいですか?
はい。ASHAは「行き違いを修復すること」を社会的コミュニケーションの技能として挙げています。「え?」ではなく「◯◯のこと?」と聞き返す形を、大人が使ってみせるところから始められます。
家庭に複数の言語があります。それが原因でしょうか?
ASHAは、評価の結果の一つとして「文化的・言語的な違いのみによるものであり、支援は不要」という判定がありうることを記述しています。違いと障害は区別して見られます。専門職にご相談ください。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

ことばのこと、言語聴覚士に相談してみませんか

のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士が在籍しています。ことばの専門評価と個別プログラムを、児童発達支援として提供しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。