二つの種類
ASHAは、エコラリアを次の二つに分けて記述しています。
| 種類 | 内容 |
即時性エコラリア (immediate echolalia) | 聞いた直後に繰り返すもの。「ごはん食べる?」→「ごはん食べる?」 |
遅延性エコラリア (delayed echolalia) | 時間をおいて繰り返すもの。テレビのセリフ、前に聞いた大人のことば、CMの一節など |
この区分はPrizant と Rydell(1984)によるものとして、ASHAの記述に示されています。
大事なのは、次の一点です
ASHAは、これらの繰り返しが
コミュニケーションのために行われるものだと記述しています。
——
意味のない癖として書かれていません。ASHAは、周囲の人の課題として
「かすかなコミュニケーションの働きかけに気づいて応じること」と
「困難な行動のコミュニケーション機能を解釈すること」を挙げています。エコラリアも、この「読む」対象に入ります。
何のために繰り返しているのかを読む
ここから先は、家庭で観察するときの手がかりです。ASHAが働きの一覧を示しているわけではありませんので、断定ではなく、見るための整理として読んでください。
| 場面 | 考えられること | 試せること |
| 質問をそのまま返す | 質問の形が難しい/答えを持っていない | 選択肢にする——「りんご? みかん?」。最後の語が答えになる形は避けます |
| 言われたことを繰り返す | 覚えておくため/間を持たせるため | 待つ。すぐ言い直させず、数秒あける |
| 同じセリフを何度も言う | その状況を伝えている/気持ちを表している | いつ言うかを記録する。場面と結びついていることがあります |
| うれしいとき・不安なときに出る | 気持ちの表れ | ことばの中身ではなく、場面に返す——「うれしいね」「いやだったね」 |
遅延性エコラリアは、記録が効きます
いつ、どの場面で、そのセリフが出るかを書き留めると、対応する状況が見えてくることがあります。
たとえば、いつも出かける前に同じセリフが出る——それは
「出かける」を意味しているかもしれません。
書くのは
日付・場面・そのままのことば。解釈は付けずに残すほうが、あとで役に立ちます。
※この表は考えるための手がかりであり、エコラリアの働きを分類した一次情報にもとづくものではありません。
やめさせようとする前に
ASHAは、支援を検討する目安として次の三つを挙げています。
- 機会を制限する
- 苦痛や不快をもたらす
- 自己管理に影響する
三つの中に「繰り返しの多さ」は入っていません
目安になっているのは
結果として何が起きているかです。
オウム返しがあっても、
やりとりが成り立ち、本人が困っていないなら、やめさせる理由として文書に書かれているものはありません。
逆に、
それによって伝わらず、本人が困っているなら、相談する理由になります。
また、こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインは、「言語・コミュニケーション」領域の支援内容として「話し言葉や各種の文字・記号等を用いて、相手の意図を理解したり、自分の考えを伝えたりするなど、言語を受容し表出することができるよう支援を行う」としています。ことばに限らない手段も、同じ領域に並べられています。
家庭でできる関わり
- 質問の形を変える——「なに食べる?」より「りんご? みかん?」。ただし最後の語をそのまま返せてしまう形には注意します(順番を入れ替えて確かめる)。
- 答えを、先に見せる——実物・写真・カードを示して選んでもらう形にします(→視覚的支援)。
- 待つ——繰り返したあとに、数秒待つと自分のことばが出ることがあります。すぐ言い直させない。
- 短くする——長い文はそのまま返りやすくなります。2〜3語に減らします。
- 言い直させることを目的にしない——「違うでしょ、ちゃんと言って」が続くと、話す量が減ることがあります。
- 場面に返す——ことばの中身ではなく、そのときの気持ちや状況に応じます。
繰り返しは、ことばの材料でもあります
遅延性エコラリアで使われているのは、
本人がすでに持っている、まとまったことばです。
それが
場面と結びついているなら、そこから使える形へ広げていける可能性があります。
どう広げるかは
個別の見立てが要ります。この記事では方法を断定せず、
言語聴覚士への相談をおすすめします。
どこに相談すればいいか
| 相談先 | 何のため |
| 言語聴覚士(ST) | ことばの受容と表出の評価。エコラリアの働きの見立て |
| 区市町村の発達相談窓口 | 無料。診断の有無にかかわらず |
| 児童発達支援 | 「言語・コミュニケーション」は国のガイドラインが定める五つの支援領域の一つです |
| 耳鼻咽喉科 | 聞こえを外しておきたいとき(→聞こえの検査) |
※本記事は一般的な情報提供です。診断や治療に関する判断は医師が行います。療育は医療ではありません。
出典
※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
オウム返しは、やめさせたほうがいいですか?
ASHAは、エコラリアをコミュニケーションのために繰り返されるものとして記述しています(Prizant & Rydell, 1984)。支援を検討する目安は「機会を制限する」「苦痛や不快をもたらす」「自己管理に影響する」の三つで、繰り返しの多さそのものは目安に入っていません。
即時性と遅延性の違いは何ですか?
即時性は聞いた直後に繰り返すもの、遅延性は時間をおいて繰り返すもの(テレビのセリフなど)です。ASHAはこの区分をPrizant & Rydell(1984)によるものとして示しています。
質問すると、そのまま返ってきます
選択肢にする方法があります(「りんご? みかん?」)。ただし最後の語をそのまま返せてしまう形には注意が必要なので、順番を入れ替えて確かめてみてください。実物や写真を示して選んでもらう形も有効なことがあります。
同じセリフを何度も言います。意味はありますか?
この記事では断定しません。働きを分類した一次情報を確認できていないためです。そのうえで、いつ・どの場面で出るかを日付つきで記録すると、対応する状況が見えてくることがあります。記録は解釈をつけずに残してください。
「違うでしょ」と言い直させたほうがいいですか?
言い直させること自体を目的にしないほうがよいと考えられます。話す量そのものが減ることがあるためです。繰り返したあとに数秒待つと、自分のことばが出ることがあります。
どこに相談すればいいですか?
言語聴覚士(ST)です。ことばの受容と表出の評価が対象領域に含まれます。あわせて、聞こえを外しておくために耳鼻咽喉科での確認もおすすめします。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
ことばのこと、言語聴覚士に相談してみませんか
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士が在籍しています。ことばの専門評価と個別プログラムを、児童発達支援として提供しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。