定義を、分解してみます
| 条文の言葉 | 意味するところ |
| 適切な方法により | 🔴「検査により」とは書かれていません。方法は指定されていません |
| その有する能力 | できること・力 |
| その置かれている環境 | 家庭・園・地域。子どもの外側も評価の対象です |
| 日常生活全般の状況等の評価 | 一部分ではなく、生活全般 |
| 希望する生活 | 🔴保護者と本人が、どう暮らしたいか |
| 課題等の把握 | そのうえでの課題 |
🔴 順番が逆ではありません
条文は
「評価を通じて」→「希望する生活……の把握」という順で書かれています。
——
評価は目的ではなく、通り道です。
着地点は
「希望する生活」と
「課題」の把握です。
第27条第2項は続けて、「障害児の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう障害児の発達を支援する上での適切な支援内容の検討をしなければならない」としています。
🔴 面接は「しなければならない」
指定基準省令 第27条第3項
「児童発達支援管理責任者は、アセスメントに当たっては、通所給付決定保護者及び障害児に面接しなければならない。この場合において、児童発達支援管理責任者は、面接の趣旨を通所給付決定保護者及び障害児に対して十分に説明し、理解を得なければならない。」🔴
面接することと
趣旨を説明して理解を得ること——両方が義務として書かれています。
面接の相手は保護者及び障害児です。本人も面接の対象だと条文に書かれています。
聞いてよいこと
「この面接は、何のために行うものですか」——条文が
「趣旨を十分に説明し、理解を得なければならない」と定めている以上、これは尋ねてよい問いです。
そして
「希望する生活」は、条文上の把握対象です。
「こんなふうに過ごせたら」という話は、脱線ではありません。
国のガイドラインは「二種類」を並べています
こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインは、アセスメントの方法についてこう書いています。
🔴🔴 ガイドラインより
「こどもと保護者及びその置かれている環境を理解するためには、こどもの障害の状態だけでなく、こどもの適応行動の状況を、標準化されたツールを用いたフォーマルなアセスメントや、日々の行動観察なども含むインフォーマルなアセスメントを使用する等により確認する必要がある。」——
検査と、日々の観察。二つが並べて書かれています。どちらか一方ではありません。
そして、集めるべき情報として、ガイドラインは次を挙げています。
- こどもの発育状況
- 自己理解
- 心理的課題
- 🔴こどもの興味・関心
- 養育環境
- これまで受けてきた支援
- 現在関わっている関係機関
- 地域とのつながり
- 利用に当たっての希望
- 🔴将来の展望
この一覧の読み方
「興味・関心」と
「将来の展望」が、国の文書の集めるべき情報に入っています。
——
何が好きかを伝えることは、雑談ではありません。
アセスメントの一部として、ガイドラインに書かれています。
🔴🔴 「保護者のニーズと本人のニーズは、必ずしも一致しない」
ガイドラインには、はっと立ち止まる一文があります。
児童発達支援ガイドラインより
「保護者のニーズとこども本人のニーズは必ずしも一致するものではないため、まずはこどものニーズを明確化していくことが求められる。また、こどものニーズは変化しやすいため、日頃から状況を適切に把握して対応していく必要がある。」そして——
「アセスメントの実施に当たっては、全てのこどもが権利の主体であることを認識し、個人として尊重するとともに、意見を形成・表明する手助けをするなど、こども本人のニーズをしっかりと捉えられるように対応することが必要である。」
この一文は、保護者を責めるものではありません。本人の意見を引き出すのは支援する側の仕事だ、と国の文書が書いている、ということです。
「最善の利益」の意味も、書かれています
ガイドラインは
「最善の利益が優先して考慮」されることについて、こう説明しています——
「『こどもにとって最も善いことは何か』を考慮することをいい、こどもの意見が……尊重すべきものと認められる場合であっても、別の考慮要素と比較衡量して合理的に判断した結果、こどもにとって最善とは言い難いと認められる場合には、こどもの意見とは異なる結論が導かれることはあり得るものである。その際は、こどもに対し、適切に説明することが必要である。」🔴
異なる結論になり得ることも、そのときは説明が要ることも、両方が書かれています。
アセスメントは、一度きりではありません
省令は、計画を作ったあとについても定めています。
指定基準省令 第27条第8項・第9項
第8項:児童発達支援管理責任者は、計画の作成後、
実施状況の把握(障害児についての継続的なアセスメントを含む。「モニタリング」)を行うとともに、解決すべき課題を把握し、
少なくとも六月に一回以上、計画の見直しを行う。
第9項:モニタリングに当たっては、
定期的に保護者及び障害児に面接すること、
定期的にモニタリングの結果を記録すること。
🔴
「モニタリング」の定義そのものに「継続的なアセスメント」が含まれています(→
モニタリングとは?)。
つまり最初の一回で決まるものではありません。少なくとも六月に一回以上、見直す仕組みが省令に書かれています。
🔴 評価されるのは、子どもだけではありません
指定基準省令 第26条第6項・第7項は、事業者に対して
従業者による評価を受けた上で自ら評価(自己評価)を行うとともに、保護者による評価(保護者評価)を受けて、その改善を図らなければならないとし、さらに——
「おおむね一年に一回以上、自己評価及び保護者評価並びに……改善の内容を、保護者に示すとともに、インターネットの利用その他の方法により公表しなければならない。」——
保護者評価は、省令上の仕組みです。「評価する側/される側」は、一方通行ではありません。
手元にある情報も、渡せます
ガイドラインは、支給決定のときに市町村が行う調査についても触れています。
児童発達支援ガイドラインより
「障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について」(令和6年4月)において、市町村が、支給決定の際に、介助の必要性や障害の程度の把握のために実施する「5領域20項目の調査」の結果について、保護者に対し、利用する事業所等に交付するよう依頼することが望ましい旨示していることから、事業所等は、保護者に対し、……当該結果について、アセスメントを含め実際の支援の場面にも活用していくことが重要である。」——
結果は保護者の手元にあり、事業所に渡せるという前提で書かれています。
教育の側にも、似た仕組みがあります。学校教育法施行令 第18条の2は、就学の通知をしようとするときに保護者及び教育学・医学・心理学その他の専門的知識を有する者の意見を聴くものとするとしています(→就学相談とは?)。
そして学校教育法施行規則 第134条の2は、個別の教育支援計画の作成にあたって「当該児童等又はその保護者の意向を踏まえつつ」関係機関等と情報共有を図らなければならないとしています(→個別の教育支援計画とは?)。
この記事で書かないこと
検査の名前・内容・数値の見方は書きません。省令が定めているのは「適切な方法により」までで、具体的な検査を求めてはいないためです。また、検査の内容を事前に知ることは、結果の意味そのものを変えてしまいます。
「どの検査を受けるべきか」も書きません。検査の実施と結果の解釈は、公認心理師・医師などの専門職と、実施する機関の判断によるためです。
「アセスメントを受けると何がよくなるか」も書きません。確認できた一次情報にその記述がありません。効果がないという意味ではなく、ここでは判断しないという意味です。
書けるのは、条文とガイドラインが何を求めているかと、保護者と本人にどんな役割が与えられているかまでです。
どこに相談すればいいか
| 相談先 | 何のため |
| 児童発達支援管理責任者 | 省令第27条の面接、計画、六月に一回以上の見直し |
| 相談支援専門員 | 障害児支援利用計画。事業所をまたいだ全体の設計 |
| 市区町村の障害福祉の窓口 | 支給決定、5領域20項目の調査の結果について |
| 医療機関・公認心理師のいる機関 | 心理検査の実施と結果の説明。療育は医療ではありません |
| 市区町村教育委員会(就学相談) | 学校教育法施行令 第18条の2にもとづく意見聴取 |
| 発達障害者支援センター | 相談先の整理 |
※本記事は一般的な情報提供です。検査の実施・結果の解釈は専門職と実施機関の判断によります。療育は医療ではありません。
出典
※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
アセスメントとは、検査を受けることですか?
法令の定義はそうなっていません。指定基準省令 第27条第2項は「適切な方法により」としており、検査を求めてはいません。定義には「その置かれている環境」や「希望する生活」の把握も含まれています。
面接は必ずあるのですか?
指定基準省令 第27条第3項は「面接しなければならない」と定めています。相手は保護者及び障害児です。さらに「面接の趣旨を……十分に説明し、理解を得なければならない」ともされています。
「希望する生活」を聞かれても、うまく答えられません
こども家庭庁のガイドラインは、集める情報として「こどもの興味・関心」「利用に当たっての希望」「将来の展望」を挙げています。何が好きかやこんなふうに過ごせたらという話から始めていただいて大丈夫です。
検査を受けないと、支援は受けられませんか?
省令に検査を求める規定はありません。ガイドラインは標準化されたツールを用いたフォーマルなアセスメントと日々の行動観察なども含むインフォーマルなアセスメントを並べて挙げています。
子どもの希望と、私の希望が違う気がします
国のガイドラインにも「保護者のニーズとこども本人のニーズは必ずしも一致するものではない」と書かれています。そのうえで「まずはこどものニーズを明確化していくことが求められる」とされ、意見を形成・表明する手助けをすることが支援する側の役割とされています。
子どもの意見どおりにならないこともありますか?
ガイドラインは「別の考慮要素と比較衡量して合理的に判断した結果、こどもにとって最善とは言い難いと認められる場合には、こどもの意見とは異なる結論が導かれることはあり得る」としています。ただし「その際は、こどもに対し、適切に説明することが必要である」とも書かれています。
一度受けたら、それで終わりですか?
いいえ。指定基準省令 第27条第8項は、モニタリングを「障害児についての継続的なアセスメントを含む」ものと定義し、少なくとも六月に一回以上の計画の見直しを求めています。
市区町村の調査の結果は、事業所に渡してよいのですか?
こども家庭庁のガイドラインは、国の事務連絡(令和6年4月)が「5領域20項目の調査」の結果を利用する事業所等に交付するよう保護者に依頼することが望ましいと示していることを踏まえ、事業所がその結果をアセスメントや支援の場面で活用することを重要としています。
どの検査を受けるとよいですか?
この記事では書きません。検査の実施と結果の解釈は、公認心理師・医師などの専門職と実施する機関の判断によるためです。医療機関や心理の専門職のいる機関にご相談ください。
事業所の側は、評価されないのですか?
指定基準省令 第26条第6項・第7項は、事業者に従業者による評価と自己評価、そして保護者評価を受けて改善を図ることを求め、おおむね一年に一回以上、保護者に示すとともに公表しなければならないとしています。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
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