🔴 法律が定めていること
発達障害者支援法 第8条第1項(教育)
国及び地方公共団体は、発達障害児が
「その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育を受けられるようにするため、可能な限り発達障害児が発達障害児でない児童と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、適切な教育的支援を行うこと、個別の教育支援計画の作成(教育に関する業務を行う関係機関と医療、保健、福祉、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体との連携の下に行う個別の長期的な支援に関する計画の作成をいう。)及び個別の指導に関する計画の作成の推進、いじめの防止等のための対策の推進その他の支援体制の整備を行うことその他必要な措置を講じるものとする」
この一文に、大事なことが四つ入っています。
- 「共に教育を受けられるよう配慮しつつ」——分けることが前提ではありません
- 個別の教育支援計画=「個別の長期的な支援に関する計画」と、条文が定義しています
- 「関係機関と医療、保健、福祉、労働等……との連携の下に行う」——学校の中だけの話ではありません
- 🔴 「いじめの防止等のための対策の推進」が同じ条文に並んでいます
二つの計画の違い
| 個別の教育支援計画 | 個別の指導計画 |
| 範囲 | 学校の外を含む——医療・保健・福祉・労働等との連携 | 学校の中の指導 |
| 期間 | 長期的(条文の言葉) | その年度・学期の指導 |
| 目的 | つながりを切らさない | 日々の指導を具体化する |
| 法律の言及 | 発達障害者支援法第8条に定義つきで登場 | 同条に「個別の指導に関する計画」として登場 |
いちばんの違いは「引き継がれること」
個別の教育支援計画は
長期的で、
学校の外の機関との連携の下に作られるものとして定義されています。
——だから
進級・進学・転校のときに引き継ぐことが、この計画の要になります。
就学前から学校へ、という場面では
移行支援とつながります(→
移行支援とは?)。
福祉の側の計画との関係
計画は、教育の側だけではありません。整理すると次のようになります。
| 計画 | 作る人 | 根拠 |
| 個別の教育支援計画 | 学校(関係機関との連携の下に) | 発達障害者支援法第8条ほか |
| 個別の指導計画 | 学校 | 同上(「個別の指導に関する計画」) |
| 障害児支援利用計画 | 相談支援専門員 | 児童福祉法第6条の2の2 |
| 個別支援計画 | 児発管(事業所) | 指定基準省令第27条 |
四つあるように見えますが
教育の側に二つ、福祉の側に二つ——と覚えると整理しやすくなります。
そして
個別の教育支援計画は、その外の機関との連携の下に作られるものと条文に定義されています。
つまり
福祉の側の情報も入りうる計画です。放課後等デイサービスを使っている場合、
「事業所の情報も入れていただけますか」と尋ねるのは自然なことです。
保護者は、どう関わるか
作成の手続きや様式は自治体・学校により異なります。そのうえで、条文から言えることを挙げます。
- 保護者の意思は尊重されるものとされています——同法第3条第4項「発達障害者及び発達障害児の保護者の意思ができる限り尊重されなければならない」
- 連携の下に作るもの——医療・福祉の情報を入れてもらえます
- 長期的なもの——引き継ぎを前提に見ます
- 作成の有無を尋ねる——「個別の教育支援計画は作られていますか」
- 内容を見せてもらう
- 家庭・医療・事業所の情報を伝える——連携の下に作るものです
- 本人の得意なことを入れてもらう——困りごとの一覧だけにしない
- 引き継ぎの時期に確認する——進級・進学・転校の前
入れてもらうとよいこと
移行支援の考え方が参考になります。国のガイドラインは、引き継ぐ内容の例として
「得意不得意やその背景、声掛けのタイミングやコミュニケーション手段」を挙げています。
——
困りごとの一覧ではなく、「どうすればうまくいくか」を渡す。この向きで書かれているかを見ると、使える計画になります。
配慮のしくみとの関係
学校での配慮そのものは、合理的配慮のしくみで相談します(→合理的配慮とは?)。
二つの関係
合理的配慮=障害者差別解消法にもとづく、
意思の表明を起点とした個別の調整(第7条第2項・第8条第2項)
個別の教育支援計画=それを含む
長期的な支援の記録・共有のしくみ——決めた配慮を
計画に書いておくと、担任が替わっても引き継がれやすくなります。
※本記事は一般的な情報提供です。作成の手続き・様式・運用は自治体・学校により異なります。療育は医療ではありません。
どこに相談すればいいか
| 相談先 | 何のため |
| 担任・特別支援教育コーディネーター | 作成の有無、内容、引き継ぎ |
| 教育委員会の教育相談 | 学校だけで決まらないとき(→就学相談) |
| 児発管/相談支援専門員 | 福祉側の情報の共有 |
| 発達障害者支援センター | 同法第14条。関係機関との連絡調整 |
※制度の運用は自治体・学校により異なります。
出典
※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
個別の教育支援計画とは何ですか?
発達障害者支援法第8条は、これを「教育に関する業務を行う関係機関と医療、保健、福祉、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体との連携の下に行う個別の長期的な支援に関する計画」と定義しています。
個別の指導計画とは、どう違いますか?
個別の教育支援計画は学校の外との連携を含む長期的な計画、個別の指導計画は学校の中の指導を具体化するものです。
福祉の事業所の情報も入れてもらえますか?
条文は「医療、保健、福祉、労働等に関する業務を行う関係機関……との連携の下に行う」計画としています。「事業所の情報も入れていただけますか」と尋ねるのは自然なことです。
何を書いてもらうとよいですか?
国のガイドラインが引き継ぎの例として挙げているのは「得意不得意やその背景、声掛けのタイミングやコミュニケーション手段」です。困りごとの一覧ではなく「どうすればうまくいくか」が入っていると、使える計画になります。
保護者の意見は反映されますか?
発達障害者支援法第3条第4項は「発達障害者及び発達障害児の保護者の意思ができる限り尊重されなければならない」としています。手続き・様式は自治体・学校により異なるため、担任にご確認ください。
合理的配慮とは、どういう関係ですか?
合理的配慮は障害者差別解消法にもとづく個別の調整で、意思の表明が起点です。決めた配慮を個別の教育支援計画に書いておくと、担任が替わっても引き継がれやすくなります。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
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