5領域は「本人支援」の中の枠組みです
まず全体の位置づけです。ガイドラインは、支援を四つに分けています。
| 支援の柱 | 内容 |
| 本人支援 | ここが5領域。こども本人への発達支援 |
| 家族支援 | 家族(きょうだいを含む)への支援(→家族支援とは?) |
| 移行支援 | 保育所等・学校など、次の場へつなぐ支援(→移行支援とは?) |
| 地域支援・地域連携 | 関係機関と連携した支援 |
ガイドラインは、この四つを「総合的に提供していくもの」としています。5領域は、そのうちの一本の中の話だということです。
こども家庭庁 児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)にもとづく。支援の四つの柱と、本人支援の5領域。
5つの領域と、そのねらい
ガイドラインが挙げる5領域と、各領域の「ねらい」です。
| 領域 | ねらい(ガイドラインの記載) |
| 健康・生活 | 健康状態の維持・改善/生活習慣や生活リズムの形成/基本的生活スキルの獲得 |
| 運動・感覚 | 姿勢と運動・動作の基本的技能の向上/姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用/身体の移動能力の向上/保有する感覚の活用/感覚の補助及び代行手段の活用/感覚の特性への対応 |
| 認知・行動 | 認知の特性についての理解と対応/対象や外部環境の適切な認知と適切な行動の習得/行動障害への予防及び対応 |
| 言語・コミュニケーション | コミュニケーションの基礎的能力の向上/言語の受容と表出/言語の形成と活用/人との相互作用によるコミュニケーション能力の獲得/コミュニケーション手段の選択と活用/状況に応じたコミュニケーション/読み書き能力の向上 |
| 人間関係・社会性 | アタッチメント(愛着)の形成と安定/遊びを通じた社会性の発達/自己の理解と行動の調整/仲間づくりと集団への参加 |
読みどころを三つ
①
「感覚の特性への対応」が「運動・感覚」に入っています。感覚過敏・感覚鈍麻は、支援の領域として名前がついています(→
感覚過敏・感覚鈍麻)。
②
「読み書き能力の向上」が「言語・コミュニケーション」に入っています。就学前でも、読み書きは支援の対象として書かれています(→
読み書きが苦手)。
③
「アタッチメント(愛着)の形成と安定」が「人間関係・社会性」の筆頭です。技能より先に、安心が置かれています(→
愛着とは?)。
🔴 「総合的な支援」と「重点を置いた支援」
ガイドラインは、支援の提供のしかたを二つに分けて説明しています。
| 区分 | ガイドラインの記載 |
| 総合的な支援 | 5領域の視点等を踏まえたアセスメントを行った上で、生活や遊び等の中で、5領域の視点を網羅した個々のこどもに応じたオーダーメイドの支援 |
| 特定の領域に重点を置いた支援 | 5領域を網羅した支援を行うことに加えて、理学療法士等の専門性にもとづくアセスメントを行い、特定(又は複数)の領域に重点を置いた支援を計画的・個別集中的に行うもの。一対一だけでなく、配慮された小集団も含まれる |
そのうえで、こう書かれています
「本人支援の5領域の視点を網羅したアセスメントが行われないことや、5領域のうち特定の領域のみの支援のみを行うなど、本人支援の5領域の視点が網羅されていない状況で支援を提供することは、総合的な支援としては相応しいとは言えないものである」——つまり
「うちは◯◯だけをやります」は、総合的な支援としては認められていないということです。
重点を置くことは
「網羅したうえで、加えて」行うもの、という順序で書かれています。
計画には、どう書かれるのか
5領域は、個別支援計画(児童発達支援計画)とつながっています。
ガイドラインの記載
「児童発達支援計画においては、『本人支援』について5つの欄を設けて、個々に異なる支援目標や支援内容を設定する必要はないが、各領域との関連性については必ず記載することとしている」——
5つに分けて書く必要はない。けれど、どの領域と関係するかは必ず書く。面談で計画を見せてもらうとき、
「この目標は、どの領域と関係していますか」と尋ねると、支援の意図が見えやすくなります(→
個別支援計画とは?)。
またガイドラインは、各領域の支援内容について「お互いに関連して成り立っており、重なる部分もある」としています。きれいに5つに分かれるものではない、という前提です。
見学のときに使える聞き方
- 「5領域の視点を踏まえたアセスメントは、どのように行っていますか」——ガイドラインが求めているのはアセスメントが先、という順序です
- 「うちの子の場合、どの領域に重点を置く見立てですか」
- 「その重点は、5領域を網羅したうえでのものですか」
- 「計画には、各領域との関連性がどう書かれますか」
- 「家族支援・移行支援は、どんな形で受けられますか」——5領域は四つの柱の一つです
※ガイドラインは事業所の支援の指針であり、この記事は保護者向けにその内容を紹介するものです。事業所ごとの運用は各事業所にご確認ください。
どこで確かめられるか
| 確かめ先 | 何のため |
| こども家庭庁のページ | ガイドラインの本文(下の出典から読めます) |
| 利用する事業所 | アセスメントの方法、計画の書かれ方 |
| 区市町村の障害児支援の窓口 | 制度と事業所選びの相談 |
| 相談支援専門員 | 障害児支援利用計画を作る立場から |
※本記事は一般的な情報提供です。制度の運用は自治体・事業所により異なります。療育は医療ではありません。
出典
※上記の出典は2026年9月6日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
5領域は、誰が決めたものですか?
こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインおよび放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月)が定めています。事業所が独自に決めた枠組みではありません。
5領域には何がありますか?
健康・生活/運動・感覚/認知・行動/言語・コミュニケーション/人間関係・社会性の5つです。これらは「本人支援」の中の枠組みで、ほかに家族支援・移行支援・地域支援/地域連携があります。
特定の領域だけをやる事業所でもいいのですか?
ガイドラインは「5領域のうち特定の領域のみの支援のみを行う」ことを、総合的な支援としては相応しいとは言えないとしています。重点を置く支援は、5領域を網羅したうえで「加えて」行うものとして書かれています。
計画書に5領域が書かれていません
ガイドラインは「5つの欄を設けて、個々に異なる支援目標や支援内容を設定する必要はない」としつつ、「各領域との関連性については必ず記載することとしている」としています。面談で「この目標はどの領域と関係していますか」と尋ねてみてください。
感覚の困りごとは、どの領域ですか?
「運動・感覚」です。ねらいに「感覚の特性への対応」が明記され、支援内容には「感覚の特性(感覚の過敏や鈍麻)を踏まえ、感覚の偏りに対する環境調整等の支援を行う」とあります。
読み書きは、就学前でも支援の対象になりますか?
ガイドラインの「言語・コミュニケーション」領域のねらいに「読み書き能力の向上」が含まれ、支援内容に「発達障害のあるこどもなど、障害の特性に応じた読み書き能力の向上のための支援を行う」とあります。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
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