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個別支援計画は、どこを見ればよいのか——署名の前に確かめる欄と、意見の言い方

最終更新:2026年9月7日
面談の席で計画書を渡され、説明を聞いて、いちばん下の欄に署名した——けれど、どこを見ればよかったのかは分からないまま帰ってきた。そんな夜にこのページを開かれたのだと思います。
この書類は、事業所が任意で作っているものではありません。児童福祉法にもとづく指定基準の省令が、誰が作るのか(児童発達支援管理責任者)、どういう順番で作るのか(アセスメント・面接・原案・担当者会議)、保護者に対して何をするのか(説明したうえで文書による同意を得て、交付する)、そしてどのくらいの間隔で見直すのかまで、条文で定めています。
つまり保護者には、意見を言う場が制度として用意されているということです。この記事では、その条文と、こども家庭庁のガイドラインが示す計画書の様式を並べながら、署名の前にどの欄を見て、何を尋ねればよいのかを順に書きます。

あの署名は、省令が求めている手続きです

児童発達支援や放課後等デイサービスを使いはじめると、事業所から計画書が出てきて、最後に保護者が署名をします。この場面は、事業所ごとの慣習ではありません。根拠は「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第15号)第27条です。

省令 第27条 第6項

児童発達支援管理責任者は、児童発達支援計画の作成に当たっては、通所給付決定保護者及び障害児に対し、当該児童発達支援計画について説明し、文書によりその同意を得なければならない

「説明し」と「文書によりその同意を得」が、ひとつづきの義務として書かれています。説明が先で、同意があとです。そして同意で終わりではなく、次の第7項が続きます。

省令 第27条 第7項

児童発達支援管理責任者は、児童発達支援計画を作成した際には、当該児童発達支援計画を通所給付決定保護者及び当該通所給付決定保護者に対して指定障害児相談支援を提供する者に交付しなければならない

交付先が二つ書かれていることに注目してください。保護者と、相談支援を担当している事業所です。手元に控えが残るのは、制度がそう決めているからです。

署名欄の文言も、国の様式に載っています

こども家庭庁の児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)には、別添1として「個別支援計画の記載のポイント」という資料が付いていて、計画書の参考様式そのものが載っています。その様式のいちばん下には、こう印字されています。

※ 同じ様式に「押印廃止」と明記されています。印鑑を求められない形が、国の参考様式です。

この書類、省令の中では「個別支援計画」という名前ではありません

面談で「個別支援計画」と呼ばれている書類は、省令の条文ではサービスの種類ごとに違う名前で出てきます。第27条は児童発達支援について書かれた条文で、放課後等デイサービスなどは、後ろの条文で読み替えて準用する形になっています。

省令の条文に出てくる名前どのサービスのものか
児童発達支援計画児童発達支援(第27条)
放課後等デイサービス計画放課後等デイサービス。第71条が第27条を準用し、「児童発達支援計画」を読み替えると定めています
保育所等訪問支援計画保育所等訪問支援(第79条の読み替え)
居宅訪問型児童発達支援計画居宅訪問型児童発達支援(第71条の14の読み替え)

一方で、こども家庭庁のガイドラインは、これらをまとめて「個別支援計画」と呼んでいます。別添1の資料名も「個別支援計画の記載のポイント」で、様式の見出しも「個別支援計画書」です。呼び名が二つあるだけで、同じ書類だと考えて差し支えありません。

作るのは児童発達支援管理責任者です

第27条第1項は、事業所の管理者が、児童発達支援管理責任者にこの計画の作成に関する業務を担当させる、と定めています。そして同じ省令の第5条は、事業所に置くべき従業者として児童発達支援管理責任者を「一以上」と明記しています。つまり、この人がいない事業所は指定の基準を満たしません。役割については児童発達支援管理責任者(児発管)とは?にまとめています。

※ 現場では「児発管(じはつかん)」と略して呼ばれます。面談の席で計画書を説明してくださった方が、多くの場合この職種です。

交付までに、省令が決めた六つの段取りがあります

第27条は第1項から第10項まであり、その第2項から第7項までが作成の手順そのものです。順に並べると、こうなります。

  1. アセスメント(第2項)——障害児について、その有する能力、置かれている環境、日常生活全般の状況等の評価を通じて、保護者及び障害児の希望する生活と課題等を把握する。あわせて、年齢と発達の程度に応じて意見が尊重され、最善の利益が優先して考慮されるよう、支援内容を検討する
  2. 面接(第3項)——アセスメントに当たっては、保護者及び障害児に面接しなければならない。そのうえで、面接の趣旨を十分に説明し、理解を得なければならない
  3. 原案の作成(第4項)——生活に対する意向、総合的な支援目標とその達成時期、生活全般の質を向上させるための課題、五つの領域との関連性とインクルージョンの観点を踏まえた具体的内容、留意事項などを記載する
  4. 担当者会議(第5項)——支援に当たる担当者等を招集して会議を開き、原案について意見を求める。テレビ電話装置等を使って行うこともできる
  5. 説明と、文書による同意(第6項)——保護者と本人に説明し、文書により同意を得る
  6. 交付(第7項)——保護者と、相談支援事業所に交付する
作り直すときも、同じ六つを通ります

第27条第10項は、「第二項から第七項までの規定は、第八項に規定する児童発達支援計画の変更について準用する」と定めています。つまり途中で計画を変更するときも、アセスメント・面接・担当者会議・説明・文書による同意・交付を、はじめと同じようにもう一度通ります。
「変更なので口頭で」という省略は、条文の形からは出てきません。

見直しの間隔は、条文に数字で書かれています

第27条第8項は、計画の作成後に実施状況を把握し(モニタリング)、課題を把握したうえで、「少なくとも六月に一回以上、児童発達支援計画の見直しを行い、必要に応じて、当該児童発達支援計画の変更を行うものとする」と定めています。六か月に一回以上という数字が、条文そのものに入っています。

さらに第9項は、モニタリングについて、保護者との連絡を継続的に行うこととしたうえで、特段の事情のない限り「定期的に通所給付決定保護者及び障害児に面接すること」「定期的にモニタリングの結果を記録すること」を求めています。見直しは、書類の上だけで完結しない作りになっています。

※ 児童発達支援ガイドラインは、これに加えて「こどもの状態や家庭状況等に変化があった場合には、六か月を待たずしてモニタリングを行う必要がある」としています。六か月は上限であって、待たなければならない期間ではありません。→ モニタリングとは?

計画書の欄は、上から下へつながっています

ガイドライン別添1の参考様式には、記入する欄が決まった順番で並んでいます。そして「それぞれの記載項目について、こどもと家族の意向とアセスメントを踏まえて、つながりを持って作成していくことが必要である」と書かれています。上の欄が下の欄の理由になっている、という作りです。

計画書の欄何が書かれる欄か(ガイドライン別添1より)
利用児及び家族の
生活に対する意向
こども本人や家族の意向を聴いたうえで、家族から得た情報や発達段階・特性等を踏まえて整理して記載する
=いちばん上に、保護者が話したことが入る欄です
総合的な支援の方針1年間を目途に(それ以上の期間も可)、こどもや家族、関係者が共通した見通しを持てるよう、事業所としての見立てと支援の方針を記載する
長期目標総合的な支援の方針で掲げた内容を踏まえ、概ね1年程度で目指す目標を設定して記載する
短期目標長期目標で掲げた内容を踏まえ、概ね6か月程度で目指す目標を設定して記載する
支援の標準的な
提供時間等
利用曜日・提供時間等を記載する
支援目標及び
具体的な支援内容等
「項目」「支援目標(具体的な到達目標)」「支援内容(五領域との関連性を含む)」「達成時期」「担当者・提供機関」「優先順位」「留意事項」の各欄に分かれる

欄の名前を知っておくと、面談で話がずれません。「短期目標のところをもう一度お願いします」と言えるだけで、聞き直す負担がずいぶん軽くなります。

達成時期は最長で六か月です

ガイドライン別添1は、達成時期の欄について「個別支援計画については、6か月に1回以上の見直しが求められているため、達成時期についても最長6か月後までとする。1〜3か月で達成する目標も積極的に検討していくこと」としています。ここに「1年後」と書かれている欄があれば、それは長期目標のほうの話かもしれません。どちらの欄の話なのか、その場で確かめられます。

見るのは「何ができたら達成なのか」が書いてあるか

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。目標の欄の書き方について、ガイドライン別添1は具体性を求める書き方をしています。

支援目標の欄について(ガイドライン別添1)

支援期間終了の際(モニタリング時)に、到達できているであろう「こども本人や家族の状況」を具体的な到達目標として記載する
到達目標については、主語はこども本人や家族となるよう記載することを基本とする。

「主語はこども本人や家族」という一文が効きます。事業所が何をするかではなく、お子さんがどうなっているかで書く、ということです。「落ち着いて過ごす」という言い方だけでは、六か月後に達成したかどうかを誰も判定できません。判定できる形になっているかを見ます。

支援内容の欄についても、ガイドライン本文がはっきり書いています——「支援内容については、『いつ』、『どこで』、『誰が』、『どのように』、『どのくらい』支援するかということが、児童発達支援計画において常に明確になっていることが必要である」。この五つが読み取れるかどうかが、そのまま確認の観点になります。

同じ文面が続くことは、想定されていません

もうひとつ、別添1にはこう書かれています——「この観点からは、支援目標や支援内容の記載が長期にわたり同一であることは想定されないこと」。前回とほとんど同じ文面に見えたときに、「前回から変わったのはどこですか」と尋ねることは、制度の側の考え方に沿った質問です。

また同じ資料は、「発達支援は個々のこどもへのアセスメントを踏まえたオーダーメイドの支援を行うものであり、支援目標や支援内容がそれぞれのこどもについて同一のものとなることは想定されない」とも書いています。

署名の前に見る五つ

※ 分からない言葉があったら、その場で聞いて構いません。省令 第26条第3項は、従業者について「懇切丁寧を旨とし、通所給付決定保護者及び障害児に対し、支援上必要な事項について、理解しやすいように説明を行わなければならない」と定めています。

支援内容と五領域の対応は、必ず書かれる欄です

計画書の「支援内容」の欄には、五領域との関連性を書くことになっています。もとをたどると、省令 第26条第4項が、事業所に「心身の健康等に関する領域を含む総合的な支援」を行わなければならないと定めており、この「領域」の中身をガイドラインが五つに整理しています。

本人支援の五領域

「健康・生活」 「運動・感覚」 「認知・行動」 「言語・コミュニケーション」 「人間関係・社会性」

——こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」(令和6年7月)

ガイドラインは、この五領域について「五領域全てが関連付けられるよう記載することを基本とする」としたうえで、「相互に関連する部分や重なる部分もあると考えられるため、五領域それぞれで、一対一対応で、異なる支援目標や支援内容を設定する必要はない」と書いています。ただし続けて、「各領域との関連性についての記載は必ず行い、『本人支援』全体として五領域全てが関連付けられるようにする必要がある」としています。

つまり、五つの目標が並んでいる必要はありません。ひとつの支援内容が、どの領域につながっているかが書かれていればよい、という作りです。詳しくは5領域とは?にまとめています。

本人支援だけではありません

「支援目標及び具体的な支援内容等」の項目欄には、五領域とは別の軸で、次の四つが並びます。ガイドライン別添1は、このうち上の三つを必ず記載するとしています。

項目ガイドライン別添1が挙げている中身
本人支援
必ず記載
こどもが将来、日常生活及び社会生活を円滑に営めるようにする観点からの発達支援。五領域との関連性を含めて記載する
家族支援
必ず記載
発達状況や特性の理解に向けた相談援助、講座やペアレントトレーニングの実施/子育ての困りごとに対する相談援助/預かりニーズに対応するための支援/保護者同士の交流の機会の提供/きょうだいへの相談援助等
移行支援
必ず記載
保育所等との併行利用や移行に向けた支援、同年代のこどもとの仲間づくり等。入園・入学等のライフステージの切り替えを見据えた準備も含まれる
地域支援・地域連携
必要に応じて記載
保育所等や学校等との情報連携や調整/担当の保健師や医療機関等との連携/相談支援事業所や他の通所支援事業所との連携等

家族支援移行支援が必ず入る欄だということは、あまり知られていません。「家庭で困っていることは、どの欄に入りますか」と尋ねると、話が計画書の上に載ります。

※ ガイドラインは、「単に五領域に対応する支援への当てはめを行うだけの児童発達支援計画の作成にならないよう留意すること」とも書いています。欄が埋まっていることと、中身が届いていることは別だ、という趣旨です。

納得できないときの、言い方と申し出先

まず前提として、省令はこう書いています。

省令 第26条 第2項

指定児童発達支援事業者は、障害児が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、障害児及び通所給付決定保護者の意思をできる限り尊重するための配慮をしなければならない

さらに第29条は、事業者について「常に障害児の心身の状況、その置かれている環境等の的確な把握に努め、障害児又はその家族に対し、その相談に適切に応じるとともに、必要な助言その他の援助を行わなければならない」と定めています。意見を伝えることは、制度が織り込んでいる行為です。

その場で署名しなければならない、とは書かれていません

第27条第6項が求めているのは「説明し、文書によりその同意を得なければならない」ことで、いつ署名するかについての定めは、この条文にはありません。ですから「持ち帰って読ませてください」「ここだけ書き直していただけますか」と伝えることは、条文の求めるところと矛盾しません。同意は、説明を受けて納得したうえで行うものとして書かれています。

伝える順番

  1. 児童発達支援管理責任者に伝える——計画の中身を担当している人です。この場でいちばん早く直せます
  2. 事業所の管理者に伝える——省令 第36条は、管理者が従業者及び業務の管理を一元的に行うと定めています
  3. 相談支援専門員に伝える——計画は相談支援事業所にも交付されています(第27条第7項)。全体の組み立てから見直す相談ができます → 障害児支援利用計画とは?
  4. 事業所の苦情窓口に申し出る——省令 第50条は、苦情に迅速かつ適切に対応するため窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならないとし、受け付けた苦情の内容等を記録しなければならないと定めています
  5. お住まいの区市町村・都道府県の窓口に相談する——第50条第3項は、都道府県知事等が行う調査への協力と、指導又は助言を受けた場合にそれに従って必要な改善を行わなければならないことを定めています
  6. 運営適正化委員会に申し出る——社会福祉法 第83条により、都道府県社会福祉協議会に置かれている第三者機関です
社会福祉法 第85条(運営適正化委員会の行う苦情の解決のための相談等)

運営適正化委員会は、福祉サービスに関する苦情について解決の申出があつたときは、その相談に応じ、申出人に必要な助言をし、当該苦情に係る事情を調査するものとする。
2 運営適正化委員会は、前項の申出人及び当該申出人に対し福祉サービスを提供した者の同意を得て、苦情の解決のあつせんを行うことができる。

同じ法律の第82条は、社会福祉事業の経営者が「常に、その提供する福祉サービスについて、利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない」と定めています。事業所の中で解決する道と、外側から関わる道の両方が、法律に用意されているということです。

※ 事業所には、重要事項を見やすい場所に掲示する義務があります(省令 第43条)。苦情の受付窓口や連絡先は、その掲示か、契約時の重要事項説明書に書かれていることが多い項目です。

計画書が手元にないときは、控えをお願いできます

もう一度、第27条第7項です。「児童発達支援計画を作成した際には、当該児童発達支援計画を通所給付決定保護者及び……指定障害児相談支援を提供する者に交付しなければならない」。交付は省令上の義務として書かれています。

ですから、手元に見当たらないときに事業所へ「計画書の控えをいただけますか」と伝えることは、特別なお願いではありません。渡す前提で作られている書類です。

記録は五年間保存されています

省令 第54条第2項は、事業者が整備し「当該指定児童発達支援を提供した日から五年間保存しなければならない」記録を列挙していて、その第2号が児童発達支援計画です。過去の計画がどうなっていたかを確かめたいときの根拠になります。

あわせて第54条第2項には、苦情の内容等の記録(第5号)や、事故の状況と採った処置についての記録(第6号)も並んでいます。

日々の記録にも、保護者の確認が入ります

省令 第21条は、支援を提供した際に提供日・内容その他必要な事項を都度記録しなければならないとし、第2項で「通所給付決定保護者から指定児童発達支援を提供したことについて確認を受けなければならない」と定めています。送迎時などにサインを求められる書類は、この条文にあたります。

事業所全体の計画は、公表されます

個別支援計画とは別に、事業所は支援プログラム——五領域との関連性を明確にした、事業所における支援の実施に関する計画——を作成することとされています。ガイドラインは、これを重要事項説明書や個別支援計画等の説明時にあわせて丁寧に説明し、インターネットのホームページや会報等で公表していくことが求められる、としています。

さらに省令 第26条第5項から第7項は、事業所が自己評価と保護者評価を行い、「おおむね一年に一回以上」その内容と改善の内容を保護者に示すとともに公表しなければならない、と定めています。保護者評価の用紙が配られたときは、この条文にもとづく手続きです。

相談支援事業所が作る「障害児支援利用計画」とは別の書類です

同じ時期に、よく似た名前の計画がもうひとつ出てきます。障害児支援利用計画です。作る人も、決める範囲も違います。

書類誰が作り、何を決めるのか
障害児支援利用計画相談支援専門員(指定障害児相談支援事業所)が作る。どのサービスを、どのくらい使うか——生活全体の組み立てを決める
根拠=児童福祉法 第6条の2の2(障害児支援利用援助)
個別支援計画
=児童発達支援計画/
放課後等デイサービス計画
児童発達支援管理責任者(利用する事業所)が作る。その事業所で具体的に何をするかを決める
根拠=平成24年厚生労働省令第15号 第27条

児童福祉法 第6条の2の2は、障害児支援利用援助について、利用計画案を作って通所給付決定を受け、決定後に関係者との連絡調整を行いながら障害児支援利用計画を作成することだ、と定義しています。先に全体の設計があり、そのあとで事業所ごとの中身が決まる——という順番です。

世田谷区は、この流れを利用者向けに八つの段階で案内しています——①申請 ②障害児支援利用計画案の提出依頼 ③サービス利用意向の聴取 ④計画案の提出 ⑤支給決定(受給者証の発行) ⑥障害児支援利用計画の提出 ⑦サービス利用 ⑧モニタリング。個別支援計画が登場するのは、⑦のあたりからです。

二つの計画は、つながる作りになっています

省令 第27条第7項が、個別支援計画を相談支援事業所にも交付させているのは、このためです。ガイドラインも、事業所は相談支援事業所と連携し「障害児支援利用計画との整合性のある児童発達支援計画の作成と児童発達支援の提供を行うことが重要である」としています。

また新宿区は、利用計画について「区が指定する指定特定相談支援事業所及び指定障害児相談支援事業所に配置されている専門の職員(相談支援専門員)が作成します」と案内し、「サービス利用開始後も一定期間ごとに計画の見直しをすること(モニタリング)が義務付けられています」と書いています。あわせて、相談支援専門員が作る計画に代えて保護者等が作るセルフプランを提出することもできる、としています。

※ セルフプランを選んだ場合の進み方はセルフプランとは?に、受給者証の手続きは受給者証とは?申請の流れにまとめています。手続きの細部は区市町村ごとに違いますので、お住まいの窓口でご確認ください。

就学のとき、事業所を変わるとき、計画はどう引き継がれるのか

個別支援計画には移行支援という欄が必ず入る、と前の節で書きました。就学や進級は、まさにこの欄が働く場面です。

児童発達支援ガイドライン「学校や放課後等デイサービス事業所等との連携」

小学校や特別支援学校(小学部)に進学する際には、児童発達支援計画と個別の教育支援計画等を含め、こどもの発達支援の連続性を図るため、保護者の同意を得た上で、こども本人の発達の状況や障害の特性、事業所等で行ってきた支援内容等について情報を共有しながら相互理解を図り、円滑に支援が引き継がれるようにすることが必要である。

ここでも「保護者の同意を得た上で」が入口に置かれています。引き継ぎは自動では始まりません。裏を返せば、保護者が「渡してください」と言えば動く、ということでもあります。

同じガイドラインは、放課後等デイサービスの利用を開始する場合についても、学校の場合と同様に情報の共有が必要であるとし、利用開始後も連携体制を継続して必要な情報提供や助言を行うことが望ましい、としています。

事業所を終わるとき

省令 第20条第2項は、支援の提供の終了に際して、「障害児又はその家族に対して適切な援助を行うとともに」、都道府県、市町村、児童福祉施設その他の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない、と定めています。

放課後等デイサービスガイドラインは、支援の終結にあたって、他の機関・団体に支援を引き継ぐ場合にはこれまでの支援内容等について適切に情報提供すること、そして事業所から家族や相談支援事業所、学校等の関係機関との連絡調整を実施し、障害児支援利用計画の変更等を促す、と書いています。

引き継ぎのときに手元にあるとよいもの

※ 新しい事業所でも、はじめに第27条の六つの段取り(アセスメント・面接・原案・担当者会議・説明と文書による同意・交付)を一から通ります。前の計画は、そのアセスメントの材料になります。

出典

※上記の出典は2026年9月7日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

その場で署名しなければいけませんか?
省令 第27条第6項が定めているのは「説明し、文書によりその同意を得なければならない」ことで、いつ署名するかについての定めは条文にありません。順番としても、説明が先で同意があとです。「持ち帰って読ませてください」「この欄をもう少し具体的にしていただけますか」と伝えることは、条文の求めるところと矛盾しません。
計画書をもらっていない気がします。お願いしてよいのでしょうか。
お願いできます。省令 第27条第7項は、計画を作成した際には保護者と、相談支援を担当している事業所に交付しなければならないと定めています。渡すことが前提の書類です。あわせて第54条第2項第2号により、計画は提供日から五年間保存されることになっていますので、過去の分についても確認をお願いできます。
見直しは、どのくらいの間隔で行われますか?
省令 第27条第8項に、「少なくとも六月に一回以上」という数字が書かれています。さらに児童発達支援ガイドラインは、こどもの状態や家庭状況等に変化があった場合には六か月を待たずしてモニタリングを行う必要があるとしています。六か月は上限であって、それまで待つ決まりではありません。→ モニタリングとは?
目標が前回とほとんど同じ文面に見えます。
ガイドライン別添1「個別支援計画の記載のポイント」は、「支援目標や支援内容の記載が長期にわたり同一であることは想定されないこと」と書いています。「前回から変わったのはどこですか」「達成できたのはどの部分ですか」と尋ねることは、制度の考え方に沿った質問です。
「落ち着いて過ごす」という目標は、これでよいのでしょうか。
ガイドライン別添1は、支援目標について「支援期間終了の際(モニタリング時)に、到達できているであろう『こども本人や家族の状況』を具体的な到達目標として記載する」主語はこども本人や家族となるよう記載することを基本とする」としています。判断の目安は、六か月後に「できた・まだ」を判定できるかです。判定しにくいと感じたら、「これは、何ができたら達成になりますか」と尋ねてみてください。
五領域が全部書かれていないように見えます。
ガイドラインは、五領域それぞれについて一対一対応で異なる支援目標や支援内容を設定する必要はないとしています。五つの目標が並んでいなくても差し支えありません。ただし「各領域との関連性についての記載は必ず行い」とも書かれていますので、「この目標は、どの領域とつながっていますか」と尋ねると、書かれ方が見えてきます。→ 5領域とは?
「個別支援計画」と「障害児支援利用計画」は、どう違いますか?
作る人と決める範囲が違います。障害児支援利用計画相談支援専門員(指定障害児相談支援事業所)が作り、どのサービスをどう組み合わせるかという生活全体の設計を決めます(児童福祉法 第6条の2の2)。個別支援計画児童発達支援管理責任者が作り、その事業所で具体的に何をするかを決めます(省令 第27条)。二つはつながっていて、省令は個別支援計画を相談支援事業所にも交付するよう定めています。
就学のとき、これまでの計画は小学校に渡りますか?
児童発達支援ガイドラインは、小学校や特別支援学校(小学部)への進学の際に、児童発達支援計画と個別の教育支援計画等を含め、保護者の同意を得た上で発達の状況や支援内容等の情報を共有し、円滑に引き継がれるようにすることが必要である、としています。入口が保護者の同意ですので、引き継ぎを希望されるときは、その意向をはっきり伝えておくと動きやすくなります。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

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