申込の相手が違います——保育園は区市町村、幼稚園は園
発達のことを「誰に」伝えるかは、通いたい先によって最初から分かれています。というのも、保育園と幼稚園では申込書を出す相手そのものが違うからです。
根っこにあるのは、子ども・子育て支援法 第19条の三つの区分です。同じ「園」でも、どの区分で入るかで手続きの入口が変わります。
| 区分(法 第19条) | 対象と、主に使う施設 |
| 1号 | 満3歳以上で、保育の必要性を問わない子ども。 → 幼稚園・認定こども園 |
| 2号 | 満3歳以上で、保護者の労働や疾病などにより家庭で必要な保育を受けることが困難な子ども。 → 保育所・認定こども園 |
| 3号 | 満3歳未満で、同じ事由により家庭で必要な保育を受けることが困難な子ども。 → 保育所・認定こども園・地域型保育 |
※ 区分ごとの施設の対応は、こども家庭庁「よくわかる子ども・子育て支援新制度」の整理によります。「幼稚園には新制度に移行しない幼稚園もあります。その園を利用する場合は、認定を受ける必要はありません」とも書かれています。
そして、こども家庭庁が示している利用手続きの基本的な流れは、次の二本立てです。
| ルート | 流れ |
| 幼稚園・こども園(1号) | ①幼稚園などの施設に直接申し込む → ②施設から入園の内定を受ける(定員超過の場合などには面接などの選考あり) → ③施設を通じて市町村に認定を申請 → ④施設を通じて認定証が交付 → ⑤施設と契約 |
| 保育所・こども園(2号・3号) | ①市町村に直接認定を申請(利用希望の申込も同時にできる) → ②市町村が「保育の必要性」を認めると認定証が交付 → ③市町村に保育所などの利用希望を申し込む(希望する施設名などを記載) → ④市町村が利用調整 → ⑤利用先の決定後、契約 |
だから、伝える相手が二つに分かれます
保育園を希望するなら、まず区市町村の窓口です。新宿区なら保育課入園・認定係で、申込みの場でお子さんの状況を聴き取られます。園に直接話すのは、見学と、内定した後の面接の場です。
幼稚園を希望するなら、まず園です。見学・説明会・願書・面接のすべてが園との間で進みます。区市町村は、認定の手続きと補助金の窓口として後から関わります。
この違いを押さえておくと、「区役所に相談したのに園には伝わっていなかった」「園に話したのに区の書類には書いていなかった」というすれ違いが減ります。保育園は「区に書く」、幼稚園は「園に話す」——まずここから分けて考えてください。
なお、認定は保護者の居住地の市町村が行います(法 第20条第2項)。引っ越しをまたぐ申込みは、住んでいる側の区市町村が入口になります。
秋のカレンダー——新宿区を一例に、逆算する
申込みの時期と締切は、自治体ごとに決めています。ここでは新宿区の令和8年4月入園を一例に、実際の日付を並べます。他の区市町村にお住まいの方は、同じ項目をご自身の自治体のページで置き換えてください。
| 新宿区・令和8年4月入園 | 日程(区の公式ページより) |
| 1次申込み 受付期間 | 令和7年10月28日(火)〜 12月5日(金) |
| 1次 結果発表(予定) | 令和8年2月13日(金) |
| 2次申込み 受付期間 | 令和7年12月6日(土)〜 令和8年2月3日(火) 1次申込みができなかった方が対象。2次用の募集枠を設けているわけではなく、1次の利用調整後の選考 |
| 2次 結果発表(予定) | 令和8年2月27日(金) |
| 5月以降の入園 | 毎月、前月上旬に締切(例:5月入園は4月6日締切・4月15日発表)。3月入園はありません |
ここで、発達に心配があるご家庭にだけ関わる決まりが一つあります。新宿区の申込みは郵送または電子申請が基本ですが、電子申請ができない方の中に「障害・疾病があるお子さん、発達・発育に心配があるお子さん、医療的ケアが必要なお子さんの入園を希望する方」が明記されています。この場合は、事前に電話で来庁日時を予約したうえで、窓口で申し込むことになります。
そのとき揃える書類も、区のページに書かれています。
- 入園(転園)申込書一式と、保育の必要性を確認できる書類(就労証明書など。これは全員共通)
- 子どもの状況(区様式)
- 主治医意見書(区様式)
- 身体障害者手帳・療育手帳(愛の手帳)の写し(お持ちの場合)
- お子さんの状況がわかる書類(母子健康手帳の写し等)
逆算すると、いちばん時間がかかるのは「主治医意見書」です
区の様式に医師の記入が要る書類は、受診の予約から始まります。かかりつけの小児科でも、発達の相談先の医師でも、初診なら予約が数週間先になることがあるうえ、記入して返ってくるまでにも日数がかかります。12月5日の締切から逆算すると、11月のはじめには医師の手元に様式が届いている状態が目安です。つまり、10月のうちに「様式を取りに行く」「受診を予約する」の二つを済ませておくと、締切の週に慌てずに済みます。
なぜ自治体で違うのか——障害児保育は「地方交付税」で措置されています
受入れの枠、必要な書類、審査の段取りが自治体ごとに違うのは、園や区が気まぐれだからではありません。こども家庭庁の基礎資料によると、障害児保育に対応する職員の加配は昭和49年度から予算補助事業として始まり、平成15年度に一般財源化されて地方交付税による措置に変わり、平成19年度からは対象を軽度の障害児まで拡大しています。国庫補助のように国が細かい要件を定める形ではなく、各自治体が自分の財源の中で組み立てるしくみになっているため、「何人まで」「どの書類で」「誰が判定するか」は自治体の決めごとになります。
受け入れそのものは広がっています。こども家庭庁は令和6年12月の事務連絡で、保育所等における障害のあるこどもの受入れ数は約9万人であり、10年前と比較すると約2倍になっていると書いています。「うちの子だけ特別なお願いをしている」という状況ではない、ということです。
今夜〜今週にやること
- お住まいの区市町村の入園案内ページを開き、1次申込みの締切日と、発達に心配がある場合の申込方法(窓口か・予約が要るか)を確かめる
- 区様式の書類(新宿区なら「子どもの状況」「主治医意見書」)をダウンロードするか、窓口で受け取る
- 主治医意見書を書いてもらう医師を決めて、受診を予約する。健診で紹介された先があればそこ、なければかかりつけ医に相談
- 希望園の候補を3園ほどに絞り、見学の申込みを園に直接する(次の節の項目を持っていく)
- 窓口申込みが必要な自治体なら、来庁日時の電話予約を今週中に入れる(12月の窓口は混み合います)
利用調整のしくみ——発達のことは、どこでどう扱われるのか
保育園の入園は、園が選ぶのではなく、市町村が「利用調整」を行って決めます。児童福祉法 第24条第3項が、保育所などが不足するおそれがある場合その他必要と認められる場合には、市町村が利用について調整を行うと定めています。
利用調整とは(こども家庭庁の説明)
市町村が定める基準に基づき、保護者の状況などに応じ保育の必要性などから優先順位をつけ、利用する施設などを決めるしくみです。
つまり並ぶ物差しは「保育の必要性」です。新宿区では、基本指数(保護者の就労状況など)と調整指数(世帯の事情による加点・減点)の合計で順位が決まります。区の「申込みの手引き」の調整指数表には、申込児童が身体障害者手帳・療育手帳(愛の手帳)の交付を受けている場合=2点の加点という項目があります。また児童福祉法 第24条第4項は、市町村が「優先的に保育を行う必要があると認められる児童」の保護者に対し、申込みを勧奨し、保育を受けられるよう支援しなければならないと定めています。
※ 加点の有無・点数・対象は自治体ごとに違います。手帳がないお子さん(発達に心配がある段階)は新宿区の調整指数の対象ではありません。この点は「伝えると不利になる」の反対で、伝えても順位には影響しないということです。
新宿区の障害児等保育——申込みから決定までの5段階
発達に心配があることを申込みで伝えると、通常の利用調整に加えて、次の段取りが動きます(新宿区の公式ページの記載を、そのまま順に並べます)。
- 申込み——各月の申込締切日までに、保育課入園・認定係へ。職員がお子さんの状況等を伺うので、事前に電話で日時を予約し、お子さんと一緒に来庁
- 内々定した園での観察会——利用調整で内々定となった園に、保護者とお子さんが行き、園長・担当者等がお子さんの様子を観察
- 入園及び保育環境検討会——医師、園長、担当者のほか、必要に応じて子ども総合センター職員等が出席し、提出書類と観察会の様子をもとに園での集団保育が可能かどうかを判定。終了後、担当者が電話で結果を連絡
- 内定した園での面接・健康診断——内定した園に保護者とお子さんが行く
- 入園決定——入園月の前月下旬に「保育所等利用決定通知書」が届く
※ 検討会で「園での生活をしばらく観察する必要がある」と認められた場合は、内々定の園で保育観察(原則として1か月以内)を行い、その結果で判定する、とも書かれています。時間はかかりますが、判定を急がない道が用意されているということです。
枠については、新宿区は「認可保育園、認定こども園の全園で実施。原則として障害児は2名まで、各園の定員内で受入れ」としています。保育時間は「お子さんの発達過程や障害の状態、保護者の就労状況等に応じて園長が決定」です。「集団での保育であるため、お子さんに保育士が常に1対1で対応するものではありません」という一文も、案内の冒頭に置かれています。1対1の支援が必要な部分をどう補うかは、併行利用の記事と新宿区の保育園と発達支援に譲ります。
「伝えると入れなくなるのでは」への、国の側の答え
この不安には、条文と国の通知で答えられる部分があります。
- 子ども・子育て支援法 第33条第1項——特定教育・保育施設の設置者は、認定を受けた保護者から利用の申込みを受けたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。定員を超える場合は「公正な方法で選考しなければならない」(同条第2項)
- こども家庭庁 事務連絡(令和6年12月5日)——「正当な理由なく、障害を理由として、保育の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限すること」「正当な理由なく、障害を理由として、保育標準時間の取扱いに差異を設けること」などの不当な差別的取扱いは行わないよう、都道府県・市町村に求めている
- 同じ事務連絡——障害を理由として保育の提供等に制限や差異を設けることに正当な理由があると判断した場合は、「障害のあるこどもや保護者に丁寧かつ具体的にその理由を説明し、理解を得るように努めていただきますよう」と書いている
「必ず入れる」と書ける条文はありません。定員があり、利用調整があり、集団保育が可能かどうかの判定もあります。ただ、伝えたこと自体を理由に扱いを変えてはならないということ、そして制限をかけるなら理由を具体的に説明する側の責任があるということは、国の文書のほうが先に書いています。説明を求めることは、こちらの正当な行為です。
区市町村の側にも、役割が条文で決まっています。子ども・子育て支援法 第42条は、市町村が保護者から求めがあった場合、保護者の希望・子どもの養育の状況・保護者に必要な支援の内容その他の事情を勘案して、相談に応じ、助言し、施設の利用についてあっせんを行い、必要に応じて施設の設置者に利用の要請を行うと定めています。設置者はこのあっせんと要請に「協力しなければならない」(同条第2項)。窓口で「どの園なら受け入れの体制があるか」を尋ねることは、この条文が想定している相談そのものです。
いつ伝えるか——申込前・申込時・内定後・入園後の四つの窓
「早めに」と言われても、どの時点が「早め」なのかが分からないと動けません。伝えられる窓は四つあり、それぞれ相手と目的が違います。
| 窓 | 相手・目的 |
| ① 申込前(見学・事前相談) | 相手=園と、区市町村の窓口。目的=受け入れの体制があるかを知る。ここで話した内容は申込書には残らないので、迷いながら話してよい段階 |
| ② 申込時(書類・窓口面談) | 相手=区市町村(保育園)/園(幼稚園)。目的=審査と園の選定に使ってもらう。新宿区なら「子どもの状況」「主治医意見書」に書く。書いたことは記録に残る |
| ③ 内定後(観察会・面接・健康診断) | 相手=内定した園。目的=4月からの過ごし方を一緒に組む。担任が決まる前の、園長や主任との話 |
| ④ 入園後(連絡帳・面談) | 相手=担任と園。目的=個別の計画に反映してもらう。保育所保育指針は、障害のある子どもについて「家庭や関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成する」ことを求めている(第1章3(2)キ) |
「加配が要るなら早めに」と言われるのは、②の申込時までに区市町村が知っていないと、園の選定(利用調整)と職員の配置の検討がその子を前提に組めないからです。新宿区の段取りで言えば、観察会も検討会も申込みで伝えたことを起点に動きます。申込書に書いていないことは、審査の側からは見えません。
申込みのあとに気づいた・診断がついた場合
申込みの時点で心配がなかった、または迷って書かなかったお子さんについて、あとから伝えることはできます。相手は、入園前なら区市町村の窓口、入園後なら園です。保育所保育指針 第4章2(2)イは、「子どもに障害や発達上の課題が見られる場合には、市町村や関係機関と連携及び協力を図りつつ、保護者に対する個別の支援を行うよう努めること」と定めています。入園後に分かった場合の受け皿は、指針の側に最初からあります。
「伝えない」という選択も、制度上はあります。ただし窓②で伝えなかった場合、加配や障害児保育の枠の検討は始まりません。何を得たいかで決めるのが早道です。手厚い体制を4月から使いたいなら②まで、まず園の様子を見て考えたいなら①で相談だけしておく——この二択に整理すると、迷いが減ります。
何をどう伝えるか——診断名より「場面と手立て」を五行で
書類の空欄を前に、何をどこまで書けばよいのか。新宿区の「子どもの状況」は区様式なので、書く項目はその様式に沿います。ここでは、様式に書くときにも、見学や面接で口頭で伝えるときにも使える五行の芯を示します。
- 落ち着いていられる条件——「見通しが分かっていると待てます」「音が少ない場所だと集中します」
- 集団で苦手が出やすい場面——「一斉の指示は聞き漏らします」「切り替えの合図で泣くことがあります」
- 家で効いている手立て——「次の予定を先に言う」「絵や写真で示す」「終わりの合図を決める」
- かかっている先——健診の結果、通っている相談先や児童発達支援、主治医。診断があればその名前(なくても構いません)
- 園に連絡してほしいこと——「けがや大きく泣いた日は当日に教えてください」「食事の量が極端に少ない日は一言ください」
五行のうち、審査と園の準備にいちばん効くのは2と3です。診断名だけでは、園は明日から何をすればよいか分かりません。「こういう場面で困りやすく、こうすると通ります」が分かると、観察会でも見るところが定まり、内定後の準備が具体的になります。
この五行は、まわりの大人に渡す一枚(サポートブック)の骨組みと同じです。先に一枚にしておくと、区の窓口・見学・面接・入園後の担任と、相手が変わるたびに同じことを書き直さずに済みます。面談の場での話し方は園や学校の面談で、何をどう伝えるかにまとめてあります。
「うちの子は障害ではない」と思っているときの書き方
健診で経過観察になった、ことばが少しゆっくり、集団が苦手——診断も手帳もない段階のお子さんは多くいます。その場合も、書くことは同じ五行です。診断名の欄は空欄で構いません。新宿区の障害児等保育の対象は「心身に障害を有するお子さんや特別な配慮を要するお子さん」で、後者は診断を前提にしていません。また区は、障害や疾病でなくても日常的に装具等の着用が必要な場合に主治医意見書等の提出をお願いすることがある、と書いています。意見書は「障害の証明」ではなく、園が安全に預かるための情報として求められている、と読むのが近いです。
意思の表明は、家族が補佐してよい
「配慮をお願いする」と言うと大げさに聞こえますが、内閣府のリーフレットは、合理的配慮の出発点である「意思の表明」について、「障害特性等により本人の意思表明が困難な場合に、障害者の家族や介助者など、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含まれます」と書いています。幼児が自分で「予定を先に教えてほしい」とは言えません。保護者が代わりに伝えることが、制度上の「意思の表明」そのものです。
見学で聞くこと——落ち着いている場面から、八つ
新宿区の申込みの手引きは、「希望園の見学を希望する場合は、直接園にお問い合わせください」としています。見学の日時を曜日と時間で決めている園もあり、一家庭ずつ受ける園もあります。秋は見学が集中する時期なので、候補が決まったら早めに電話を入れてください。
見学で聞くことは、園を採点するためではなく、4月にその子がどう過ごすかを具体的に想像するためのものです。先生が答えやすい順に並べます。
- 1日の流れと、切り替えの場面——登園から降園までの流れ。「自由遊びから片付け」「昼食から午睡」のような切り替えを、どう合図しているか
- 一斉の活動と、抜けられる場所——集まりの時間に参加しにくい子がいたとき、どこで誰と過ごすか
- 発達に心配のある子の在園経験——いま、または過去に、障害児保育や特別な配慮のある子を受けているか(人数や名前を聞く必要はありません)
- 職員の加配や巡回相談の有無——区の障害児保育の枠を使った経験、区や専門機関の巡回が入っているか(しくみは加配とは)
- 外部の専門職が園に入ることへの考え——保育所等訪問支援を受け入れた経験があるか(しくみは保育所等訪問支援とは)
- 療育との併行通園の子がいるか——週に何日か園を休んで通う子への対応(しくみは併行利用の記事)
- 個別の計画をどう作っているか——保育所保育指針が求める「家庭や関係機関と連携した支援のための計画」を、いつ・誰と作り、保護者はどう関わるか
- 連絡の手段と頻度——連絡帳か、アプリか、口頭か。困った日はその日のうちに伝わるか
※ 給食とアレルギーへの対応も、必要なら聞いておきます。新宿区の手引きは、区立園では主治医の診断に基づき保護者との話し合いで対応を判断する、私立園は各園に問い合わせる、としています。感覚の偏りで食べられるものが少ないお子さんは、「アレルギーではないが極端な偏食がある」と先に伝えておくと話が早くなります。
こちらが見ておくこと
- 部屋の音と光——ざわつきが強い部屋か、静かな小部屋があるか
- 掲示物——1日の流れが絵や写真で示されているか(言葉だけの掲示より、切り替えに弱い子には効きます)
- 先生の声かけ——一斉の指示のあとに、個別に言い直している場面があるか
- 園庭・散歩先——外に出る機会と、その間の見守りの体制
全部を聞き切る必要はありません。1・2・7・8の四つが分かれば、4月の生活はかなり想像できます。残りは、内定後の面接で園長や主任に聞くほうが、具体的な答えが返ってきます。
私立幼稚園の場合——入園面接と、合理的配慮
幼稚園は、学校教育法 第26条により満3歳から小学校就学の始期に達するまでの幼児が入園できます。新宿区には私立幼稚園が9園あり、区は「私立幼稚園への入園、教育・保育内容及び預かり保育の実施時間等につきましては、直接私立幼稚園にお問合せください」としています。つまり幼稚園は、募集要項・願書・面接のすべてが園ごとです。日程も書類も、区のページには載っていません。
こども家庭庁の流れの説明にあるとおり、定員超過の場合などには「面接などの選考」があります。「面接で断られないか」という不安は、ここから生まれます。
私立幼稚園にも、合理的配慮の提供義務があります
障害者差別解消法 第8条は、事業者について、障害を理由とする不当な差別的取扱いを禁じ(第1項)、障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合に、負担が過重でないときは、必要かつ合理的な配慮をしなければならない(第2項)と定めています。内閣府のリーフレットは、令和6年4月1日から、事業者による合理的配慮の提供が努力義務から義務に変わったことを案内しています。私立幼稚園は学校法人などが運営する事業者ですから、この条文の相手方です。
リーフレットが繰り返しているのは「建設的対話」です
「合理的配慮の提供に当たっては、障害のある人と事業者等との間の『建設的対話』を通じて相互理解を深め、共に対応案を検討していくことが重要です(建設的対話を一方的に拒むことは合理的配慮の提供義務違反となる可能性もあるため注意が必要です)」。
「過重な負担」かどうかは、①事務・事業への影響の程度 ②実現可能性の程度 ③費用・負担の程度 などを、個別の事案ごとに総合的・客観的に判断する、とも書かれています。
ここから読めるのは、面接が「合否を告げられる場」ではなく「対応案を一緒に考える場」として設計されるべきものだ、ということです。こちらが具体的に困る場面と手立てを示すほど、園の側は「できる・できない・こうすればできる」を具体的に答えやすくなります。抽象的に「発達が心配です」とだけ伝えると、園も抽象的にしか答えられません。
面接の前に、文書を一枚
- 説明会や見学のときに、「発達で気になることがあり、面接の前に一度お話ししたい」と伝える。願書を出す前の相談は、園も断りにくく、こちらも記録に残らない
- 前の節の五行を一枚にして、面接の前に渡す。口頭より、園の中で共有されやすい
- 面接では、「園でこの子が困りそうな場面はどこだと思われますか」と園の見立てを先に聞く。こちらが答えを持っている場面なら、そこで手立てを伝える
- 園から条件が示されたら、その場で受け入れるか断るかを決めない。「持ち帰って考えます」でよい。理由が具体的でなければ、具体的に尋ねてよい
幼稚園教育要領は、障害のある幼児などへの指導について、「集団の中で生活することを通して全体的な発達を促していくことに配慮し、特別支援学校などの助言又は援助を活用しつつ、個々の幼児の障害の状態などに応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行う」ことと、「個別の教育支援計画を作成し活用することに努める」ことを定めています(第1章第5の1)。私立幼稚園も、この要領に沿って教育課程を編成します。「工夫を組織的に行う」側の準備を、面接で一緒に始める——そう捉えると、面接の重さが少し変わります。
※ 私立幼稚園ごとの募集要項・面接の内容・入園の判断基準は、本記事では確かめられません。園の説明会で、直接お尋ねください。
内定から4月まで——引き継ぎ・訪問支援・慣らしの段取り
新宿区の場合、1次の結果は2月13日、決定通知は入園月の前月下旬です。4月1日まで、実質6〜7週間しかありません。この期間にやることを、相手ごとに並べます。
① 内定した園と
- 観察会・面接・健康診断の日程を早く確定する(新宿区の段取りでは、検討会のあと担当者が電話で連絡し、日程を調整します)
- 五行の一枚を渡し、4月の最初の2週間をどう過ごすかを相談する。慣らし保育の期間・時間は園ごとに違うので、ここで聞く
- 「個別の計画」(保育所保育指針 第1章3(2)キ)を、いつ・誰と作るかを尋ねる。担任が決まる時期も聞いておく
② 通っている児童発達支援の事業所と
すでに児童発達支援に通っているなら、事業所には園への引き継ぎという役割があります。こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインは、事業所等から保育所や幼稚園等に移行する際、「保護者の同意を得た上で」、児童発達支援計画等を含め、こども本人の発達の状況や特性、事業所等で行ってきた支援内容等について情報を共有し、円滑に支援が引き継がれるようにするとともに、移行後のフォローアップを行うことが必要である、と書いています。また「特に入園・入学時等のライフステージの移行時における『移行支援』は……より丁寧な支援が求められる」ともあります。
- 事業所に内定した園の名前と入園日を伝え、引き継ぎの資料(支援の内容・効いた手立て)を園に渡すかどうか、同意の範囲を決める
- 4月以降も併行して通うなら、曜日と時間を園の予定(慣らし保育・行事)と突き合わせる(→併行利用)
- 園に専門職が入る保育所等訪問支援を4月から使いたいなら、受給者証にその支給決定が必要です。申請から決定までに日数がかかるので、内定が出たら3月を待たずに区市町村へ(→保育所等訪問支援とは/受給者証とは)
③ 区市町村と
- 保育の必要性の認定と、決定通知の内容(園名・保育時間・利用開始日)を確認する。新宿区の障害児等保育では、保育時間は園長が決定します
- 利用料は認定区分と世帯の所得で決まります。3歳以上の利用料の無償化と、東京都の0〜2歳の取扱いは利用料と無償化の記事に
- 医療的ケアや装具など、園に日々の対応をお願いする事項があれば、区の様式で追加の書類が要らないかを聞く
④ 家で
- 園の1日の流れを、家の1日に少しずつ寄せる(起きる時間・朝食・昼寝)。3月の途中からで間に合います
- 園で使う持ち物の名前と場所を、写真や絵で示す一枚を作る(切り替えに弱い子には、言葉より先に効きます)
- 「4月に何が起きるか」を、お子さんに先に伝える。園の写真を見せる、通園路を一度歩く。見通しは、いちばん安い配慮です
- 五行の一枚を、担任が決まったらもう一度渡す。園長に渡した一枚は、担任まで届いていないことがあります
年度の切り替わりの時期に重なる手続き全体は、年度の切り替えで、何が起きるのかに時系列で並べてあります。園と療育が対立しない関係にあることは、インクルーシブ保育の記事に条文つきで書いています。
この記事で書かないこと
一次資料で確かめられなかったこと、この記事の守備範囲の外にあることを、先に挙げておきます。
- 新宿区以外の申込期間・書類・枠——自治体ごとに違います。本文の日付と書類は新宿区の令和8年度のものです。お住まいの区市町村のページで置き換えてください
- 新宿区の「申込みの手引き」27〜38ページの本文——障害・疾病があるお子さんの申込みと利用調整の解説にあたる部分は、PDFから本文テキストとして取り出せませんでした。そのため本記事は、同じ内容を扱う区の公式ページ「新宿区の障害児等保育」と、手引き巻末の書類一覧・調整指数表の記載に拠っています
- 私立幼稚園の募集要項・面接の内容・入園の判断基準——園ごとに定めるもので、公的資料では確かめられません
- 加配の人数・体制、障害児保育の枠が各園に何人あるか——新宿区の「原則として障害児は2名まで、各園の定員内」以外は確かめていません
- 入園の可否そのもの——「必ず入れる」「入れない」のどちらも、この記事では書きません。利用調整と検討会の結果は個別に決まります
- 医学的な判断——主治医意見書に何を書くかは医師の領分です。相談先は、園・保健センター・かかりつけ医・児童発達支援の事業所で止めます
発達そのものの目安は3歳の発達で気になることに、児童発達支援のしくみ全体は児童発達支援 完全ガイドにまとめてあります。
出典
- 子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)|e-Gov法令検索第19条=子どものための教育・保育給付の三つの区分(1号=満3歳以上/2号=満3歳以上で保護者の労働又は疾病その他の内閣府令で定める事由により家庭において必要な保育を受けることが困難/3号=満3歳未満で同じ事由により困難)/第20条第1項=保護者は市町村に対し子どもごとに認定を申請し認定を受けなければならない、第2項=認定は保護者の居住地の市町村が行う、第3項=保育必要量(月を単位)の認定/第33条第1項=特定教育・保育施設の設置者は利用の申込みを受けたときは正当な理由がなければ拒んではならない、第2項=定員を超える場合は公正な方法で選考しなければならない/第42条第1項=市町村は保護者から求めがあった場合等に、保護者の希望・子どもの養育の状況・保護者に必要な支援の内容その他の事情を勘案して相談に応じ、助言又はあっせんを行い、必要に応じて設置者に利用の要請を行う、第2項=設置者はあっせん及び要請に協力しなければならない。
- 児童福祉法(昭和22年法律第164号)|e-Gov法令検索第24条第1項=市町村は保護者の労働又は疾病その他の事由により保育を必要とする場合に児童を保育所において保育しなければならない/第3項=保育所等が不足し又は不足するおそれがある場合その他必要と認められる場合には利用について調整を行うとともに設置者等に利用の要請を行う/第4項=優先的に保育を行う必要があると認められる児童について保護者に申込みを勧奨し、保育を受けることができるよう支援しなければならない。
- 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)|e-Gov法令検索第7条=行政機関等における不当な差別的取扱いの禁止と合理的配慮の提供義務/第8条第1項=事業者は障害を理由として不当な差別的取扱いをすることにより障害者の権利利益を侵害してはならない、第2項=事業者は社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において負担が過重でないときは必要かつ合理的な配慮をしなければならない。
- 学校教育法(昭和22年法律第26号)|e-Gov法令検索第26条=幼稚園に入園することのできる者は、満三歳から、小学校就学の始期に達するまでの幼児とする。
- こども家庭庁「よくわかる『子ども・子育て支援新制度』」認定区分と利用できる施設(1号=幼稚園・認定こども園/2号=保育所・認定こども園/3号=保育所・認定こども園・地域型保育)/新制度に移行しない幼稚園を利用する場合は認定を受ける必要はないこと/利用手続きの基本的な流れ=幼稚園などは施設に直接申込み→施設から内定(定員超過の場合などには面接などの選考あり)→施設を通じて認定申請→認定証交付→契約、保育所などは市町村に直接認定を申請(利用希望の申込も同時にできる)→保育の必要性を認めた場合に認定証交付→利用希望の申込み→市町村が利用調整→利用先の決定後に契約/利用調整とは=市町村が定める基準に基づき保護者の状況などに応じ保育の必要性などから優先順位をつけ利用する施設などを決めること。
- こども家庭庁 成育局保育政策課 事務連絡「保育所等における障害のあるこどもの受入れについて」(令和6年12月5日)保育所等における障害のあるこどもの受入れ数は約9万人で10年前と比較すると約2倍であること/正当な理由なく障害を理由として保育の提供を拒否する又は場所・時間帯などを制限すること、保育標準時間の取扱いに差異を設けることなどの不当な差別的取扱いは行わないよう求めていること/正当な理由の判断は安全の確保・事業の目的・内容・機能の維持・損害発生の防止などの観点から個別に総合的・客観的に判断すること/正当な理由があると判断した場合は障害のあるこどもや保護者に丁寧かつ具体的にその理由を説明し理解を得るように努めること/参考2(こども家庭庁所管事業分野の対応指針)=合理的配慮を提供等するために必要な範囲でプライバシーの保護に配慮しつつ障害の状況等を確認することは不当な差別的取扱いには当たらないこと。
- こども家庭庁「基礎資料(多様なニーズに対応した保育の充実①(障害児・医療的ケア児等))」障害児保育の概要=昭和49年度より予算補助事業として障害児の保育に対応する職員を加配/平成15年度より一般財源化し地方交付税により措置/平成19年度より対象児童を「特別児童扶養手当支給対象児童」から「軽度障害児」まで拡大/平成30年度に400億円程度から880億円程度に拡充し受入障害児数による算定に変更/保育所等における障害児等の受入れは交付税措置による加配や療育支援加算等により受入体制の充実を図ってきたこと/保育所等と児童発達支援事業所等の併行通園が進んでいること。
- 保育所保育指針(こども家庭庁 掲載/平成30年度~)第1章3(2)キ=障害のある子どもの保育については一人一人の子どもの発達過程や障害の状態を把握し、障害のある子どもが他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう指導計画の中に位置付けること、家庭や関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成するなど適切な対応を図ること/第4章2(2)イ=子どもに障害や発達上の課題が見られる場合には市町村や関係機関と連携及び協力を図りつつ保護者に対する個別の支援を行うよう努めること。
- 幼稚園教育要領(平成29年文部科学省告示第62号)第1章第5の1=障害のある幼児などへの指導に当たっては集団の中で生活することを通して全体的な発達を促していくことに配慮し、特別支援学校などの助言又は援助を活用しつつ個々の幼児の障害の状態などに応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うこと、個別の教育支援計画を作成し活用することに努めるとともに個別の指導計画を作成し活用することに努めること。
- 内閣府 リーフレット「障害者差別解消法が変わりました! 令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されました」令和3年の法改正により令和6年4月1日から事業者による合理的配慮の提供が義務化されたこと/合理的配慮の提供に当たっては障害のある人と事業者等との間の「建設的対話」を通じて相互理解を深め共に対応案を検討していくことが重要であり、建設的対話を一方的に拒むことは義務違反となる可能性があること/「意思の表明」には本人の意思表明が困難な場合に家族や介助者などコミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含まれること/「過重な負担」は①事務・事業への影響の程度 ②実現可能性の程度 ③費用・負担の程度 等を考慮し個別の事案ごとに総合的・客観的に判断すること。
- こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」(令和6年7月)第3章(3)移行支援=特に入園・入学時等のライフステージの移行時における「移行支援」は、こどもを取り巻く環境が大きく変化することも踏まえ、支援の一貫性の観点からより丁寧な支援が求められること/第5章3 保育所や幼稚園等との連携=事業所等から保育所や認定こども園、幼稚園等に移行する際には保護者の同意を得た上で、児童発達支援計画等を含め、こども本人の発達の状況や特性、事業所等で行ってきた支援内容等について情報を共有し、円滑に支援が引き継がれるようにするとともに移行後のフォローアップを行うことが必要であること/併行利用をしている場合は当該保育所等と支援内容等を共有するなど連携して支援に当たること。
- 新宿区「認可保育園・認定こども園[保育園機能]・地域型保育事業 入園(転園)申込み」令和8年4月入園=1次申込み受付期間 令和7年10月28日〜12月5日・結果発表予定 令和8年2月13日/2次申込み 令和7年12月6日〜令和8年2月3日・結果発表予定 2月27日(1次申込みができなかった方が対象、2次用の募集枠を設けているわけではなく1次の利用調整後の選考)/5月以降は入園希望月ごとに前月上旬締切(5月入園=4月6日締切・4月15日発表)、3月入園はないこと/申込方法は郵送または電子申請が基本で、電子申請ができない方に「障害・疾病があるお子さん、発達・発育に心配があるお子さん、医療的ケアが必要なお子さんの入園を希望する方」が明記され、窓口での申込み・相談は事前に電話で保育課入園・認定係(03-5273-4527)に来庁日時を予約すること/同ページからリンクされる「新宿区認可保育園等の申込みの手引き【令和8年度版】」PDFの記載=申込書類一覧の「お子さんに障害・疾病、発育・発達の心配がある場合」に子どもの状況(区様式)・主治医意見書(区様式)・手帳の写し・お子さんの状況がわかる書類(母子健康手帳の写し等)、窓口での申込み(来庁日時要予約)/「希望園の見学を希望する場合は、直接園にお問い合わせください」/調整指数表 項目16「障害児」=申込児童が身体障害者手帳・療育手帳(愛の手帳)の交付を受けている場合 2点/区立園の食物アレルギー対応は主治医の診断に基づき保護者との話し合いで判断、私立園は各園に問い合わせること。
- 新宿区「新宿区の障害児等保育」「入園申込みにあたって、お子さんの健康状況、発育状況について、気になることがありましたらご相談ください」/集団での保育であるため保育士が常に1対1で対応するものではないこと(障害・発達に関する専門的な訓練は行わない)/対象=区内在住で集団保育が可能な心身に障害を有するお子さんや特別な配慮を要するお子さん/障害や疾病でなくても日常的に装具等の着用が必要な場合に主治医意見書等の提出をお願いすることがあること/認可保育園・認定こども園の全園で実施、原則として障害児は2名まで各園の定員内で受入れ/保育時間は発達過程や障害の状態、保護者の就労状況等に応じて園長が決定/流れ=申込み(各月の締切日まで、事前に電話予約のうえお子さんと一緒に来庁、入園申込書一式のほか子どもの状況(区様式)・主治医意見書(区様式)・手帳の写し・状況がわかる書類)→内々定した園での観察会→入園及び保育環境検討会(医師・園長・担当者、必要に応じ子ども総合センター職員等が出席し集団保育が可能かどうかを判定、終了後に電話で連絡)→内定した園での面接・健康診断→入園決定(入園月の前月下旬に保育所等利用決定通知書)/園での生活をしばらく観察する必要があると認められた場合は内々定の園で保育観察(原則として1か月以内)を行うこと。
- 新宿区「私立幼稚園について」新宿区内には私立幼稚園が9園あり、すべての園で3年保育と預かり保育を実施していること/「私立幼稚園への入園、教育・保育内容及び預かり保育の実施時間等につきましては、直接私立幼稚園にお問合せください」と案内していること。
※上記の出典は2026年9月7日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
申込書に発達のことを書くと、入園に不利になりますか?
順位を決める「利用調整」の物差しは保育の必要性です。新宿区の調整指数では、手帳の交付を受けているお子さんに2点の加点がある一方、発達に心配がある段階のお子さんは加点も減点もありません。伝えたこと自体を理由に扱いを変えることは、子ども・子育て支援法 第33条(正当な理由がなければ拒んではならない)と、こども家庭庁の事務連絡(障害を理由とした提供の拒否や時間帯の制限は不当な差別的取扱い)が退けています。ただし定員と集団保育が可能かどうかの判定はあるので、「必ず入れる」とは書けません。
診断も手帳もありません。それでも「発達に心配がある」として申し込むのですか?
はい、その枠で申し込めます。新宿区の障害児等保育の対象は「心身に障害を有するお子さんや特別な配慮を要するお子さん」で、後者は診断を前提にしていません。申込みの書類は「子どもの状況」と「主治医意見書」(いずれも区様式)で、診断名の欄が埋まらなくても構いません。書くべきなのは、集団で困りやすい場面と、家で効いている手立てです。
「加配が要るなら早めに」と言われました。いつまでに、誰に言えばよいですか?
保育園なら、
1次申込みの締切までに区市町村の窓口です。新宿区の令和8年4月入園は12月5日が1次の締切で、発達に心配があるお子さんは電子申請ではなく窓口申込み(要予約)です。申込みで伝えたことを起点に、観察会と検討会が動きます。主治医意見書に医師の記入が要るので、11月のはじめには様式が医師の手元にあるよう逆算してください。加配そのもののしくみは
加配とはにまとめてあります。
見学で、何を聞けばよいですか?
まず四つです。①1日の流れと切り替えの合図 ②一斉活動に参加しにくいときに過ごせる場所 ③個別の計画をいつ誰と作るか ④連絡の手段と、困った日にその日のうちに伝わるか。余裕があれば、加配や巡回相談の経験、保育所等訪問支援を受け入れた経験、療育と併行して通う子がいるかを尋ねます。新宿区の手引きは「希望園の見学を希望する場合は、直接園にお問い合わせください」としています。
私立幼稚園の面接で、発達のことを言わないほうがよいでしょうか?
言うかどうかはご家庭の判断ですが、伝えたほうが園は具体的に動けます。障害者差別解消法 第8条により、私立幼稚園を含む事業者には令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務になっています。内閣府のリーフレットは「建設的対話」を通じて共に対応案を検討することが重要だとし、家族が本人を補佐して行う意思の表明も含まれると書いています。面接の前に、困る場面と手立てを五行の一枚にして渡すのが近道です。
申込みのあとで診断がつきました。今からでも伝えられますか?
はい。入園前なら区市町村の窓口、入園後なら園に伝えてください。保育所保育指針 第4章2(2)イは、子どもに障害や発達上の課題が見られる場合に、市町村や関係機関と連携しつつ保護者に対する個別の支援を行うよう努めることを園に求めています。入園後に分かった場合の受け皿は、指針の側に最初からあります。
内定が出ました。4月までに、いちばん先にやることは何ですか?
4月から園に専門職が入る保育所等訪問支援を使いたいなら、受給者証にその支給決定が要り、申請から決定まで日数がかかります。内定が出たら3月を待たずに区市町村へ。次に、通っている児童発達支援の事業所に園名と入園日を伝え、引き継ぎ資料を園に渡す同意の範囲を決めます。児童発達支援ガイドラインは、移行の際に「保護者の同意を得た上で」情報を共有し、移行後のフォローアップを行うことが必要だとしています。
保育園と幼稚園、発達に心配があるならどちらが向いていますか?
この記事では決めません。制度上の違いは、保育園は区市町村に申し込んで利用調整で決まり、障害児保育の枠と手続きが自治体ごとにあること、幼稚園は園に直接申し込み、園ごとに面接と受け入れの判断があることです。どちらにも、個別の計画を作る規定(保育所保育指針 第1章3(2)キ/幼稚園教育要領 第1章第5の1)があります。見学で四つの項目を聞いて、4月のその子の1日を想像できたほうを選ぶのが、いちばん確かな方法です。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
お子さまのこと、専門スタッフに相談してみませんか
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士・保育士など多職種の専門スタッフが在籍しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。