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📋 手続き・制度

年度替わりに、何が切り替わるのか——3月までにやること、4月に起きること

最終更新:2026年9月7日
年が明けたころから、園でも役所でも「4月から」という言葉が増えていきます。
福祉と教育の制度は、そのほとんどが4月1日から翌年3月31日までの1年(年度)を単位に動いています。そのため3月と4月には、種類の違う手続きがいくつも重なります。なかでも大きいのが、児童発達支援(就学前)から放課後等デイサービス(就学後)への切り替えです。ここは「同じ受給者証のまま4月から使えるだろう」と考えていると、案内とずれてしまうところでもあります。
このページでは、何が年度で切り替わり、何が年度とは関係なく動くのかを条文で確かめたうえで、3月までにやること4月に起きることを時系列に並べます。急ぐ話ではありません。順番が分かっていれば、ひとつずつで間に合います。

なぜ、3月と4月に手続きが重なるのか

手続きが3月と4月に集まるのには、はっきりした理由が二つあります。どちらも法令に書かれています。

お金の1年と、学校の1年が、どちらも4月始まりです

地方自治法 第208条「普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。」
学校教育法施行規則 第59条「小学校の学年は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。」
同施行規則第39条により、この第59条は幼稚園にも準用されます。つまり、園の1年も4月始まりです。

区市町村が使えるお金は会計年度ごとに区切られ、園や学校の1年も4月に始まります。障害児通所支援は市区町村が費用を給付するしくみですから、この二つの「1年」の切れ目に、制度の側の予定も、園や学校の側の予定も、そろって重なることになります。

年度で切り替わるもの/年度とは別に動くもの

ただし、年度替わりに関係するものがすべて4月1日にそろって切り替わるわけではありません。ここを分けておくと、3月に何を確かめればよいかがはっきりします。

何がいつ切り替わるか
園・学校の学年4月1日にそろって切り替わります(学校教育法施行規則 第59条。第39条で幼稚園に準用)
放課後等デイサービスを使えるようになる時期学校に就学してからです。児童福祉法 第6条の2の2 第3項が「就学している障害児」と定めています
無償化の期間満3歳になって最初の4月1日から3年間(こども家庭庁)。誕生日ではなく、4月1日が起点です
受給者証の有効期間年度末とは限りません。児童福祉法施行規則 第18条の17は「決定を行った日からその月の末日まで+1か月から12か月の範囲で市区町村が定める期間」と定めています
=決定した月から数えるため、証によって満了月が違います
利用者負担の上限月額世帯の住民税をもとに決まるため、税の年度が変わると見直されることがあります。証の負担額欄と適用期間の欄をあわせて確かめます

※ 表の「いつ」は、法令とこども家庭庁の資料に書かれている範囲です。実際の受付日程・様式・窓口は市区町村ごとに違いますので、最後はお住まいの区市町村の案内で確かめてください。

児童発達支援から放課後等デイサービスへ——ここだけは「新しい申請」になります

年度替わりでいちばん大きい切り替えが、これです。まず、法律が何と書いているかを見ます。

児童福祉法 第6条の2の2(障害児通所支援)

第1項 この法律で、障害児通所支援とは、児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援及び保育所等訪問支援をいい……

第2項 この法律で、児童発達支援とは、障害児につき、児童発達支援センターその他の内閣府令で定める施設に通わせ、日常生活における基本的な動作及び知識技能の習得並びに集団生活への適応のための支援……を供与……することをいう。

第3項 この法律で、放課後等デイサービスとは、学校教育法……第一条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)又は専修学校等……に就学している障害児……につき、授業の終了後又は休業日に……生活能力の向上のために必要な支援、社会との交流の促進その他の便宜を供与することをいう。

条文を読むと、放課後等デイサービスの側にだけ「就学している障害児」という条件が書かれていることが分かります。一方の児童発達支援は、条文上は「障害児につき」とあるだけで、「未就学」という語は法律の本文には出てきません。では、なぜ実際の案内では「未就学児が対象」と書かれているのか。根拠は、法律の下にある二つの層にあります。

同じ受給者証のまま、4月から放課後等デイサービスを使えるのか

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。受給者証には「障害児通所支援の種類」が書かれています(児童福祉法施行規則 第18条の18 第4号)。児童発達支援で決定を受けた証には、児童発達支援と書かれています。そして、決定した内容を変えるための「変更申請」でできることは、同施行規則 第18条の20により「支給量」と定められています。つまり、サービスの種類そのものが変わる場合は、支給量の変更ではなく、あらためて申請する形になります。実際、区の案内もそう書かれています。

板橋区「児童発達支援から放課後等デイサービスの切り替えについて(就学後のサービス申請)」

「児童発達支援は就学前の児童を対象としたサービスとなります。就学後新たに放課後等デイサービスや保育所等訪問支援をご利用になる場合には再度申請が必要となりますので、お手続きをお願いします。」

(同ページの注意事項より)「受給者証は3月中旬以降に発送となります。」

何を出すのか——板橋区の例で、書類の名前まで見ておきます

書類の名前が分かっていると、園や相談支援専門員に相談するときに話が早くなります。板橋区が挙げている、就学後に放課後等デイサービスを利用する場合の書類は次のとおりです。

「児童発達支援を使っていたのに、また診断書が要るのですか」と思われるかもしれません。これは、放課後等デイサービスが別の種類のサービスとして、あらためて決定されるためです。手帳や医療受給者証をお持ちなら不要ですし、直近に提出した診断書が使える扱いもあります。まず手元にある書類で足りるかどうかを、区の窓口に電話で1回聞くのがいちばん早い道です。

窓口そのものが変わる区もあります

葛飾区は、申請の相談先を次のように分けています。児童発達支援は子ども総合センター、放課後等デイサービスは障害福祉課相談係です。申請書も「未就学児児童調査票」「就学児児童調査票」で様式が分かれています。「去年と同じところに電話すればよい」とは限らない、ということです。

※ 必要書類・様式・窓口は区市町村ごとに違います。ここに挙げたのは板橋区・葛飾区が公式ページで公開している内容です。お住まいの区市町村の案内をご覧ください。

受給者証のどこを見ればよいか——有効期間は、年度末とは限りません

「うちの証は、いつまで有効なのだろう」。ここは条文で決まっているので、はっきり書けます。

児童福祉法施行規則 第18条の17(通所給付決定の有効期間)

「法第二十一条の五の七第八項に規定する内閣府令で定める期間は、通所給付決定を行つた日から当該日が属する月の末日までの期間一月間から十二月間までの範囲内で月を単位として市町村が定める期間を合算して得た期間とする。

通所給付決定を行つた日が月の初日である場合にあつては、前項の規定にかかわらず、一月間から十二月間までの範囲内で月を単位として市町村が定める期間を通所給付決定の有効期間とする。」

読み替えると、こういうことです。有効期間は「決定した日」から数え始めます。決定が10月なら10月末までの端数がまずあり、そこに市区町村が決めた1〜12か月が足されます。だから、満了月は証によって違います。年度末(3月31日)にそろっているとは限りません。3月に「更新のお知らせが来ないけれど大丈夫だろうか」と心配になったら、まず証の日付欄を見てください。

証に書いてあることは、法令で決まっています

受給者証に何を書くかも、児童福祉法施行規則 第18条の18に列挙されています。次の7つです。

この4番目と5番目が、年度替わりで確かめたい2か所です。種類が「児童発達支援」のままなら、放課後等デイサービスはその証では使えません。有効期間が3月末より先まであっても、それは「児童発達支援の決定が続いている」という意味です。

今夜のうちにできる、3分の確認

  1. 受給者証を出して、「障害児通所支援の種類」の欄を見る。何と書かれていますか
  2. 「支給量」の欄を見る。1か月あたり何日と書かれていますか(支給量の単位は、施行規則 第18条の16で1か月と定められています)
  3. 「有効期間」の欄を見る。満了日は何月何日ですか。3月31日ですか、それとも別の月ですか
  4. 「負担上限月額」の欄を見る。金額と、その適用期間が書かれているはずです
  5. この4つをメモに書き写しておく。窓口でも園でも事業所でも、最初に聞かれるのはここです
江東区が、まぎらわしいところにはっきり注釈をつけています

「受給者証に印字される負担上限月額欄は、住民税から算出された負担上限月額を印字していますが、無償化対象期間中は対象となるサービスの利用者負担は発生しません。」

無償化対象期間は当該児童の無償化対象となる期間であり、支給決定期間とは異なりますのでご注意ください。」

=証に金額が書いてあっても、無償化の対象期間中は払いません。そして無償化の期間と、証の有効期間は、別々に動きます

※ 受給者証は、障害者手帳(身体障害者手帳・愛の手帳・精神障害者保健福祉手帳)とは別のものです。港区の公式ページも「障害者手帳……ではありません」と明記しています。

無償化は「満3歳になって最初の4月1日」から数えます

無償化の期間は、誕生日からではありません。ここは、こども家庭庁の資料に一行で書かれています。

こども家庭庁「児童発達支援等の利用者負担が無償化されます」(就学前障害児の発達支援の無償化)

「無償化の対象となる期間は、『満3歳になって初めての4月1日から3年間』です。」

無料となるサービスとして挙げられているのは、児童発達支援/医療型児童発達支援/居宅訪問型児童発達支援/保育所等訪問支援(および福祉型・医療型障害児入所施設)です。

無償化にあたり、新たな手続きは必要ありません。

「利用者負担以外の費用(医療費や、食費等の現在実費で負担しているもの)は引き続きお支払いいただくことになります。」

つまり、3歳の誕生日ではなく、そのあと最初に来る4月1日が起点です。たとえば夏に3歳になったお子さんなら、その年の秋ではなく、翌年の4月1日から3年間ということになります。そして3年後——ちょうど小学校に上がる直前の3月31日で、この期間は終わります。無償化の期間の終わりと、就学の時期が重なっているのは、そういう数え方だからです。

放課後等デイサービスは、この無償化の対象に入っていません

上のこども家庭庁の資料に並んでいるサービス名を、もう一度見てください。放課後等デイサービスは入っていません。これは「就学前障害児の発達支援の無償化」という制度だからです。東京都の資料にも、同じことが明記されています。

制度対象と期間
国の制度
就学前障害児の発達支援の無償化
児童発達支援・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援など。
期間=満3歳になって初めての4月1日から3年間。手続きは不要
東京都の制度
児童発達支援事業所等利用支援事業
同じ3サービスの0〜2歳が対象。「放課後等デイサービスは対象外です」と明記。
「年度の途中で満3歳に達する場合でも、満3歳に達する日以後の最初の3月31日までの間は対象」
=国の起算日にちょうど接続する形になっています

東京都のページには、年度替わりに関係する注記もあります。「申請は原則最初の1回のみです。年度が替わった場合でも再度の申請は不要です。」=この給付については、4月に出し直す書類はありません。

区の側の案内も見ておきます。大田区は「令和7年9月1日利用分から、東京都の制度を利用し0歳から2歳までの児童発達支援等の利用者負担額が無償化されます。無償化の対象となる期間は、国制度の無償化対象になるまでの期間です」と書いています。江東区も「国制度:満3歳になって初めての4月1日から3年間/区制度:国制度の対象となるまでの期間」と、二つを並べて示しています。

無償化の期間が終わったあと、負担はどうなるのか

小学校に上がって放課後等デイサービスに移ると、利用者負担が発生します。しくみはこうです。児童福祉法 第21条の5の3 第2項は、給付される額を「基準により算定した費用の額」から「家計の負担能力その他の事情をしん酌して政令で定める額(その額が費用の額の百分の十に相当する額を超えるときは、当該相当する額)」を差し引いた額としています。

読み替えると、こうなります

世帯の所得に応じた負担上限月額が決まっていて、その上限額に達するまでは費用の1割を払い、上限額を超えた分は払いません。たくさん利用しても、上限額より多くなることはない、というしくみです。

大田区が公開している上限月額の区分は、生活保護受給世帯=0円/区市町村民税非課税世帯=0円/課税世帯(所得割28万円未満)=4,600円/課税世帯(所得割28万円以上)=37,200円 です。

上限月額が4,600円で2か所以上の事業所を使う場合は、どこか1か所を上限額を管理する事業所と決めて届け出る手続きがあります(大田区・板橋区とも「利用者負担上限額管理事務依頼(変更)届出書」として案内しています)。4月から放課後等デイサービスを2か所にする予定なら、この届出も一緒に出すことになります。

※ 上限月額の区分・金額は国の制度によるもので、ここでは大田区の公開表を引きました。食費・教材費・おやつ代など、実費でお支払いいただくものは無償化の対象外です。多子軽減など区独自の軽減もありますので、金額のことは区の窓口でご確認ください。

保育所等訪問支援は、入学したあとも使えます

「園に来てもらう支援だから、卒園したら終わりですね」——そう受け取られることがあります。けれど、訪問先として何が認められているかは内閣府令に列挙されていて、そこに学校が入っています。

児童福祉法施行規則 第1条の2の5(保育所等訪問支援の訪問先)

「法第六条の二の二第五項に規定する内閣府令で定める施設は、乳児院、保育所、児童養護施設、学校教育法……に規定する幼稚園小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)及び特別支援学校、……認定こども園……その他児童が集団生活を営む施設として市町村が認める施設とする。」

小学校(義務教育学校の前期課程を含む)と特別支援学校が、条文にそのまま書かれています。保育所等訪問支援そのものの定義(児童福祉法 第6条の2の2 第5項)も、「当該施設を訪問し、当該施設における障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援その他の便宜を供与すること」で、就学前に限る書き方はしていません。

ただし、就学後に使うときは、あらためて申請します

放課後等デイサービスと同じ考え方です。板橋区の案内は、放課後等デイサービスと並べて「就学後新たに放課後等デイサービスや保育所等訪問支援をご利用になる場合には再度申請が必要となります」と書き、保育所等訪問支援を希望する場合の書類として計画案またはセルフプラン/保育所等訪問支援 支援方針/医師の診断書を挙げています。

支給量の目安も、区が公開しています。大田区の支給量基準は児童発達支援・放課後等デイサービスが月23日、居宅訪問型児童発達支援が月10日、保育所等訪問支援が月5日です(児童の状況により上限を超えて決定される場合がある、と注記があります)。訪問支援は「毎日行くもの」ではなく、月に数回、集団の場そのものに入って調整するものだと分かります。

※ 保育所等訪問支援は、国の無償化(満3歳になって最初の4月1日から3年間)の対象サービスに含まれています。就学後に利用する場合は、その3年間を過ぎていますので、負担上限月額のしくみが適用されます。

事業所を変える・増やすときは、いつ動くとよいのか

「4月から通う場所を変えたい」「1か所増やしたい」。この場合、逆算のもとになるのは区の審査の日程受給者証が手元に届くまでの日数です。どちらも公開されています。

江東区「障害児通所支援について」——日付まで書かれています

「申請書受理後、月2回(第1・3木曜日)の支給会議で内容を審査します。支給決定後、受給者証を郵送します。」
「(注意)利用開始日は会議日の翌日からとなります。」
「(注意)会議日の前の週の金曜日までに手続きを完了してください。」
「(注意)必ず区役所に事前に連絡をしてください。申請要件等を確認する必要があります。」

大田区は、別の角度から日数を示しています。「支給決定から通所受給者証の送付までに1か月程度かかります。」そして「通所受給者証がお手元に届きましたら、通所支援事業所と契約していただき、サービスを利用することができます」——契約は、証が届いてからです。

だから、順番はこうなります

  1. まず事業所に空き状況を聞く。江東区は「希望する事業所に直接連絡をして空き状況の確認や見学をしてください」を、区役所への連絡よりの手順として書いています
  2. 区役所に事前連絡する。申請の要件・必要書類・様式を確認します(要件は区によって違います。江東区は「1年以内に発達センター等から療育が必要な旨の指摘を受けた児童が対象」と書いています)
  3. 計画案またはセルフプランを用意する。相談支援事業所に依頼するか、保護者が作る(セルフプラン)かを選べます。様式と記入例は、多くの区が公式ページで配布しています
  4. 申請書類を出す。ここから審査です。江東区なら支給会議、大田区なら証の送付まで1か月程度
  5. 受給者証が届いてから、事業所と契約する。ここでようやく利用が始まります

つまり「4月から」と思うなら、動き出しは年内から1月ごろが落ち着いた線になります。板橋区が「受給者証は3月中旬以降に発送となります」と書いているのは、3月に申請して4月に間に合わせる想定ではないということでもあります。

回数だけを増やしたいときは、手続きが軽くなります

サービスの種類は同じままで、1か月の日数(支給量)だけを増やしたい・減らしたいときは、「変更申請」という別の入口があります。児童福祉法 第21条の5の8 第1項が「現に受けている通所給付決定に係る障害児通所支援の支給量その他の内閣府令で定める事項を変更する必要があるとき」の申請を定めていて、施行規則 第18条の20が、その「内閣府令で定める事項」を支給量としています。決定が変わったときは、受給者証に記載して返してもらう形になります(同条第4項)。

※ 引っ越し・氏名の変更・世帯の状況が変わったときは、届出の様式が別にあります(大田区は「申請内容変更申出書」、電子申請も案内しています)。受給者証を汚した・なくした場合の再交付も、施行規則に手続きが定められています。

園から学校へ、記録はどう引き継がれるのか

「これまで園でしてもらってきた工夫は、4月から誰が知っているのだろう」。ここも、書類の名前まで決まっています。

保育所から小学校へ——保育所児童保育要録

「保育所保育指針の適用に際しての留意事項について」(平成30年3月30日・厚生労働省子ども家庭局保育課長通知)

「保育所児童保育要録は、最終年度の子どもについて作成すること。作成に当たっては、施設長の責任の下、担当の保育士が記載すること。」
「子どもの就学に際して、作成した保育所児童保育要録の抄本又は写しを就学先の小学校の校長に送付すること。」

「作成に当たっては、保護者との信頼関係を基盤として、保護者の思いを踏まえつつ記載するとともに、その送付について、入所時や懇談会等を通して、保護者に周知しておくことが望ましいこと。」

この通知には、配慮を要する子どもについての書き方まで踏み込んだ一節があります。「診断名及び障害の特性のみではなく、その子どもが育ってきた過程について、その子どもの抱える生活上の課題、人との関わりにおける困難等に応じて行われてきた保育における工夫及び配慮を考慮した上で記載すること」。さらに、「保育所、児童発達支援センター等の関係機関で行われてきた支援が就学以降も継続するように、保護者の意向及び個人情報の取扱いに留意しながら、必要に応じて、保育所における支援の情報を小学校と共有することが考えられる」とも書かれています。

つまり、引き継がれるのは診断名ではなく、うまくいったやり方です。そして保護者の意向を踏まえることが、通知の側から求められています。「これは伝えてほしい」「この言い方だと伝わりやすい」を園に伝えてよい、ということです。

幼稚園から小学校へ、そして学校から学校へ——指導要録

学校教育法施行規則 第24条

第1項 校長は、その学校に在学する児童等の指導要録……を作成しなければならない。
第2項 校長は、児童等が進学した場合においては、その作成に係る当該児童等の指導要録の抄本又は写しを作成し、これを進学先の校長に送付しなければならない

「送付しなければならない」——義務として書かれています。幼稚園も学校教育法第1条の学校ですから、この総則の規定が及びます。転学のときは、写しを転学先の校長・保育所の長・認定こども園の長に送る、という第3項もあります。

学校のなかで長く使う書類——個別の教育支援計画

学校教育法施行規則 第134条の2ほか

第134条の2 第1項 校長は、特別支援学校に在学する児童等について個別の教育支援計画(学校と医療、保健、福祉、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体との連携の下に行う当該児童等に対する長期的な支援に関する計画をいう。)を作成しなければならない。
第2項 ……作成するに当たつては、当該児童等又はその保護者の意向を踏まえつつ、あらかじめ、関係機関等と当該児童等の支援に関する必要な情報の共有を図らなければならない。

第139条の2=この規定は小学校等の特別支援学級の児童生徒に準用。
第141条の2通級による指導(第140条の特別の指導)を受けている児童生徒に準用。

特別支援学校だけの話ではありません。特別支援学級にも、通級にも準用されます。そして条文は「関係機関との連携の下に行う長期的な支援に関する計画」と書いています。=放課後等デイサービスや医療機関も、この「関係機関」に含まれ得る、という前提の書き方です。

事業所の側からも、引き継ぐことになっています

こども家庭庁の児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)は、事業所が行う支援の柱のひとつに「移行支援」を挙げ、支援内容として「具体的な移行先との調整」「移行先との支援方針・支援内容の共有や、こどもの状態・親の意向・支援方法についての伝達」「家族への情報提供や移行先の見学調整」「移行先の受け入れ体制づくりへの協力」を並べています。同ガイドラインの自己評価の項目にも「就学時の移行の際には、小学校や特別支援学校(小学部)との間で、支援内容等の情報共有と相互理解を図っているか」という一問があります。

※ 情報の共有には、保護者の意向と個人情報の取扱いへの配慮が前提として書かれています。「どこまで、誰に伝えるか」は、園・事業所・学校に対して保護者から希望を伝えてよいところです。

4月のひと月は、子どもにとってどんな時期か

手続きの話が続きましたので、ここで4月そのものの話をします。国の側も、この時期を特別なものとして書いています。

こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」「放課後等デイサービスガイドライン」(ともに令和6年7月)

「なお、特に入園・入学時等のライフステージの移行時における『移行支援』は、こどもを取り巻く環境が大きく変化することも踏まえ、支援の一貫性の観点から、より丁寧な支援が求められる。」(児童発達支援ガイドライン)

「なお、特に入学・進学・就職時等のライフステージの移行時における『移行支援』は、こどもを取り巻く環境が大きく変化することも踏まえ、支援の一貫性の観点から、より丁寧な支援が求められる。」(放課後等デイサービスガイドライン)

同じ一文が、就学前の側にも就学後の側にも置かれています。環境が大きく変わる時期だから、支援の側がより丁寧にする——これは、家庭に向けて「気をつけてください」と言っているのではなく、支援する側の仕事として書かれているという点が大事なところだと思います。

4月に変わるものを、数えてみると

大人でも、この6つが同じ週に変わったら疲れます。4月にいつもより眠かったり、家でよく甘えたりするのは、変化の量に見合った反応として受け取っておいて差し支えないと思います。

家庭でできる備え——変わらないものを、いくつか残しておく

手を増やすより、変えないものを決めておくほうが、この時期は効きます。

放課後の場は、放課後等デイサービスだけではありません

児童福祉法 第6条の3 第2項は放課後児童健全育成事業(いわゆる学童)を「小学校に就学している児童であつて、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業」と定めています。放課後等デイサービスガイドラインも、放課後児童クラブ等と併行利用している場合の連携や、「併行利用の場合の利用日数や利用時間等の調整」を、事業所の支援内容として挙げています。どちらか一方しか選べない、というものではありません。

※ 学童(放課後児童健全育成事業)の申込みは、障害児通所支援とは別の制度で、受付の時期も窓口も別です。両方を考えている場合は、それぞれの区市町村の案内で日程を確かめてください。

3月までにやること/4月に起きること——時系列で並べます

最後に、ここまでの話を時間順に並べます。日程は区市町村ごとに違いますので、「この順で動く」という並びだけを持ち帰っていただければ十分です。

時期起きること・やること
秋(10〜11月ごろ)就学先の話が具体的になってくる時期です。
この時期に医師の診断書を出していれば、就学後の申請で使えることがあります(板橋区は「10月以降に診断書を提出された方……は診断書の提出は不要」と案内)
12月〜1月受給者証を出して、種類・支給量・有効期間・負担上限月額の4か所を確かめる。
放課後等デイサービスを考えているなら、この時期に区の窓口へ1回電話をして、必要書類と受付の時期を聞いておきます
1月〜2月事業所に空き状況を聞く・見学する。区役所への申請より前の手順として案内している区があります(江東区)。
相談支援専門員がついている場合は、就学後も担当できるかを確認します(板橋区が注意書きにしています)
2月〜3月上旬申請書類を出す。計画案またはセルフプラン、就学児向けの調査票、診断書など。
2か所以上を使う予定なら、上限額を管理する事業所の届出も一緒に出します
3月中旬〜下旬受給者証が届きます(板橋区は「3月中旬以降に発送」)。
届いたら、種類の欄に「放課後等デイサービス」と入っているかを必ず見ます。そのうえで事業所と契約します
3月中(園でやること)保育所児童保育要録・指導要録が、就学先の小学校へ送られます。
伝えてほしい工夫があれば、この時期までに園へ言葉で伝えておきます
4月学年が切り替わります(学校教育法施行規則 第59条)。
無償化の3年間も、この4月1日を起点に数えられています。
生活のリズムが大きく変わる月です。予定は詰めすぎないほうが動きやすくなります
5月〜6月学校で個別の教育支援計画を作る動きが出てきます(学校教育法施行規則 第134条の2、第139条の2、第141条の2)。
4月に書き留めておいた「うまくいったこと」が、そのまま材料になります

3月中に済ませておくと、4月が軽くなること

ひとつだけ選ぶなら、これです

今夜できることは、受給者証を出して「種類」の欄を読むことです。
そこに児童発達支援とだけ書かれていて、4月から小学校に上がるのであれば、明日か明後日、区市町村の障害児支援の窓口に電話を1本かける——それで、この記事の用件は足ります。聞くことは一つ、「就学後の申請は、いつ、何を出せばよいですか」です。

※ このページに書いた日程・書類名は、板橋区・江東区・大田区・葛飾区・港区が公式ページで公開している内容と、法令・こども家庭庁の資料に書かれていることです。お住まいの区市町村では、受付時期・様式・窓口が違います。確かめる先は、区市町村の障害児支援(障害福祉)の担当課です。

出典

※上記の出典は2026年9月7日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

受給者証の有効期間が3月31日より先まであります。それでも4月から放課後等デイサービスは使えませんか?
有効期間が残っていることと、使えるサービスの種類は別の話です。受給者証には「障害児通所支援の種類」の欄があり(児童福祉法施行規則 第18条の18 第4号)、そこに児童発達支援とだけ書かれていれば、その決定は児童発達支援についてのものです。放課後等デイサービスは、児童福祉法 第6条の2の2 第3項で「就学している障害児」を対象とする別の種類のサービスとして定義されています。板橋区も「就学後新たに放課後等デイサービスや保育所等訪問支援をご利用になる場合には再度申請が必要」と案内しています。まずは証の「種類」の欄をご覧のうえ、お住まいの区市町村の窓口にご確認ください。
受給者証の有効期間は、どうして年度末でそろっていないのですか?
法令が、決定した日を起点に数えるしくみにしているためです。児童福祉法施行規則 第18条の17は、有効期間を「通所給付決定を行った日から当該日が属する月の末日までの期間」と「1月間から12月間までの範囲内で月を単位として市町村が定める期間」の合算と定めています(決定日が月の初日なら後者のみ)。つまりいつ決定を受けたかで満了月が変わります。年度末にそろっていなくても、それが通常の姿です。
無償化は「3歳から」だと聞きました。誕生日から始まるのですか?
誕生日ではありません。こども家庭庁の資料は「無償化の対象となる期間は、『満3歳になって初めての4月1日から3年間』です」と書いています。夏に3歳になったお子さんなら、その年の秋ではなく翌年の4月1日が起点になります。なお東京都は0〜2歳について独自の無償化を行っており、「年度の途中で満3歳に達する場合でも、満3歳に達する日以後の最初の3月31日までの間は対象」として、国の起算日に接続する形にしています。ただし放課後等デイサービスは、いずれの無償化の対象にも入っていません
保育所等訪問支援は、小学校に入ったあとも使えますか?
条文のうえでは、訪問先に学校が入っています。児童福祉法施行規則 第1条の2の5は、訪問先の施設として「乳児院、保育所、児童養護施設、幼稚園、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)及び特別支援学校、認定こども園、その他児童が集団生活を営む施設として市町村が認める施設」を挙げています。ただし利用にあたっては、就学後の分としてあらためて申請することになります(板橋区は必要書類として計画案またはセルフプラン、保育所等訪問支援 支援方針、医師の診断書を挙げています)。実際に使えるかどうかは、支給決定を行う区市町村の判断になりますので、窓口にご確認ください。
4月から通う事業所を変えたい/増やしたいのですが、いつ動けばよいですか?
区の審査日程から逆算するのが確実です。江東区は「申請書受理後、月2回(第1・3木曜日)の支給会議で内容を審査します」「利用開始日は会議日の翌日から」「会議日の前の週の金曜日までに手続きを完了してください」と公開しています。大田区は「支給決定から通所受給者証の送付までに1か月程度かかります」と書いており、契約は受給者証が届いてからです。板橋区は就学後の受給者証を「3月中旬以降に発送」としています。順番は、事業所に空き状況を聞く → 区に事前連絡 → 計画案(またはセルフプラン)を用意 → 申請 → 証が届く → 契約です。
園でしてもらってきた工夫は、小学校に伝わりますか?
伝える手順が、通知と法令で決まっています。保育所からは保育所児童保育要録の抄本または写しが就学先の小学校の校長に送られます(平成30年3月30日 子保発0330第2号)。同じ通知は、配慮を要する子どもについて「診断名及び障害の特性のみではなく……保育における工夫及び配慮を考慮した上で記載すること」とし、「保育所、児童発達支援センター等の関係機関で行われてきた支援が就学以降も継続するように」情報を共有することも挙げています。学校どうしでは、学校教育法施行規則 第24条第2項により指導要録の抄本又は写しが進学先の校長に送付されます。作成にあたっては保護者の思いを踏まえることが通知に書かれていますので、伝えてほしいことは園にお話しいただいて差し支えありません。
放課後等デイサービスと学童は、どちらか一方しか選べないのでしょうか?
法令上、そのような決まりは見当たりません。学童(放課後児童健全育成事業)は児童福祉法 第6条の3 第2項に定められた別の事業で、「小学校に就学している児童であつて、その保護者が労働等により昼間家庭にいないもの」を対象としています。こども家庭庁の放課後等デイサービスガイドラインは、放課後児童クラブ等と併行利用している場合の連携を事業所の支援内容として挙げ、「併行利用の場合の利用日数や利用時間等の調整」まで書いています。ただし申込みの時期も窓口も別の制度ですので、両方をお考えの場合は、それぞれの区市町村の案内で日程をご確認ください。
3月になってから動き始めても、間に合いますか?
区市町村の受付日程によります。ですので、いちばん確実なのは今の時点で1本電話をして、受付の時期を聞いておくことです。聞くことは一つで足ります——「就学後の申請は、いつ、何を出せばよいですか」。板橋区が「受給者証は3月中旬以降に発送」としていること、大田区が「支給決定から送付まで1か月程度」としていることから、年内から1月ごろに動き出すと、余裕をもって進められます。仮に時期がずれても、申請の道そのものが閉じるわけではありません。窓口で今の状況をお伝えいただければ、そこから組み立てられます。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

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