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児童発達支援の利用料はいくら?——上限額のしくみと無償化を、法令から

最終更新:2026年9月3日
児童発達支援を使うとき、家庭が払う額は法律と政令で決まっています

よく「1割負担」と説明されますが、条文を読むと少し違います。「1割」は上限であって、必ず1割払うわけではありません。

さらに東京都には0〜2歳を無償にする独自の事業があり、手続きが必要かどうかは23区で違います(新宿区は「無し」)。この記事は、児童福祉法・同施行令の条文と、こども家庭庁・東京都福祉局の公式情報にもとづいてまとめています。

🔴 まず——「1割」は上限です

利用者負担の根拠は児童福祉法 第21条の5の3第2項です。給付費の額を「第1号の額から第2号の額を控除して得た額」と定めており、この第2号が、家庭が払う額にあたります。

児童福祉法 第21条の5の3第2項第2号
当該通所給付決定保護者の家計の負担能力その他の事情をしん酌して政令で定める額(当該政令で定める額が前号に掲げる額の百分の十に相当する額を超えるときは、当該相当する額

読み方はこうです。

内容
原則政令で定める額(=負担上限月額)を払う
ただしその上限額が費用の10%を超えるときは、10%が上限になる
だから「必ず1割」ではありません
利用が少ない月は、費用の10%のほうが上限額より低くなります。そのときは10%です。
利用が多い月は、10%が上限額を超えるので、上限額で止まります

こども家庭庁も「ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じません」と説明しています。

負担上限月額——政令で決まっています

上限額は児童福祉法施行令 第24条で定められています。こども家庭庁は、これを4区分にまとめて公表しています。

区分世帯の収入状況負担上限月額(通所)
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯で、所得割28万円未満(収入が概ね890万円以下の世帯)4,600円
一般2上記以外37,200円

施行令第24条を条文で見ると、次のように対応しています。

条文該当する人
第6号市町村民税世帯非課税者/被保護者(生活保護)/負担額算定基準者の全員が無償化対象通所児童である場合零(0円)
第2号市町村民税所得割の額を合算した額が28万円未満4,600円
第1号第2号〜第6号以外の者37,200円
第4号小学校就学前児童が2人以上いる保護者別に定めあり(多子の軽減)
第5号負担額算定基準者が2人以上で、所得割の合算が77,101円未満別に定めあり(多子の軽減)

所得を判断する世帯の範囲は、障害児の場合「保護者の属する住民基本台帳での世帯」です(こども家庭庁)。

※金額・区分は2026年9月3日にこども家庭庁および e-Gov法令検索で確認した内容です。制度は改正されることがあります。最新の額は必ずお住まいの区市町村でご確認ください。

🔴 国の無償化——法令上の定義は「3〜5歳」ではありません

「3〜5歳は無償」と説明されますが、施行令の定義はもう少し正確です。

児童福祉法施行令 第24条第3号(無償化対象通所児童の定義)
通所給付決定に係る三歳に達する日以後の最初の三月三十一日を経過した障害児であつて、小学校就学の始期に達するまでの間にあるものをいう。

つまり——

内容
始まり3歳になった年度が終わった翌日から(=3歳になった年度の3月31日を過ぎた日から)
終わり小学校に入学する前まで

たとえば早生まれで1月に3歳になった子は、その年度の3月31日を過ぎた4月1日から対象になります。「満3歳の誕生日から」ではありません。

しくみの上では、上限額の計算から、その子にかかった費用を除くという形で無償化されます。施行令第24条第3号は、上限額を「無償化対象通所児童である障害児に係るものを除く」費用の10%と定めています。

そしてきょうだいを含めて全員が無償化対象年齢なら、第6号により上限額は0円になります。

国の無償化に、手続きは要りません
こども家庭庁は「無償化にあたり、新たな手続きは必要ありません」と明記しています。

——ただし、次に説明する東京都の0〜2歳の無償化は別です。ここを混同しないでください。

🔴 東京都は、0〜2歳も無償にしています

東京都には「児童発達支援事業所等利用支援事業(利用料の無償化)」という事業があります。

内容
目的利用する児童の保護者の自己負担を、世帯収入に関わらず無償化する
対象となる児童0〜2歳の児童。※年度の途中で満3歳に達する場合でも、満3歳に達する日以後の最初の3月31日までは対象
しくみ受給者証に記載の負担上限月額を上限として利用者負担額(1割部分)をいったん事業所に支払い、その額を給付することで実質0円にする
無償となるサービス児童発達支援(旧医療型を含む)、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援
対象外🔴 放課後等デイサービスは対象外
国の制度と、切れ目なくつながります
0歳〜(3歳の年度末まで)=東京都の事業
(3歳の年度末の翌日)〜小学校入学前=国の無償化

つまり東京都では、0歳から就学前まで、児童発達支援の利用者負担が実質0円でつながります。境目の日付が、両制度でぴったり合うように設計されています。

なお放課後等デイサービスは都の事業の対象外です。就学後は、上でご説明した負担上限月額のしくみが適用されます。

🔴🔴 手続きは23区で違います(新宿区は「無し」)

ここがいちばん見落とされやすい点です。国の無償化は手続き不要ですが、東京都の0〜2歳の無償化は、区によって手続きが違います。

東京都福祉局が公表している一覧を、そのまま整理しました。

無償化に必要な手続き受給者証への表示
新宿区無し東京都無償化対象児童(0〜2歳)
台東区無し台東区独自減免対象児童
江東区無し(対象の旨を記載した受給者証を郵送予定)江東区制度無償化対象児童
品川区無し品川区独自無償化対象
大田区無し東京都無償化対象児童(国無償対象の前日まで)
杉並区無し杉並区無償化対象児童(都制度)
豊島区無し障害児通所支援(未就学児)の自治体助成対象者
板橋区無し区制度による無償化
練馬区無し練馬区自治体助成対象児童
足立区無し足立区による利用者負担助成対象児童
葛飾区無し葛飾区療育施設利用幼児保護者負担軽減助成制度
目黒区無し。ただし令和7年9月以降は受給者証の申請の際に手続きが必要目黒区無償化対象児童
港区保護者の申請が必要(対象者には申請書類を郵送)港区独自減免対象
渋谷区対象者へは申請書類を郵送渋谷区独自減免対象
中野区対象者へは申請書類を郵送中野区無償化対象児童
北区対象者へは申請書類を郵送東京都無償化対象児童
文京区対象サービス利用の際に申請障害児通所支援利用者負担額助成(対象期間あり)
墨田区支給申請(新規または更新)の際に併せて墨田区独自助成対象
千代田区区ホームページ参照(申請時に案内)千代田区独自減免対象
中央区区ホームページ参照(支給申請時に案内)中央区独自減免対象(要綱事業)
世田谷区区ホームページ参照世田谷区独自減免対象
荒川区区ホームページ参照利用者負担助成事業対象児童
江戸川区区ホームページ参照/無し(対象の方に案内予定)江戸川区独自助成対象
表を見て気づいていただきたいこと
①「都制度」と「区独自」が混在しています。受給者証の表示を見ると、東京都の事業として扱う区(新宿・大田・北・杉並)と、区独自の減免・助成として実現している区があります。

②手続きが必要な区が7区あります。港・渋谷・中野・北は書類が郵送され、文京・墨田は支給申請の際に、目黒は令和7年9月以降に手続きが必要です。

③受給者証への表示が全部違います。お手元の受給者証に上の表の文言があるかを見れば、適用されているか確かめられます。

東京都からの給付となる自治体にお住まいの場合、東京都は次のように案内しています。

各区の受給者証そのものの申請窓口は東京23区の申請窓口 一覧・比較にまとめています。

※上の表は2026年9月3日に東京都福祉局のページで確認した内容です。手続きや表示は変更されることがあります。必ずお住まいの区の窓口でご確認ください。

無償化されない費用があります

児童福祉法 第21条の5の3第1項は、給付の対象となる費用から「食事の提供に要する費用その他の日常生活に要する費用のうち内閣府令で定める費用」(=通所特定費用)を除くと定めています。

東京都も「利用者負担以外の費用(食費等の現在実費で負担しているもの)は引き続きお支払いいただきます」と明記しています。

扱い
支援そのものの費用上限額のしくみが適用され、無償化の対象になる
食費・おやつ代など実費。無償化の対象外
教材費・行事費などの実費事業所ごとに扱いが異なります。見学の際にご確認ください

「無償化」と聞いてまったく費用がかからないと考えると、行き違いが起きます。実費の部分は、契約の前に金額を確かめておくことをお勧めします。

🔴 受給者証が出る前に利用した分について

これは知られていない救済の規定です。

児童福祉法 第21条の5の4第1項第1号
市町村は、通所給付決定保護者が申請をした日から、当該通所給付決定の効力が生じた日の前日までの間に、緊急その他やむを得ない理由により指定通所支援を受けたとき、必要があると認めるときは、特例障害児通所給付費を支給することができる。

つまり申請してから受給者証が届くまでの間に利用した分も、市町村が必要と認めれば給付の対象になりえます。

また同項第2号は、都道府県の条例で定める基準を満たす事業所による基準該当通所支援を受けたときも対象になりうると定めています。

「受給者証が届くまで待つしかない」とあきらめる前に、区市町村の窓口に相談してみる価値があります。※支給されるかどうかは市町村の判断です。

しくみの全体像——契約方式です

こども家庭庁は、児童福祉法に基づく障害児対象のサービスが契約方式であると説明しています。

  1. 市町村に支給申請——障害児通所支援の場合は市町村へ(入所支援は都道府県)。
  2. 支給決定を受ける——市町村が支給量と有効期間を定め、通所受給者証を交付します(児童福祉法第21条の5の7第7項〜第9項)。
  3. 利用する施設と契約を結ぶ——事業所に受給者証を提示して利用します(同条第10項)。

受給者証そのものについては受給者証とは?、更新については受給者証の更新手続きをご覧ください。

※18歳以上の入所者や放課後等デイサービスの利用者については障害者総合支援法に基づくサービスとなり、引き続き必要と認められるときは満20歳に達するまで利用できるとされています(こども家庭庁)。

問い合わせ先

内容連絡先
東京都の無償化の手続き児童発達支援事業無償化コールセンター 0120-612-898(平日9時〜17時)
東京都の制度の概要東京都福祉局障害者施策推進部療育課 障害児通所支援担当 03-5320-4380
新宿区福祉部障害者福祉課支援係 03-5273-4583

そのほかの区の窓口は、上の23区の表と東京23区の申請窓口 一覧・比較をご覧ください。

※電話番号は2026年9月3日に東京都福祉局のページで確認した内容です。東京都のページには「令和8年4月より電話番号が変更となりました」との記載があります。かけ間違いを避けるため、最新の番号は各公式ページでご確認ください。

出典

※上記の出典は2026年9月3日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

結局、毎月いくら払うのですか?
上限額は世帯の状況で決まります。生活保護・市町村民税非課税は0円市町村民税課税で所得割28万円未満(収入が概ね890万円以下)は4,600円それ以外は37,200円です(こども家庭庁)。ただし費用の10%がこの額より低い月は、10%になります。さらに東京都では、0〜2歳と3歳の年度末翌日以降で実質0円になる制度があります。
「1割負担」と聞きましたが、必ず1割払うのですか?
いいえ。児童福祉法第21条の5の3第2項第2号は、家庭が払う額を政令で定める額(負担上限月額)とし、その額が費用の10%を超えるときは10%と定めています。つまり10%は上限です。こども家庭庁も「ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じません」としています。
無償化は何歳から何歳までですか?
施行令第24条第3号は、無償化対象通所児童を「3歳に達する日以後の最初の3月31日を経過した障害児であって、小学校就学の始期に達するまでの間にあるもの」と定めています。つまり3歳になった年度が終わった翌日から、小学校入学前までです。満3歳の誕生日からではありません。
0〜2歳は自己負担があるのですか?
東京都には0〜2歳を対象に、世帯収入に関わらず利用者負担を実質0円にする事業があります。対象は児童発達支援・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援で、放課後等デイサービスは対象外です。年度の途中で満3歳になっても、満3歳に達する日以後の最初の3月31日までは対象です。
無償化の手続きは必要ですか?
国の無償化は手続き不要です(こども家庭庁が明記)。一方東京都の0〜2歳の無償化は、区によって違います新宿区は「無し」、港区は保護者の申請が必要、渋谷・中野・北区は申請書類が郵送され、文京・墨田区は支給申請の際に、目黒区は令和7年9月以降に手続きが必要です。
無償化されても払うものはありますか?
あります。児童福祉法第21条の5の3第1項は食事の提供に要する費用その他の日常生活に要する費用(通所特定費用)を給付の対象から除くと定めており、東京都も「利用者負担以外の費用(食費等)は引き続きお支払いいただきます」としています。教材費・行事費などの扱いは事業所ごとに異なるので、契約の前にご確認ください。
受給者証が届く前に利用した分は自己負担ですか?
そうとは限りません。児童福祉法第21条の5の4第1項第1号は、申請日から決定の効力が生じた日の前日までの間に、緊急その他やむを得ない理由により利用したとき、市町村が必要と認めれば特例障害児通所給付費を支給できると定めています。あきらめる前に区市町村の窓口にご相談ください。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

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