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🧭 年齢・場面別

子どものことを、まわりの大人にどう伝えるか——渡せる一枚のつくり方

最終更新:2026年9月7日
園の先生、学校の担任、事業所のスタッフ、祖父母、きょうだい、かかりつけ医。お子さんに関わる大人は、思っているよりずっと多く、しかも数年ごとに入れ替わります。そのたびに、生まれたときからのことを一から説明する。この繰り返しが、重い負担になります。
解き方は単純です。一枚にまとめておけば、渡すだけで済みます。この「伝えるための一枚」を、自治体によってはサポートブックサポートファイルという名前で、様式にして配っています。ただし、これは法令に定められた制度ではありません。自治体それぞれの任意の取り組みですので、配っている区もあれば、配っていない区もあります。
このページでは、実際に配っている東京23区の公式ページで中身を確かめたうえで、様式が手に入らない地域でもご自分で作れるように、何を・どう書き・いつ渡すかを並べます。作らなくてもかまいません。楽になりそうだと思われたときにだけ、お使いください。

何のために作るのか——「また同じことを説明する」を減らすため

目的は、ひとつだけです。同じ説明を、何度も一から繰り返さなくて済むようにすること。これは保護者だけが感じている感覚ではなく、行政の側も文書に書いています。

大田区が、サポートブックのねらいの冒頭に書いていること

「行政の相談窓口や病院を訪れるたびに、『また同じことを説明しなければならないのか・・・』と感じたことはありませんか。そんな時に役立つ仕組みがサポートブック『かけはし』です。」

出典=大田区「サポートブック かけはし」(全体版PDF)冒頭

同じことを、文部科学省の手引も別の角度から書いています。就学相談での保護者面談について述べた箇所で、既に計画やファイルがある場合には「それらを十分に活用し、生育歴や家庭環境等の情報を不必要に繰り返し尋ねることなどがないよう、十分に留意する必要がある」としています(「障害のある子供の教育支援の手引」第2編)。つまり繰り返し聞かれること自体が、減らすべきものとして扱われているということです。

誰に渡すのか

渡す相手は、相談の窓口だけではありません。むしろ、日常のなかで関わる大人のほうが多くなります。

作らなければならない、ということはありません

はじめにはっきりさせておきます。サポートブックは、作る義務のある書類ではありません。次の節で見るとおり、そもそも法令にある制度ではないからです。配っている自治体も、その点は明記しています。江戸川区は「このファイルは保護者あるいはご本人に管理していただくものです。必要に応じてご活用ください」と書いています。

ですから、作らないという選択も、まったく問題ありません。作るとしても、全部を埋める必要はありません。大田区は「記入しやすい所から作成していきましょう」と案内しています。空欄のまま渡してもかまいませんし、1枚だけ書いて渡すのでも足ります。

※ このページは、様式そのものを配るものではありません。お住まいの区市町村に様式がある場合は、そちらが最新です。まずは窓口でお尋ねください。

「サポートブック」は、法令に定められた制度ではありません

ここは、正直に書いておきたいところです。サポートブックという言葉は広く使われていますが、法律にも政令にも省令にも、この語は出てきません。実際に確かめられます。

e-Gov法令検索で、全法令を横断して調べた結果(2026年9月7日)

サポートブック」……0件
サポートファイル」……0件
相談支援ファイル」……0件

同じ検索で「発達障害」は132件が返りますので、検索そのものが働いていないわけではありません。つまりこれらの語は、現行のどの法令にも書かれていないということになります。

では、根拠が何もない民間の思いつきかというと、そうではありません。国の側の文書が、この形を勧めています。

国が運営するポータルサイトの書きぶり

発達障害ナビポータル(国立障害者リハビリテーションセンターほかが運営する、国が提供するポータルサイト)は、「小学校へあがる前に」のページで次のように書いています。

発達障害ナビポータル「小学校へあがる前に」

「多くの自治体では、お子さんの支援情報をまとめて保存するための『サポートファイル(サポートブック)』などが用意されています。お子さんが少しでも安心して学校生活をスタートできるように、積極的に活用しましょう。」

「サポートファイルやサポートブックの入手方法については、市区町村の窓口や教育委員会、発達障害者支援センターへおたずねください。」

文部科学省の手引も、ファイルの形にすることを挙げています

文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月)は、就学前の情報の引継ぎについて、既に園や医療・福祉・保健の機関が計画等を作っている場合は、保護者の協力を得ながら、それらを「早期からの一貫性や一覧性が高く関係機関等の間の情報共有が容易なファイル(「相談支援ファイル」等)の形でとりまとめ、適宜就学に関する情報を追加するなど、計画作成の作業負担の効率化を図ることも有効である」としています。

整理すると、こうなります。

どういう位置づけかそこから言えること
法令上の制度ではない
根拠=e-Gov法令検索で「サポートブック」「サポートファイル」「相談支援ファイル」いずれも0件
作る義務も、決まった様式も、提出先もありません。作らなくても不利益はありません
国の文書は、この形を勧めている
根拠=発達障害ナビポータル/文部科学省「教育支援の手引」
作れば役に立つものとして扱われています。渡された側も、受け取り方が分からない書類ではありません
配っているかどうかは自治体ごと
根拠=ナビポータル「多くの自治体では……用意されています」/23区でも扱いが分かれます
様式がある区なら、それを使うのがいちばん早いです。無い区でも、自分で作って差し支えありません

※ e-Gov法令検索の結果は2026年9月7日時点のものです。法令は改正されますので、時間が経ってからお読みの場合は、同じ検索でご確認ください。

東京23区で、実際に配っている区——名前も対象も、区ごとに違います

「自治体が配っている」と一般論で書いても手がかりになりませんので、公式ページを実際に開いて確かめた区を挙げます。名前も、対象も、配り方も、区によってかなり違います。

大田区——サポートブック「かけはし」

世田谷区——スマイルブック

中野区——サポートファイル「のびのび」

江戸川区——サポートファイル「にじ」

配っていない区もあります。そのときの尋ね方

23区すべてに様式があるわけではありません。また、名前も「サポートブック」「サポートファイル」「スマイルブック」「のびのび」「にじ」「かけはし」と、区ごとにばらばらです。区の名前と『サポートブック』で検索しても出てこないことは、十分に起こります。

ですから、探すより尋ねるほうが早いです。発達障害ナビポータルも、入手方法は「市区町村の窓口や教育委員会、発達障害者支援センターへおたずねください」としています。電話で聞く言い方は、これで足ります。

窓口で言えば通じる一文

「子どものことを園や学校に伝えるための、サポートブックのような様式はありますか。名前が違うかもしれないのですが、成長の記録や、配慮してほしいことをまとめる冊子です。」

問い合わせ先は、区によって障害福祉の課(大田区・江戸川区)、保健福祉課の障害支援担当(世田谷区)、すこやか福祉センターの担当課(中野区)と分かれています。最初にかけた先が違っても、たいてい正しい先につないでもらえます。

※ 各区の名称・対象・入手方法は、2026年9月7日に各区の公式ページで確認したものです。内容は変わることがありますので、実際にお使いになる前に区のページでご確認ください。ここに挙げていない区に様式が無い、という意味ではありません。

何を書くのか——七つの箱に分けると迷いません

白紙から書き始めると、何から書けばよいか分からなくなります。箱を先に決めてしまうのが早いです。ここでは七つに分けます。配っている区の様式も、名前は違いますが、おおむねこの範囲を覆っています。

① 好きなこと・得意なこと

いちばん最初に書きます。理由は次の節でくわしく述べますが、受け取る側にとって、ここがいちばん使える情報だからです。好きな遊び、好きな食べもの、好きな絵本や歌、落ち着く場所、うまくできること。大田区の「思い出編」も、好きなこと・得意なことを書く欄について「ほめられることで、得意なことを伸ばしたり、自分を大切に思う気持ちが育まれます」としています。

② 苦手なこと・つらいこと

「できない」ではなく、「こういう場面で困りやすい」という書き方にします。大きな音、急な予定の変更、順番を待つ場面、初めての場所、体育や避難訓練、給食の匂い。場面を具体的に書くほど、相手は先回りできます。

③ 助かる伝え方

ここが、この一枚のいちばんの中身です。声のかけ方、指示の長さ、絵や写真を使うかどうか、見せてから言うか言ってから見せるか、予告が要るかどうか。こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインも、移行支援の支援内容として「得意不得意やその背景、声掛けのタイミングやコミュニケーション手段の共有」を挙げています。

④ 困ったときのサイン

つらくなってきたときに、先に出るしぐさがあれば書いておきます。耳をふさぐ、その場を離れる、急に静かになる、同じ言葉を繰り返す、手が止まる。爆発する前の合図が分かっていると、受け取る側が動けます。

⑤ 落ち着く方法

④とセットです。どこに行けば落ち着くか、何があれば落ち着くか、どのくらいの時間で戻れるか。してはいけないこと(後ろから急に触らない、など)も、あればここに。

⑥ 医療のこと

アレルギー、けいれんの既往、服薬、かかりつけ医と連絡先。大田区の様式も「特記事項」として「熱性けいれん・てんかんの発作が起きた時の処置・アレルギー疾患の有無と症状が強い時の対処法」を挙げています。命に関わることは、渡す相手が誰であっても書きます。

⑦ 連絡先

保護者の連絡先と、つながりやすい時間帯。通っている事業所や相談先があれば、その名前と電話番号。「迷ったら、ここに電話してください」と書いてある一行が、受け取る側をいちばん楽にします。

書く順番のおすすめ

  1. ⑦連絡先⑥医療のことを先に書きます。ここは調べれば埋まるので、手が動きます
  2. ①好きなことを書きます。ここは思い出しながら書けるので、いちばん楽です
  3. ③助かる伝え方を書きます。ご家庭でうまくいっていることを、そのまま書けば足ります
  4. ④サイン⑤落ち着く方法を書きます。③とつながっているので、続けて書けます
  5. ②苦手なことは最後です。ここから書き始めると筆が止まります

※ 七つの箱は、この記事で整理したものです。法令や国の様式に定めがあるわけではありません。お住まいの区に様式がある場合は、その項目立てに従ってください。

「できないこと」から書き始めない——相手が動ける形にする

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

原則

「うちの子はこれができません」ではなく、「これができると助かります」「こう言うと伝わります」と書く。

前者は、読んだ人が気の毒に思うだけで終わります。後者は、読んだ人が明日から何をすればよいかが分かります。同じ事実を書いていても、受け取った側にできることが違ってきます。

文部科学省の手引も、保護者に子どもの状態を伝える側の心得として「子供のできることや発達が進んでいる側面を具体的に示し、今後の目標や課題を明確にしていくことが大切である」と書いています。伝える方向が逆でも、原則は同じです。

書き換えの型

同じことを言うのに、書き方だけを変えます。左が止まる書き方、右が動ける書き方です。

よくある書き方(読んだ人が動けない)動ける書き方
「集団行動ができません」「はじめに全体への指示があって、そのあとに名前を呼んで一言いただけると動けます」
「音に敏感です」「大きな音が苦手です。『いまから鳴ります』と先に一言いただけると、耳をふさいで待てます」
「切り替えが苦手です」「終わりの5分前に予告があると切り替えられます。時計や砂時計など、目に見えるものがあるとさらに楽です」
「言葉が遅れています」「話し言葉より絵や写真のほうが伝わります短く区切っていただけると分かります」
「偏食がひどいです」「食べられるものは○○です。無理にすすめないでいただけると、その場にいられます」
「パニックを起こします」「つらくなると手が止まって静かになります。そのときに○○(静かな場所)で5分ほど過ごせると戻れます」
「じっとしていられません」体を動かす役割(配る・運ぶなど)があると落ち着きます」

※ 表は書き方の型を示したもので、特定のお子さんの記録ではありません。実際に書かれるときは、ご家庭でうまくいっている言い方に置き換えてください。

「お願い」ではなく「情報」として書く

もうひとつ、渡す側の気持ちが軽くなる書き方があります。要求ではなく、事実の共有として書くことです。

受け取る側にも、園や学校ごとの事情があります。そのまま全部はできないことも当然あります。情報の形で渡しておくと、相手はできる部分から取り入れられます。結果として、要求の形で渡すより通りやすくなります。

「うまくいっていること」を書ける、という意味

この書き方には、もうひとつ副産物があります。書いているうちに、すでにご家庭でうまくいっていることが、いくつも出てくることです。こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインは、家族支援について「日々こどもを育てている保護者の思いを尊重する」ことを繰り返し述べています。この一枚は、ご家庭がこれまで積み上げてきた工夫の記録でもあります。

長さは1枚——厚い冊子は保管用、渡すのは1枚

配られている様式を実際に開くと、20ページを超えるものもあります。全部を埋めて、全部を渡すのは現実的ではありません。役割を分けます。

何のためのものか分量と扱い
保管用(ご家庭に置いておくもの)
成長の記録、受診の記録、検査結果、計画書、診断書
分厚くてかまいません。むしろ増えていくものです。大田区も「A4判クリアフォルダに整理し、保管します」「母子健康手帳や学校・支援機関・病院などからの資料と一緒に保管すると便利です」としています
渡す用(相手に手渡すもの)
好きなこと/苦手なこと/助かる伝え方/サイン/落ち着く方法/医療/連絡先
A4で1枚。裏面まで使わない。読む側は忙しく、多くは立ったまま目を通します。1枚なら読まれます

この分け方は、様式の側でも想定されています。大田区は「医療機関などで配慮を受けたいとき、必要なシートをその都度選んでご利用いただくことができます」と案内しており、江戸川区の様式には「支援機関の方へ」という、渡すことを前提にした1枚が別に用意されています。

1枚に収めるための削り方

見た目のこと

いつ渡すか——新年度の前が、いちばん効きます

渡す時期には、効く時期と、効きにくい時期があります。結論から言えば、何かが始まる前です。

渡す場面と、その少し前

渡す場面いつ渡すと効くか
入園・入学入学前の面談・説明会のとき。4月に入ってからでは、担任は目の前の対応で手いっぱいです
進級(担任が替わる)3月のうちに、いまの担任へ。引き継ぎは3月に行われます。新しい担任に4月に渡すより、いまの担任経由のほうが、文脈ごと伝わります
事業所の初日見学・契約のとき。初日に渡すのでも遅くはありませんが、事前にあると受け入れの準備ができます
受診(初診・処置・予防接種)受付のとき。「待合いが苦手です」の一行だけでも、順番の配慮につながることがあります
祖父母・一時預かり預ける前に。当日その場で説明すると、渡す側も受け取る側も慌てます

なぜ「新年度の前」なのか

園も学校も、1年の区切りが4月1日だからです。学校教育法施行規則 第59条は「小学校の学年は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる」と定めており、同施行規則 第39条によってこれは幼稚園にも準用されます。担任の交代も、クラス編成も、引き継ぎも、この区切りに合わせて動きます。3月は、受け取る側が「引き継ぎのつもり」でいる月です。

こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインも、「特に入園・入学時等のライフステージの移行時における『移行支援』は、こどもを取り巻く環境が大きく変化することも踏まえ、支援の一貫性の観点から、より丁寧な支援が求められる」としています。

渡すときの一言

封筒に入れて黙って出すより、一言そえたほうが読まれます。長い説明は要りません。

この二文で足ります

「うちの子のことを1枚にまとめました。お手すきのときに目を通していただけたら助かります。」
全部そのとおりでなくて大丈夫です。使えそうなところだけ使ってください。」

通っている事業所があれば、渡すのは保護者だけの仕事ではありません

児童発達支援などを利用されている場合、移行先に伝えることは、事業所の側の仕事としても書かれています。こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインは、移行支援の支援内容として「移行先との支援方針・支援内容の共有や、こどもの状態・親の意向・支援方法についての伝達」「移行先の受け入れ体制づくりへの協力」「移行先ヘの相談援助」を挙げています。一枚を作られたら、事業所にも1部お渡しください。事業所が伝える内容と、ご家庭が伝える内容がそろいます。

個人情報の扱い——診断名を書くかどうかは、保護者が決めてよい

この一枚には、外に出したくない情報も混ざります。ここは、はっきりさせておいたほうが安心して書けます。

診断名は、書かなければならないものではありません

サポートブックには様式に定めがありませんから、何を書くかは書く人が決めます。診断名を書かなければならない、という決まりはどこにもありません。

法律の側から見ても、病歴は特別な扱いを受ける情報です。個人情報保護法 第2条第3項は、要配慮個人情報を「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴……その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するもの」と定義しています。つまり慎重に扱われるべき情報だと、法律が名指ししているということです。

そして、書くかどうかを決めるのは保護者です。発達障害者支援法は次のように書いています。

発達障害者支援法(平成16年法律第167号)

第3条第4項「発達障害者の支援等の施策が講じられるに当たっては、発達障害者及び発達障害児の保護者……の意思ができる限り尊重されなければならないものとする。」

第5条第4項「市町村は、前三項の措置を講じるに当たっては、当該措置の対象となる児童及び保護者の意思を尊重するとともに、必要な配慮をしなければならない。」

第2条の2第3項(基本理念)「……その意思決定の支援に配慮しつつ、切れ目なく行われなければならない。

渡す相手ごとに、出す情報を変えてよい

同じ一枚をすべての相手に渡さなければならない、ということもありません。むしろ相手ごとに作り分けるほうが、実用的です

渡す相手そこで要るもの・要らないもの
学校・園(担任)要る=助かる伝え方、サイン、落ち着く方法、命に関わる医療のこと。
診断名は書いても書かなくてもかまいません。書かないなら、そのぶん場面での様子を具体的に
医療機関要る=服薬、既往、アレルギー、待ち時間や処置で困ること。
生活の細かい様子は不要なことが多いです
祖父母・一時預かり・習いごと要る=好きなこと、落ち着く方法、緊急連絡先。
診断名や検査結果は、通常は要りません
相談機関・事業所要る=生育歴を含む、いちばん厚い情報。ここは詳しいほうが役に立ちます

渡したあとの扱い

配っている区も、扱いについて注意を書いています。江戸川区は「ファイルに記入する内容は全て個人情報ですので、取扱いにはご注意ください」、大田区は様式の中に「サポートブックには、個人情報が記載されています。支援機関の方は、取り扱いに充分注意してください」と刷り込んでいます。

※ 個人情報の取扱いについての一般的な考え方を述べたものです。個別の判断が必要な場面では、渡す先の機関にご確認ください。

学校に渡すとき——「個別の教育支援計画」とは別のものです

小学校に上がる前後で、よく混ざるところです。保護者が作る一枚と、学校が作る計画は、別のものです。どちらか一方があればもう一方は要らない、という関係でもありません。

個別の教育支援計画は、学校が作るものです

学校教育法施行規則 第134条の2は、次のように定めています。

学校教育法施行規則 第134条の2

校長は、特別支援学校に在学する児童等について個別の教育支援計画(学校と医療、保健、福祉、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体……との連携の下に行う当該児童等に対する長期的な支援に関する計画をいう。)を作成しなければならない。」

第2項「校長は、前項の規定により個別の教育支援計画を作成するに当たつては、当該児童等又はその保護者の意向を踏まえつつ、あらかじめ、関係機関等と当該児童等の支援に関する必要な情報の共有を図らなければならない。」

この規定は、特別支援学級の児童生徒に準用され(同施行規則 第139条の2)、通級による指導を受けている児童生徒にも準用されます(同 第141条の2)。つまり作るのは学校(校長)であって、保護者ではありません

根拠は法律にもあります。発達障害者支援法 第8条第1項は、国及び地方公共団体の措置として「個別の教育支援計画の作成(教育に関する業務を行う関係機関と医療、保健、福祉、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体との連携の下に行う個別の長期的な支援に関する計画の作成をいう。)及び個別の指導に関する計画の作成の推進」を挙げています。

二つの違い

保護者が作る一枚(サポートブック等)学校が作る個別の教育支援計画
作る人=保護者(またはご本人)。作る義務はありません作る人=校長。特別支援学校・特別支援学級・通級では作成が義務です
根拠=法令になし。自治体の任意の取り組みです根拠=学校教育法施行規則 第134条の2(第139条の2・第141条の2で準用)
中身=家庭から見た様子と、助かる伝え方中身=関係機関との連携のもとに行う長期的な支援の計画
渡す先=園・学校・事業所・医療・親族など、保護者が選びます共有=作成にあたり関係機関と情報共有。その際「児童等又はその保護者の意向を踏まえつつ」と条文に書かれています

保護者が作る一枚は、学校の計画の「もと」になります

別物ではありますが、切れているわけではありません。文部科学省の手引は、就学前に市区町村教育委員会が保護者や園、医療・福祉・保健の機関と連携して整理する個別の教育支援計画等について、「これは就学後に学校が作成する個別の教育支援計画の基となるものであり、就学先の学校に引き継ぐものとする」と書いています。そのうえで、既にある計画や資料を「相談支援ファイル」等の形でとりまとめることを、作業負担の効率化として挙げています。

同じ手引は、作成後の引継ぎにも保護者の関与を置いています。「作成後は、本人及び保護者の了解を得た上で、着実に就学先に引き継がれていくことが必要である」。

実務のうえでも、両者は並べて使われています。大田区のサポートブックは、個別の教育支援計画や学校生活支援シートを一緒に綴じ込むことを想定しており、様式の「伝えたいこと」の頁には「個別の教育支援計画作成のための面談等のほか、日常生活においてもご活用ください」と書かれています。

※ 個別の教育支援計画の作成義務は、特別支援学校・特別支援学級・通級による指導について定められています。通常の学級に在籍する場合の扱いは学校・自治体によって異なりますので、学校にご確認ください。

更新の頻度と、本人に見せるかどうか

作ったあとの話です。ここを決めておかないと、1年前の紙をそのまま渡してしまうということが起こります。

いつ書き直すか

子どもは変わります。半年前に苦手だったことが平気になっていることも、その逆もあります。細かく直す必要はありませんが、タイミングを決めておくと続きます。

手間を減らす工夫としては、日付を入れて、上書きせずに差し替えるのが楽です。大田区が入力用のExcel版を、江戸川区がシート単位のWord・Excelを配っているのも、作り直す前提があるからです。

本人が読める形にする

保護者が書いた紙ですが、いずれ本人が読むものでもあります。配っている区の様式も、その先を見ています。

ですから、本人が読んで傷つく言葉は書かない——これは、渡す相手のためだけの原則ではありません。本人が数年後に読むことを前提にすると、書き方は自然に決まります。

本人に見せるかどうか

見せなければならない、という決まりはありません。年齢にもよります。ただ、発達障害者支援法の基本理念(第2条の2第3項)が「その意思決定の支援に配慮しつつ、切れ目なく行われなければならない」としているとおり、本人が自分のことを説明できるようになっていくことは、支援の目的のひとつでもあります。

実際、大田区の「伝えたいこと」の頁には、「本人の希望」と「保護者からの希望」の欄が並んでいます。「個性・特徴」「特に見ていただきたいところ」「将来の夢」も同じ頁にあります。本人の欄が先に置かれているという順番そのものが、この様式の考え方を示しています。

最後に

この一枚は、お子さんの評価表ではありません。ご家庭がこれまで見つけてきた、うまくいく方法の記録です。書けるところから、1行でもかまいません。作らないという選択も、まったく問題ありません。

出典

※上記の出典は2026年9月7日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

住んでいる区に様式が無いようです。自分で作ってもよいのですか?
はい、まったく問題ありません。サポートブックは法令に定めのある制度ではなく(e-Gov法令検索で「サポートブック」「サポートファイル」「相談支援ファイル」いずれも0件です)、様式も届出先も決まっていません。A4の紙を7つに区切って、好きなこと/苦手なこと/助かる伝え方/困ったときのサイン/落ち着く方法/医療のこと/連絡先を書けば、それで役割は果たします。手書きでかまいません。なお、区によって名前がまったく違いますので(「スマイルブック」「のびのび」「にじ」「かけはし」など)、「サポートブック」で検索して出てこなくても、様式が無いとは限りません。窓口で「子どものことを園や学校に伝えるための様式はありますか」とお尋ねいただくのが確実です。
診断名を書かないと、園や学校に相手にしてもらえないのではないでしょうか?
診断名を書かなければならない、という決まりはありません。様式そのものに法令の定めがありませんから、何を書くかは書く人が決めます。個人情報保護法 第2条第3項は病歴を「要配慮個人情報」として、「不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するもの」と定義しています。慎重に扱われるべき情報だと、法律の側が名指ししているということです。また発達障害者支援法 第3条第4項は「発達障害児の保護者……の意思ができる限り尊重されなければならない」としています。実務のうえでも、受け取る側が知りたいのは診断名そのものより「どの場面で困り、どう声をかけると伝わるか」のほうです。診断名を書かないぶん、場面での様子を具体的に書いておくと、じゅうぶんに伝わります。
学校が「個別の教育支援計画」を作ると聞きました。それがあれば、この一枚は要らないのでは?
別のものですので、置き換わりません。個別の教育支援計画は学校(校長)が作るもので、学校教育法施行規則 第134条の2が特別支援学校について「校長は……作成しなければならない」と定め、第139条の2で特別支援学級に、第141条の2で通級による指導に準用しています。一方、サポートブックは保護者(またはご本人)が作る任意のものです。両者は切れているわけではなく、文部科学省の手引は、就学前に整理される計画等を「就学後に学校が作成する個別の教育支援計画の基となるもの」と位置づけています。大田区の様式も、個別の教育支援計画や学校生活支援シートを一緒に綴じ込むことを想定し、「個別の教育支援計画作成のための面談等のほか、日常生活においてもご活用ください」と書いています。
いつ渡すのがいちばんよいですか?
何かが始まる前です。とくに新年度の前(2月〜3月)が効きます。学校教育法施行規則 第59条は「小学校の学年は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる」と定めており、同施行規則 第39条により幼稚園にも準用されます。担任の交代も引き継ぎも、この区切りに合わせて動きますので、3月は受け取る側が「引き継ぎのつもり」でいる月です。進級のときは、新しい担任に4月に渡すより、3月のうちに、いまの担任へお渡しになるほうが、これまでの経緯ごと伝わります。入学なら入学前の面談・説明会のとき、事業所なら見学や契約のとき、受診なら受付のときです。
どのくらいの分量で作ればよいですか。区の様式は20ページ以上あります。
保管用と渡す用を分けてください。保管用は分厚くてかまいません——成長の記録、受診の記録、検査結果、計画書。大田区も「A4判クリアフォルダに整理し、保管します」「母子健康手帳や学校・支援機関・病院などからの資料と一緒に保管すると便利です」としています。一方、渡すのはA4で1枚です。読む側は忙しく、多くは立ったまま目を通します。この分け方は様式の側でも想定されていて、大田区は「医療機関などで配慮を受けたいとき、必要なシートをその都度選んでご利用いただくことができます」と案内しており、江戸川区の様式には「支援機関の方へ」という、渡すことを前提にした1枚が別に用意されています。
どのくらいの頻度で書き直せばよいですか?
年に1回、2月から3月にと決めておけば足ります。新年度の前だからです。そのほかは、場が変わるとき(入園・入学・転園・転校・事業所の変更)と、大きく変わったとき(ことばが出た、服薬が変わった、苦手だったものが平気になった)だけで結構です。更新を義務にすると続かなくなります。楽にするコツは、日付を入れて、上書きせずに差し替えることです。大田区が入力用のExcel版を、江戸川区がシート単位のWord・Excelを配っているのも、作り直すことが前提になっているからです。
本人に見せてもよいのでしょうか。傷つけないか心配です。
見せなければならない決まりはありませんし、年齢にもよります。ただ、配っている区の様式はいずれ本人が読むことを織り込んでいます。大田区は特徴の二つ目に「ご本人が自己の成長を振り返り、自己認識を高めることにつながります」を挙げ、江戸川区は「保護者が……記録、保管またはご本人が記録し保管します」としています。中野区は「お子さんが大きくなった時手渡していただけたら」と書いています。ですので、本人が読んで傷つく言葉は書かない——これを最初から前提にしておくのが確実です。見せるなら「好きなこと」の欄から一緒に見るのが入りやすく、高学年以降は「助かる伝え方」を本人と一緒に決めると、大人が替わっても本人が説明できるようになります。
作る余裕がありません。作らないと、支援が受けられませんか?
受けられます。サポートブックは作る義務のある書類ではなく、提出先もありません。江戸川区も「このファイルは保護者あるいはご本人に管理していただくものです。必要に応じてご活用ください」としています。受給者証の申請にも、就学相談にも、この一枚は必要書類ではありません。もし作られるなら、全部を埋める必要もありません。大田区は「記入しやすい所から作成していきましょう」と案内しています。連絡先と、命に関わる医療のことと、好きなことを3つ。この3行だけの紙でも、受け取る側にとってはじゅうぶん役に立ちます。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

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