園でも学校でも、年度の途中に、保護者と担任が向かい合って話す時間が設けられます。呼び名は場所によって違い、個人面談・個別面談・保護者面談・二者面談などと呼ばれます。保護者会や懇談会のあとに、続けて個別の時間をとる園や学校もあります。
はじめに、はっきりさせておきたいことがあります。この面談の回数や時間を定めた条文は、見あたりません。学校教育法にも、学校教育法施行規則にも、保育所保育指針にも、幼稚園教育要領にも、「面談」という語そのものが一度も出てきません(それぞれの全文を検索して0件でした)。
つまり、いつ・何回・一人あたり何分にするかは、それぞれの園や学校が決めています。「よそはこうらしい」と比べても答えは出ません。確かめる先は、次の三つです。
条文が定めているのは、面談の形ではなく、学校が保護者に情報を出すことのほうです。
小学校は、当該小学校に関する保護者及び地域住民その他の関係者の理解を深めるとともに、これらの者との連携及び協力の推進に資するため、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとする。
※ この第43条は、第49条により中学校に、第28条により幼稚園にも準用されます。保育所は学校ではないので同じ条文はかかりませんが、保育所保育指針の第4章が、保護者との相互理解を図るよう努めることを定めています。
面談は、この条文が言う「理解を深める」「連携及び協力」を、一対一の形にしたものだと考えると分かりやすくなります。学校側から見ても、保護者に伝えて、保護者から受け取るための時間です。片方向の報告会ではありません。
文部科学省が示している個別の教育支援計画の参考様式には、その子の支援に関わる担当者を書く欄があります。そこに並んでいる職名は、次の三つです。
※ 出典=文部科学省「個別の教育支援計画の参考様式」【支援シート】1.③担当者欄。様式には「本計画の作成(Plan)・実施(Do)・評価(Check)・改善(Action)にかかわる全ての者を記入すること」と注記があります。
国が想定している時点で、関わる大人は複数だということです。担任との面談で話が大きくなったとき、あるいは担任だけでは決められない相談になったときは、「一度、コーディネーターの先生にも入っていただけますか」と伝えて構いません。校内の体制を動かすのは学校の仕事であって、保護者が遠慮して抱えることではありません。
園は、入園の段階からすでに保護者と話す前提で動いています。たとえば新宿区は、認可保育園・認定こども園について、「入園申込みにあたって、お子さんの健康状況、発育状況について、気になることがありましたらご相談ください」と公式ページに書いています。同じページには、内々定した園での観察会、入園及び保育環境検討会、内定した園での面接と健康診断という段取りも示されています。
つまり、年度途中の個人面談が最初の接点ではないということです。すでに何度か顔を合わせ、日々の送り迎えでも短い会話を重ねている。個人面談は、その積み重ねの上に置かれた「まとまった時間」です。ゼロからの説明ではありません。
面談の前にいちばん重く残るのは、たいてい内容ではなく、この気持ちです。話せば話すほど、うちの子の困ったところばかりが記録に残るのではないか。自分の育て方を責められるのではないか。だから、言わないほうが安全なのではないか。
文部科学省の手引は、この不安を、相談を受ける側に向けてはっきり書いています。
また、保護者が、「これまでの養育が悪かったと,自分が責められるのではないか」等の不安を感じつつ、相談に臨んでくるような場合もある。
よって、教育相談においては、障害の有無や原因を見つけるのではなく、保護者の抱えている悩みを受け止めるという姿勢が必要である。そのためには、子供の障害やできないこと、問題となる行動にばかり目を向けるのではなく、子供ができるようになったこと、得意なことや好きなことを見つけたり、保護者がうまく関わっている点などを評価したりするなどして、保護者の不安を和らげることに配慮することが大切である。
同じ手引には、就学したあとの継続的な相談についても、こう書かれています。
これらの相談は、保護者を説得するためのものではなく、子供の成長を確認し、喜び合うものであるという認識が共有されるように努める必要がある。
「説得するためのものではない」と、国の文書のほうが先に書いている。ここは、面談の前に一度読んでおいて損のないところだと思います。
保育所保育指針は、厚生労働省の告示として定められ、現在はこども家庭庁が所管しています。その第4章「子育て支援」の冒頭には、こうあります。
保護者に対する子育て支援を行う際には、各地域や家庭の実態等を踏まえるとともに、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者の自己決定を尊重すること。
「保護者の自己決定を尊重する」——この一文は、あとの「診断や検査のことを伝えるかどうか」の節でもう一度出てきます。何をどこまで話すかを決めるのは、保護者だという建て付けになっているからです。
こども家庭庁の児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)は、家族支援の項でこう書いています。
「家族支援」は、家族がこどもの障害の特性等を理解していくために重要な支援であるが、理解のプロセス及び態様は、それぞれの家族で異なることを理解することが重要である。
特に、こどもの障害の特性等の理解の前段階として、「気づき」の支援も「家族支援」の重要な内容であり、個別性に配慮して慎重に行うことが大切である。
同じガイドラインには、「様々な出来事や情報で揺れ動く保護者に寄り添いながら、伴走した支援が必要である」とも書かれています。揺れ動くこと自体が、想定に入っています。面談の場で気持ちが定まっていなくても、それでいいのです。
持ち時間は短いことが多く、そのうえ、始まる前は緊張しています。何も決めずに座ると、あいさつと世間話で半分が終わり、いちばん聞きたかったことを言えないまま「では、また」になってしまいます。
そこで、先に三つだけ決めていきます。これ以上は増やしません。
| この順に話す | 中身 |
|---|---|
| ① 今いちばん困っていること 1つ | 家か、園・学校か、場所はどちらでもかまいません。いちばん困っている一つだけ。「朝の支度に毎日30分以上かかり、家を出る時間に間に合わないことが週に3回ほどあります」のように、場面・時間・頻度で言うと、相手が同じ絵を思い浮かべられます。 |
| ② 助かっている関わり 1つ | 先生が実際にしてくださっていることで、効いていると感じるもの。「予定を先に教えていただいた日は、帰ってきてからの機嫌が違います」など。 これはお礼のためではありません。効いた手立ては、次の学年へ引き継ぐ値打ちのある情報だからです。 |
| ③ 家での様子 1つ | 得意なこと・好きなこと・落ち着く方法のうち、園や学校でも使えそうなものを一つ。「電車の名前を並べているときは、10分でも20分でも落ち着いています」など。 |
文部科学省の個別の教育支援計画の参考様式には、【支援シート】という部分があります。その「1.本人に関する情報」に置かれている欄が、そのままこの三つに対応しています。
※ 様式の注記には「『苦手なこと』の欄には、学校生活、家庭生活で、特に支障をきたしている状況を記入すること」とあります。つまり「苦手」は、困っている場面を書く欄です。人柄を書く欄ではありません。
国の様式が、得意・好き・苦手・願いの四つを並べて置いている。順番として、困っていることだけを並べるようにはできていません。面談で三つを話すというのは、この様式の欄をそのまま口で言っているだけです。
三行を超えると、たいてい時間内に収まりません。収まらなかったぶんは、次の節で触れる書いて渡す一枚に回すか、次の面談まで持ち越します。一回で全部を伝えきる必要は、ありません。
座った直後に「今日は10分ほどですね」と言われたら、そこで組み立てを変えます。「今日は一つだけ伺いたいことがあります」と先に置いてしまうのが、いちばん確実です。残りは連絡帳に書く、別の日に時間をとってもらう、という順で構いません。面談の日にしか話せない、という決まりはありません。
面談でよく起きるのが、この食い違いです。先生からは「集団に入るのに時間がかかります」と言われる。でも家では困っていない。あるいは逆に、園では落ち着いて過ごしているのに、帰宅後に崩れて手がつけられない。
どちらの場合も、どちらかが間違っているわけではありません。家と集団は、子どもに求めていることが違うからです。
幼稚園教育要領は、障害のある幼児などへの指導について、こう書いています。
障害のある幼児などへの指導に当たっては、集団の中で生活することを通して全体的な発達を促していくことに配慮し、特別支援学校などの助言又は援助を活用しつつ、個々の幼児の障害の状態などに応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。
集団の中で生活するというのは、それ自体がひとつの活動です。順番を待つ、切り替える、まわりの音の中で指示を聞き分ける、いっせいに動く。家では出番のない力がいくつも要ります。家で困っていないのは、家がその力を要求していないからというだけのことがあります。
反対に、園や学校で一日じゅう踏ん張った子が、安心できる場所に帰ってきてから崩れることもあります。これも、園での様子が嘘だったわけではありません。場面が違えば、出てくるものが違う。それだけです。
食い違いが出たときに、どちらが正しいかを決めようとすると、残りの時間がそこで消えます。おすすめしたいのは、違いをそのまま言葉にして、共通の材料にしてしまうことです。
どれも、相手を否定していません。そして三つとも、次の一言が「その場面は…」で始まるように作ってあります。場面の話に入れば、あとは具体的な工夫の話になります。
日常の保育に関連した様々な機会を活用し子どもの日々の様子の伝達や収集、保育所保育の意図の説明などを通じて、保護者との相互理解を図るよう努めること。
※ 告示の言葉が「伝達」だけでなく「収集」になっているところが要点です。園の側は、保護者から様子を受け取ることも仕事に入っています。伝えるのは、押しつけではありません。
健診や相談のあと、面談の前にいちばん迷うのがここだと思います。受診した。検査を受けた。数字が出た。あるいは、まだ何も決まっていない。それを、担任の先生に言うべきなのか。
結論からお伝えします。伝えないという選択も、あってよいものです。そして、伝えると決めたときにも、どこまで伝えるかは保護者が決めてよいようになっています。
校長は、前項の規定により個別の教育支援計画を作成するに当たつては、当該児童等又はその保護者の意向を踏まえつつ、あらかじめ、関係機関等と当該児童等の支援に関する必要な情報の共有を図らなければならない。
「保護者の意向を踏まえつつ」が、条文に書き込まれています。この第134条の2は特別支援学校についての条文ですが、第139条の2で特別支援学級の児童生徒に、第141条の2で通級による指導を受けている児童生徒に、それぞれ準用されます。
この省令改正を知らせた文部科学省の通知には、留意事項として、さらに踏み込んだ書き方があります。
個別の教育支援計画には個人情報が含まれることから、関係機関等との情報共有に当たっては、本人や保護者の同意が必要である点に留意すること。
保育の側も同じです。保育所保育指針は、子育て支援に関して留意すべき事項として、「子どもの利益に反しない限りにおいて、保護者や子どものプライバシーを保護し、知り得た事柄の秘密を保持すること」と定めています。伝えた話が、園の外へ勝手に流れる建て付けにはなっていません。
診断名や検査の数字を出さなくても、子どもが困る場面と、効いた手立ては伝えられます。そして先生が明日から動けるのは、じつは診断名ではなく、こちらのほうです。
| 伝えたいこと | 診断名を出さない言い方 |
|---|---|
| 音に反応しやすい | 「大きな音が急に鳴ると、しばらく戻れなくなることがあります。行事の前に予告していただけると、落ち着いていられることが多いです」 |
| 切り替えに時間がかかる | 「終わりの合図の少し前に、あと何分かを教えていただけると、そのあとが違います」 |
| 指示が通りにくい場面がある | 「まわりがざわついているときは、聞き取れていないことがあるようです。近くで一度だけ言い直していただけると助かります」 |
| 疲れやすい | 「午後になると力が残っていないことがあります。帰りの支度でうまくいかない日は、その前の時間が長かった日が多いです」 |
※ どの言い方も、場面 → 効いた手立ての順で組んであります。この順にすると、聞いた側がそのまま試せます。
全部を渡すか、何も渡さないか、ではありません。範囲を自分で決めて、それを口に出せば済みます。
三つめのように、引き継いでよい範囲を先に言っておくと、年度末にもう一度同じ相談をしなくて済みます。国の通知も、引き継ぎについて「第三者に引き継ぐ旨についてもあらかじめ引継先や内容などの範囲を明確にした上で、同意を得ておくこと」としています。範囲を決めるのは、そもそも想定された手順です。
なお、書いて渡す形にまとめておくと、伝える範囲を自分の手で決めやすくなります。その作り方は子どものことを、まわりの大人にどう伝えるかにまとめました。
「伝えたところで、何か変わるのだろうか」という迷いもあると思います。ここは、国が挙げている配慮の観点を見ていただくのが早いです。文部科学省の手引の参考資料には、合理的配慮を考えるときの観点が並んでいます。
学習の予定や進め方を分かりやすい方法で知らせておくことや、それを確認できるようにすることで、心理的不安を取り除くとともに、周囲の状況を判断できるようにする。
「予定を先に知らせる」「あとから確かめられるようにする」が、思いつきの気づかいではなく、配慮の観点として国の資料に載っているということです。面談でお願いしたいのが予告や見通しの提示なら、それは制度の外の無理なお願いではありません。
| 面談で出やすい困りごと | 国の観点として挙げられている方向 |
|---|---|
| 次に何をするか分からず、切り替えで止まる | 学習の予定や進め方を分かりやすい方法で知らせ、あとから確認できるようにする 根拠=観点①-2-3 心理面・健康面の配慮 |
| 聞き取りにくい・見えにくい・伝えにくい | 障害の状態等に応じた情報保障やコミュニケーションの方法を配慮し、教材(ICTや補助用具を含む)の活用を配慮する 根拠=観点①-2-1 情報・コミュニケーション及び教材の配慮 |
| 担任ひとりでは手が回らない場面がある | 校長がリーダーシップを発揮して校内の指導体制を確保し、必要に応じて支援員等の人的配置を行うほか、通級による指導・特別支援学級・特別支援学校のセンター的機能・専門家チームの助言等を活用する 根拠=観点②-1 専門性のある指導体制の整備 |
| まわりの子にどう見えているかが心配 | 困難が生じることについて周囲の幼児児童生徒の理解啓発を図り、保護者・地域に対しても理解啓発の活動を行う 根拠=観点②-2 幼児児童生徒・教職員・保護者・地域の理解啓発を図るための配慮 |
座席の位置、声のかけ方、予告の入れ方、役割の持たせ方、記録の残し方。面談のあとに実際に変わるのは、たいていこうした日々の細かい運用です。制度を動かす話ではないので、翌週から変わることもあります。
合理的配慮は、学校の体制や人の配置と切り離せません。手引の観点②-1にも、指導体制を確保するのは校長のリーダーシップだと書かれています。担任の先生ひとりで即答できないことは、実際にあります。
ですから、面談では「決めてください」ではなく「相談させてください」で置いておくほうが、結果的に早く進みます。「持ち帰って校内で相談します」という返事が返ってきたら、それは前に進んだということです。そのときは、いつごろお返事をいただけますかだけ確かめておきます。
面談の途中で、思っていなかった話が出ることがあります。「一度、相談に行かれてはどうでしょう」「来年度は別の場も考えてみませんか」。頭が真っ白になって、その場で「はい」と言ってしまう。あるいは、反射的に「うちは大丈夫です」と返してしまう。
どちらも、あとで苦しくなります。その場で結論を出さなくて構いません。
「大事なお話なので、家で相談してから、あらためてお返事させてください。今日は、もう少し詳しく教えていただけますか」
この一言で、その場は「返事をする場」から「材料を集める場」に変わります。決めるのは家に帰ってからで、まったく遅くありません。
この三つを聞くだけで、帰り道に考えることが、「どう思われたか」から「その場面で何ができるか」に変わります。
相談に行くかどうかを決めるのは、保護者です。児童発達支援ガイドラインが、「気づき」の支援は「個別性に配慮して慎重に行うことが大切である」としているのは、ここが押しても進まない場所だからです。
行くと決めた場合も、行き先は一つではありません。自治体の窓口、保健センター、子ども家庭支援の窓口、医療機関、いずれも入口が違います。どこに何を持っていくかは発達相談はどこへ行けばいいのかと発達相談で聞かれることに分けてまとめてあります。
行かないと決めた場合も、それで話が終わるわけではありません。「いまはまだ考えている途中です。園での様子は引き続き教えてください」と伝えておけば、情報だけは受け取り続けられます。決めないという状態を、そのまま置いておけるということです。
※ 面談で聞いた個人的な事柄の扱いについて、文部科学省の手引は、就学に関する面談の留意事項として「面談担当者には個人情報に関する守秘義務があることを保護者に伝えておくこと」を挙げています。気になるときは、どこまで共有されるのかを、その場で尋ねて構いません。
面談は、伝える場であると同時に、受け取る場です。そして園や学校の先生は、保護者が見ていない時間帯のその子を、毎日見ています。この情報は、ほかのどこでも手に入りません。
おすすめしたい最初の質問は、これです。
「園(学校)で、いちばん落ち着いて過ごせているのは、どんなときですか」
困っている場面から聞くと、面談全体の色が決まってしまいます。落ち着いている場面から聞くと、うまくいっている条件が先に出てきます。「少人数のとき」「やることが決まっているとき」「担当の役割があるとき」——そこに出てきた条件は、そのまま家でも、次の学年でも使える手がかりです。
文部科学省の手引が、相談を受ける側に対して「子供ができるようになったこと、得意なことや好きなことを見つけたり」と書いているのも、同じ向きの話です。面談を、うまくいっている条件を探す時間として使う。それは国の文書の想定と、ずれていません。
※ 六つ全部は聞けません。持ち時間に合わせて、上から二つか三つで十分です。残りは連絡帳でも聞けます。
担任の先生と話しているうちに、「これは担任だけの話ではないな」と感じることがあります。そのときに名前が出てくるのが、次のような先です。
練馬区の書き方で目を引くのは、「保護者の了解のもと」という一句です。園や在籍校に様子を確かめるときも、保護者の了解が先に置かれています。情報は、保護者の頭越しには動かない建て付けになっています。
面談そのものは短時間で終わります。けれど、次の面談までの数か月のほうが、子どもの毎日としてはずっと長い。ここをつなぐのは、当日の記憶ではなく、その日のうちに残した数行です。
五行です。帰り道の電車の中でも書けます。半年後の面談のときに、この五行を開くところから始められると、「前回はこうでしたね」と続きから話せます。ゼロからの説明が要らなくなります。
なお、専門家等を活用した実態把握に当たっては、担当者の日々の観察・指導記録等が重要な資料となるので、日常生活や学習の様子、エピソード、子供の作品等などをまとめておくことが重要である。このような資料が、専門家の実態把握をより正確にし、適切な指導及び必要な支援を検討する際に有効となる。
これは学校の担当者に向けて書かれた文章ですが、家庭の側にも、そっくり同じことが言えます。日常の様子、印象に残ったこと、描いた絵や作ったもの。後日どこかに相談することになったとき、これらは実態を正確に伝える材料になります。
※ 事業所の計画を学校と共有することについて、国の通知は「本人や保護者の同意を得た上で、こうした計画について校内委員会等で共有することも考えられる」としています。ここでも、先に同意が置かれています。
年度が替われば担任も替わります。一年かけて伝えたことが、四月にまたゼロに戻るのではないか——これは、面談を重ねてきた保護者ほど強く感じるところだと思います。
引き継ぎの仕組みは、あります。ただし、どこまで法令の義務になっているかは、学びの場によって違います。
校長は、特別支援学校に在学する児童等について個別の教育支援計画(学校と医療、保健、福祉、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体との連携の下に行う当該児童等に対する長期的な支援に関する計画をいう。)を作成しなければならない。
| 学びの場 | 個別の教育支援計画の位置づけ |
|---|---|
| 特別支援学校 | 第134条の2により、校長が作成しなければならない |
| 特別支援学級 | 第139条の2により、第134条の2を準用する(=作成義務がかかります) |
| 通級による指導 | 第141条の2により、第134条の2を準用する(=作成義務がかかります) |
| 幼稚園(障害のある幼児など) | 幼稚園教育要領 第1章第5の1で、「個別の教育支援計画を作成し活用することに努めるとともに、…個別の指導計画を作成し活用することに努めるものとする」 |
| 保育所(障害のある子どもの保育) | 保育所保育指針 第1章3(2)キで、「家庭や関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成するなど適切な対応を図ること」 |
名前が場所ごとに違うので、混乱しやすいところです。たとえば東京都では、学校が作るものを「学校生活支援シート(個別の教育支援計画)」と呼んでいます(豊島区の公式ページに、この呼び名で載っています)。呼び名が違っても、関係機関と連携して長期的に支える計画という中身は同じです。
※ 計画そのものの中身の見方は、個別の教育支援計画とはにまとめてあります。ここでは、面談との関わりに絞ります。
国の参考様式は、二枚組でできています。
進学、進級等の際は、プロフィールシートと、支援シート(継時的に累積したものすべて)を一体として引き継ぎます。
一年分だけが渡るのではなく、積み上げたものがまとめて渡る設計になっています。だからこそ、その年に面談で伝えたことが記録として残っているかどうかが、翌年に効いてきます。
さらに、支援シートには「4.引継ぎ事項(進級、進学、転校)」という欄があり、その中に①本人の願いと②保護者の願いが置かれています。引き継ぐ書類の中に、保護者の願いを書く欄が最初から用意されているということです。年度末の面談で「来年度に引き継いでいただきたいこと」を伝えるのは、この欄を埋める行為にあたります。
各学校においては、個別の教育支援計画について、本人や保護者の同意を得た上で、進学先等に適切に引き継ぐよう努めること。そのため、個別の教育支援計画を作成する際に、本人や保護者に対し、その趣旨や目的を十分に説明して理解を得、第三者に引き継ぐ旨についてもあらかじめ引継先や内容などの範囲を明確にした上で、同意を得ておくこと。
こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインも、事業所から園へ、園から学校へと移るときについて、「保護者の同意を得た上で」情報を共有し、「円滑に支援が引き継がれるようにするとともに、移行後のフォローアップを行うことが必要である」としています。
同じ言葉が、教育の側からも福祉の側からも出てきます。引き継ぎは、保護者の同意を通り道にして進みます。逆に言えば、保護者が「ここまでを、こう引き継いでください」と言える場面が、制度の中に用意されているということです。
年度の切り替わりには、面談のほかにも手続きが重なります。その時期に何が起きるかは年度の切り替えで、何が起きるのかに時系列で並べてあります。
※上記の出典は2026年9月7日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
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