🔴 ダイアロジック・リーディング——名前のある方法
ASHAの記述
「ダイアロジック・リーディングは、幼い子どもの言語と読み書きの力を高めることを目的とした、やりとりのある、絵本を共有して読む活動である」そして——
「子どもと大人が、交代で『読む』」と書かれています。
つまり大人が最後まで読み、子どもが最後まで聞く——という形だけが読み聞かせではありません。
「最後まで読む」を目標から外してよい
ページを戻る、同じページを何度も見る、絵だけ見る、途中でやめる——
これらは失敗ではありません。やりとりが起きているなら、
それが方法の中身です。
読み終えることを目標にすると、やりとりを止めてページを進めることになります。
順番が逆になります。
交代で読む——具体的にどうするか
ここからは、家庭で試せる形です。ASHAが手順を示しているわけではありませんので、やりとりを増やすための工夫としてご覧ください。
- 文を読まずに、絵を指す——「あ、わんわん」。文字を読むことから離れます。
- 本人が見ているところに、ことばをつける——こちらがめくりたいページではなく、本人の関心の先に。
- 問いを、答えられる形にする——「これなに?」より「わんわん? にゃんにゃん?」。
- 返ってきた一語に、一語足して返す——「わんわん」→「わんわん、いたね」。
- 待つ——めくる前に、数秒あけます。言う機会が生まれます。
- 同じ本を、何度でも——繰り返しは、ことばが定着する形です。新しい本を増やすより効くことがあります。
- やめどきを本人に合わせる——飽きたら閉じます。次にまた開けることのほうが大事です。
問いかけを増やしすぎないこと
やりとりを増やそうとして、
質問攻めになってしまうことがあります。
ASHAは、話しことばの支援として
焦点化された刺激——対象のことばを繰り返し聞かせ、
子どもには返答を求めない方法——も記述しています。
聞かせるだけの日があってかまいません。
絵本と、読み書きのつながり
ASHAは、話しことばと読み書きの関係について、次のように述べています。
ASHAの記述
「話しことばの問題のある子どもは、読み書きの習得にしばしば困難を抱える。また逆に、読み書きの問題のある子どもは、話しことばに困難を抱えることがしばしばある」そして
「話しことばは、読み書きの力の発達の土台を提供する」としています。
ASHAは、就学前の段階について「就学前および幼稚園年代において、読みの障害のリスクのある子どもは、音韻意識と音と文字の対応に困難を抱えやすい」とも述べています。
絵本の時間は、文字を教える時間ではありません。しかし、話しことばのやりとりが起きている時間である以上、その先ともつながっている——という位置づけです(→読み書きが苦手)。
本の選び方——「読める本」ではなく「やりとりが起きる本」
年齢の目安で選ぶより、やりとりが起きるかどうかで選ぶほうが実際的です。
- 絵が大きい/一場面に描かれているものが少ない——指さす先が定まります
- 文が短い——読まずに絵だけ見る使い方もできます
- くり返しがある——同じことばが何度も出てくる本は、焦点化された刺激と相性がよくなります
- 本人の好きなものが出てくる——乗り物、食べ物、動物。関心の先に、ことばをつけるほうが早く進みます
- 音やしかけがある——めくる・引く・触る。やりとりのきっかけになります
- 身近な生活の場面が出てくる——お風呂、着替え、食事。その日の場面と結びつきます
字が読める必要はありません
絵本の時間は
文字を教える時間ではありません。ASHAが記述するダイアロジック・リーディングも、
「言語と読み書きの力を高めることを目的とした、やりとりのある活動」であって、文字の指導として書かれてはいません。
文字に興味が出てきたら、そのとき応じれば足ります。
うまくいかないときに、見るところ
| 様子 | 見るところ | 試せること |
| すぐページをめくる | 本の内容が難しすぎないか | 絵が大きく、文が短い本に変える。文を読まない |
| 絵本を見ない | その本に興味があるか | 本人の好きな物が出てくる本にする。乗り物、食べ物、動物 |
| じっと座れない | 姿勢や環境(→じっとしていられない) | 膝の上/立ったままでよい。座らせることを目的にしない |
| 同じ本ばかり | —— | そのままでかまいません。繰り返しは定着の形です |
| 音に反応しない | 聞こえ(→聞こえの検査) | まず耳鼻咽喉科で確認 |
※この表は考えるための手がかりであり、診断の基準ではありません。
この記事で書かないこと
「読み聞かせをすると、ことばが増える」とは書きません。また、冊数や時間の目安も書きません。確認できた一次情報に、そうした数値が示されていないためです。
確認できたのは、ASHAがダイアロジック・リーディングを「言語と読み書きの力を高めることを目的とした活動」として記述していることと、話しことばが読み書きの土台を提供するとしていること——ここまでです。
効果がないという意味ではなく、ここでは判断しないという意味です。
どこに相談すればいいか
| 相談先 | 何のため |
| 言語聴覚士(ST) | ASHAは読み書きの発達にも言語聴覚士が直接の役割を担うとしています |
| 区市町村の発達相談窓口 | 無料。診断の有無にかかわらず |
| 耳鼻咽喉科 | 聞こえを外しておきたいとき |
| 児童発達支援 | 「言語・コミュニケーション」領域のねらいに「読み書き能力の向上」が含まれます |
※本記事は一般的な情報提供です。診断や治療に関する判断は医師が行います。療育は医療ではありません。
出典
※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
最後まで読めません
最後まで読むことを目標から外してかまいません。ASHAは、大人と子どもが交代で「読む」やりとり型の絵本読みをダイアロジック・リーディングとして記述しています。やりとりが起きているなら、それが方法の中身です。
どんどんページをめくってしまいます
本の内容が難しすぎないかを見てみてください。絵が大きく、文が短い本に変える、文を読まずに絵を指す——このあたりから試せます。
同じ本ばかり読みたがります
そのままでかまいません。繰り返しは、ことばが定着する形です。新しい本を増やすより効くことがあります。
たくさん質問したほうがいいですか?
質問攻めにならないようご注意ください。ASHAは焦点化された刺激——対象のことばを繰り返し聞かせ、子どもには返答を求めない方法——も記述しています。聞かせるだけの日があってかまいません。
読み聞かせをすると、ことばは増えますか?
効果は断定しません。また、冊数や時間の目安も書きません。確認できた一次情報にそうした数値が示されていないためです。
絵本と読み書きは、つながっていますか?
ASHAは「話しことばは、読み書きの力の発達の土台を提供する」と述べ、話しことばの問題のある子どもが読み書きの習得に困難を抱えることがしばしばあるとしています。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
ことばのこと、言語聴覚士に相談してみませんか
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士が在籍しています。ことばの専門評価と個別プログラムを、児童発達支援として提供しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。