📣 放課後等デイサービスは 2027年4月 開所予定です(現在、指定申請の準備を進めています)
お問い合わせ・見学予約
🌱 のびのび発達ラボ|こどもの発達と学びの情報室(記事一覧へ
ホームのびのび発達ラボ > 🌤 行動・情緒の困りごと > じっとしていられない——法律は「社会的障壁」とセットで定義しています
🌤 行動・情緒の困りごと

じっとしていられない——法律は「社会的障壁」とセットで定義しています

最終更新:2026年9月4日
座っていられない。手足がいつも動いている。話の途中で立ち歩く——「元気すぎるだけ」なのか、支援があったほうがよいのか。ここで迷われる方は多いと思います。

この記事では、診断の線引きはしません。診断は医師が行うもので、家庭で見分けるための基準を書くと、かえって迷うことになるためです。

代わりに、制度が何をどう定義しているかを見ます。そこには、思っていたのとは違う書かれ方があります。

🔴 法律の定義は、本人の中だけを見ていない

発達障害者支援法(平成16年法律第167号)第2条は、次のように定めています。

条文
第1項 この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。

第2項 この法律において「発達障害者」とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいい……

第3項 この法律において「社会的障壁」とは、発達障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

読みどころは第2項です。「発達障害がある者」ではなく、「発達障害及び社会的障壁により制限を受けるもの」と書かれています。

つまり、こういうことです
困りごとは、本人の中だけで完結していない——というのが、この法律の立て方です。

そして第3項は、社会的障壁に「慣行」「観念」まで含めています。「45分は座っているもの」という慣行も、条文上はここに入りうる言葉です。

これは診断の話ではありません。どこに手を入れられるかの話です。

ASHAが挙げる「支援を考える三つの目安」

動きの多さそのものではなく、結果として何が起きているかで考える——ASHAは、支援を検討する目安として次の三つを挙げています。

目安家庭・園で見るときの言い換え
機会を制限する行けない場所、参加できない活動が増えていないか
苦痛や不快をもたらす本人が叱られ続けていないか。つらそうにしていないか
自己管理に影響する身支度・食事・睡眠など、自分のことをするのに支障が出ていないか
「元気すぎ」との違いは、ここには書けません
この記事では、元気さと支援が役立つ状態との線引きをしません。家庭で使える判断基準として確認できた一次情報が無いためです。

線引きの代わりに使えるのが、上の三つです。どれかに当てはまるなら、診断がついているかどうかに関わらず相談してよい——というのが、この三つの使い方です。

※診断は医師が行います。この表は診断の基準ではありません。

🔴 制度の側の数字が、前提を語っています

学校教育法施行規則第140条は、通級による指導の対象を八つ挙げています。第7号が「注意欠陥多動性障害者」です(第6号は学習障害者)。

そして文部科学省の手引によれば、通級の授業時数は次のように定められています。

対象年間の授業時数(小・中学校)
第1号〜第5号・第8号(言語障害・自閉症・情緒障害・弱視・難聴 ほか)年間35単位時間から280単位時間までを標準
第6号(学習障害者)・第7号(注意欠陥多動性障害者)年間10単位時間から280単位時間までを標準
下限だけが違う理由
第6号・第7号だけ、下限が35から10に下げられています。月に1回程度からでも制度として成り立つ、ということです。

文部科学省の手引は、この二つの対象について通常の学級での配慮で足りる場合があることを踏まえ、慎重に判断する必要があるという趣旨の説明を置いています。

——取り出して指導することが唯一の道ではない、という前提が、時数の設計そのものに入っています。

あわせて、手引は通級について「単なる各教科の遅れを補充するための指導とはならないようにしなければなりません」と明記しています。通級は勉強の遅れを取り戻す場ではない、という位置づけです(→通級指導教室とは?)。

家庭でできる工夫——環境の側から

こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインは、環境の要件として「時間や空間を本人にわかりやすく構造化すること」を挙げています。家庭でも、同じ考え方が使えます。

  1. 時間を短く切る——「座っていなさい」ではなく「ここまでやったら終わり」。量で区切ると、終わりが見えます。
  2. 動く時間を、予定に入れる——我慢の総量を増やすのではなく、合法的に動ける時間を先に置きます。
  3. 手を使う仕事を渡す——配る、運ぶ、押さえる。動きながら参加できる役があると、離席の意味が変わります。
  4. 座る場所を選ぶ——出入口の近く、壁側、大人のそば。どこに座るかで、続く長さが変わります
  5. 刺激を減らす——机の上に出すものを一つに。見えるところの物を減らす。
  6. できていた時間を数える——「何分できなかったか」ではなく「何分できたか」。伸びているかどうかは記録がないと分かりません。
叱られる回数そのものが、影響します
ASHAが挙げる三つの目安の二つ目は「苦痛や不快をもたらす」です。

動きが多い子は、一日に受け取る否定的な声かけの回数が多くなりがちです。回数を減らす工夫——先に決めておく、環境を変える、役を渡す——は、行動そのものへの働きかけと同じくらい重要になります(→自己肯定感を守るほめ方)。

園・学校に伝えるとき

発達障害者支援法第8条(教育)は、国と地方公共団体について「その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育を受けられるようにするため……個別の教育支援計画の作成及び個別の指導に関する計画の作成の推進……その他の支援体制の整備を行う」と定めています。

配慮を求めるしくみとしては、合理的配慮があります(→合理的配慮とは?)。学校での配慮は、意思を伝えることから始まります

どこに相談すればいいか

相談先何のため
区市町村の発達相談窓口無料。診断の有無にかかわらず
児童発達支援就学前。「認知・行動」は国のガイドラインが定める支援の領域です
学校(担任・特別支援教育コーディネーター)在学中の配慮、通級の相談
小児科・児童精神科診断について知りたいとき

※本記事は一般的な情報提供です。診断は医師が行います。この記事は診断の目安を示すものではありません。療育は医療ではありません。

出典

※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

ただ元気なだけなのか、支援が役立つのか、どう見分けますか?
この記事では線引きをしません。家庭で使える判断基準として確認できた一次情報が無いためです。代わりにASHAが挙げる三つ——機会を制限する/苦痛や不快をもたらす/自己管理に影響する——のいずれかに当てはまるかで考えてください。診断は医師が行います。
法律は、多動をどう定義していますか?
発達障害者支援法第2条は「発達障害」に注意欠陥多動性障害を含めたうえで、「発達障害者」を「発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるもの」と定義しています。本人の状態だけでなく、社会的障壁とセットで定義されているのが特徴です。
「社会的障壁」には、何が含まれますか?
同法第2条第3項は「社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの」としています。設備だけでなく、慣行や観念まで条文に含まれています。
通級に通わせたほうがいいですか?
そのご判断はできません。お子さまの状況と、通う学校・自治体の体制によります。参考として、通級の授業時数は注意欠陥多動性障害の場合年間10単位時間からを標準としており(他の障害は35単位時間から)、文部科学省の手引は通常の学級での配慮で足りる場合があることを踏まえ慎重に判断するという趣旨を示しています。
通級では、勉強の遅れを取り戻してもらえますか?
文部科学省の手引は、通級について「単なる各教科の遅れを補充するための指導とはならないようにしなければなりません」と明記しています。通級は障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服することを目的とする指導です。
家庭でできることは何ですか?
国のガイドラインが挙げる「時間や空間を本人にわかりやすく構造化すること」が手がかりになります。時間ではなく量で区切る動ける時間を予定に入れる手を使う役を渡す座る場所を選ぶ——このあたりから試せます。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

お子さまのこと、専門スタッフに相談してみませんか

のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士・保育士など多職種の専門スタッフが在籍しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。