先に、この語の位置
| 調べたもの | 「レジリエンス」の語 |
| e-Gov法令検索(全法令を横断) | 該当する法令はありますが厚生労働省組織規則など、この記事とは別の文脈のものです |
| こども家庭庁 児童発達支援ガイドライン(令和6年7月) | 出てきません |
| こども家庭庁 放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月) | 出てきません |
| 文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月改訂) | 🔴1か所。定義つきで出てきます |
🔴 文脈をはっきりさせておきます
手引でこの語が出てくるのは
「病弱教育」の章です。
つまり
病気等のあるお子さんについての記述として書かれています。
この記事では、
その文脈を伏せずに引きます。手引が別の障害種について同じことを書いているかは、確認できていません。
🔴🔴 手引が書いていること(前後を含めて)
その一文だけを取り出すと意味が変わるので、前後を続けて引きます。
手引より(そのまま・前段)
「病気等の子供は、家族や教職員など自分に関わってくれる人に対して、心配をかけることは悪いことだと思ったり、病気の回復が思わしくなかったりすることで強い自己不全感をもちやすい。」「そのため、子供のいいところ、頑張っているところ、できたこと、可能性などを見つけて、適切に『ほめる』『認める』ことで自尊感情を高め、『頑張る力』を引き出すことが大切である。」
🔴🔴 そして、レジリエンスの定義
「病気等の子供が、病気等の困難を乗り越えていくための原動力(レジリエンス:resilience)の大切な要素の一つとして、自分のことを『気にかけてくれている人がいる』『助けてくれる人がいる』と思えることがある。」「そのため、教育の場でも教職員が、子供に継続的に声をかけ、『見ているよ』というサインを送ることも大切なことである。」
🔴 三つ、読み取れること
①
要素は「本人の中の強さ」として書かれていません。書かれているのは
「そう思えること」——つまり
関係の側にあるものです。
②
「大切な要素の一つ」と限定されています。
——これがすべて、とは書かれていません。
③
大人がすることが具体的に書かれています。継続的に声をかける/『見ているよ』というサインを送る。
——
何かを教えることとしては書かれていません。
国のガイドラインの、近い記述
「レジリエンス」という語は使われていませんが、こども家庭庁のガイドラインには同じ向きの記述があります。
| どこに | 書かれていること |
児童発達支援ガイドライン アタッチメント(愛着)の脚注 | 「こどもが怖くて不安なときに、身近なおとながそれを受け止め、こどもの心身に寄り添うことで、安心感を与えられる経験の繰り返しを通じて獲得される安心の土台」/「こどもに自らや社会への基本的な信頼感をもたらし」 |
| 同<アタッチメントの安定> | 「自身の感情が崩れたり、不安になった際に、大人が相談にのることで、安心感を得たり、自分の感情に折り合いをつけたりできるよう「安心の基地」の役割を果たせるよう支援する」 |
放課後等デイサービスガイドライン 発達過程(9歳〜10歳) | 「『9、10歳の節』と呼ばれる大きな変化を伴っており、特有の内面的な葛藤がもたらされる。🔴この時期に自己の多様な可能性を確信することは、発達上重要なことである」 |
| 同<自己の理解と行動の調整> | 「自己を肯定的に捉えられる機会を通じて、気持ちや情動を調整し、状況に応じた行動ができるように支援する」 |
🔴 共通しているもの
手引の
「気にかけてくれている人がいる」と、ガイドラインの
「安心の基地」は、同じことを別の言い方で書いています。
——
立ち直る力は、ひとりで持つものとしては書かれていません。どちらも
受け止める人がいることを要素に挙げています(→
愛着(アタッチメント)とは?)。
大人の側にできることとして書かれていること
国の文書から拾えるものを、そのまま並べます。順番や優先度は、文書に書かれていません。
- 🔴継続的に声をかけ、「見ているよ」というサインを送る(手引・病弱教育の章)
- いいところ、頑張っているところ、できたこと、可能性などを見つけて、適切に「ほめる」「認める」(同)
- 行動の良い面を見つけたらすぐに褒める(手引・注意欠陥多動性障害の章/→ほめ方について)
- 自身の感情が崩れたり、不安になった際に、大人が相談にのる(児発GL・「安心の基地」)
- 自己を肯定的に捉えられる機会をつくる(放デイGL/→自己肯定感について)
- 気持ちに寄り添い、共感する(放デイGL・不登校の状態にあるこどもについて)
- 成功体験の積み増し(放デイGL・日常生活の充実と自立支援)
🔴 「立ち直らせる」ではありません
並べてみると、どれも
大人が続けることで、
子どもに何かを身につけさせることとしては書かれていません。
手引の言い方が、いちばん端的です——
「継続的に声をかけ、『見ているよ』というサインを送る」。
なお、手引は自己肯定感が下がったまま続いたときの行き先も書いています。不安やうつ症状・不登校・心身症などを二次的な障害としています(→二次障害とは?)。
この記事で書かないこと
🔴レジリエンスの「高め方」の手順や、その効果は書きません。手引が書いているのは要素の一つと大人がすることまでで、手順も効果も示されていないためです。効果がないという意味ではなく、ここでは判断しないという意味です。
🔴測り方・尺度・チェックリストも書きません。確かめた一次情報にそうしたものがありません。
「折れない心」といった言い換えもしません。手引の言い方は「困難を乗り越えていくための原動力」であり、折れないこととは書かれていないためです。
書けるのは、国の手引とガイドラインが何と書いているかまでです。
どこに相談すればいいか
| 相談先 | 何のため |
| 園・学校(担任・特別支援教育コーディネーター) | 🔴手引は「教育の場でも教職員が、子供に継続的に声をかけ、『見ているよ』というサインを送ることも大切」としています |
| 通っている児童発達支援・放課後等デイサービス | ガイドラインの「安心の基地」「自己を肯定的に捉えられる機会」。計画の見直し(→モニタリングとは?) |
| スクールカウンセラー | 学校教育法施行規則 第65条の3(児童の心理に関する支援に従事する) |
| 医療機関 | 🔴眠れない・食べられない・気持ちが落ち込む状態が続くとき。療育は医療ではありません |
| 入院・通院しているとき | 病院内の学級や訪問教育について、学校と教育委員会にご相談ください |
| 親の会・保護者同士の交流 | 同じ立場の人とつながる |
※本記事は一般的な情報提供です。手引の当該記述は病弱教育の章に置かれたものです。療育は医療ではありません。
出典
- 文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~」(令和3年6月改訂)第3編(病弱教育の章)=「病気等の子供は、家族や教職員など自分に関わってくれる人に対して、心配をかけることは悪いことだと思ったり、病気の回復が思わしくなかったりすることで強い自己不全感をもちやすい」/「子供のいいところ、頑張っているところ、できたこと、可能性などを見つけて、適切に『ほめる』『認める』ことで自尊感情を高め、『頑張る力』を引き出すことが大切である」/「病気等の子供が、病気等の困難を乗り越えていくための原動力(レジリエンス:resilience)の大切な要素の一つとして、自分のことを『気にかけてくれている人がいる』『助けてくれる人がいる』と思えることがある」/「そのため、教育の場でも教職員が、子供に継続的に声をかけ、『見ているよ』というサインを送ることも大切なことである」/注意欠陥多動性障害の章(注意や叱責をするよりも、行動の良い面を見つけたらすぐに褒めることが効果的)/二次的な障害(不安やうつ症状、不登校、心身症)
- こども家庭庁「各種ガイドライン・手引き等について」(児童発達支援ガイドライン 令和6年7月)アタッチメントの脚注定義(こどもが怖くて不安なときに、身近なおとな(愛着対象)がそれを受け止め、こどもの心身に寄り添うことで、安心感を与えられる経験の繰り返しを通じて獲得される安心の土台/こどもに自らや社会への基本的な信頼感をもたらし)/<アタッチメント(愛着)の安定>(自身の感情が崩れたり、不安になった際に、大人が相談にのることで、安心感を得たり、自分の感情に折り合いをつけたりできるよう「安心の基地」の役割を果たせるよう支援する)。なお「レジリエンス」の語はこのガイドラインには見当たらない
- こども家庭庁「各種ガイドライン・手引き等について」(放課後等デイサービスガイドライン 令和6年7月)<自己の理解と行動の調整>(自己を肯定的に捉えられる機会を通じて、気持ちや情動を調整し、状況に応じた行動ができるように支援する)/発達過程(おおむね9歳〜10歳=「9、10歳の節」と呼ばれる大きな変化を伴っており、特有の内面的な葛藤がもたらされる/この時期に自己の多様な可能性を確信することは発達上重要なことである)/不登校の状態にあるこども(まずはこども本人の気持ちに寄り添い、共感することで、こどもの自己肯定感を高めることが大切)/日常生活の充実と自立支援(成功体験の積み増し)。なお「レジリエンス」の語はこのガイドラインには見当たらない
- 学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)/e-Gov法令検索第65条の3(スクールカウンセラーは小学校における児童の心理に関する支援に従事する)
- e-Gov法令検索(法令横断のキーワード検索)2026年9月6日に全法令を横断して検索した結果、「レジリエンス」を含む法令は厚生労働省組織規則など、この記事とは別の文脈のものであった
※上記の出典は2026年9月6日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
レジリエンスとは、本人の強さのことですか?
国の手引の書き方は違います。要素の一つとして挙げられているのは「自分のことを『気にかけてくれている人がいる』『助けてくれる人がいる』と思えること」です。関係の側にあるものとして書かれています。
その記述は、どの章にありますか?
「病弱教育」の章です。病気等のあるお子さんについての記述として書かれています。手引が別の障害種について同じことを書いているかは確認できていません。
大人は何をすればよいと書かれていますか?
手引は「教育の場でも教職員が、子供に継続的に声をかけ、『見ているよ』というサインを送ることも大切なことである」としています。何かを教えることとしては書かれていません。
国のガイドラインには、似た記述はありますか?
語は違いますが、児童発達支援ガイドラインは「自身の感情が崩れたり、不安になった際に、大人が相談にのることで、安心感を得たり、自分の感情に折り合いをつけたりできるよう『安心の基地』の役割を果たせるよう支援する」としています。
高め方の手順を知りたいのですが
この記事では書きません。手引が書いているのは要素の一つと大人がすることまでで、手順も効果も示されていないためです。
測ることはできますか?
測り方や尺度は書きません。確かめた一次情報にそうしたものがないためです。
「折れない心」ということですか?
手引の言い方は「困難を乗り越えていくための原動力」で、折れないこととは書かれていません。この記事では言い換えをしません。
いま気持ちが落ちているようです
手引は、下がったまま続いたときの行き先として不安やうつ症状・不登校・心身症などを二次的な障害としています。眠れない・食べられない・気持ちが落ち込む状態が続くときは、医療機関にご相談ください。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
お子さまのこと、専門スタッフに相談してみませんか
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