🔴🔴 保護者が「行われていますか」と問える項目です
児童発達支援ガイドラインには、事業所の自己評価表と保護者等からの評価表が付いています。ペアレント・トレーニングは、その両方に出てきます。
| どちらの評価表か | 項目の文言 |
| 事業所の自己評価 | 「家族の対応力の向上を図る観点から、家族に対して家族支援プログラム(ペアレント・トレーニング等)や家族等の参加できる研修の機会や情報提供等を行っているか」 |
| 🔴保護者等からの評価 | 「事業所では、家族に対して家族支援プログラム(ペアレント・トレーニング等)や家族等も参加できる研修会や情報提供の機会等が行われていますか」 |
🔴 この二つが並んでいることの意味
保護者が答える側の質問として入っている、ということです。
つまり
「うちの事業所では、そういう機会はありますか」と尋ねることは、
ガイドラインが想定している問いです。
そして、指定基準省令 第26条は、事業所に対して
自己評価と保護者評価を受けたうえで改善を図ること、
おおむね一年に一回以上、その内容を保護者に示すとともにインターネットの利用その他の方法により公表することを義務づけています。
支援内容としての位置
児童発達支援ガイドラインは、家族支援を支援の四つの柱の一つとし、その支援内容を三つに分けています。ペアレント・トレーニングは、三つ目に入っています。
| 支援内容のまとまり | そこに並んでいるもの |
| <家族からの相談に対する適切な助言等> | 家族の子育てに関する困りごとに対する相談援助/こどもの発達上のニーズについての気づきの促しとその後の支援/抱き方や食事のとり方等の具体的な介助方法についての助言・提案/レスパイトの時間の確保/心理的カウンセリングの実施/保護者同士の交流の機会の提供/きょうだいへの相談援助 |
| 🔴<障害の特性に配慮した家庭環境の整備> | 「こどもの発達状況や特性の理解に向けた相談援助、講座、ペアレント・トレーニングの実施」/「家族に対する支援場面を通じた学びの機会の提供」 |
🔴 「家庭環境の整備」の中にあります
ペアレント・トレーニングが置かれているのは
<障害の特性に配慮した家庭環境の整備>というまとまりの中です。
——
保護者の技術を上げることとしてではなく、
家庭の環境を整えることの一部として並べられています。
同じまとまりのもう一つは
「家族に対する支援場面を通じた学びの機会の提供」——
支援の場面を見ること自体も、学びの機会とされています。
🔴 ガイドラインが、あわせて書いていること
同じガイドラインの配慮事項には、受け取り方についての一文があります。
ガイドラインより
「『家族支援』は、家族がこどもの障害の特性等を理解していくために重要な支援であるが、理解のプロセス及び態様は、それぞれの家族で異なることを理解することが重要である。」
🔴 「それぞれの家族で異なる」——同じ順番で、同じように進むものとしては書かれていません(→「ありのままを肯定していくプロセス」について)。
そして、目的として書かれていること
「乳幼児期は、親が障害のあるこどもを育てる初期の不安な時期であり、孤立感を感じやすい時期でもある。そのため、こどもと家族を早期から支援することで、孤立感を軽減できるようトータルに支援していくことが重要である。」——
孤立を減らすことが、家族支援の目的として書かれています。
また、ガイドラインは家族支援の考え方として「家族自身が内在的に持つ力を発揮できるよう、エンパワメントを前提とした支援をすることが重要である」としています(→強みに着目するという考え方)。
尋ねるときに使える言い方
ガイドラインの言葉をそのまま使うと、話が具体的になります。
- 「家族支援プログラムや、家族が参加できる研修の機会はありますか」——保護者評価表の項目の言い方です
- 「支援の場面を見学することはできますか」——支援内容の「家族に対する支援場面を通じた学びの機会の提供」にあたります
- 「うちの子の特性について、相談援助や講座はありますか」——同じまとまりに並んでいるものです
- 「自己評価と保護者評価の結果は、どこで見られますか」——省令は公表を義務づけています
🔴 参加が難しいときも、そう伝えてよいことです
ガイドラインは家族支援について
「大きなストレスや負担にさらされている母親が中心となる場合が多いが、父親やきょうだい、さらには祖父母など、家族全体を支援していく観点が必要である」としています。
また、支援内容には
「家族のレスパイトの時間の確保」も並んでいます。
——
学ぶ時間を作るための支援も、同じ一覧の中にあります(→
レスパイトとは?)。
この記事で書かないこと
🔴プログラムの内容・回数・進め方は書きません。国のガイドラインが書いているのは定義と実施を支援内容に挙げていることまでで、中身の標準を示していないためです。実施しているところによって違います。
🔴効果も書きません。効果がないという意味ではなく、ここでは判断しないという意味です。ガイドラインは目標を「こどもの行動変容すること」と記述していますが、その達成についての記述は確認できませんでした。
具体的な講座やプログラムの名前も書きません。自治体や事業所によって実施しているものが異なります。
書けるのは、国のガイドラインと省令が何と書いているかと、どこで尋ねられるかまでです。
どこに相談すればいいか
| 相談先 | 何のため |
| 通っている児童発達支援・放課後等デイサービス | 🔴保護者評価表の項目そのもの。「家族支援プログラムや研修の機会はありますか」と尋ねられます |
| 市区町村の障害福祉の窓口 | 自治体が実施する講座・家族支援の事業について |
| 発達障害者支援センター | 発達障害者支援法 第14条。家族その他の関係者も相談の対象です |
| 親の会・保護者同士の交流 | ガイドラインは「保護者同士の交流の機会の提供」も支援内容に挙げています |
| 相談支援専門員 | サービスの組み合わせ、関係機関との連絡調整 |
| 医療機関 | 🔴ご自身の体調に出ているとき。療育は医療ではありません |
※本記事は一般的な情報提供です。実施の有無・内容は事業所と自治体により異なります。療育は医療ではありません。
出典
- こども家庭庁「各種ガイドライン・手引き等について」(児童発達支援ガイドライン 令和6年7月)注記※5(「ペアレント・トレーニング」は、保護者がこどもの障害の特性やその特性を踏まえたこどもへの関わり方を学ぶことにより、こどもの行動変容することを目標とします)/家族支援の支援内容<障害の特性に配慮した家庭環境の整備>(こどもの発達状況や特性の理解に向けた相談援助、講座、ペアレント・トレーニングの実施/家族に対する支援場面を通じた学びの機会の提供)/<家族からの相談に対する適切な助言等>の一覧/事業所の自己評価表(家族の対応力の向上を図る観点から、家族に対して家族支援プログラム(ペアレント・トレーニング等)や家族等の参加できる研修の機会や情報提供等を行っているか)/保護者等からの評価表(事業所では、家族に対して家族支援プログラム(ペアレント・トレーニング等)や家族等も参加できる研修会や情報提供の機会等が行われていますか)/配慮事項(「家族支援」は、家族がこどもの障害の特性等を理解していくために重要な支援であるが、理解のプロセス及び態様は、それぞれの家族で異なることを理解することが重要である/母親が中心となる場合が多いが、父親やきょうだい、さらには祖父母など、家族全体を支援していく観点が必要である)/「乳幼児期は……孤立感を感じやすい時期でもある」「こどもと家族を早期から支援することで、孤立感を軽減できるようトータルに支援していく」/「家族自身が内在的に持つ力を発揮できるよう、エンパワメントを前提とした支援をすることが重要である」
- 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)/e-Gov法令検索第26条第5項〜第7項(その提供する指定児童発達支援の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない/従業者による評価を受けた上で自己評価を行うとともに、保護者による評価を受けて改善を図らなければならない/おおむね一年に一回以上、自己評価及び保護者評価並びに改善の内容を、保護者に示すとともにインターネットの利用その他の方法により公表しなければならない)
- 発達障害者支援法(平成16年法律第167号)/e-Gov法令検索第14条(発達障害者支援センター。発達障害者及びその家族その他の関係者に対する専門的な相談・助言)
- e-Gov法令検索(法令横断のキーワード検索)2026年9月6日に全法令を横断して検索した結果、「ペアレント・トレーニング」に該当する法令なし(国のガイドラインには定義がある)
※上記の出典は2026年9月6日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
ペアレント・トレーニングとは何ですか?
こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインに定義があります——「保護者がこどもの障害の特性やその特性を踏まえたこどもへの関わり方を学ぶことにより、こどもの行動変容することを目標とします」。学ぶのは保護者、目標は子どもの行動という構造です。
うちの事業所でも受けられますか?
尋ねてよい項目です。ガイドラインの保護者等からの評価表に「事業所では、家族に対して家族支援プログラム(ペアレント・トレーニング等)や家族等も参加できる研修会や情報提供の機会等が行われていますか」という質問が入っています。
実施の内容は、どこも同じですか?
この記事では内容を書きません。ガイドラインが書いているのは定義と、実施を支援内容に挙げていることまでで、中身の標準は示されていません。実施しているところによって違います。
親が変わらないといけない、ということでしょうか?
ガイドラインでの位置は<障害の特性に配慮した家庭環境の整備>の中です。保護者の技術を上げることとしてではなく、家庭の環境を整えることの一部として並べられています。
参加する時間が取れません
同じ支援内容の一覧に「家族のレスパイトの時間の確保」も並んでいます。また、ガイドラインは「父親やきょうだい、さらには祖父母など、家族全体を支援していく観点が必要」としています。
うまく身につかない気がします
ガイドラインは「理解のプロセス及び態様は、それぞれの家族で異なることを理解することが重要である」としています。同じ順番で同じように進むものとしては書かれていません。
講座に出る以外の学び方はありますか?
同じまとまりに「家族に対する支援場面を通じた学びの機会の提供」が並んでいます。支援の場面を見ること自体も学びの機会とされています。
事業所の評価は見られますか?
指定基準省令 第26条は、事業所に対して自己評価と保護者評価を受けたうえでおおむね一年に一回以上、その内容を保護者に示すとともにインターネットの利用その他の方法により公表することを義務づけています。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
お子さまのこと、専門スタッフに相談してみませんか
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士・保育士など多職種の専門スタッフが在籍しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。