四つの柱の一つです
児童発達支援ガイドラインは、支援を四つに分けて「総合的に提供していくもの」としています。
| 柱 | 内容 |
| 本人支援 | こども本人への発達支援(→5領域) |
| 家族支援 | ここ。家族(きょうだいを含む)への支援 |
| 移行支援 | 次の場へつなぐ支援(→移行支援とは?) |
| 地域支援・地域連携 | 関係機関と連携した支援 |
またガイドラインは、児童発達支援の目標の②に「家族への支援を通じたこどもの暮らしや育ちの安定」を挙げ、「きょうだいを含めた家族をトータルに支援していく」としています。
考え方の順序
「こどもは、保護者や家庭生活から大きな影響を受けることから、こどもの成長や発達の基盤となる親子関係や家庭生活を安定・充実させることが、こどもの『育ち』や『暮らし』の安定・充実につながる」——家族を支えることが、こどもの支援になる。そういう順序で書かれています。
🔴 支援内容に、何が並んでいるか
ガイドラインが挙げる「家族支援」のねらいは三つです。
- アタッチメント(愛着)の形成(→愛着とは?)
- 家族からの相談に対する適切な助言等
- 障害の特性に配慮した家庭環境の整備
そして支援内容として、次のものが明記されています。
| 支援内容(原文の項目) | 何のためか |
| 家族の子育てに関する困りごとに対する相談援助 | 困っていることを相談できる |
| こどもの発達上のニーズについての気づきの促しとその後の支援 | 「気づき」の段階から支援の対象 |
| こどもの抱き方や食事のとり方等の具体的な介助方法についての助言・提案 | やり方を教えてもらえる |
| 家族のレスパイトの時間の確保や就労等による預かりニーズに対応するための延長支援 | 休むことが支援内容に入っている |
| 心理的カウンセリングの実施 | 保護者自身への心理的な支援 |
| 保護者同士の交流の機会の提供 | 同じ立場の人とつながる(→親の会) |
| きょうだい同士の交流の機会の提供やきょうだいに対する相談援助 | きょうだいも支援の対象(→きょうだい児支援) |
| こどもの発達状況や特性の理解に向けた相談援助、講座、ペアレント・トレーニングの実施 | →ペアレント・トレーニング |
| 家族に対する支援場面を通じた学びの機会の提供 | 支援の場を見て学べる |
知られていないことが多い二つ
①「レスパイト」——休む時間の確保が、支援内容に書かれています。「預けるのは申し訳ない」と感じる必要はない、という裏づけになります。
②「きょうだい」への相談援助も書かれています。きょうだいは付き添いではなく、支援の対象として名前が挙がっています。
🔴 「理解のプロセスは平坦ではない」と書かれています
ガイドラインには、次の一節があります。
原文
「特に、保護者がこどもの発達を心配する気持ちを出発点とし、こどもの障害を含むその子のありのままを肯定していくプロセスは平坦ではなく、成長・発達の過程で様々な葛藤に直面するものであり、障害があってもこどもの育ちを支えていけるような気持ちを持つことができるようになるまでの過程においては、関係者が十分な配慮を行い、日々こどもを育てている保護者の思いを尊重するとともに、様々な出来事や情報で揺れ動く保護者に寄り添いながら、伴走した支援が必要である」
そして配慮すべき内容として、次のことも挙げられています。
- 「『家族支援』は、大きなストレスや負担にさらされている母親が中心となる場合が多いが、父親やきょうだい、さらには祖父母など、家族全体を支援していく観点が必要である」
- 「理解のプロセス及び態様は、それぞれの家族で異なることを理解することが重要である」
- 「こどもの障害の特性等の理解の前段階として、『気づき』の支援も『家族支援』の重要な内容であり、個別性に配慮して慎重に行うことが大切である」
- 「乳幼児期は、親が障害のあるこどもを育てる初期の不安な時期であり、孤立感を感じやすい時期でもある」
急かされる筋合いはない、と読めます
「プロセスは平坦ではない」「それぞれの家族で異なる」「慎重に行う」——国の文書がこう書いています。
受け止め方の速さを、誰かの基準に合わせる必要はない、という裏づけになります。
必要なときは、専門機関につなぐことも書かれています
ガイドラインは、次のようにも定めています。
原文
「『家族支援』において明らかとなってくる虐待(ネグレクトを含む。)の疑いや保護者自身の精神的な状態、経済的な課題、DV等の家族関係の課題等に応じて心理カウンセリング等、専門的な支援が必要な場合は、適切な関係機関につないでいく等の対応が求められる」
連携先として、障害児相談支援事業所、他の児童発達支援センター・事業所、居宅介護(ホームヘルプ)や短期入所(ショートステイ)、発達障害者支援センター、医療的ケア児支援センター、児童相談所、こども家庭センター、専門医療機関、保健所などが挙げられています(→短期入所とは?・レスパイトとは?)。
使うときの、実際の聞き方
- 「家族支援として、どんなことをしていただけますか」——ガイドラインの用語なので通じます
- 「保護者同士が話せる機会はありますか」
- 「きょうだいのことも相談できますか」
- 「ペアレント・トレーニングはありますか」
- 「延長やレスパイトの相談はできますか」
- 「気持ちの面の相談はどこにすればいいですか」
※実際に提供される内容は事業所により異なります。ガイドラインは支援の指針であり、すべての事業所がすべてを行うことを保証するものではありません。
どこに相談すればいいか
| 相談先 | 何のため |
| 利用している事業所 | 家族支援として何ができるか |
| 区市町村の障害児支援の窓口 | 短期入所・居宅介護などの制度 |
| 相談支援専門員 | サービス全体の組み立て |
| 発達障害者支援センター | 発達障害者支援法第14条にもとづき都道府県等が指定 |
| 医療機関 | 眠れない、気持ちが落ち込むなど、ご自身の体調に出ているとき |
※本記事は一般的な情報提供です。制度の運用は自治体・事業所により異なります。療育は医療ではありません。
出典
- こども家庭庁「各種ガイドライン・手引き等について」(児童発達支援ガイドライン 令和6年7月)第3章2(2)家族支援(ねらい3つと支援内容=相談援助/気づきの促し/具体的な介助方法についての助言・提案/家族のレスパイトの時間の確保や延長支援/心理的カウンセリング/保護者同士の交流/きょうだい同士の交流ときょうだいに対する相談援助/ペアレント・トレーニング)/支援に当たっての配慮事項(理解のプロセスは平坦ではないこと/母親が中心となる場合が多いが家族全体を支援する観点/「気づき」の支援/乳幼児期は孤立感を感じやすい時期であること/虐待・DV等の場合の関係機関との連携)/第2章3(1)目標②家族への支援を通じたこどもの暮らしや育ちの安定
- 発達障害者支援法(平成16年法律第167号)/e-Gov法令検索第3条第4項(保護者の意思ができる限り尊重されなければならないこと)/第14条(発達障害者支援センター)
※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
家族支援とは何ですか?
こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインが定める支援の四つの柱の一つです(本人支援・家族支援・移行支援・地域支援/地域連携)。家族(きょうだいを含む)への支援として位置づけられています。
預けて休むのは、申し訳ない気がします
ガイドラインの支援内容には「家族のレスパイトの時間の確保や就労等による預かりニーズに対応するための延長支援」が明記されています。休むことが、支援内容として書かれています。
きょうだいのことも相談できますか?
支援内容に「きょうだい同士の交流の機会の提供やきょうだいに対する相談援助」が明記されています。きょうだいも支援の対象として名前が挙がっています。
障害を受け入れられません
ガイドラインは「ありのままを肯定していくプロセスは平坦ではなく、成長・発達の過程で様々な葛藤に直面するものであり」とし、「理解のプロセス及び態様は、それぞれの家族で異なる」としています。受け止め方の速さを誰かに合わせる必要はない、と読めます。
母親ばかりが負担しています
ガイドラインは「大きなストレスや負担にさらされている母親が中心となる場合が多いが、父親やきょうだい、さらには祖父母など、家族全体を支援していく観点が必要である」としています。
自分の気持ちの相談はどこですればいいですか?
支援内容に「心理的カウンセリングの実施」があります。また、専門的な支援が必要な場合は適切な関係機関につないでいくことも定められています。眠れない・気持ちが落ち込むなど体調に出ている場合は、医療機関にご相談ください。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
お子さまのこと、専門スタッフに相談してみませんか
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士・保育士など多職種の専門スタッフが在籍しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。