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感覚過敏——「敏感すぎる」ではなく、受け取り方が違うということ

最終更新:2026年9月4日
「音をいやがる」「服のタグを嫌う」「抱っこを嫌がる」——感覚過敏ということばで語られることの多い困りごとです。

ただ、実際に起きていることは「過敏」だけではありません。米国言語聴覚学会(ASHA)は、感覚への反応を「過剰反応・低反応・混合したパターン」として記述しています。

鈍いように見えることも、同じ枠組みの中にあります。そこを知っておくと、見え方が変わります。

「過敏」だけではありません

ASHAは、支援が必要になりうる感覚の困難を次のように記述しています。

ASHAの記載
感覚モダリティの困難——環境音、におい、光、触覚刺激などに対する、過剰反応、低反応、または混合した反応のパターンを含む。
パターン見え方の例
過剰反応(過敏)掃除機や運動会のピストルをいやがる/服のタグ・縫い目を嫌う/人に触られるのを避ける/においに敏感
低反応(鈍麻)呼んでも気づきにくい/転んでも痛がらない/熱い・冷たいへの反応が薄い/強い刺激を自分から求める
混合したパターン感覚の種類によって違う。音には過敏だが、痛みには鈍い——といったことが同じ子に起きます
いちばん誤解されやすいのは「低反応」です
呼んでも振り向かない、痛がらない、危ないことをする——「聞いていない」「わざと」と受け取られやすいのがこちらです。

けれども過剰反応と低反応は、同じ「感覚の受け取り方」の話として並べて記述されています。正反対のことが起きているのではありません。

どんな感覚が対象になるか

ASHAが挙げているのは環境音・におい・光・触覚刺激などです。日常の場面に置き換えると、こうなります。

感覚困りごととして現れる場面
聴覚掃除機、ハンドドライヤー、運動会、ざわざわした教室、赤ちゃんの泣き声
触覚服のタグ・素材、髪を切る、爪を切る、歯みがき、砂・のり・粘土、手をつなぐ
視覚蛍光灯、日差し、掲示物の多い部屋
嗅覚・味覚給食のにおい、特定の食感(→偏食

聞こえの面が気になる場合は、まず耳鼻咽喉科で確かめてください。ASHAは、ことばのスクリーニングに聴力の低下を除外するための聞こえの確認を含めています。感覚の話に進む前に、耳そのものの問題を外すのが順番です。

「聴力検査は正常なのに聞き取りにくい」という状態については聴覚情報処理(APD)とは?にまとめています。

🔴 感覚の特性は「ある/ない」ではありません

ASHAは、自閉スペクトラム症の特徴のひとつとして「感覚入力への過敏および/または鈍麻」を挙げています(DSM-5-TRの定義にもとづく記述)。

ただし、ここは慎重に読んでください
感覚の困りごとがある=診断がつく、ということではありません。

感覚の受け取り方の幅は誰にでもあります。困りごととして現れているかどうか、生活に支障が出ているかどうかが、支援を考えるかの分かれ目です。

診断は医師が行います。

ASHAはまた、支援を検討する目安として「機会を制限する、苦痛や不快をもたらす、自己管理に影響する」という見方を示しています。

つまり「変わっているかどうか」ではなく「その子が困っているかどうか」で考える、ということです。

環境を変えるほうが、速いことがあります

感覚の受け取り方そのものを変えるのは簡単ではありません。一方で環境は、今日から変えられます

  1. どの感覚か、どの場面かを絞る——「うるさいのが苦手」ではなく「ハンドドライヤーの音が苦手」。具体的なほど手が打てます。
  2. 予告する——「これから掃除機かけるよ」。いつ来るかわかっているだけで、負担が変わります。
  3. 避けられるものは避ける——我慢の練習にする必要はありません。避けて過ごせるなら、それでかまいません。
  4. 逃げ場を用意する——つらくなったら移動していい場所を決めておく。「がまんする」以外の選択肢があると、行動が変わります。
  5. 道具を使う——イヤーマフ、帽子、タグを切る、素材を選ぶ。道具で解決するのは、逃げではありません。
  6. 記録する——何が・いつ・どれくらい。相談のときに、そのまま材料になります。
「慣れさせる」は、まず考えなくてかまいません
くり返し触れさせれば慣れる、とは限りません。つらい経験が重なると、その場面そのものを避けるようになることがあります。

まず負担を減らす。それから、必要があれば専門職と一緒に考える——この順番です。

園や学校に伝えるとき

感覚の困りごとは外から見えにくいため、伝え方に工夫が要ります。

伝わりにくい言い方伝わりやすい言い方
音に敏感ですハンドドライヤーと運動会のピストルで、耳をふさいで泣きます
触られるのが苦手です後ろから急に触られると驚きます。前から声をかけてもらえると大丈夫です
集中できません掲示物が多い場所だと落ち着きません。壁側の席だと過ごせています

「何が苦手か」と「どうすれば過ごせるか」を、セットで。対応の負担が具体的に見えると、受け入れられやすくなります。

専門職が園を訪問して一緒に考えるしくみもあります(→保育所等訪問支援とは?)。

どこに相談すればいいか

相談先何のため
区市町村の発達相談窓口無料。診断の有無にかかわらず相談できます
作業療法士(OT)感覚の受け取り方や体の使い方は、法律上作業療法の領域に近い面があります
耳鼻咽喉科聞こえの面が気になるとき。順番として先に来ます
小児科・児童精神科医学的な診断が必要な場合

職種の違いはST・OT・PTの違いにまとめています。作業療法は、法律上「身体又は精神に障害のある者」を対象とし、応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を目的とすると定められています(理学療法士及び作業療法士法第2条第2項)。

※本記事は一般的な情報提供です。感覚の困りごとがあることは、それ自体が診断を意味しません。診断は医師が行います。療育は医療ではありません。

出典

※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

「敏感」と「鈍い」が両方あるように見えます
ASHAは感覚の困難を「過剰反応、低反応、または混合した反応のパターン」と記述しています。混合したパターンは、記述の中に含まれています。音には過敏だが痛みには鈍い、といったことは同じ子に起こりえます。
呼んでも振り向きません。聞こえていないのでしょうか?
まず耳鼻咽喉科で聞こえを確かめてください。ASHAもことばのスクリーニングに聴力の低下を除外するための確認を含めています。聴力に問題がない場合、感覚の低反応の可能性もありますが、「聴力は正常なのに聞き取りにくい」という別の状態もあります(→APD)。
慣れさせたほうがいいですか?
まずは負担を減らすことをお勧めします。くり返し触れさせれば慣れるとは限らず、つらい経験が重なるとその場面そのものを避けるようになることがあります。必要があれば、専門職と一緒に段階を考えてください。
感覚過敏があると、診断がつくのですか?
つくとは限りません。ASHAは感覚入力への過敏・鈍麻を自閉スペクトラム症の特徴のひとつとして挙げていますが、感覚の困りごとがあること自体が診断を意味しません。感覚の受け取り方の幅は誰にでもあります。診断は医師が行います。
園にどう伝えればいいですか?
「何が苦手か」と「どうすれば過ごせるか」をセットで伝えると通りやすくなります。「音に敏感です」より「ハンドドライヤーで耳をふさいで泣きます。予告があれば大丈夫です」。専門職が園を訪問して一緒に考える保育所等訪問支援というしくみもあります。
どこに相談すればいいですか?
区市町村の発達相談窓口には、診断の有無にかかわらず相談できます。感覚の受け取り方や体の使い方は作業療法の領域に近く、理学療法士及び作業療法士法第2条第2項は作業療法を「身体又は精神に障害のある者に対し、主として応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図る」ものと定めています。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

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のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士・保育士など多職種の専門スタッフが在籍しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。