感覚過敏は、無理に慣れさせず、まず負担を減らします。くり返し触れさせれば慣れる、とは限らず、つらい経験が重なるとその場面そのものを避けるようになることがあるためです。環境は今日から変えられます。
| 感覚 | 困りごとの場面 | すぐできる対応 |
|---|---|---|
| 音(聴覚) | 掃除機、ハンドドライヤー、運動会 | 予告する(「これから掃除機かけるよ」)/避けられるものは避ける/逃げ場を用意する/イヤーマフなどの道具を使う |
| 服・肌ざわり(触覚) | 服のタグ・素材、髪や爪を切る、歯みがき | タグを切る、素材を選ぶ/予告する/避けられるものは避ける |
| 光(視覚) | 蛍光灯、日差し、掲示物の多い部屋 | 帽子などの道具を使う/逃げ場を用意する(掲示物が多い場所では壁側の席だと過ごせている例) |
| におい(嗅覚) | 給食のにおい | 避けられるものは避ける/逃げ場を用意する/予告する |
聞こえの面が気になるときは、先に耳鼻咽喉科で確かめます。何が・いつ・どれくらいかを記録しておくと、相談のときにそのまま材料になります。相談先は、区市町村の発達相談窓口(無料)、作業療法士(OT)、医学的な診断が必要な場合は小児科・児童精神科です。
※感覚の困りごとがあることは、それ自体が診断を意味しません。診断は医師が行います。根拠は以下の各節と出典(ASHA)をご覧ください。
ASHAは、支援が必要になりうる感覚の困難を次のように記述しています。
| パターン | 見え方の例 |
|---|---|
| 過剰反応(過敏) | 掃除機や運動会のピストルをいやがる/服のタグ・縫い目を嫌う/人に触られるのを避ける/においに敏感 |
| 低反応(鈍麻) | 呼んでも気づきにくい/転んでも痛がらない/熱い・冷たいへの反応が薄い/強い刺激を自分から求める |
| 混合したパターン | 感覚の種類によって違う。音には過敏だが、痛みには鈍い——といったことが同じ子に起きます |
ASHAが挙げているのは環境音・におい・光・触覚刺激などです。日常の場面に置き換えると、こうなります。
| 感覚 | 困りごととして現れる場面 |
|---|---|
| 聴覚 | 掃除機、ハンドドライヤー、運動会、ざわざわした教室、赤ちゃんの泣き声 |
| 触覚 | 服のタグ・素材、髪を切る、爪を切る、歯みがき、砂・のり・粘土、手をつなぐ |
| 視覚 | 蛍光灯、日差し、掲示物の多い部屋 |
| 嗅覚・味覚 | 給食のにおい、特定の食感(→偏食) |
聞こえの面が気になる場合は、まず耳鼻咽喉科で確かめてください。ASHAは、ことばのスクリーニングに聴力の低下を除外するための聞こえの確認を含めています。感覚の話に進む前に、耳そのものの問題を外すのが順番です。
「聴力検査は正常なのに聞き取りにくい」という状態については聴覚情報処理(APD)とは?にまとめています。
ASHAは、自閉スペクトラム症の特徴のひとつとして「感覚入力への過敏および/または鈍麻」を挙げています(DSM-5-TRの定義にもとづく記述)。
ASHAはまた、支援を検討する目安として「機会を制限する、苦痛や不快をもたらす、自己管理に影響する」という見方を示しています。
つまり「変わっているかどうか」ではなく「その子が困っているかどうか」で考える、ということです。
感覚の受け取り方そのものを変えるのは簡単ではありません。一方で環境は、今日から変えられます。
感覚の困りごとは外から見えにくいため、伝え方に工夫が要ります。
| 伝わりにくい言い方 | 伝わりやすい言い方 |
|---|---|
| 音に敏感です | ハンドドライヤーと運動会のピストルで、耳をふさいで泣きます |
| 触られるのが苦手です | 後ろから急に触られると驚きます。前から声をかけてもらえると大丈夫です |
| 集中できません | 掲示物が多い場所だと落ち着きません。壁側の席だと過ごせています |
「何が苦手か」と「どうすれば過ごせるか」を、セットで。対応の負担が具体的に見えると、受け入れられやすくなります。
専門職が園を訪問して一緒に考えるしくみもあります(→保育所等訪問支援とは?)。
| 相談先 | 何のため |
|---|---|
| 区市町村の発達相談窓口 | 無料。診断の有無にかかわらず相談できます |
| 作業療法士(OT) | 感覚の受け取り方や体の使い方は、法律上作業療法の領域に近い面があります |
| 耳鼻咽喉科 | 聞こえの面が気になるとき。順番として先に来ます |
| 小児科・児童精神科 | 医学的な診断が必要な場合 |
職種の違いはST・OT・PTの違いにまとめています。作業療法は、法律上「身体又は精神に障害のある者」を対象とし、応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を目的とすると定められています(理学療法士及び作業療法士法第2条第2項)。
※本記事は一般的な情報提供です。感覚の困りごとがあることは、それ自体が診断を意味しません。診断は医師が行います。療育は医療ではありません。
※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・都電早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士・保育士など多職種の専門スタッフが在籍しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。