🔴 条文を、そのまま読む
発達障害者支援法 第2条
第1項 この法律において「発達障害」とは、
自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
第2項 この法律において「発達障害者」とは、発達障害がある者であって
発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち
十八歳未満のものをいう。
第3項 この法律において「社会的障壁」とは、発達障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような
社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
読みどころを三つ挙げます。
- 「発達障害」と「発達障害者」は、別に定義されています。状態があることと、制限を受けている状態にあることは、条文上分けられています
- 「社会的障壁」に「慣行」「観念」が含まれます。設備や制度だけでなく、やり方の習慣やものの見方まで条文に入っています
- 「十八歳未満」が発達障害児です
この立て方が意味すること
困りごとは
本人の中だけで完結していない——というのが、この法律の考え方です。
だから支援は、本人に働きかけることだけでなく
周りを変えることも含みます(→
環境調整とは?・
合理的配慮とは?)。
基本理念(第2条の2)
同法は、支援の基本理念も定めています。
| 項 | 内容(原文の要点) |
| 第1項 | 「全ての発達障害者が社会参加の機会が確保されること及びどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないことを旨として、行われなければならない」 |
| 第2項 | 「発達障害者の支援は、社会的障壁の除去に資することを旨として、行われなければならない」 |
| 第3項 | 性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じ、関係機関・民間団体の緊密な連携の下に、その意思決定の支援に配慮しつつ、切れ目なく行われなければならない |
また第3条第4項は、施策を講じるにあたって「発達障害者及び発達障害児の保護者の意思ができる限り尊重されなければならない」としています。
この記事で書かないこと
診断の基準は書きません。また特性の一覧(チェックリスト)も載せません。
理由は二つです。
- 診断は医師が行うものだからです。家庭で使えるチェックリストを示すと、かえって迷うことになります
- 確認できた一次情報の範囲を超えるためです
代わりに使える目安なら、あります
ASHA(米国言語聴覚学会)は、支援を検討する目安として次の三つを挙げています。
①機会を制限する ②苦痛や不快をもたらす ③自己管理に影響する——見るのは
結果として何が起きているかであって、特性の数でも強さでもありません。
どれかに当てはまるなら、診断の有無に関わらず相談してよい——というのが、この三つの使い方です。
なお、それぞれの特性については個別の記事にまとめています(→自閉スペクトラム症(ASD)・ADHD・学習障害(LD)・グレーゾーン)。
早期発見について、法律が定めていること
第5条は、市町村について次のように定めています。
- 母子保健法第12条及び第13条の健康診査を行うに当たり、発達障害の早期発見に十分留意しなければならない
- 教育委員会は、学校保健安全法第11条の健康診断を行うに当たり、同様に留意しなければならない
- 疑いがある場合には、保護者に対し、継続的な相談、情報の提供及び助言を行うよう努めるとともに、必要に応じて発達障害者支援センター等を紹介し、又は助言を行う
- 🔴 「当該措置の対象となる児童及び保護者の意思を尊重するとともに、必要な配慮をしなければならない」
母子保健法第12条の健康診査は1歳6か月児と3歳児で、あいだにおよそ1年半の間隔があります。気になることが出てきたときに、次の健診を待つ必要はありません。
教育・保育について定めていること
| 条 | 内容 |
| 第7条(保育) | 市町村は、保育を行う場合「発達障害児の健全な発達が他の児童と共に生活することを通じて図られるよう適切な配慮をするものとする」 |
| 第8条(教育) | 「その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育を受けられるようにするため、可能な限り発達障害児が発達障害児でない児童と共に教育を受けられるよう配慮しつつ」適切な教育的支援、個別の教育支援計画および個別の指導に関する計画の作成の推進、いじめの防止等のための対策の推進その他の支援体制の整備を行う |
| 第9条 | 放課後児童健全育成事業(学童)について、利用の機会の確保を図るため適切な配慮をする |
| 第14条 | 都道府県等が発達障害者支援センターを指定する |
園や学校に配慮を相談することには、こうした条文の裏づけがあります。
どこに相談すればいいか
| 相談先 | 何のため |
| 区市町村の発達相談窓口 | 無料。診断の有無にかかわらず。健診を待たなくてかまいません |
| 小児科・児童精神科 | 診断は医師が行います |
| 発達障害者支援センター | 同法第14条にもとづき都道府県等が指定 |
| 耳鼻咽喉科 | ことば・聞こえが気になるとき、まず聴力の確認から |
| 児童発達支援 | 就学前の通所支援(→受給者証) |
※本記事は一般的な情報提供です。診断や治療に関する判断は医師が行います。この記事は診断の目安を示すものではありません。療育は医療ではありません。
出典
※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
法律は、発達障害をどう定義していますか?
発達障害者支援法第2条第1項は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」としています。
「発達障害」と「発達障害者」は違うのですか?
条文上は別に定義されています。「発達障害者」は「発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるもの」——本人の状態だけでは定義されていません。
「社会的障壁」には何が含まれますか?
同法第2条第3項は「社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの」としています。設備や制度だけでなく、やり方の習慣(慣行)やものの見方(観念)まで含まれます。
チェックリストはありますか?
この記事には載せていません。診断は医師が行うものであり、家庭で使えるチェックリストを示すとかえって迷うことになるためです。代わりに、ASHAが挙げる「機会を制限する/苦痛や不快をもたらす/自己管理に影響する」の三つを、相談を考える目安としてご覧ください。
健診まで待ったほうがいいですか?
待つ必要はありません。母子保健法第12条の健康診査は1歳6か月児と3歳児で、あいだにおよそ1年半の間隔があります。区市町村の発達相談窓口は健診とは別に、無料で使えます。
園や学校に配慮をお願いできますか?
できます。発達障害者支援法第7条(保育)は「他の児童と共に生活することを通じて図られるよう適切な配慮をするものとする」、第8条(教育)は「その特性を踏まえた十分な教育を受けられるようにするため」個別の教育支援計画の作成の推進などを定めています。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
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のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士・保育士など多職種の専門スタッフが在籍しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。