🔴 まず、条文を見てください
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)は、合理的配慮についてこう定めています。
条文の要点(第7条第2項・第8条第2項)
「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない」第7条は
行政機関等(公立学校など)、第8条は
事業者(私立学校、学習塾なども含まれます)が対象です。
同法第2条は「社会的障壁」を「障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの」と定義しています。
「宿題は全員同じ量」は、慣行です
条文の
「慣行」という語には、
「宿題は全員同じ量を、同じ形で」という運用も入りうると読めます。
もちろん、相談すれば必ず通るわけではありません。条文には
「負担が過重でないとき」という条件があります。
それでも、
相談してよい事柄であることは、条文から確かめられます。(→
合理的配慮とは?)
三つの壁を見分ける
「宿題ができない」は、少なくとも三つに分かれます。どれかで手の打ち方が変わります。
| 壁 | 様子 | 手を打つところ |
| 始められない | 取りかかるまでが長い。「あとで」が続く | 始め方を決める——最初の1問を一緒に、開くところまでを手伝う |
| 続かない | 始めるがすぐ立つ、気が散る | 量で区切る・終わりを見せる(→集中が続かない) |
| できない | 内容そのものが難しい/書くこと自体が負担 | 量と形を相談する(→読み書きが苦手) |
三つ目を、一つ目や二つ目として扱わないこと
内容が難しくて進まないのに、
「やる気」や「集中」の問題として扱われ続けると、宿題の時間そのものが避けられるようになります。
ASHAは、支援を検討する目安の一つに
「苦痛や不快をもたらす」を挙げています。
毎日つらい時間になっているなら、それ自体が相談の理由です。
家庭でできる仕組み
こども家庭庁のガイドラインは、環境について「時間や空間を本人にわかりやすく構造化すること」を定めています。宿題の場面にそのまま当てはめられます。
- やる場所と時刻を、毎日同じにする——決まっていること自体が、始める合図になります。毎日ちがうのがいちばん重いやり方です。
- やることを、全部見せる——今日の分をリストにして、終わったら消す。終わりが見えない状態を作らない。
- 順番を、本人が決める——国のガイドラインは「こどもによる選択ができるよう配慮すること」を挙げています。どれからやるかは選べる形に。
- 最初の1問を一緒にやる——「始められない」は、始まってしまえば解けることが多い壁です。
- 休憩を、先に予定へ入れる——切れてから休むのではなく、切れる前に休む。
- 時間を決めて、そこで終える——終わらなくても終える日を作ってよい、と決めておくと、家庭の消耗が減ります。
- 終わったことを、目に見える形に残す——消したリスト、貼ったシール。できた量が見えます。
親子でやると、どうしてもぶつかります
これは工夫が足りないからではありません。
教える人と、安心の相手が同じ人であることの難しさです。
こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインは、大人の役割を
「安心の基地」と書いています。毎日その関係が宿題で削られるなら、
やる場所を家庭の外に移すことも選択肢に入ります(→
放課後等デイサービスとは?)。
学校に相談するときの伝え方
「宿題ができません」だけでは、学校も動きようがありません。どこで止まっているかを分けて伝えます。
- かかっている時間——「30分の想定が、2時間かかっています」
- どこで止まるか——始められない/続かない/内容が難しい/書くこと自体
- 家庭で試したこと——量を分けた、休憩を入れた、順番を選ばせた
- お願いしたいこと——量を減らす、書く量を減らす、口頭で答える、期限を延ばす、道具を変える
お願いの形は、一つに絞らないほうが通りやすくなります
条文には
「負担が過重でないとき」という条件があります。
「量を半分に」の一択より、
「量を減らす/形を変える/期限を延ばす」の中で、できるものはありますか」と尋ねるほうが、学校側も動きやすくなります。
合理的配慮は、一方が要求して決まるものではなく、
建設的な対話を通じて決めていくものとされています。
配慮の内容を継続的に共有するしくみとして個別の教育支援計画があります。発達障害者支援法第8条(教育)は、その作成の推進を国・地方公共団体の措置として定めています(→個別の教育支援計画)。
住んでいる場所で、受けられる支援が違います
文部科学省の資料は、通級による指導を受ける児童の割合に都道府県で大きなばらつきがあることを示しています(小学校で、高いところは3%超、低いところは0.4%)。
同じ資料は「発達障害の場合、指導方法が十分に確立しているとは言い難い」とも記しています。
つまり、学校での対応に差があるのは担任の熱意だけの問題ではありません。うまくいかないときは、担任だけで抱えない形——特別支援教育コーディネーター、教育委員会の教育相談——に広げる価値があります。
どこに相談すればいいか
| 相談先 | 何のため |
| 担任 | まずここ。時間・どこで止まるか・試したことを具体的に |
| 特別支援教育コーディネーター | 担任だけで決まらないとき。校内の体制につなぐ役割 |
| 教育委員会の教育相談 | 通級・学びの場の相談(→通級指導教室) |
| 放課後等デイサービス | 学齢期の支援。家庭の外で取り組む形 |
| 小児科・児童精神科 | 眠れない、体調に出ている、強く落ち込んでいるとき |
※本記事は一般的な情報提供です。診断は医師が行います。制度の運用は自治体・学校により異なります。療育は医療ではありません。
出典
※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
宿題の量を減らしてもらうことは、お願いできますか?
相談してよい事柄です。障害者差別解消法は、合理的配慮の提供を「意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないとき」と定めています。ただし必ず通るとは限りません。条文に「負担が過重でないとき」という条件があるためです。
どう伝えれば、話が進みやすいですか?
かかっている時間とどこで止まるか(始められない/続かない/内容が難しい/書くこと自体)を分けて伝えてください。あわせて家庭で試したことを添えると、次の一手が決まりやすくなります。
「量を半分に」とお願いすればいいですか?
一択で出すより、「量を減らす/形を変える/期限を延ばす、の中でできるものはありますか」と尋ねるほうが動きやすくなります。合理的配慮は建設的な対話を通じて決めていくものとされています。
毎日けんかになります
工夫が足りないからではありません。教える人と、安心の相手が同じ人であることの難しさです。国のガイドラインは、大人の役割を「安心の基地」と書いています。その関係が毎日削られるなら、やる場所を家庭の外に移すことも選択肢に入ります。
終わらない日は、どうすればいいですか?
時間を決めて、そこで終える日を作ってよいと、あらかじめ決めておく方法があります。どこまでできたかを連絡帳などで伝えておくと、学校側にも状況が伝わります。
学校の対応が、担任によって違う気がします
文部科学省の資料は、通級による指導を受ける児童の割合に都道府県で大きなばらつきがあること、また「発達障害の場合、指導方法が十分に確立しているとは言い難い」ことを記しています。担任だけで抱えない形(特別支援教育コーディネーター、教育委員会の教育相談)に広げる価値があります。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
お子さまのこと、専門スタッフに相談してみませんか
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士・保育士など多職種の専門スタッフが在籍しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。