保育園や幼稚園、公園などで「お友だちを押してしまった」「おもちゃを取られて手が出てしまった」と聞くと、親御さんとしては胸が締めつけられるような思いがしますよね。
「どうして乱暴なことをしてしまうの?」「相手のお子さんや親御さんに申し訳ない…」と自分を責めてしまうことも多いかもしれません。
しかし、こども家庭庁のガイドラインや国際的な言語・コミュニケーションの指針(ASHA)では、子どもが手を出してしまう背景には「乱暴さ」ではなく、言葉で伝えられないもどかしさや感覚の過敏さなどの明確な理由(コミュニケーション機能)があると説明されています。
この記事では、手が出てしまう理由をやさしく紐解きながら、家庭や園でできる具体的なステップをお届けします。
💡 まず知っておきたい:手が出る「3つの背景」
- 1. 言葉の前の「もどかしさ」(表現手段の不足):
「かして」「やめて」「いっしょにあそぼう」という気持ちはあるのに、とっさに言葉が出ず、先に手が出てしまうケースです。 - 2. 近づかれすぎたり大きな音が苦手(感覚過敏):
パーソナルスペース(自分の安心できる距離)に急に入られたり、予測できない動きや大きな音に驚いて、自分を守るために押し返してしまうことがあります。 - 3. 相手の気持ちや意図の読み取りのずれ:
「わざとぶつかってきたわけではない」のに「攻撃された」と受け取ってしまったり、順番交代のルールがまだ体感としてつかめていない場合があります。
🤝 トラブルが起きたときの「4つの対応ステップ」
- まずは安全の確保と手当て(叱る時間は短く):
相手のお子さんの安全確認が最優先です。その際、本人への長い説教は興奮を高めて届かないため、「手はバツ」「おしまい」と短く静かに伝えて場面を離します。 - 「どうすればよかったか」をその場で一緒にやってみせる:
「叩いちゃダメ!」と禁止するだけでは次の行動がわかりません。「『かして』って言おうね」と一緒に手を差し出すなど、望ましいやり方をその場で練習(やり直し)します。 - 謝り方は言葉だけにこだわらない:
気持ちが高ぶっているときに「目を見て謝りなさい」と強要するとパニックになることがあります。お辞儀をする、ごめんねカードを渡す、先生と一緒に頭を下げるなど、その子が無理なくできる形で十分です。 - 「叱られる回数」を減らす環境づくり:
トラブルが続くと、子どもは1日中「ダメ!」と怒られ続け、自己肯定感が傷ついてしまいます。少人数で遊べるコーナーを作ったり、順番が分かりやすい目印を置くなど、トラブルが起きにくい環境を先に整えることが大切です。
🏫 園と連携するときのポイント
園の先生と話すときは、「うちの子が悪くてすみません」と謝るだけでなく、以下のような具体的な観察ポイントを共有すると前向きな支援につながります。
- 起きやすい場面: 「自由遊びの切り替え時」「おもちゃの取り合い」「狭い場所」など
- 家庭で効果のあった工夫: 「絵カードを見せると落ち着く」「先に次の予定を予告する」など
- 専門職の活用: 園での集団生活を支えるため、専門スタッフが園を訪問する「保育所等訪問支援」を活用することも非常に効果的です。
📖 さらに詳しい学会・公的機関のエビデンスと実践法はこちら
米国音声言語聴覚学会(ASHA)の社会的コミュニケーション指針や、発達障害者支援法第7条に基づく園での配慮など、詳しい解説は「のびのび発達ラボ」の正本ページでまとめています。
🌱 この記事は、児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)が運営する情報サイト「のびのび発達ラボ」の抜粋コラムです。
