法令にある言葉と、日常で使う言葉
| 言葉 | どこに書かれているか |
| 療育 | 制度の名前としては法令に無い。日常語・慣用として広く使われている |
| 児童発達支援 | 児童福祉法 第6条の2の2(障害児通所支援の一つ) |
| 発達支援 | 発達障害者支援法 第2条第4項に定義がある |
| 療育手帳 | 手帳の名称としては使われている(東京都は「愛の手帳」) |
なぜ気にする価値があるか
「療育」は、話す人によって指す範囲が違います。児童発達支援だけを指すこともあれば、医療機関のリハビリテーションを含めることも、家庭での関わりまで含めることもあります。
だから、園や学校、医療機関と話すときは
「どこで、何を受けているか」を具体的に言うほうが、確実に伝わります。
児童福祉法 第6条の2の2が定める障害児通所支援の四つ。「療育」は、このどれの名前でもありません。
「発達支援」の定義(発達障害者支援法)
条文
「この法律において『発達支援』とは、発達障害者に対し、その心理機能の適正な発達を支援し、及び円滑な社会生活を促進するため行う個々の発達障害者の特性に対応した医療的、福祉的及び教育的援助をいう」——発達障害者支援法 第2条第4項
医療・福祉・教育の三つが並んでいます。一つの分野に収まるものとしては書かれていません。
「児童発達支援」の中身(国のガイドライン)
こども家庭庁の児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)は、こう書いています。
原文
「児童発達支援は、障害のあるこどもに対し、身体的・精神的機能の適正な発達を促し、日常生活及び社会生活を円滑に営めるようにするために行う、それぞれの障害の特性に応じた福祉的、心理的、教育的及び医療的な援助である」
そして具体的な中身として、本人支援・家族支援・移行支援・地域支援/地域連携の四つを総合的に提供するもの、としています。このうち「本人支援」を組み立てる視点が5領域です(→5領域とは?)。
また児童福祉法第6条の2の2第2項は、児童発達支援の目的に「日常生活における基本的な動作及び知識技能の習得並びに集団生活への適応のための支援」を挙げています。「集団生活への適応」が法律に明記されています。
障害児通所支援は、法律で4種類と定められています
「療育」と呼ばれるもののうち、児童福祉法にもとづく通所の支援は第6条の2の2で4種類と定められています。
| 種類 | 条文が定める対象・内容 |
| 児童発達支援 | 障害児につき、児童発達支援センター等に通わせ、日常生活における基本的な動作及び知識技能の習得並びに集団生活への適応のための支援その他の便宜を供与すること(第2項) |
| 放課後等デイサービス | 学校教育法第1条の学校(幼稚園及び大学を除く)に就学している障害児につき、授業の終了後又は休業日に、生活能力の向上のために必要な支援等を行うこと(第3項) |
| 居宅訪問型児童発達支援 | 重度の障害等により外出することが著しく困難な障害児につき、その居宅を訪問し、支援を行うこと(第4項) |
| 保育所等訪問支援 | 保育所等に通う障害児につき、当該施設を訪問し、当該施設における障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援その他の便宜を供与すること(第5項) |
条文の書き分けに注目してください
児童発達支援の目的には
「集団生活への適応」が明記されています。
放課後等デイサービスは
「授業の終了後又は休業日」と時間が条文で限定され、対象も
就学している障害児です。
保育所等訪問支援は
「当該施設における」適応のための支援——つまり
その園での過ごし方そのものが対象で、子どもがどこかへ出向く形ではありません。
利用にはいずれも受給者証が必要です(→受給者証とは?)。
🔴 療育は医療ではありません
ここは、はっきりさせておく価値があります。
- 診断は医師が行います。児童発達支援は診断をする場ではありません
- 児童発達支援は、児童福祉法にもとづく福祉のサービスです
- 利用に診断が必須とは限りません。受給者証の交付は市町村の判断によります(→受給者証とは?)
- 医療的な行為は行いません。必要なときは医療機関へ
「治す」ためのものとしては書かれていません
ガイドラインが掲げる目標は、
「安定したアタッチメントを形成していくこと」「こどもの自尊心や主体性を育てつつ、発達上のニーズに合わせて、こどもの育ちの充実を図ること」などです。
また留意事項として
「単に運動機能や検査上に表される知的能力にとどまらず、『育つ上での自信や意欲』……こどものできること、得意なこと及び可能性に着目し可能性を拡げること」と書かれています。
どこで受けられるか
| 場 | 根拠・特徴 |
| 児童発達支援 | 就学前。児童福祉法。受給者証が必要 |
| 放課後等デイサービス | 就学後。授業の終了後または休業日 |
| 保育所等訪問支援 | 専門職が園・学校を訪問。「当該施設における」適応のための支援 |
| 居宅訪問型児童発達支援 | 外出が著しく困難な障害児に対し、居宅を訪問して行う |
| 医療機関 | 診断・治療・リハビリテーション。ここは医療 |
| 市区町村の親子教室など | 自治体により名称・内容が異なります |
障害児通所支援は、児童福祉法第6条の2の2で4種類と定められています。
はじめの一歩
- 区市町村の発達相談窓口に相談する——無料。診断の有無にかかわらず
- 必要に応じて医療機関へ——診断は医師が行います
- 受給者証を申請する——利用する場合(→受給者証とは?)
- 事業所を見学する——5領域のアセスメントの方法を尋ねてみてください
- 個別支援計画を確認する(→個別支援計画とは?)
※本記事は一般的な情報提供です。診断や治療に関する判断は医師が行います。制度の運用は自治体により異なります。療育は医療ではありません。
出典
※上記の出典は2026年9月6日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
「療育」は法律用語ですか?
制度の名前としては法令に出てきません。児童福祉法の制度名は「児童発達支援」、発達障害者支援法に定義がある用語は「発達支援」です。「療育」は日常語・慣用として広く使われている言葉です。
「発達支援」の定義は?
発達障害者支援法第2条第4項は「その心理機能の適正な発達を支援し、及び円滑な社会生活を促進するため行う個々の発達障害者の特性に対応した医療的、福祉的及び教育的援助」としています。
療育は治療ですか?
療育は医療ではありません。診断・治療は医療機関が行います。児童発達支援は児童福祉法にもとづく福祉のサービスです。
診断がないと受けられませんか?
必ずしもそうではありません。利用には受給者証が必要ですが、その交付は市町村の判断によります。まずは区市町村の窓口にご相談ください。
療育を受けると、どうなりますか?
結果を約束することはできません。国のガイドラインが掲げる目標は「安定したアタッチメントの形成」や「こどもの自尊心や主体性を育てつつ、発達上のニーズに合わせて、こどもの育ちの充実を図ること」などで、「治す」ためのものとしては書かれていません。
療育はどこで受けられますか?
障害児通所支援は児童福祉法で4種類と定められています——児童発達支援/放課後等デイサービス/居宅訪問型児童発達支援/保育所等訪問支援。ほかに医療機関のリハビリテーションや、自治体の親子教室などがあります。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
お子さまのこと、専門スタッフに相談してみませんか
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士・保育士など多職種の専門スタッフが在籍しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。