固有覚は、筋肉・関節・腱にある受け取り手から届く感覚です。
| 受け取るもの | 気づく場面 |
|---|---|
| 体の各部分の位置 | 目を閉じていても、手や足がどこにあるか分かる |
| 関節の角度・動き | 見ていなくても、ひじがどれくらい曲がっているか分かる |
| 力の入り具合 | 紙をつまむ力と、コップを持つ力を、見ずに変えられる |
「見なくても分かる」——これが固有覚の働きです。いちいち目で確かめなくても体を動かせるのは、この感覚が支えています。
固有覚の話でよく出てくるのが力加減です。
力加減とは、いま自分がどれくらいの力を出しているかが分かって、それを調整することです。①今の力が分かる ②どれくらい必要かが分かる ③その差を埋める——この3つが揃って、はじめて調整になります。
ASHA(米国言語聴覚学会)は、自閉スペクトラム症の特徴の説明の中で、感覚入力に対する過敏さ、あるいは鈍感さ(hyper- and/or hyposensitivity to sensory input)が、制限された反復的な行動・興味・活動のあらわれのひとつとして記載されると述べています。
※これは自閉スペクトラム症の特徴として記載されるものの説明で、感覚の受け取り方に幅があること自体は誰にでもあてはまります。診断を示すものではありません。
固有覚は、直接ことばを作る感覚ではありません。ただし、関わる場面があります。
ひとつは伝える手段です。マカトンサインを出すには手指の動きが必要で、絵カードを扱うにも手を使います。手の使いにくさが、伝える手段の選び方に影響することがあります。
ASHAもAACについて、道具が要らない形(サインなど)は、ある程度の運動のコントロールを必要とすると説明しています。
手の使い方、力の調整、体の動かし方は作業療法士(OT)と理学療法士(PT)の領域です。理学療法士及び作業療法士法 第2条が範囲を定めています。
| 条文が定める範囲 | |
|---|---|
| 作業療法(第2条第2項) | 身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせること |
| 理学療法(第2条第1項) | 身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えること |
はさみを使う、箸を持つ、着替える——こうした生活の中で手を使うことは、条文の「応用的動作能力」にあたり、作業療法の範囲です。
なお法律は作業療法の手段を「手芸、工作その他の作業」と定めており、この「作業」は仕事のことではなく生活の中のあらゆる活動を指します。
固有覚を検索すると、「感覚統合」という理論の説明や、それにもとづく遊び・訓練の紹介が多く出てきます。
「効果がない」という意味ではありません。ここでは判断しない、という意味です。
その子に何が向いているかは、作業療法士に直接ご相談ください。
「物をよく落とす」「力が強すぎる」といった項目を並べたチェックリストも、よく見かけます。
この記事では載せません。確認できた一次情報の中に、固有覚に対応する行動の一覧がなかったためです。
| 相談先 | 何のため |
|---|---|
| 作業療法士(OT) | 手の使い方、力の調整、感覚の受け取り方、身のまわりのこと |
| 理学療法士(PT) | 座る・立つ・歩くといった基本的な動き |
| 言語聴覚士(ST) | ことば。どの伝える手段(サイン・絵カード・機器)が合うかの評価も含めて |
| 区市町村の発達相談窓口 | どこに行けばよいか分からないとき。診断の有無にかかわらず相談できます |
3職種の違いはST・OT・PTの違い、伝える手段の選び方はAACとは?にまとめています。
※本記事は一般的な情報提供です。診断は医師が行います。療育は医療ではありません。お子さまの発達に医学的な心配がある場合は、小児科などにご相談ください。
※上記の出典は2026年9月3日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士が在籍しています。ことばの専門評価と個別プログラムを、児童発達支援として提供しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。