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💬 ことばの困りごと

発音がはっきりしない——ASHAは「何%伝わるか」を月齢で示しています

最終更新:2026年9月4日
「さかな」が「たかな」になる。何を言っているか家族しか分からない——直したほうがいいのか、そのうち治るのか。ここが分かりません。

ASHA(米国言語聴覚学会)は、この判断のために発音の正確さではなく「どれくらい伝わるか」を見る、という整理をしています。

そして月齢ごとの目安を数字で示しています。まず、その数字から見ていきます。

🔴 ASHAが示している「伝わる割合」の目安

話したことが聞き手にどれだけ伝わるかを明瞭度(intelligibility)といいます。ASHAは、明瞭度が重症度を判断し、支援の必要性を決めるためによく用いられるとしたうえで、次の目安を挙げています。

聞き手月齢と、伝わる割合
親しい聞き手(家族など)22か月=50%/37か月=75%/47か月=100%
親しくない聞き手31か月=50%/49か月=75%/83か月=90%
この表の使い方
診断の基準ではありません。個人差があり、当てはまらないお子さまはいます。

そのうえで、この表がふつうの発達の説明と違うのは「誰に対して」を分けていることです。

家族には全部通じるのに園の先生には通じない——これは矛盾ではなく、表のとおりです。親しくない聞き手に90%伝わるのは、目安として83か月(およそ7歳)とされています。

逆に言えば、ご家族が「通じている」と感じていても、外ではそうでないことがある——ここが見落とされます。

※ASHAは米国の職能団体であり、この目安は英語を話す子どもについての研究にもとづくものです。日本語には音のしくみの違いがあります。数値はあくまで考え方の参考としてご覧ください。

「構音」と「音韻」——同じ言い間違いでも中身が違う

ASHAは、発音の困難(speech sound disorders)を大きく二つに分けています。

区分ASHAの記述
器質性(organic)運動・神経の障害/構造の異常/感覚・知覚の障害から生じるもの。原因が分かっているもの
特発性(idiopathic)「原因が分かっていない」もの。構音(articulation)の問題音韻(phonology)の問題が含まれる

そのうえでASHAは、構音を音を出す運動の面、音韻を音のしくみという言語の面として区別しつつ、実際にはこの二つをまとめて「特発性の発音の困難」として扱うことがあると述べています。

家庭で見るときの手がかり
特定の音だけが苦手なのか、音のまとまりに規則的な傾向があるのか——ここが違うと、手の打ち方が変わります。

ただしこの見分けはご家庭で行うものではありません。気づいたことを書き留めて、言語聴覚士に見てもらうための材料にしてください。

書き留めるのは「言えた語/言えなかった語」をそのまま。解釈を付けずに残すほうが、あとで役に立ちます。

「その年齢では、まだふつう」の考え方

ASHAは、子どもが音を身につけていく時期について、Crowe と McLeod(2020)による子音の獲得年齢の整理を参照しています。そして、この学びの期間には「典型的な誤りや音韻のパターンを示すことが多い」と述べています。

つまり、言い間違いがあること自体は、その時期にはふつうに起こるという前提です。

この記事で音ごとの年齢表を出さない理由
「サ行は◯歳、ラ行は◯歳」という表は、よく見かけます。

この記事では載せません。確認できた記述は英語の子音についての研究であり、日本語の音にそのまま当てはめられるかを確かめられていないためです。

数字があると読みやすくなりますが、根拠を示せないものは書かない——このシリーズの方針です。

年齢の目安については、言語聴覚士に日本語での見立てを尋ねてください。

🔴 なまり・方言は、障害ではありません

ASHAは、話し方の言語的な違いについて次のように述べています。

ASHAの記述
こうした言語的な違いは明瞭度に影響することがある。「しかし、はっきりしたなまりがあっても、伝わることはある」

——聞き手にとって耳慣れないことと、伝わらないことは別だ、という整理です。

ご家庭に方言や複数の言語がある場合、その影響と、発音の困難は分けて見る必要があります(→家庭に二つの言語がある子のことば)。

練習させる前に見ること

  1. 聞こえを確かめる——音の聞き分けは、聞こえの上に成り立ちます。まず耳鼻咽喉科へ(→なぜ聞こえの検査が大切なのか)。
  2. 手本を示すと言えるか見る——ASHAは刺激性(stimulability)を評価で見る要素に挙げています。ゆっくり見せたら言えるのか、まったく出ないのか。そこは違う状態です。
  3. どこまで伝わっているかを、外の人で確かめる——家族は文脈で補って聞いています。園の先生や、めったに会わない人に尋ねてみてください。
  4. 本人が気にしているかを見る——ASHAは、支援の必要性を判断する際に本人や家族の心配を要素に挙げています。言い直しを嫌がる、話す量が減った——これは大事な情報です。
  5. 言い直させることを、目的にしない——「もう一回言って」が続くと、話すこと自体が減ることがあります。伝わったことを先に返すほうが、話す量は保たれます。
  6. 書き留める——言えた語・言えなかった語を、そのまま。日付つきで。
読み書きとのつながり
ASHAは次のように述べています——「幼稚園年代の子どもにおける発音の産出の弱さは、のちの読み書きの成績の低さと関連づけられてきた。とくに、言語や音韻意識の困難を併せもつ子どもにおいてそうである」

発音の相談は、発音だけの相談ではないということです(→読み書きが苦手)。

どこに相談すればいいか

相談先何のため
耳鼻咽喉科まず聞こえの確認。口の中の形(舌小帯など)も見てもらえます
言語聴覚士(ST)発音は言語聴覚士法第2条の対象領域(音声機能・言語機能)です
区市町村の発達相談窓口無料。診断の有無にかかわらず
ことばの教室(通級による指導)就学後。学校教育法施行規則第140条第1号は「言語障害者」を対象に挙げています

※本記事は一般的な情報提供です。診断や治療に関する判断は医師が行います。療育は医療ではありません。

出典

※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

何歳まで様子を見ていいですか?
年齢での線引きは書きません。日本語の音についての一次情報を確認できていないためです。代わりの手がかりとして、ASHAはどれくらい伝わるか(明瞭度)を挙げています。親しくない聞き手に90%伝わるのは、目安として83か月(およそ7歳)とされています。
家族には通じるのに、園では通じないと言われます
矛盾ではありません。ASHAの目安は親しい聞き手と、親しくない聞き手を分けて示されています。家族は文脈で補って聞いているためです。外の人に確かめてみることをおすすめします。
言い直しをさせたほうがいいですか?
言い直させること自体を目的にしないほうがよいと考えられます。「もう一回言って」が続くと、話す量そのものが減ることがあるためです。ASHAは、支援の必要性の判断に本人や家族の心配を要素として挙げています。
サ行は何歳、ラ行は何歳、という表はありますか?
この記事には載せません。確認できたのは英語の子音についての整理(Crowe & McLeod, 2020)であり、日本語の音にそのまま当てはめられるかを確かめられていないためです。
なまりがあるのは、発音の問題ですか?
ASHAは「はっきりしたなまりがあっても、伝わることはある」と述べています。聞き手にとって耳慣れないことと、伝わらないことは別のものとして整理されています。
何から始めればいいですか?
まず耳鼻咽喉科で聞こえの確認です。音の聞き分けは聞こえの上に成り立ちます。そのうえで、手本を示すと言えるか(刺激性)を見てもらうと、次の一手が決まりやすくなります。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

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のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士が在籍しています。ことばの専門評価と個別プログラムを、児童発達支援として提供しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。