まず、用語の整理からです。「ことばの教室」は法令用語ではありません。
法令上の名前は「通級による指導」で、そのうち学校教育法施行規則 第140条第1号「言語障害者」を対象とするものが、一般に「ことばの教室」と呼ばれています。
自治体によって、「ことばの教室」「きこえとことばの教室」「言語障害通級指導教室」など、呼び方が異なります。お住まいの区市町村を調べるときは、その自治体が使っている呼び方を確かめると、目的のページにたどり着きやすくなります。
続けて、対象が8つの区分で列挙されています。
| 号 | 対象 |
|---|---|
| 第1号 | 言語障害者 ←「ことばの教室」はここ |
| 第2号 | 自閉症者 |
| 第3号 | 情緒障害者 |
| 第4号 | 弱視者 |
| 第5号 | 難聴者 |
| 第6号 | 学習障害者 |
| 第7号 | 注意欠陥多動性障害者 |
| 第8号 | その他障害のある者で、この条の規定により特別の教育課程による教育を行うことが適当なもの |
条文の要点は「特別の教育課程によることができる」という部分です。通常の教育課程の決まりにかかわらず、その子に必要な特別の指導を、時間割の中に組み込める——これが通級による指導の法的なしくみです。
第140条には「(特別支援学級の児童及び生徒を除く)」という括弧書きがあります。つまり通級による指導と特別支援学級は、法律上まったく別のものです。
| <b>通級による指導</b>(ことばの教室) | <b>特別支援学級</b> | |
|---|---|---|
| 在籍する学級 | 通常の学級 | 特別支援学級 |
| 指導の形 | ふだんは通常の学級で学び、一部の時間だけ特別の指導を受ける | 特別支援学級で、障害の状態などに応じた授業を受ける |
| 根拠 | 学校教育法施行規則 第140条 | 学校教育法 第81条 |
混同されやすいところですが、「ことばの教室に通う=特別支援学級に入る」ではありません。通級を受けている間も、在籍はもとの通常の学級のままです。
文部科学省の通知(令和4年4月27日/4文科初第375号)は、通級による指導の実施形態として「自校通級」「他校通級」「巡回指導」の3つを挙げています。
| 形 | どういう形か |
|---|---|
| 自校通級 | 自分が通っている学校の中にある教室で受ける |
| 他校通級 | ほかの学校まで通って受ける |
| 巡回指導 | 担当の教師が学校に来て指導する |
「うちの学校にはことばの教室がない」——その場合でも、あきらめる必要はありません。他校通級には、法令の裏づけがあります。
つまり、よその学校で受けた通級の授業を、自分の学校の授業として扱える——この条文があるから、他校通級が成り立ちます。
なお同じ通知は、この3つの形がある中で「通級による指導が十分に活用できていない」事例が散見されたとも述べています。
この通知には、「改善が必要な具体的な事例」という一覧があります。その中に、保護者にとって非常に大切な一項目があります。
つまり、この4つの選択肢を説明されることは、保護者として当然に期待してよいことだと国が示しています。
| 学びの場の選択肢 | 内容 |
|---|---|
| 通常の学級 | そのまま通常の学級で学ぶ |
| 通常の学級+通級による指導 | 通常の学級に在籍し、一部の時間に特別の指導を受ける(ことばの教室はここ) |
| 特別支援学級 | 特別支援学級に在籍し、障害の状態などに応じた授業を受ける |
| 特別支援学校 | 特別支援学校に在籍する |
就学相談などの場で説明がなかった場合、「4つの選択肢について、それぞれ説明していただけますか」とそのまま尋ねていただいてかまいません。国の通知にもとづく、正当な質問です。
同じ通知には、もうひとつ知っておきたい記載があります。
学校や自治体の都合ではなく、その子の教育的ニーズが先——これが国の示している考え方です。
通知は、判断にあたって「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月改訂)を参照することを求めており、市区町村教育委員会が必要に応じて都道府県教育委員会とも相談しながら、通級による指導の実施形態も含めて入念に検討・判断を進める必要があるとしています。
通知は、特別支援学級に在籍する場合の運用についても、具体的な目安を示しています。
また、大半の時間を交流及び共同学習として通常の学級で学んでいる場合には、学びの場の変更を検討するべきともされています。
ただし、次年度に通常の学級への変更を検討していて段階的に時数を増やしているなど、教育上の必要性がある場合はこの限りではないとも書かれています。
在籍している場と、実際に過ごしている場が食い違っていないか——この目安は、それを確かめるものさしになります。
通級による指導は就学後のしくみです。未就学の時期にできることを整理します。
未就学の時期に受けられる児童発達支援と、就学後の通級による指導は、根拠となる法律も窓口も違う、別の制度です。
| <b>児童発達支援</b>(未就学) | <b>通級による指導</b>(就学後) | |
|---|---|---|
| 根拠 | 児童福祉法 | 学校教育法施行規則 第140条 |
| 窓口 | 区市町村の障害福祉担当(通所受給者証の申請) | 区市町村の教育委員会(就学相談) |
| 場所 | 児童発達支援事業所・センター | 学校(自校・他校・巡回) |
未就学の時期に児童発達支援を利用していたからといって、就学後に自動的に通級になるわけではありません。就学相談は、あらためて必要です。
ことばそのものの相談については、ことばが出ない・遅い気がするときや言語聴覚士(ST)とは?もあわせてご覧ください。
※制度の内容・手続き・時期は、お住まいの自治体や年度により異なります。最新の情報は各自治体の教育委員会・公式サイトでご確認ください。
※上記の出典は2026年9月3日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士が在籍しています。ことばの専門評価と個別プログラムを、児童発達支援として提供しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。