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💬 ことばの困りごと

ことばの教室(通級による指導)とは?——法令から読み解くしくみ

最終更新:2026年9月3日
「ことばの教室」は、小学校などで受けられる通級による指導のひとつです。発音や話しことばの困りごとについて、通常の学級に在籍したまま、一部の時間に特別の指導を受けるしくみです。

この記事は、学校教育法施行規則の条文と、文部科学省の通知(令和4年4月27日/4文科初第375号)にもとづいて説明します。「自分の学校にないから受けられない」とは限らないことや、学校から説明されるべき選択肢まで、法令の裏づけつきでまとめました。

「ことばの教室」は通称です

まず、用語の整理からです。「ことばの教室」は法令用語ではありません

法令上の名前は「通級による指導」で、そのうち学校教育法施行規則 第140条第1号「言語障害者」を対象とするものが、一般に「ことばの教室」と呼ばれています。

自治体によって、「ことばの教室」「きこえとことばの教室」「言語障害通級指導教室」など、呼び方が異なります。お住まいの区市町村を調べるときは、その自治体が使っている呼び方を確かめると、目的のページにたどり着きやすくなります。

法令はこう定めています

学校教育法施行規則 第140条
小学校、中学校、義務教育学校、高等学校又は中等教育学校において、次の各号のいずれかに該当する児童又は生徒(特別支援学級の児童及び生徒を除く)のうち当該障害に応じた特別の指導を行う必要があるものを教育する場合には、文部科学大臣が別に定めるところにより、…(各条の規定)にかかわらず、特別の教育課程によることができる

続けて、対象が8つの区分で列挙されています。

対象
第1号言語障害者 ←「ことばの教室」はここ
第2号自閉症者
第3号情緒障害者
第4号弱視者
第5号難聴者
第6号学習障害者
第7号注意欠陥多動性障害者
第8号その他障害のある者で、この条の規定により特別の教育課程による教育を行うことが適当なもの

条文の要点は「特別の教育課程によることができる」という部分です。通常の教育課程の決まりにかかわらず、その子に必要な特別の指導を、時間割の中に組み込める——これが通級による指導の法的なしくみです。

🔴 特別支援学級とは、別のしくみです

第140条には「(特別支援学級の児童及び生徒を除く)」という括弧書きがあります。つまり通級による指導と特別支援学級は、法律上まったく別のものです。

<b>通級による指導</b>(ことばの教室)<b>特別支援学級</b>
在籍する学級通常の学級特別支援学級
指導の形ふだんは通常の学級で学び、一部の時間だけ特別の指導を受ける特別支援学級で、障害の状態などに応じた授業を受ける
根拠学校教育法施行規則 第140条学校教育法 第81条

混同されやすいところですが、「ことばの教室に通う=特別支援学級に入る」ではありません。通級を受けている間も、在籍はもとの通常の学級のままです。

3つの形——自校通級・他校通級・巡回指導

文部科学省の通知(令和4年4月27日/4文科初第375号)は、通級による指導の実施形態として「自校通級」「他校通級」「巡回指導」の3つを挙げています。

どういう形か
自校通級自分が通っている学校の中にある教室で受ける
他校通級ほかの学校まで通って受ける
巡回指導担当の教師が学校に来て指導する

「うちの学校にはことばの教室がない」——その場合でも、あきらめる必要はありません。他校通級には、法令の裏づけがあります。

学校教育法施行規則 第141条
前条の規定により特別の教育課程による場合においては、校長は、児童又は生徒が、設置者の定めるところにより他の小学校、中学校…又は特別支援学校の小学部…において受けた授業を、当該小学校…において受けた当該特別の教育課程に係る授業とみなすことができる

つまり、よその学校で受けた通級の授業を、自分の学校の授業として扱える——この条文があるから、他校通級が成り立ちます。

なお同じ通知は、この3つの形がある中で「通級による指導が十分に活用できていない」事例が散見されたとも述べています。

🔴 国が「説明していないのは改善が必要」と挙げている選択肢

この通知には、「改善が必要な具体的な事例」という一覧があります。その中に、保護者にとって非常に大切な一項目があります。

改善が必要な具体的な事例(通知より)
通常の学級、通常の学級における指導と通級による指導を組み合わせた指導、特別支援学級、特別支援学校という学びの場の選択肢を、本人及び保護者に説明していない。

つまり、この4つの選択肢を説明されることは、保護者として当然に期待してよいことだと国が示しています。

学びの場の選択肢内容
通常の学級そのまま通常の学級で学ぶ
通常の学級+通級による指導通常の学級に在籍し、一部の時間に特別の指導を受ける(ことばの教室はここ)
特別支援学級特別支援学級に在籍し、障害の状態などに応じた授業を受ける
特別支援学校特別支援学校に在籍する

就学相談などの場で説明がなかった場合、「4つの選択肢について、それぞれ説明していただけますか」とそのまま尋ねていただいてかまいません。国の通知にもとづく、正当な質問です。

「通級の場がないから特別支援学級」は、適切とされていません

同じ通知には、もうひとつ知っておきたい記載があります。

通知(第1)より
通級による指導の対象となる児童生徒について、その児童生徒が通学する小・中学校等に通級による指導の場を設けることが容易ではない場合に、安易に特別支援学級を開設することは適切とは言えないこと。

どのような学びの場がふさわしいかは、その児童生徒の教育的ニーズが大前提となる。

学校や自治体の都合ではなく、その子の教育的ニーズが先——これが国の示している考え方です。

通知は、判断にあたって「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月改訂)を参照することを求めており、市区町村教育委員会が必要に応じて都道府県教育委員会とも相談しながら、通級による指導の実施形態も含めて入念に検討・判断を進める必要があるとしています。

特別支援学級を選んだ場合の目安も、示されています

通知は、特別支援学級に在籍する場合の運用についても、具体的な目安を示しています。

通知(第2)より
特別支援学級に在籍している児童生徒については、原則として週の授業時数の半分以上を目安として、特別支援学級において児童生徒の一人一人の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた授業を行うこと

また、大半の時間を交流及び共同学習として通常の学級で学んでいる場合には、学びの場の変更を検討するべきともされています。

ただし、次年度に通常の学級への変更を検討していて段階的に時数を増やしているなど、教育上の必要性がある場合はこの限りではないとも書かれています。

在籍している場と、実際に過ごしている場が食い違っていないか——この目安は、それを確かめるものさしになります。

未就学のうちにできること

通級による指導は就学後のしくみです。未就学の時期にできることを整理します。

  1. 就学相談の時期を調べる——区市町村の教育委員会が実施します。受付の開始も締切も自治体によって違います。東京23区の窓口と時期は東京23区の申請窓口 一覧・比較にまとめています。
  2. ことばの記録を残す——話せることばの数、通じた指示・通じなかった指示を日付つきで。就学相談で話す材料になります。
  3. 専門職の評価を受けておく——言語聴覚士(ST)による検査・評価の記録があると、相談の場での話が具体的になります。
  4. 4つの選択肢について説明を求める——通常の学級/通常の学級+通級/特別支援学級/特別支援学校。国の通知が説明を求めている項目です。

未就学の時期に受けられる児童発達支援と、就学後の通級による指導は、根拠となる法律も窓口も違う、別の制度です。

<b>児童発達支援</b>(未就学)<b>通級による指導</b>(就学後)
根拠児童福祉法学校教育法施行規則 第140条
窓口区市町村の障害福祉担当(通所受給者証の申請)区市町村の教育委員会(就学相談)
場所児童発達支援事業所・センター学校(自校・他校・巡回)

未就学の時期に児童発達支援を利用していたからといって、就学後に自動的に通級になるわけではありません。就学相談は、あらためて必要です。

調べるときのポイント

ことばそのものの相談については、ことばが出ない・遅い気がするとき言語聴覚士(ST)とは?もあわせてご覧ください。

※制度の内容・手続き・時期は、お住まいの自治体や年度により異なります。最新の情報は各自治体の教育委員会・公式サイトでご確認ください。

出典

※上記の出典は2026年9月3日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

「ことばの教室」は法律上の名前ですか?
いいえ、通称です。法令上は「通級による指導」といい、学校教育法施行規則第140条第1号の「言語障害者」を対象とするものが「ことばの教室」と呼ばれています。自治体によって「きこえとことばの教室」「言語障害通級指導教室」など呼び方が異なります。
通級に通うと、特別支援学級に移ることになりますか?
なりません。学校教育法施行規則第140条は、対象から「特別支援学級の児童及び生徒を除く」と定めています。通級による指導を受ける子どもは通常の学級に在籍したまま、一部の時間に特別の指導を受けます。
学校にことばの教室がありません。受けられませんか?
受けられる可能性があります。文部科学省の通知は「自校通級」「他校通級」「巡回指導」の3つの形を挙げており、学校教育法施行規則第141条は、他の学校で受けた授業を自校の授業とみなすことができると定めています。また同通知は、通級の場を設けることが容易でない場合に安易に特別支援学級を開設することは適切とは言えないとしています。
学びの場について、どんな説明を受けられますか?
文部科学省の通知は、通常の学級/通常の学級における指導と通級による指導を組み合わせた指導/特別支援学級/特別支援学校という4つの選択肢を本人及び保護者に説明していないことを、「改善が必要な具体的な事例」として挙げています。説明がない場合、4つについて尋ねていただいてかまいません。
特別支援学級では、どのくらいの時間をそこで過ごすのですか?
文部科学省の通知は、特別支援学級に在籍する場合原則として週の授業時数の半分以上を目安に特別支援学級で授業を行うこととしています。大半の時間を通常の学級で学んでいる場合は、学びの場の変更を検討すべきともされています。ただし段階的な移行など教育上の必要性がある場合は、この限りではありません。
未就学ですが、いま何をしておけばいいですか?
就学相談は区市町村の教育委員会が行い、受付の時期は自治体ごとに違います。ことばの記録(話せることばの数、通じた指示)を日付つきで残しておくこと、言語聴覚士による評価を受けておくことが、相談の場で役に立ちます。未就学の児童発達支援は児童福祉法にもとづく別の制度で、就学後に自動的に通級になるわけではありません。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

ことばのこと、言語聴覚士に相談してみませんか

のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士が在籍しています。ことばの専門評価と個別プログラムを、児童発達支援として提供しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。