「同年代の子に比べて言葉がなかなか増えない」「発音がはっきりしなくて聞き取りにくい」——そんなとき、小児科や健診で「言語聴覚士(ST)さんに相談してみるといいですよ」と勧められた経験はありませんか?
でも、「具体的にどんなことをしてくれるの?」「病院で診断書をもらわないと相談できないの?」「そもそもどこに行けば会えるの?」と分からないことばかりですよね。
実は、言語聴覚士は「いきなり発音の練習をする専門家」ではなく、まず「なぜ言葉が出にくいのか」を多角的に見立てるアセスメントの専門家です。
この記事では、言語聴覚士の本当の役割と、療育の現場で相談する際のポイントをやさしく解説します。
💡 言語聴覚士(ST)の仕事:練習の前に「調べる」
日本言語聴覚士協会では、STの役割を「検査・評価を行い、本質やメカニズムを明らかにしてから、必要に応じて訓練や指導・助言を行う」と定義しています。
「言葉が出ない」というひとつの悩みでも、その背景は子どもによって全く異なります。
- 聞こえ(聴覚): 相手の声が十分に聞こえているか?
- 理解(受容): 言葉の意味や指示を理解できているか?
- 口や舌の動き(口腔機能): 筋肉の発達や噛む力・飲み込む力に課題はないか?
- コミュニケーションの意図: 「伝えたい!」という人と関わる意欲が育っているか?
理由が違えば、家庭や教室でやるべき関わり方も正反対になります。やみくもに言葉を言わせようとするのではなく、「今、その子にとって何が一番のブレーキになっているのか」を科学的に見つけ出すことこそが、STの最大の専門性です。
📊 知っておきたい現実:福祉施設にいるSTはわずか「約5%」
「STに相談したいのに、どこを探しても見つからない…」と感じる保護者の方はとても多くいらっしゃいます。
日本言語聴覚士協会のデータによると、全国のSTの約6割以上は一般病院などの医療機関に勤務しており、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの「福祉分野」で働くSTは全体のわずか「5.26%」にとどまっています。
そのため、通所できる範囲の療育事業所にSTが在籍していること自体が非常に貴重な環境と言えます。
🏛️ 医師の診断書がなくても相談できる?
「病院で確定診断が出ていないと、STにみてもらえないのでは?」と不安に思う方もいらっしゃいますが、法律上、言葉の検査・助言・指導そのものは医師の指示が必須と定められているわけではありません(嚥下訓練など医療的行為を除く)。
児童発達支援事業所にSTが在籍している場合、受給者証があれば日々の療育のなかで直接アセスメントや相談を受けることができます。
🤝 ご家庭でできること・教室からのアドバイス
- 無理に「言わせてみる」練習を急がない:
「りんごって言ってごらん」と繰り返させると、話すこと自体にプレッシャーを感じてしまうことがあります。まずは大人が子どもの視線や指差しに寄り添い、「赤いね、おいしそうだね」と気持ちを言葉にしてあげるのが基本です。 - 身振りや絵カード(非言語)も大切なステップ:
言葉だけでなく、ジェスチャーや指差し、絵カードなどを使って「伝わった!」という成功体験を重ねることが、やがて言葉を発するエネルギーにつながります。
📖 さらに詳しい言語聴覚士法(条文)や小児領域の活動内容はこちら
言語聴覚士法第2条の定義や、医療機関と療育施設での支援の違いなど、より詳しい法律根拠や制度の解説は「のびのび発達ラボ」の正本ページで詳しくまとめています。
🌱 この記事は、児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)が運営する情報サイト「のびのび発達ラボ」の抜粋コラムです。
