📣 放課後等デイサービスは 2027年4月 開所予定です(現在、指定申請の準備を進めています)
お問い合わせ・見学予約
🌱 のびのび発達ラボ|こどもの発達と学びの情報室(記事一覧へ
ホームのびのび発達ラボ > 📋 手続き・制度 > 就学相談の「判定」——誰が、何をもとに、どう決めるのか
📋 手続き・制度

就学相談の「判定」——誰が、何をもとに、どう決めるのか

最終更新:2026年9月7日
就学相談を申し込むと、面談があり、検査があり、園に様子を見に来て、そして「委員会にかけます」と言われます。
そこで何が起きているのか——誰が決めるのか、何を見て決めるのか、自分の意見はどこで聞かれるのか。この記事は、その決まり方だけに絞って書きました。
先にいちばん大事なことをお伝えします。平成25年9月に、決め方の仕組みそのものが変わりました。「基準に当てはまる子は原則として特別支援学校」という以前の仕組みは改められ、いまは本人・保護者の意見を最大限尊重し、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を図ることを前提に、市区町村の教育委員会が総合的に判断して決める形になっています。古い説明が今も出回っているので、条文と文部科学省の通知にあたって整理します。

そもそも「判定」は、法令に出てくる言葉ではありません

就学相談の場では「判定」「判定が出る」という言い方をよく聞きます。ところが、就学先の決め方を定めている学校教育法にも、学校教育法施行令にも、「判定」という語は一度も出てきません。「決定」という語も、施行令の就学手続の条文には使われていません。

条文が使っているのは、次の言葉です。どれも意味が違います。

条文の言葉何を指しているか
認める市町村の教育委員会が「特別支援学校に就学させることが適当である」と認めること。この認められた人が「認定特別支援学校就学者」と呼ばれます
根拠=学校教育法施行令 第5条第1項
意見を聴く通知を出そうとするときに、保護者と専門的知識を有する者の意見を聴くこと。「聴くものとする」と書かれた義務です
根拠=学校教育法施行令 第18条の2
通知する保護者に入学期日を通知すること。学校が2校以上ある市区町村では、就学すべき学校の指定も同時に行われます
根拠=学校教育法施行令 第5条第1項・第2項/特別支援学校は第14条第1項・第2項
思料する就学したあとに学びの場を見直すとき、在学する学校の校長が「変えたほうが適当だと思料する」ところから手続が始まります
根拠=学校教育法施行令 第6条の3第1項・第12条の2第1項
では「判定」とは何を指しているのか

実務の言葉です。多くの自治体が、教育委員会に置いた会議体で検討した結果のことを、そう呼んでいます。ただしその会議体は、あとで見るとおり助言や提案をする場であって、決める場ではありません。

ですから「判定が出た」と言われたときは、それが会議体の提案なのか、教育委員会の決定なのか、入学期日の通知なのかを、そのつど確かめて差し支えありません。段階が違えば、その先にできることも変わります。

「就学基準」という言葉も、条文には出てきません

施行令第22条の3には、視覚障害者・聴覚障害者・知的障害者・肢体不自由者・病弱者について「障害の程度」の表があります。これを「就学基準」と呼ぶ習わしがありますが、条文の見出しにその語はありません。学校教育法第75条の委任を受けて、程度を定めた表です。この表が今どういう位置づけなのかは、次の節で見ていきます。

※ 「判定」という語が公的な文書に出てこないという意味ではありません。自治体の案内では使われています(例:杉並区の資料は特別支援教室の利用について「併せて総合的に検討し判定します」と書いています)。ここで言っているのは、就学先の決め方を定めた法令の条文には無いということです。

平成25年9月、決め方の仕組みそのものが変わりました

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。学校教育法施行令は平成25年8月26日に改正され、9月1日から施行されました(政令第244号)。文部科学事務次官の通知(25文科初第655号/平成25年9月1日)が、その趣旨を次のように説明しています。

学校教育法施行令の一部改正について(通知)第1 改正の趣旨

中央教育審議会の報告において、「就学基準に該当する障害のある子どもは特別支援学校に原則就学するという従来の就学先決定の仕組みを改め、障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人・保護者の意見、教育学、医学、心理学等専門的見地からの意見、学校や地域の状況等を踏まえた総合的な観点から就学先を決定する仕組みとすることが適当である。」との提言がなされたこと等を踏まえ、所要の改正を行うものであること。

同じ通知は続けて、報告のもう1か所を引き、これを「改正令における基本的な前提として位置付けられるもの」だと述べています。

同 第1(続き)

「その際、市町村教育委員会が、本人・保護者に対し十分情報提供をしつつ、本人・保護者の意見を最大限尊重し、本人・保護者と市町村教育委員会、学校等が教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則とし、最終的には市町村教育委員会が決定することが適当である。」

改正で何が変わったのか

通知の「第2 改正の内容」は、5つを挙げています。保護者に関わりの深いものを並べます。

「表に当てはまる=特別支援学校」ではありません

改正後の第5条第1項は、特別支援学校に就学する子を次のように定義しています。「のうち」という語に注目してください。

学校教育法施行令 第5条第1項(認定特別支援学校就学者の定義)

……第二十二条の三の表に規定する程度のもの(以下「視覚障害者等」という。)のうち、当該市町村の教育委員会が、その者の障害の状態その者の教育上必要な支援の内容地域における教育の体制の整備の状況その他の事情を勘案して、その住所の存する都道府県の設置する特別支援学校に就学させることが適当であると認める者をいう。

つまり第22条の3の表は、入口の条件であって、結論ではありません。表に当てはまることは4つの勘案事項のうちの1つ(障害の状態)にすぎず、しかも3つめには「地域における教育の体制の整備の状況」——その子の状態ではなく、地域に何があるか——が入っています。

※ 改正から10年以上が経ちましたが、「基準に当てはまったら特別支援学校」という説明はまだ見かけます。就学相談の場で古い前提の説明を受けたと感じたら、25文科初第655号の第1(上に引いた部分)を手元に置いて、確かめてかまいません。

決めるのは、委員会ではありません

就学相談では「就学支援委員会にかけます」「検討部会で検討します」と言われます。この会議体が決めるのだ、と受け取られがちですが、文部科学省の手引は、はっきり否定しています。

障害のある子供の教育支援の手引(令和3年6月)第2編 第3章6

専門家からの意見聴取は、市区町村教育委員会による就学先となる学校や学びの場の総合的な判断に資するように実施されるものであり、就学先を決定するのは、教育支援委員会等ではなく、あくまでも市区町村教育委員会であることに留意することが必要である。

手引は同じ節で、委員会のメンバー構成についても釘を刺しています。「実際に本人と接したことのない専門家のみで判断することについては、本人及び保護者が不安を感じることが想定される」として、実際に本人と接し障害の状態等を詳細に把握している専門家や、本人の支援を行っている関係者等の意見を聴取するなどして、きめ細かい情報収集と確認を行うことを求めています。

委員会の名前が自治体でばらばらなのは、法令に名前が無いからです

この会議体の名称は、法令で決まっていません。平成25年10月4日の通知(25文科初第756号)が、従来の「就学指導委員会」について機能の拡充を図るとともに「教育支援委員会」(仮称)といった名称とすることが適当であると述べただけです。仮称と書かれているとおり、各自治体がそれぞれの名前を付けています。

区(東京23区の例)会議体の名称と、担当窓口
新宿区就学支援委員会——「お子さんにとって適切な教育の場について総合的に検討していきます」
窓口=教育委員会事務局 教育支援課 特別支援教育係。受付は令和8年4月1日〜9月30日(電子申請)
杉並区入学・転学検討部会——校長、教員、心理職等で構成。教育的ニーズに適した教育の場を提案する
窓口=教育委員会事務局 多様な学び支援課 相談事業係
練馬区2つの機関を置いています。就学相談委員会(学校長・特別支援学級担任・指導主事等)が面談・行動観察・発達検査・就学相談会を行って就学先を提案し、特別支援教育支援委員会(医師、教職員、指導主事、保育園長・保育士などの福祉関係職員、専門相談員、教育委員会事務局職員等)が教育長の諮問を受けて適正な教育措置を教育長に答申します
窓口=教育振興部 教育福祉課 就学相談係
中野区就学支援会議——「お子さんに合った就学先について検討をし、その結果をお伝えします」。申込みから就学先の決定までの目安は3〜5か月程度と案内されています
窓口=学務課 特別支援教育係(子ども・若者支援センター)

呼び名も、置き方も、これだけ違います。ですから他の区の説明をそのまま自分の区に当てはめないことが大事です。共通しているのは、どの区でも会議体は検討し提案する側で、決めるのは教育委員会だという点です。

委員会に期待されている役割は、就学先を選ぶことだけではありません

手引の解説「『教育支援委員会』について」は、機能の拡充として次のようなことを挙げています。

※ 手引は、認定こども園・幼稚園・保育所や、児童発達支援センター等の障害児通所支援施設、放課後等デイサービス、児童相談所の職員等が委員会に参画することも有効だと述べています。実際にどこまで入っているかは自治体によります。

何をもとに決めるのか——集められる材料

決めるときに勘案するとされているのは、第5条第1項の4つの事情です。それを埋めるために、いくつもの材料が集められます。

条文が挙げる4つの勘案事項

勘案事項(学校教育法施行令 第5条第1項)そのために見られるもの
その者の障害の状態施行令第22条の3の表に当てはまるかどうか。医学的側面と、心理学的・教育的側面の両方から把握される
根拠=文部科学省の手引 第2編 第3章5(教育的ニーズを整理する観点①)
その者の教育上必要な支援の内容就学前までに特別に必要とされる養育の内容と、義務教育段階で特別に必要とされる指導内容。合理的配慮を含む必要な支援の内容
根拠=同 観点②・観点③
地域における教育の体制の整備の状況通級による指導の場、特別支援学級、特別支援学校が地域にどう置かれているか。人的な配置や設備の状況
=その子の状態ではなく、地域の側の事情です
その他の事情上記以外の事情。手引は、就学後の6年間・3年間の育ちと見直しの方向性まである程度見通して判断することを求めています

実際に集められる資料——4区の案内から

自治体の案内を読むと、面談以外にどれだけの材料が集められているかが分かります。

「診断がないと決まらない」わけではありません

25文科初第756号は、通級による指導の対象とするか否かの判断について、「医学的な診断の有無のみにとらわれることのないよう留意し、総合的な見地から判断すること」と述べています。特別支援学級についても、障害の判断は「障害のある児童生徒の教育の経験のある教員等による観察・検査、専門医による診断等に基づき教育学、医学、心理学等の観点から総合的かつ慎重に行うこと」とされています。

知的障害についての判断の留意事項も、同じ通知に具体的に書かれています。知的機能と適応機能の両面から、標準化された知能検査等、コミュニケーション・日常生活・社会生活等に関する適応機能の状態についての調査、本人の発達に影響がある環境の分析等を行ったうえで総合的に判断すること——検査の数値ひとつで決まる建てつけにはなっていません。

※ 特別支援学級と通級による指導の対象は、施行令第22条の3の表ではなく、25文科初第756号が障害の種類ごとに示しています。特別支援学級は学校教育法第81条第2項が根拠で、対象は知的障害者・肢体不自由者・身体虚弱者・弱視者・難聴者・その他障害のある者で特別支援学級において教育を行うことが適当なもの、と法律に列挙されています。

保護者の意見は、いつ・どう聴かれるのか

「意見を言う機会はあるのだろうか」——ここは、政令にはっきり書かれています。学校教育法施行令には第3節の2「保護者及び視覚障害者等の就学に関する専門的知識を有する者の意見聴取」という節が独立して置かれ、条文は1本だけです。

学校教育法施行令 第18条の2

市町村の教育委員会は、児童生徒等のうち視覚障害者等について、第五条……又は第十一条第一項……の通知をしようとするときは、その保護者及び教育学、医学、心理学その他の障害のある児童生徒等の就学に関する専門的知識を有する者の意見を聴くものとする。

読み取れることは3つです。

「十分な時間的余裕をもって」と通知に書かれています

いつ聴くのかについては、25文科初第655号の「第3 留意事項」がさらに踏み込んでいます。

25文科初第655号 第3 留意事項1

特に、改正後の学校教育法施行令第18条の2に基づく意見の聴取は、市町村の教育委員会において、当該視覚障害者等が認定特別支援学校就学者に当たるかどうかを判断する前に十分な時間的余裕をもって行うものとし、保護者の意見については、可能な限りその意向を尊重しなければならないこと。

25文科初第756号も、同じことを「最終的な就学先の決定を行う前に十分な時間的余裕をもって行うものとし」と繰り返しています。判断が固まってから形だけ聴く、という運用は想定されていません。

根っこにあるのは、障害者基本法です

「可能な限りその意向を尊重」という言い回しは、通知が独自に作ったものではありません。障害者基本法 第16条第2項が、国及び地方公共団体に対し、障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならないと定めています。通知は、就学の手続はこの規定を踏まえて対応する必要があるとしています。

本人の意見はどう扱われるのか

手引は、「本人の意見については、学齢期の段階においては、一般的には保護者を通じて表出されるものと考えられる」としつつ、中学校や特別支援学校中学部への進学時などには別途本人の意見聴取を行うことが望ましい場合もあると書いています。

そのうえで、こう続きます——「保護者の思いが、子供本人の思いや子供の教育的ニーズとは、異なることもあり得ることに留意することが必要である」。保護者の思いを受け止めつつ、本人の教育的ニーズとは何かを考えることがまずは重要だ、という書き方です。

※ 手引は、意見を聴かれる前提として「就学を希望する学校や学びの場における基礎的環境整備の状況、提供可能な教育上の合理的配慮を含む必要な支援の内容等についても明確にしながら、建設的対話に努めることが重要である」としています。何が用意できるかを聞いたうえで意見を言う——その順番が想定されています。

意見が食い違ったとき、何が行われるのか

希望と、教育委員会の考えが違うこともあります。そのときに何が起きるかも、手引に書かれています。まず前提として、決め方の順番はこうです。

手引 第2編 第3章7(2)本人及び保護者と教育委員会、学校の合意形成

市区町村教育委員会が総合的に判断した就学先の学校や学びの場については、本人及び保護者の意見を最大限尊重しつつ、対象となる子供一人一人の教育的ニーズと必要な支援の内容を踏まえていることについて、本人及び保護者、学校等に対して十分な説明と合意形成を図った上で、最終的に市区町村教育委員会において決定することが適当である。

合意に至らない場合の調整——手引が挙げている手立て

手引の第2編 第3章7(4)は、「それでも意見が一致しない場合が起こり得る」と正面から書いたうえで、次のような手立てを挙げています。

  1. 調整のプロセスをあらかじめ示しておく——市区町村教育委員会が意見を調整するためのプロセスを明確化し、本人及び保護者にあらかじめ示しておくことが望ましいとされています。
  2. 第三者による評価——市区町村教育委員会の判断の妥当性を、市区町村教育委員会以外の者が評価することで調整が可能になる場合がある、とされています。
  3. 都道府県の教育支援委員会等の活用——保護者の要望を受けた市区町村教育委員会からの依頼に基づき、都道府県教育委員会の教育支援委員会等に第三者的な有識者を加えて意見の調整の場として活用することも考えられる、とされています。第三者的な有識者には法律の専門家等の参加も考えられると明記されています。
  4. 異議申立ての制度についての情報提供——市区町村教育委員会は、あらかじめ本人及び保護者に対し、行政不服審査制度も含めた就学に関する異議申し立ての制度やプロセスについても情報提供を行っておくことが望ましい、とされています。
  5. 体験入学を挟んでもう一度検討する——「より実践的な方法として」、就学に当たっての課題を明確にしたうえで体験入学を実施し、一定期間の体験入学の後に、再び就学先となる学校や学びの場についての検討の場をもつことも考えられる、とされています。

自治体の案内にも、同じことが書かれています

手引の記述は、実際の区の案内にも降りてきています。

「一度言われたら終わり」ではありません

手引も自治体の案内も、意見が一致しないことを想定した手順を書いています。納得できないと感じたときは、それを伝えることが手続の一部です。

そのとき役に立つのは、感想ではなく材料です。園での様子の記録、専門職の評価記録、家庭でうまくいっている手立て——4つの勘案事項のうち②「教育上必要な支援の内容」に直接つながる情報を持っていくと、話が具体的になります。

結果は、いつ・どんな形で伝えられるのか

ここは、2段階に分けて理解しておくと混乱しません。会議体の検討結果の連絡と、法令上の通知は別のものです。

段階誰から、どんな形で
①検討結果の連絡・提案自治体の運用によります。新宿区は「委員会の検討結果について保護者へ連絡します」、中野区は就学支援会議のあと「その結果をお伝えします」、練馬区は「就学相談結果のお知らせ」という段階を置いています。書面か口頭かは、法令が定めているものではありません
②入学期日の通知(就学通知)市町村の教育委員会から保護者へ、翌学年の初めから2月前までに。学校が2校以上ある市区町村では就学すべき学校の指定も同時に行われます。特別支援学校の場合は、市町村教育委員会が3月前までに都道府県教育委員会へ通知し、都道府県教育委員会が保護者へ2月前までに通知します
根拠=学校教育法施行令 第5条第1項・第2項、第11条第1項、第14条第1項・第2項

①がいつ来るかは自治体で違います。杉並区は流れ図で「検討部会=8月〜12月」「合意形成=9月〜12月」「就学通知=12月中旬〜3月」と示しています。中野区は申込みから就学先の決定まで目安3〜5か月程度としています。

合意に至らないまま通知の時期が来たら

手引は、この場面にも手当てをしています。

手引 第2編 第3章9(4)就学通知の段階で合意形成に至らない場合の対応

この場合は、通知を行いつつも、その後の本人及び保護者との合意形成や、意見の調整の場における検討を踏まえた就学先の変更が行われることがあり得ることを説明しつつ、手続きを執り行うことが重要である。実際、4月1日の入学までの間に、就学先が変更となった場合の通知については、(1)から(3)の手続きにのっとって行われる。

杉並区の流れ図は、これを保護者向けの言葉で書いています——「合意形成に至らない場合も、一旦は地域指定校の就学通知が発送されます。合意形成後に改めて決定した学校の就学通知が届きます」。つまり通知が届いたこと自体は、話し合いの終わりを意味しません

受入れの準備ができていないまま通知を出すことは、認められていません

手引は、はっきりこう書いています。「就学先の決定に当たっては、その子供がその学校で十分な教育を受けられる環境が確保されていることが必要であり、その確認や実際の受入れ体制の準備を欠いたまま、市区町村教育委員会が就学に関する通知を発出することがあってはならない」

※ なお、施行令第22条の2は、第5条第1項・第2項および第14条第1項・第2項による処分について行政手続法第3章の規定を適用しないと定めています。一方で手引は、あらかじめ行政不服審査制度も含めた異議申し立ての制度やプロセスについても情報提供を行っておくことが望ましいとしています。具体的にどうするかは、お住まいの教育委員会にご確認ください。

「一度決めたら変えられない」は、誤解です

これは思い込みではなく、文部科学省の手引が、誤解として名指ししているものです。原文を引きます。

手引 第2編 第2章1(2)留意点⑥に続く記述

実際の就学先決定後に柔軟に転学や学びの場の変更ができることについては、学校現場においても「一度決めた就学先や学びの場は変えることができない」と誤解されていることがある。このようなことが保護者の学校への信頼を失わせることもあることを踏まえ、都道府県教育委員会及び市区町村教育委員会は、域内の小中学校等や特別支援学校の教職員に対して、障害の状態等を踏まえ、柔軟に転学や学びの場の変更ができることについて周知を図り、理解を促すことが重要である。

「保護者が誤解している」ではなく「学校現場においても誤解されていることがある」と書かれている点が大事です。教職員に周知せよ、というのが手引の求めていることです。

同じことが、通知にも、手引の別の章にも書かれています

見直しは、何をもとに行われるのか

手引は、思いつきで見直すのではなく計画の評価を通じて行うことを求めています。市区町村教育委員会が定期的に教育相談を実施し、個別の教育支援計画や個別の指導計画に基づく関係者による会議を行い、それらの計画を適切に評価しながら、教育的ニーズの整理と必要な支援の内容を検討・確認し、必要に応じて教育支援委員会等の助言を得つつ見直していく、という組み立てです。

勘案されるものとして挙げられているのは、発達の程度、適応の状況、各教科等の学習の習得状況、自立活動の指導の状況、交流及び共同学習の実施時間数の状況などです。

※ 手引は、継続的な教育相談について「これらの相談は、保護者を説得するためのものではなく、子供の成長を確認し、喜び合うものであるという認識が共有されるように努める必要がある」と書いています。

入学後に学びの場を変えるときの手続き

変えられる、と言われても、では誰にどう言えばよいのか。条文上の始まり方は、実は校長からです。

条文が定めている、転学のきっかけ

どこからどこへ手続きの始まり方
特別支援学校 → 小中学校等在学する特別支援学校の校長が、障害の状態・教育上必要な支援の内容・地域における教育の体制の整備の状況その他の事情の変化により小中学校等に就学することが適当であると思料するとき、都道府県教育委員会へ通知。都道府県教育委員会が市町村教育委員会へ通知し、市町村教育委員会が改めて検討します
根拠=学校教育法施行令 第6条の3第1項〜第3項
小中学校等 → 特別支援学校在学する小中学校等の校長が、同じ事情の変化により小中学校等に就学させることが適当でなくなったと思料するとき、市町村教育委員会へ通知。市町村教育委員会が再度検討し、特別支援学校へ転学させるか、引き続き現在の学校に就学させるか、別の小中学校等へ転学させるかを判断します
根拠=学校教育法施行令 第12条の2第1項〜第3項
指定された小中学校を変えたい市町村の教育委員会は、相当と認めるときは保護者の申立てにより、指定した小学校・中学校・義務教育学校を変更することができます。特別支援学校の指定についても同じ形の規定があります(第16条)
根拠=学校教育法施行令 第8条

つまり第6条の3・第12条の2の道は、校長の「思料」から始まります。だからこそ、手引も自治体も「まず在籍校の担任・管理職に相談してください」と案内しているわけです。杉並区は「転学の希望がある場合、まずは在籍校の担任、管理職へ相談してください」と明記しています。

時期の目安

変更が決まるときの順番は、就学のときと同じです

手引は、学びの場の変更についても「本人及び保護者と市区町村教育委員会や学校等間で……変更について合意形成が図られた後、最終的には市区町村教育委員会が、子供の就学先となる学校や学びの場の変更を決定するものである」としています。合意形成が先、決定が後——この順番は就学のときと変わりません。

※ このほか、特別支援学校に在学する児童生徒が視覚障害者等でなくなった場合(第6条の2)、小中学校等に在学する児童生徒が新たに視覚障害者等となった場合(第12条)にも、校長から教育委員会への通知の規定が置かれています。

年長のうちに、確かめておくとよいこと

決まり方を知ったうえで、就学相談の場で確かめておくと後が楽なことを、条文と手引から拾って並べます。どれも、聞いて差し支えないことです。

  1. 会議体の名前と、開かれる時期を聞く——「うちの区では何という会議で、いつ開かれますか」。名前も時期も自治体で違います(新宿区=就学支援委員会、杉並区=入学・転学検討部会、練馬区=就学相談委員会と特別支援教育支援委員会、中野区=就学支援会議)。
  2. 結果がどう伝えられるかを、先に聞く——書面なのか電話なのか、いつごろか。法令が形を定めていないので、先に聞いておくしかありません
  3. 4つの学びの場について、それぞれ説明を求める——通常の学級/通常の学級と通級による指導の組み合わせ/特別支援学級/特別支援学校。文部科学省の通知は、この4つを本人及び保護者に説明していないことを「改善が必要な具体的な事例」として挙げています。
  4. その場で提供できる支援の中身を聞いてから、意見を言う——手引は、基礎的環境整備の状況や提供可能な合理的配慮を含む必要な支援の内容を明確にしながら建設的対話に努めることを求めています。
  5. 意見が一致しなかったときの進み方を聞いておく——手引は、調整のプロセスをあらかじめ本人及び保護者に示しておくことが望ましいとしています。「もし考えが違ったときは、どう進みますか」と聞いてかまいません。
  6. 見直しの手続きも、就学前に確認しておく——手引は、就学先決定の際に、就学後の見直しのことや見直しのための手続についても合意形成を図っておくことが大切だとしています。
  7. 園や事業所の記録を整えておく——手引は、園や障害児通所支援事業所等で作成されている計画を有効に活用し、情報を一元化して学校へ引き継ぐ取組を進めることが適当だとしています。手元の記録は、②「教育上必要な支援の内容」を語る材料になります。
この記事で確かめたこと

①「判定」は法令にない実務の言葉で、条文は「認める」「意見を聴く」「通知する」と書いている。
②平成25年の改正で、基準に該当すれば原則特別支援学校という仕組みは改められた
③決めるのは会議体ではなく市区町村の教育委員会
④保護者の意見を聴くことは政令上の手続で、判断の前に十分な時間的余裕をもって行われる。
⑤意見が一致しない場合の手立ては、手引に列挙されている。
⑥「一度決めたら変えられない」は、手引が誤解として名指ししている。

※ この記事は、就学先の決まり方に絞って書いています。年長の1年の日程は就学の準備——年長の1年で、いつ何をするかに、就学相談の全体像は就学相談とは?にまとめてあります。

出典

※上記の出典は2026年9月7日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

「判定」という言葉は、正式なものですか?
就学先の決め方を定めている学校教育法にも学校教育法施行令にも、「判定」という語は出てきません。条文が使っているのは「認める」「意見を聴く」「通知する」「指定する」「思料する」といった言葉です。「判定」は実務で使われている言い方で、多くの場合は教育委員会に置かれた会議体の検討結果を指しています。会議体の提案なのか、教育委員会の決定なのか、入学期日の通知なのか——段階を確かめると、その先にできることが見えてきます。
結局、誰が決めるのですか?
市区町村の教育委員会です。文部科学省の手引は「就学先を決定するのは、教育支援委員会等ではなく、あくまでも市区町村教育委員会であることに留意することが必要である」と明記しています。会議体(就学支援委員会・検討部会などの呼び名は自治体で違います)は、専門家の意見を出し、総合的な判断に資する助言と提案をする場です。
知能検査の数値で決まるのですか?
条文はそうなっていません。学校教育法施行令 第5条第1項は、①障害の状態 ②教育上必要な支援の内容 ③地域における教育の体制の整備の状況 ④その他の事情の4つを勘案するとしています。検査は①の一部です。文部科学省の通知も、知的障害についての判断は知的機能と適応機能の両面から、標準化された知能検査等に加え、適応機能の状態についての調査や本人の発達に影響がある環境の分析等を行ったうえで総合的に行うこととしています。
診断がないと、支援のある学びの場は選べませんか?
文部科学省の通知(25文科初第756号)は、通級による指導の対象とするか否かの判断について「医学的な診断の有無のみにとらわれることのないよう留意し、総合的な見地から判断すること」と述べています。特別支援学級についても、判断は教員等による観察・検査、専門医による診断等に基づき教育学・医学・心理学等の観点から総合的かつ慎重に行うこととされています。ただし自治体によっては医師診察記録の提出を求める運用があるので(新宿区は主治医がいない場合に教育委員会が契約している医師が面接します)、お住まいの案内をご確認ください。
保護者の意見は、どの段階で聞かれますか?
通知を出そうとする前です。学校教育法施行令 第18条の2は、入学期日の通知(第5条)や都道府県教育委員会への通知(第11条第1項)を「しようとするときは、その保護者及び……専門的知識を有する者の意見を聴くものとする」と定めています。さらに25文科初第655号は、この意見聴取を認定特別支援学校就学者に当たるかどうかを判断する前に十分な時間的余裕をもって行うものとし、保護者の意見については可能な限りその意向を尊重しなければならない、としています。
希望と結果が食い違ったら、どうなりますか?
そこで手続きが終わるわけではありません。文部科学省の手引は、意見が一致しない場合の手立てとして、調整のプロセスをあらかじめ示しておくこと、市区町村教育委員会以外の者による判断の妥当性の評価、都道府県教育委員会の教育支援委員会等に第三者的な有識者(法律の専門家等を含む)を加えた調整の場、行政不服審査制度も含めた異議申し立ての制度についての情報提供、体験入学の後にもう一度検討の場をもつことを挙げています。杉並区も「合意の形成がすぐには難しい場合、特別支援学校や特別支援学級の体験をするなどして相談を重ねます」と案内しています。
就学通知が届いたら、もう変えられないのですか?
そうとは限りません。文部科学省の手引は、就学通知の段階で合意形成がなされていない場合について、「通知を行いつつも、その後の……合意形成や、意見の調整の場における検討を踏まえた就学先の変更が行われることがあり得ることを説明しつつ、手続きを執り行うことが重要である」としています。杉並区の資料も「合意形成に至らない場合も、一旦は地域指定校の就学通知が発送されます。合意形成後に改めて決定した学校の就学通知が届きます」と書いています。また指定された小中学校の変更は、施行令 第8条により保護者の申立てによって行われる道があります。
入学したあとで学びの場を変えるには、どこに言えばよいですか?
まずは在籍する学校です。学校教育法施行令 第6条の3・第12条の2は、転学の検討が在学する学校の校長の「思料」から始まる形になっています。杉並区も「転学の希望がある場合、まずは在籍校の担任、管理職へ相談してください」と案内しています。時期は原則として年度の切替わりで、杉並区は10月30日までに在籍校と面談、11月30日までに転学相談の申込みという目安を示しています。なお転学に係る通知のときも、施行令 第18条の2により保護者及び専門家の意見を聴くこととされています。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

お子さまのこと、専門スタッフに相談してみませんか

のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)には、言語聴覚士・公認心理師・精神保健福祉士・保育士など多職種の専門スタッフが在籍しています。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。