いつ、誰が行うのか
| 決めていること | 条文 |
| 行うのは市(特別区を含む)町村の教育委員会 | 学校保健安全法 第11条 |
| 対象は、翌学年の初めから小学校等に就学させるべき者で、その市町村の区域内に住所を有する者 | 同 第11条 |
| 時期は、学齢簿が作成された後、翌学年の初めから4か月前まで(就学に関する手続の実施に支障がない場合は3か月前まで) | 学校保健安全法施行令 第1条 |
| あらかじめ、日時・場所・実施の要領等を保護者に通知しなければならない | 同 第3条 |
| 就学時健康診断票を、翌学年の初めから15日前までに入学する学校の校長へ送付 | 同 第4条 |
🔴 「4か月前まで」を日付にすると
条文に「11月30日」のような日付は書かれていません。書かれているのは
「翌学年の初めから四月前まで」という言い方だけです。学年の初めは4月1日なので、逆算すると
11月末から12月初めが期限にあたります。
実際には
10月から11月に実施する市区町村が多くあります。通知は事前に届きますが、
届く時期そのものが自治体で違います。9月になっても案内が無ければ、教育委員会に確かめてください。
転入などで、実施日のあとに学齢簿に新しく載った場合は、その子について速やかに就学時の健康診断を行うと定められています(学校保健安全法施行令第1条第2項)。抜け落ちない仕組みになっています。
🔴 検査の項目は7つ。発達は「その他」の枠に入っている
学校保健安全法施行令第2条が定める、就学時健康診断の検査項目です。
| # | 項目 |
| 一 | 栄養状態 |
| 二 | 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無 |
| 三 | 視力及び聴力 |
| 四 | 眼の疾病及び異常の有無 |
| 五 | 耳鼻咽頭疾患及び皮膚疾患の有無 |
| 六 | 歯及び口腔の疾病及び異常の有無 |
| 七 | その他の疾病及び異常の有無 |
🔴🔴 第七号「その他」の中身は、施行規則が決めています
7つの項目名だけを見ると、発達のことは何も見ないように読めます。しかし
学校保健安全法施行規則 第3条が、項目ごとの「方法及び技術的基準」を定めていて、その
第10号がこう書いています。
「その他の疾病及び異常の有無は、知能及び呼吸器、循環器、消化器、神経系等について検査するものとし、知能については適切な検査によつて知的障害の発見につとめ、呼吸器、循環器、消化器、神経系等については臨床医学的検査その他の検査によつて結核疾患、心臓疾患、腎臓疾患、ヘルニア、言語障害、精神神経症その他の精神障害、骨、関節の異常及び四肢運動障害等の発見につとめる」——
知能と言語障害は、名指しで入っています。「就学時健診は身体測定だけ」というのは、正しくありません。
🔴 それでも、1歳半・3歳児健診とは重みが違います
母子保健法施行規則では、
「精神発達の状況」と「言語障害の有無」が独立した項目として番号を振られています(1歳半=七・八、3歳児=九・十)。
就学時健康診断では、
第七号「その他」のなかの一部という置かれ方です。どこまで見るかは
「適切な検査によつて……発見につとめる」という書き方で、具体的な方法は市区町村の実施のしかたによります。
ですから、
「就学時健診で何も言われなかったから大丈夫」とは言い切れません。発達のことを相談したいなら、
就学相談という別の道があります。
結果を受けて、教育委員会は何をするのか
学校保健安全法第12条は、健康診断のあとにすることを定めています。ここを読むと、この健診の位置がわかります。
条文(学校保健安全法 第12条)
「市町村の教育委員会は、前条の健康診断の結果に基づき、治療を勧告し、保健上必要な助言を行い、及び学校教育法第十七条第一項に規定する義務の猶予若しくは免除又は特別支援学校への就学に関し指導を行う等適切な措置をとらなければならない」
- 治療を勧告する——むし歯や視力など、治せるものは入学前に治しておく
- 保健上必要な助言を行う
- 就学義務の猶予・免除、または特別支援学校への就学に関し指導を行う
つまり就学時健康診断は、体の状態を整えて入学に備えるための健診です。就学先を決めるための場ではありません。就学先の相談は就学相談という別の手続きで進みます。
就学先の話は、別の法律で動いている
就学先の決定は、学校教育法施行令が定めています。就学時健康診断とは別の流れで、しかもより早く動き出します。
| いつまで | 何が起きるか(学校教育法施行令) |
| 毎学年の初めから5か月前まで(=10月31日ごろ) | 市町村の教育委員会が学齢簿を作成(第2条) |
| 翌学年の初めから3か月前まで(=12月31日ごろ) | 特別支援学校に就学させるべき者について、市町村教育委員会が都道府県教育委員会へ通知(第11条第1項) |
| 翌学年の初めから2か月前まで(=1月31日ごろ) | 保護者へ入学期日を通知(第5条第1項) |
🔴🔴 保護者の意見を聴くことは、法令上の義務です
学校教育法施行令
第18条の2は、こう定めています。
「市町村の教育委員会は、児童生徒等のうち視覚障害者等について、(就学の)通知をしようとするときは、その保護者及び教育学、医学、心理学その他の障害のある児童生徒等の就学に関する専門的知識を有する者の意見を聴くものとする」——
保護者の意見を聴くことが、条文に書かれています。「決まったことを伝えられる」のではなく、
決める前に聴くことになっているのが法令の建て付けです。
就学時健康診断(11月末まで)を待ってから動き出すと、学齢簿の作成(10月末まで)にはもう間に合いません。
就学相談は、年中の後半から年長の春に始めるのが実際的です。
当日、心配なとき
- 通知が届いたら、日時と場所と持ち物をすぐ確かめる。学校保健安全法施行令第3条で、保護者への事前通知は教育委員会の義務です。届いていなければ問い合わせてください。
- 会場になじみにくいことが分かっているなら、前もって教育委員会に伝える。人が多い、待ち時間が長い、初めての場所が苦手——当日に泣き通しで終わるより、先に伝えたほうが早く進みます。
- 気になっていることは、当日その場ではなく、紙に書いて渡す。就学時健康診断は流れ作業になりやすく、時間が短いためです。
- そして、就学相談の窓口を別に確かめる。この健診で発達のことを見るのは「その他」の枠のなかで、どこまで見るかは市区町村の実施のしかたによります。就学先の相談は、教育委員会の就学相談の担当が窓口です。
この日に就学先が決まるわけではありません。決まるのは、学校教育法施行令の流れ——保護者と専門家の意見を聴いたうえで、翌学年の初めから2か月前までに入学期日が通知される、という順番です。
出典
- 学校保健安全法(昭和33年法律第56号)/e-Gov法令検索第11条(市町村の教育委員会は就学に当たってその健康診断を行わなければならない)/第12条(健康診断の結果に基づき、治療を勧告し、保健上必要な助言を行い、義務の猶予若しくは免除又は特別支援学校への就学に関し指導を行う等適切な措置をとらなければならない)
- 学校保健安全法施行令(昭和33年政令第174号)/e-Gov法令検索第1条(就学時の健康診断の時期=学齢簿が作成された後、翌学年の初めから4月前まで。就学に関する手続の実施に支障がない場合は3月前まで)/第2条(検査の項目7=栄養状態/脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無/視力及び聴力/眼の疾病及び異常の有無/耳鼻咽頭疾患及び皮膚疾患の有無/歯及び口腔の疾病及び異常の有無/その他の疾病及び異常の有無)/第3条(保護者への事前通知)/第4条(就学時健康診断票を翌学年の初めから15日前までに校長へ送付)
- 学校保健安全法施行規則(昭和33年文部省令第18号)/e-Gov法令検索第3条(就学時の健康診断の方法及び技術的基準)第10号=「その他の疾病及び異常の有無は、知能及び呼吸器、循環器、消化器、神経系等について検査するものとし、知能については適切な検査によつて知的障害の発見につとめ、呼吸器、循環器、消化器、神経系等については臨床医学的検査その他の検査によつて結核疾患、心臓疾患、腎臓疾患、ヘルニア、言語障害、精神神経症その他の精神障害、骨、関節の異常及び四肢運動障害等の発見につとめる」/第4条(就学時健康診断票の様式は第一号様式)
- 学校教育法施行令(昭和28年政令第340号)/e-Gov法令検索第2条(学齢簿は毎学年の初めから5月前までに作成)/第5条第1項(入学期日は翌学年の初めから2月前までに通知)/第11条第1項(特別支援学校への就学の通知は翌学年の初めから3月前までに)/第18条の2(通知をしようとするときは、その保護者及び教育学、医学、心理学その他の専門的知識を有する者の意見を聴くものとする)
- 母子保健法施行規則(昭和40年厚生省令第55号)/e-Gov法令検索第2条第1項(1歳6か月児健診の項目11=身体発育状況/栄養状態/脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無/皮膚の疾病の有無/歯及び口腔の疾病及び異常の有無/四肢運動障害の有無/精神発達の状況/言語障害の有無/予防接種の実施状況/育児上問題となる事項/その他の疾病及び異常の有無)/第2条第2項(3歳児健診の項目13=上記に眼の疾病及び異常の有無、耳・鼻及び咽頭の疾病及び異常の有無が加わる)
※上記の出典は2026年9月7日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
就学時健康診断はいつありますか?
学校保健安全法施行令第1条により、学齢簿が作成された後、翌学年の初めから4か月前まで(就学に関する手続の実施に支障がない場合は3か月前まで)に行うことになっています。条文に日付は書かれていません。学年の初めは4月1日ですので、逆算すると11月末から12月初めが期限にあたります。実際には10月から11月に実施する市区町村が多くあります。
就学時健康診断では何を調べますか?
学校保健安全法施行令第2条の7項目です。栄養状態/脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無/視力及び聴力/眼の疾病及び異常の有無/耳鼻咽頭疾患及び皮膚疾患の有無/歯及び口腔の疾病及び異常の有無/その他の疾病及び異常の有無。第七号「その他」の中身は施行規則第3条第10号が定めており、知能(適切な検査によって知的障害の発見につとめる)と言語障害、精神神経症その他の精神障害が名指しで挙げられています。ただし1歳半・3歳児健診のように独立した項目として立っているのとは重みが違います。
就学時健康診断で就学先が決まりますか?
決まりません。就学先の決定は学校教育法施行令が定める別の流れです。同令第18条の2により、教育委員会は通知をしようとするときに保護者および専門的知識を有する者の意見を聴くことになっています。入学期日の通知は翌学年の初めから2か月前までです。
就学相談は、就学時健康診断のあとで間に合いますか?
間に合わないことがあります。学齢簿の作成が毎学年の初めから5か月前まで(10月末ごろ)、就学時健康診断が4か月前まで(11月末ごろ)ですので、健診の前にすでに手続きが動き始めています。就学相談は年中の後半から年長の春に始める市区町村が多いので、時期は教育委員会に早めにお尋ねください。
会場に行くのがむずかしそうです。
前もって教育委員会に事情を伝えてください。学校保健安全法施行令第3条により、日時・場所・実施の要領等は事前に保護者へ通知することになっています。届いた通知に書かれている連絡先へ、当日より前にご相談ください。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
制度のこと、見学のときに一緒に確認できます
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