ポイントのまとめ
ベルトを外してしまうときは、まず事業所の送迎担当と管理者に、外す場面のメモを渡して「安全計画での送迎の扱い」「乗車中の見守りの方法」「外したときの対応」を聞き、決まった内容を書面かノートに残します。事業所で解決しないときは、新宿区の窓口にも相談してください。当てはまる窓口は、後半の「新宿区の窓口」に手引の記載を引き、区に確認します。
国の運営基準(児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準)には、安全に関する定めが複数あります。保護者が事業所との相談で根拠にしやすいものを順に整理します。
第40条の2第1項は、障害児の安全の確保を図るため、事業所ごとに設備の安全点検や安全に関する指導などを含む「安全計画」を策定し、その計画に従って必要な措置を講じなければならないと定めています。同条第3項は、安全の確保に関して保護者との連携が図られるよう、保護者に対し、安全計画に基づく取組の内容等について周知しなければならないと定めています。
そのため、「送迎のときの安全は、安全計画のどこに書かれていますか」「保護者向けの周知は、どの紙や場で行っていますか」と聞くことは、基準にそった確認になります。出典:[1]第40条の2第1項・第3項。
第40条の3第1項は、障害児の移動のために自動車を運行するとき、乗車及び降車の際に、点呼その他の障害児の所在を確実に把握することができる方法で所在を確認しなければならないと定めています。第2項は、障害児の送迎を目的とした自動車を日常的に運行するときは、車内の障害児の見落としを防止するブザーなどの装置を備え、降車の際の所在の確認に用いなければならないと定めています。出典:[1]第40条の3第1項・第2項。
国のガイドラインにも、送迎や事業所外での活動のために自動車を運行する場合は、こどもの乗降時に点呼を行うなど、所在を確実に把握することができる方法で確認することが書かれています。出典:[3]49頁。
第52条第1項は、サービスの提供により事故が発生した場合は、速やかに都道府県、市町村、障害児の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならないと定めています。同条第2項は、事故の状況と、事故に際して採った処置を記録しなければならないと定めています。ガイドラインは、事故の種類を問わず、家族には事故が発生した場合は必ず連絡を行うと書いています。出典:[1]第52条第1項・第2項、[3]48頁。
第50条第1項は、保護者などからの苦情に迅速かつ適切に対応するため、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならないと定めています。同条第2項は、苦情を受け付けた場合には、その内容等を記録しなければならないと定めています。出典:[1]第50条第1項・第2項。
放課後等デイサービスについては、同じ基準の第71条が、第47条から第50条まで、第52条から第54条までなどの規定を放課後等デイサービスの事業について準用すると定めています。上の安全計画、点呼とブザー、事故の連絡、苦情の窓口は、放課後等デイサービスの送迎でも、同じ条文を根拠に事業所へ確認します。出典:[1]第71条。
道路交通法第71条の3は、普通自動車などの運転者の遵守事項を定めています。第2項は、運転者が、座席ベルトを装着しない者を、運転者席以外の乗車装置(座席ベルトを備えなければならないこととされているものに限る)に乗車させて自動車を運転してはならないと定めています。
この項にはただし書があります。幼児(適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有するものを除く)を乗車させるとき、疾病のため座席ベルトを装着させることが療養上適当でない者を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでないとされています。出典:[2]第71条の3第2項。
第3項は、幼児用補助装置を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならないと定めています。幼児用補助装置とは、幼児を乗車させる際、座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置のことです。こちらにも、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるときなどのただし書があります。出典:[2]第71条の3第3項。
わが子がどの区分に当たるのか、医療上の理由でベルトが難しい場合に何が認められるのかは、条文だけでは判断できません。体格、診断、主治医の意見が関わるため、「うちの子の場合はどう扱うのか」を事業所に確認し、医療上の事情があるときは主治医にも伝えてください。
第44条第1項は、障害児又は他の障害児の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他障害児の行動を制限する行為(身体拘束等)を行ってはならないと定めています。同条第2項は、やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の障害児の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録しなければならないと定めています。第3項は、適正化のための対策を検討する委員会を定期的に開催することなどの措置を講じなければならないと定めています。出典:[1]第44条。
ガイドラインは、職員が自分の体でこどもを押さえつけて行動を制限することや、自分の意思で開けることのできない居室等に隔離することなどは身体拘束に当たると書いています。やむを得ず行う場合は、切迫性、非代替性、一時性の3つの要件を全て満たすことが必要とされ、児童発達支援管理責任者は、児童発達支援計画に、身体拘束が必要となる状況や態様・時間等を、こどもや保護者に事前に十分に説明し、了解を得た上で記載することが必要と書かれています。出典:[3]56頁。
公式資料には、ベルトを外しにくくする具体的な用品や方法が身体拘束に当たるか当たらないかを一律に示した記載を、このページでは確かめていません。ですから、次のように事業所に確認してください。
ガイドラインは、設置者・管理者に、リスクの高い場面(例えば、食事、プール、移動、送迎、屋外活動などの場面)で職員が気を付けるべき点や役割等を明確にした安全管理マニュアルを作成することを求める内容を書いています。また、活動場面によって注意すべき事項が異なるため、送迎なども場面に応じた具体的な注意喚起を促す必要があると書いています。出典:[3]48頁。
ガイドラインには、衝動的に建物から出てしまうこども等もいるため、こどもの特性を理解した上で必要な安全の確保を行うことが必要という記載もあります。出典:[3]48頁。
送迎の車内については、職員からの虐待が密室化した場所で起こりやすいことから、設置者・管理者は、送迎の車内を含め、密室化した場所を極力作らないよう、常に周囲の目が届く範囲で支援を実施できるようにする必要がある、と書かれています。送迎の運用(職員の人数、同乗の組み合わせなど)の細目は事業所ごとに違うため、公式資料からは確かめられません。事業所に次のように確認してください。出典:[3]55頁。
ガイドラインは、設置者・管理者は送迎時の対応について事前に保護者と調整しておくことが必要である、と書いています。あわせて、事業所内でのトラブルやこどもの病気・事故の際の連絡体制について、事前に保護者と調整し、その内容を職員間で周知徹底しておく必要がある、とも書いています。出典:[3]50頁。
また、医療的ケアや介助の方法、適切な姿勢、気になること等について、連絡ノート等を通じて保護者と共有することが必要である、という記載もあります。ベルトを外す様子は、この「気になること」にあたる内容として、連絡ノートでやり取りしてもらえるか、事業所に確認してみてください。出典:[3]50頁。
第27条第6項は、児童発達支援計画の作成に当たって、保護者や障害児に計画について説明し、文書によりその同意を得なければならないと定めています。第8項は、計画の実施状況の把握(モニタリング)を行い、少なくとも6月に一回以上、計画の見直しを行い、必要に応じて計画の変更を行うものとすると定めています。出典:[1]第27条第6項・第8項。
送迎中の安全について家庭と事業所で決めた対応は、計画の見直しの機会に反映してもらえないか、相談してみてください。変更の可否や時期は、事業所に確認します。
最初から区に連絡するのではなく、近いところから順に聞くと、同じ説明が減るかもしれません。次の表を、手元のメモに写して使ってください。
表:聞く順番と、残す記録
| 順番 | 相談先 | 聞くこと | 残す記録 |
|---|---|---|---|
| 1 | 送迎の担当職員 | ベルトを外した場面、そのときの対応 | 日付/担当者名__ |
| 2 | 事業所の管理者 | 安全計画での送迎の扱い、見守りの人数と役割 | 面談日/回答の要点__ |
| 3 | 児童発達支援管理責任者 | 計画への反映、見直しの時期 | 確認した日/見直し予定__ |
| 4 | 事業所の苦情の窓口 | 話し合いで解決しない点 | 申し出た日/受付者__ |
| 5 | 計画を作った相談支援事業所 | サービス利用の見直しの相談 | 相談日/担当者__ |
| 6 | 新宿区の窓口(当てはまる窓口は区に確認) | 区の窓口で相談できる内容 | 電話日/対応した人__ |
新宿区の案内では、サービスを利用するための流れの中で、相談支援事業所はサービスの利用が適切かどうか定期的に見直しし、必要に応じて計画内容の変更等を行う、と書かれています。計画を作った相談支援事業所がある場合は、4番目の苦情の窓口とは別に、5番目として声をかけて、利用の見直しを相談してみてください。
事業所に伝えるときは、「よく外します」という言い方より、日付や場面を書いたメモのほうが、事業所と同じ場面を見ながら話せるかもしれません。次の表を、家庭の連絡ノートに写して使ってください。
表:ベルトを外した場面のメモ
| 日付・便 | 乗車から何分ごろ | 直前の様子 | 職員の対応 | 家庭への連絡 |
|---|---|---|---|---|
| _月_日/行き・帰り | _分ごろ | 眠そう・退屈・音・暑さなど__ | 声かけ・停車・席替えなど__ | あり・なし |
| _月_日/行き・帰り | _分ごろ | __ | __ | あり・なし |
| _月_日/行き・帰り | _分ごろ | __ | __ | あり・なし |
家庭の車での様子も書きます。ガイドラインには、こどもの状況を保護者と伝え合い、発達上のニーズについて共通理解を持つことが重要、という記載があります。出典:[3]50頁。
面談や電話の前に、次の一覧から、聞きたい項目を選んで印を付けてください。全部を一度に聞かなくてもかまいません。
ヒヤリ・ハット事例の情報を集めて検証を行う機会を設けることは、ガイドラインに書かれています。出典:[3]49頁。
伝える内容は、「見たこと」「お願いしたいこと」「いつまでに返事がほしいか」の三つに絞ると、短く済みます。
「先週から、帰りの車でシートベルトを外してしまうと、本人から聞きました。家では、車が動いてしばらくすると外すことがあります。送迎中に職員さんがどう対応しているか、教えてください。」
「送迎のことで相談したいことがあります。安全計画での送迎の扱いと、乗車中の見守りの方法をうかがいたいので、管理者さんか児童発達支援管理責任者さんと、10分ほどお話しできる日を教えてください。」
「ベルトを外したときは、車を止めてから対応していただいているのでしょうか。外したことは、その日のうちに連絡ノートに書いていただけますか。」
「今日お話しした内容を、連絡ノートに書き残してもよいでしょうか。次の見直しの時期は、いつごろになりますか。」
基準は、事業所に苦情を受け付けるための窓口を設置することを求めています(第50条第1項)。苦情を受け付けたときは、その内容を記録しなければなりません(同条第2項)。まず、事業所の苦情の窓口に、書面かノートで「何についての相談か」を伝えます。出典:[1]第50条第1項・第2項。
同条第3項には、都道府県知事等が行う調査に協力し、指導又は助言を受けた場合は必要な改善を行わなければならないという事業者側の定めがあります。区がどの範囲で何を行えるかは、公式の条文からこのページでは確かめていませんので、新宿区の窓口(当てはまる窓口は区に確認)に「送迎の安全のことで相談したい」と伝えて、窓口でできる範囲を確認してください。出典:[1]第50条第3項。
新宿区の「障害者福祉の手引」は、窓口を次のように記しています。身体・知的の障害者・障害児の方は、障害者福祉課支援係(区役所2階)、電話03-5273-4583。精神障害者・障害児の方は、各保健センター、障害者福祉課支援係。難病の方は各保健センター、障害者福祉課支援係。お子さんにどの窓口が当てはまるかは、区に確認してください。出典:[4]39頁。
区役所の窓口時間は、午前8時30分から午後5時で、「火曜日は一部の窓口で午後7時まで」と案内されています。お休みは、土曜日・日曜日・祝日・12月29日から1月3日です。電話や来庁の前に、時間を確かめてください。出典:[5]。
区への電話では、次のように伝えます。「通所の送迎車の安全について相談したい。事業所には、すでに○月○日に相談した。事業所の回答はこうで、納得できない点がある。誰に、何を相談できるか教えてほしい。」
事業所は、国の基準で、安全計画を策定し、その内容を保護者に周知することが定められています。ガイドラインにも、送迎時の対応を事前に保護者と調整しておくことが必要と書かれています。まず送迎担当と管理者に、外す場面のメモを渡して相談してください。出典:[1]第40条の2、[3]50頁。
身体拘束等は、生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き行ってはならないと、基準に定められています。個別の道具や方法が当たるかどうかは、このページでは公式に確かめていません。事業所に、使う方法と、身体拘束等の指針での扱いを確認してください。出典:[1]第44条、[3]56頁。
公式資料の中で、このページでは、送迎の車内の同乗人数を一律に定めた記載を確かめていません。ガイドラインは、送迎の車内を含め、密室化した場所を極力作らないよう、周囲の目が届く範囲で支援を実施する必要があると書いています。同乗の人数と役割は、事業所に確認してください。出典:[3]55頁。
道路交通法第71条の3第2項のただし書には、疾病のため座席ベルトを装着させることが療養上適当でない者などを乗車させるときの規定があります。わが子が当たるかどうかは、条文だけでは分かりません。主治医に相談し、その内容を事業所に伝えて、送迎の方法を相談してください。出典:[2]第71条の3第2項。
事業所には苦情の窓口を設置する等の措置を講じる定めがあります。それでも解決しないときは、計画を作った相談支援事業所、新宿区の窓口に相談してください。当てはまる窓口と、区の窓口でできる範囲は、区に確認してください。出典:[1]第50条、[4]。
条文と窓口は次の公式資料で確かめました。確認日は2026-10-13です。
[3]:こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」48頁、49頁、50頁、55頁、56頁。
[4]:新宿区「障害者福祉の手引」。
[5]:新宿区「受付時間」。
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