最初に、探し方そのものの話をします。事業所の情報は「各社が好きに出しているもの」ではありません。児童福祉法が、事業者に報告を義務づけ、都道府県知事に公表を義務づけています。
指定障害児通所支援事業者などは、支援の「提供を開始しようとするとき、その他内閣府令で定めるときは」情報公表対象支援情報を、事業所の所在地を管轄する都道府県知事に報告しなければならない(第1項)。
都道府県知事は、報告を受けた後、当該報告の内容を公表しなければならない(第2項)。
報告する内容は、条文のことばでは「支援を利用し、又は利用しようとする障害児の保護者が適切かつ円滑に当該支援を利用する機会を確保するために公表されることが適当なもの」と定義されています。選ぶ人のために公表されている、と法律に書いてあるということです。
報告する時期も決まっています。児童福祉法施行規則 第36条の30の2は、報告のときを「都道府県知事が定めるとき及び毎会計年度終了後」としています。つまり原則として年に一度は更新される情報です。
報告しない、あるいは虚偽の報告をした場合の定めもあります。都道府県知事は期間を定めて報告や是正を命ずることができ(第33条の18 第4項)、その命令に従わないときは指定を取り消し、又は期間を定めて指定の効力を停止することができる(第6項)とされています。公表は、事業者にとって任意の宣伝ではなく、指定の条件に連なる義務です。
実際に検索できる場所は、国のものと都道府県のものの二本立てです。どちらも登録も費用もいりません。
| 入口 | 何ができるか |
|---|---|
| 障害福祉サービス等情報公表システム (独立行政法人福祉医療機構 WAM NET) | 上の法律にもとづく全国共通の公表の場です。サイト自身が「平成30年4月に施行された『障害福祉サービス等情報公表制度』の運用にあたり、利用者等がインターネット上でいつでも事業者の情報にアクセスすることができることを目的として構築された」と説明しています。 探し方は地図から/住所から/法人名から/事業所名から/事業所番号からの5つ。掲載されているのは障害者総合支援法と児童福祉法にもとづく29のサービスで、児童発達支援も放課後等デイサービスも保育所等訪問支援も含まれます |
| 都道府県の事業所検索 (例:東京都障害者サービス情報) | 都道府県が指定した事業所を、その都道府県の側から検索できるしくみです。東京都の場合は受けたいサービスから/法人名から/所在地から/主たる対象者から/事業所番号から/空き情報から/事業所名からの7つの入口があり、「受けたいサービスから探す」の一覧に児童発達支援・医療型児童発達支援・放課後等デイサービス・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援・障害児相談支援が並びます ※ お住まいの都道府県にも同種のサイトがあります。名称は都道府県ごとに違います |
この二つは、区市町村の案内にも実際に載っています。練馬区は「事業者についての情報」として、総合福祉事務所の担当窓口のほかに東京都障害者サービス情報/とうきょう福祉ナビゲーション/WAM NETの三つを挙げ、「ご自分で探すことが難しい方は、総合福祉事務所の担当にご相談ください」と添えています。
検索サイトのほかに、お住まいの区市町村が区内の事業所一覧そのものを公開していることがあります。板橋区は「板橋区内 児童発達支援事業所一覧(令和8年7月1日付時点)」「板橋区内 放課後等デイサービス事業所一覧(令和8年9月1日付時点)」をPDFで公開し、大田区も「障害児通所支援事業所一覧(大田区内)」を用意しています。日付が入っている一覧は、いつ時点のものかが分かるぶん、扱いやすい資料です。
お住まいの区市町村に一覧があるかどうかは、区市町村名と「児童発達支援 事業所一覧」で探すか、障害福祉の担当課に一度電話で聞くのが早道です。窓口の名前は自治体で違い、障害福祉課・障がいサービス課・保健福祉課・総合福祉事務所などさまざまです。
「公表されている」と言われても、中身が分からないと開く気にはなりません。ここは実際に開いて確かめました。システムの説明ページ(「公表されているデータについて」)は、公表している情報を6つの種類に整理しています。
| 情報の種類 | 公表内容(システムの説明ページの記載) |
|---|---|
| ① 法人等に関する事項 | 事業所等を運営する法人に関する事項(例:法人等の名称、主たる事務所の所在地及び電話番号その他の連絡先等) |
| ② 事業所等に関する事項 | サービスを提供し、または提供しようとする事業所等に関する事項(例:事業所等の名称、所在地及び電話番号その他の連絡先等) |
| ③ 従業者に関する事項 | 事業所等においてサービスに従事する従業者に関する事項(例:職種別の従事者の数、勤務形態、労働時間、従事者1人当たりの利用者数等) |
| ④ サービス内容に関する事項 | サービスの内容に関する事項(例:サービスの内容等、サービスを提供する事業所、設備等の状況等) |
| ⑤ 利用料に関する事項 | 利用するに当たっての利用料等に関する事項(例:給付以外のサービスに要する費用) |
| ⑥ 事業所運営に関する事項 | 事業所等運営の状況に関する事項 |
児童発達支援の事業所詳細情報を開くと、上の6つがそのままタブになっています。2026年9月7日に開いて確かめた、それぞれの中身は次のとおりでした。
詳細情報の上のほうに「公表年月日」が入っています。そこに並ぶ数字は、その日に事業所が報告した時点のものです。職員の人数も、送迎の有無も、そのあと変わっている可能性があります。
ですから公表情報は「聞くことを決めるための下調べ」として使い、実際の数はそのまま見学のときに口で確かめる——この順番がいちばん確実です。
報告そのものをしていない事業所や、項目が空欄のままの事業所もあります。空欄は「無い」という意味とは限らず、「報告されていない」という意味です。空欄を見つけたら、それも聞く材料になります。
見学を重ねると、事業所によって過ごし方の形そのものが違うことに気づきます。一対一で過ごすところ、数人のグループで過ごすところ、その両方を組み合わせるところ。どれかが正しくてどれかが間違っている、という話ではありません。国の文書がそう書いています。
こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」(令和6年7月)は、特定の領域に重点を置いた支援について「一対一による個別支援だけでなく、個々のニーズに応じた配慮がされた上で、小集団等で行われる支援も含まれるものである」と書いています。
同時にガイドラインは、支援の土台として5領域——健康・生活/運動・感覚/認知・行動/言語・コミュニケーション/人間関係・社会性——の視点を網羅した支援を求め、「5領域のうち特定の領域のみの支援のみを行うなど、5領域の視点が網羅されていない状況で支援を提供することは、総合的な支援としては相応しいとは言えない」としています。
=形の違いではなく、5領域が見渡されているかどうかが、国の側が置いている物差しです。
名前に「児童発達支援センター」とついている場所と、そうでない事業所とでは、指定通所支援の人員・設備・運営基準(平成24年厚生労働省令第15号)が定める配置が違います。同じ児童発達支援でも、置くべき職員が違うということです。
| 区分 | 省令が置くことを求めている職員 |
|---|---|
| 児童発達支援事業所 (センターでないもの・第5条) | 児童指導員又は保育士(支援の単位ごと。障害児の数が10までは2以上、10を超えるものは2に、10を超えて5又はその端数を増すごとに1を加えて得た数以上)と、児童発達支援管理責任者 1以上。 児童指導員又は保育士の1人以上は常勤、児童発達支援管理責任者の1人以上は専任かつ常勤 |
| 児童発達支援センター (第6条) | 嘱託医 1以上、児童指導員及び保育士(総数が、支援の単位ごとに、通じておおむね障害児の数を4で除して得た数以上。児童指導員1以上、保育士1以上)、栄養士又は管理栄養士 1以上、調理員 1以上、児童発達支援管理責任者 1以上。 ※ 40人以下の事業所は栄養士を、調理業務を全部委託する事業所は調理員を置かないことができます |
「週に何回通えますか」は事業所に聞く質問のようでいて、上限を決めているのは区市町村が出す通所受給者証の支給量です。たとえば大田区は、支給量の基準を児童発達支援・放課後等デイサービス=月23日/居宅訪問型児童発達支援=月10日/保育所等訪問支援=月5日と公開し、そのうえで「児童の状況により、上限を超える日数を支給決定する場合があります」「上限を超える申請をされる場合には、申請前に必ず……ご相談ください」と添えています。基準は自治体ごとに定められているので、お住まいの区市町村の案内で確かめてください。
送迎の有無は、公表項目です。情報公表システムの「サービス内容」に「利用者の送迎の実施」と「送迎車両の有無(合計)」「その台数」の欄があり、ガイドラインが示す支援プログラムの記載項目12点のうち⑥が「送迎実施の有無」です。つまり、事業所のホームページでも確かめられるようになっています。
そのうえでガイドラインは、送迎について釘を刺しています。「発達支援の時間は十分に確保されなければならず、送迎の都合で発達支援の時間が阻害されることのないようタイムテーブルを設定しなければならない」。送迎があるかどうかだけでなく、送迎込みで過ごす時間がどう組まれているかを聞くと、話が具体的になります。
一方、親子で通うのか、お子さんだけで過ごすのかについては、省令にもガイドラインにも「どちらでなければならない」という定めは見当たりませんでした。これは事業所ごとの運営の決めごとです。省令 第37条は、事業所ごとに運営規程を定めることを求め、そこに「指定児童発達支援の内容」「サービスの利用に当たっての留意事項」などを書くこととしています。運営規程と重要事項説明書を見せてもらうのが、いちばん確かです。
個別か小集団か、送迎があるかないか、親子通所かどうか——これらに国が定めた優劣はありません。ガイドラインが「活動プログラムを固定化することは、経験が限られてしまうことにもなる」と書いているとおり、見るべきは形そのものではなく、その形がお子さんのいまのニーズに合わせて選ばれているかです。
公表情報の「従業者」の欄には、聞き慣れない職種名が並びます。それぞれ何をする人なのかは、法律に書いてあります。ここを知っておくと、見学のときの質問が変わります。
| 職種 | 法律・省令が定めていること |
|---|---|
| 保育士 | 児童福祉法 第18条の4。保育士登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者。 =子どもを見る人であると同時に、保護者に助言する役割まで法律に書かれています |
| 児童指導員 | 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第43条。「児童指導員」という名前の試験があるわけではなく、掲げられた要件のいずれかに該当する人を指します。社会福祉士、精神保健福祉士、こども家庭ソーシャルワーカーの資格を有する者、大学・大学院で社会福祉学・心理学・教育学・社会学を修めて卒業した者、幼稚園・小学校・中学校・高等学校等の教諭の免許状を有し都道府県知事が適当と認めた者、高校卒業後2年以上児童福祉事業に従事した者、3年以上児童福祉事業に従事し都道府県知事が適当と認めた者などです |
| 言語聴覚士(ST) | 言語聴覚士法 第2条。音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行う。 =「訓練」だけでなく「検査」と「助言・指導」まで守備範囲です |
| 理学療法士(PT) | 理学療法士及び作業療法士法 第2条第1項。理学療法とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えること |
| 作業療法士(OT) | 同法 第2条第2項。作業療法とは、身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせること |
| 公認心理師 | 公認心理師法 第2条。①心理状態を観察し、その結果を分析する ②本人の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行う ③関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行う ④心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行う。 =③に「関係者」とあり、保護者や園の先生への助言も業務に入っています |
| 児童発達支援管理責任者 | 平成24年厚生労働省令第15号 第27条。児童発達支援計画を作る担当者です。計画づくりにあたっては保護者及び障害児に面接しなければならないとされ(第3項)、計画については説明し、文書によりその同意を得なければならない(第6項)、作成後は少なくとも6月に1回以上、見直しを行う(第8項)と定められています |
児童発達支援事業所(センターでないもの)について、省令 第5条第1項が置くことを義務づけているのは①児童指導員又は保育士と②児童発達支援管理責任者の二つです。
機能訓練担当職員は「日常生活を営むのに必要な機能訓練を行う場合には」置く(第2項)、看護職員は「医療的ケアを行う場合には」置く(同項)という書き方になっています。つまり専門職がいることは、すべての事業所に課された条件ではありません。いる/いないは、その事業所がどういう支援を組んでいるかの表れであって、それ自体が優劣を意味するものではない、というのが省令の立て付けです。
もうひとつ。機能訓練担当職員などの数を児童指導員・保育士の合計数に含める場合、「その合計数の半数以上は、児童指導員又は保育士でなければならない」(第7項)という上限もあります。
職員の人数について、もう少し具体的に見ます。省令 第5条第1項第1号は、支援の単位ごとにその提供を行う時間帯を通じて専らその支援に当たる児童指導員又は保育士の合計数を、次のように定めています。
情報公表システムの「従業者」の表は、この職種名にそろえて作られています。常勤/非常勤、専従/非専従に分けて数が並んでいるので、「専門職が在籍」という言い方が、常勤なのか、月に数回来る非常勤なのかまで確かめられます。気になったら、見学のときにそのまま聞いて差し支えありません。
事業所を選ぶときにいちばん使える資料は、おそらくこれです。事業所は、自分たちの支援を評価し、保護者にも評価してもらい、その結果を公表しなければならない——そう省令に書かれています。
第5項 指定児童発達支援事業者は、その提供する指定児童発達支援の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない。
第6項 ……次に掲げる事項について、従業者による評価を受けた上で、自ら評価(自己評価)を行うとともに、保護者による評価(保護者評価)を受けて、その改善を図らなければならない。
第7項 ……おおむね一年に一回以上、自己評価及び保護者評価並びに……改善の内容を、保護者に示すとともに、インターネットの利用その他の方法により公表しなければならない。
第6項が挙げている評価の7項目は、そのまま「事業所を見るときの角度」になります。
こども家庭庁のガイドラインは、この公表のしかたまで指定しています。自己評価の結果・保護者評価の結果・それらを受けて行った改善の内容を、「事業所における自己評価総括表(公表)」(別紙3)と「保護者からの事業所評価の集計結果(公表)」(別紙4)を含む「事業所における自己評価結果(公表)」(別紙5)を用いて、「概ね1年に1回以上、保護者に示すとともに、広く地域に向けて、インターネットのホームページや会報等で公表しなければならない」。保護者に示す方法としては、園だよりへの掲載や、送迎時に目につきやすい場所への掲示が例として挙げられています。
情報公表システムの児童発達支援の欄には、「児童発達支援ガイドラインにおける自己評価の公表の有無」という項目と、「(公表場所(URL等))」という欄が用意されています。つまり、事業所を一つひとつ回らなくても、公表しているかどうかと、どこに載っているかを先に確かめられます。
そして、公表されている「保護者からの事業所評価の集計結果」を見ると、その事業所に実際に通っている保護者が、どの項目に「いいえ」と答えたかが分かります。パンフレットには出てこない情報です。回収数とご意見を踏まえた対応の欄もあります。
ガイドラインは自己評価のほかに「可能な限り、第三者による外部評価を導入して、事業運営の一層の改善を図ることが必要である」と書いていますが、こちらは自己評価のような義務ではありません。情報公表システムにも「第三者による評価の実施(受審)状況」「実施(受審)した直近の年月日」「実施(受審)した評価機関の名称」「当該結果の開示状況」「公表ホームページのURL」の欄があります。受けていないこと自体は、決まりに反することではありません。
自己評価が公表されていない事業所を見つけた場合も、いきなり「不誠実だ」と受け取る必要はありません。公表の時期が来ていないこともあります。ただ、省令で公表しなければならないとされているものですから、「自己評価と保護者アンケートの結果は、どこで見られますか」と聞くのは、当然の質問です。
見学の下調べを終えたら、次は現地です。ここでも、手ぶらで行く必要はありません。こども家庭庁が保護者向けの評価表(別紙2「保護者向け児童発達支援評価表」)を作っていて、そこに保護者が答えるための18の設問が並んでいます。通っている家庭が答える設問ですが、そのまま見学の視点として使えます。
様式のうえでは「環境・体制整備」「適切な支援の提供」「保護者への説明等」の3つの区分に分けられています。以下は、様式に並んでいる順(設問1〜18)のまま、読みやすさのために3つに区切って引用したものです。
「記録をどう取っていますか」は、聞きにくいようでいて、実は省令に答えが決まっている質問です。
第21条 指定児童発達支援を提供した際は、その提供日、内容その他必要な事項を、提供の都度記録しなければならない。そして「前項の規定による記録に際しては、通所給付決定保護者から指定児童発達支援を提供したことについて確認を受けなければならない」。
第54条 提供の記録、児童発達支援計画、身体拘束等の記録、苦情の内容等の記録、事故の記録などを整備し、支援を提供した日から5年間保存しなければならない。
つまりその日その日の記録があること自体は、決まっているのです。見学で聞くとよいのは、そこから先——その記録が、どんな形で家庭に届くのかです。連絡帳なのか、アプリなのか、送迎時の口頭なのか。頻度はどれくらいか。園や学校とは、どんな形で共有されるのか。評価表の設問15が「日頃からこどもの状況を保護者と伝え合い……共通理解ができていると思いますか」と聞いているのは、この部分です。
省令 第43条は、事業所の見やすい場所に、運営規程の概要、従業者の勤務の体制、協力医療機関その他「利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項」を掲示しなければならないと定めています(書面を備え付けて、いつでも自由に閲覧させることで代えることもできます)。見学に行ったら、壁に何が貼ってあるかを見て、貼っていなければ「掲示か備付けの書面を見せてください」と言って差し支えありません。
省令 第48条第2項は、事業者が広告をする場合に「その内容を虚偽のもの又は誇大なものとしてはならない」と定めています。パンフレットやホームページの表現に迷ったときは、公表情報と掲示物という、様式の決まっているものに戻って確かめるのが確実です。
「見学」と「体験」は、よく並べて語られますが、中身が違います。見学は大人が見に行くこと、体験はお子さんが実際にその場で過ごしてみることです。お子さんが実際にどう反応するかは、見学だけでは分かりません。
その体験について、正直に書きます。指定通所支援の人員・設備・運営基準(平成24年厚生労働省令第15号)を通して読みましたが、「体験利用」という手続きを定めた条文は見当たりませんでした。つまり、体験ができるかどうか、費用がかかるかどうか、どのくらいの時間なのかは、事業所ごとの取り扱いということになります。国が一律に決めているものではないので、一つひとつ聞くほかありません。
省令 第18条は、事業者に対して次のように定めています。
「指定児童発達支援事業者は、指定児童発達支援に係る通所給付決定を受けていない者から利用の申込みがあった場合は、その者の意向を踏まえて速やかに障害児通所給付費の支給の申請が行われるよう必要な援助を行わなければならない」。
=受給者証を持っていない段階で問い合わせること自体が、制度の想定内です。「まだ申請していないのですが」と前置きして電話して差し支えありません。
見学のあと、実際に使うことになれば契約です。ここも省令に決まりがあります。第12条は、利用の申込みがあったときに、事業者が「運営規程の概要、従業者の勤務体制その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い」同意を得なければならない、としています。これが重要事項説明書です。
練馬区は、この場面についてこう書いています。「契約書と重要事項説明書は、契約上のトラブルについて、防止したり解決したりするのに役に立つものです。また、契約にあたっては、わからないところは納得できるまできちんと聞くことが大切です」。区の公式ページが、そう書いています。遠慮する場面ではありません。
なお、断られるのではないかという心配については、二つの条文があります。第14条は「正当な理由がなく、指定児童発達支援の提供を拒んではならない」(提供拒否の禁止)。第16条は、自ら適切な支援を提供することが困難だと認めた場合には「適当な他の指定児童発達支援事業者等の紹介その他の必要な措置を速やかに講じなければならない」。=断るときは、次の行き先を示すところまでが事業者の務めです。
見学の予約をするとき、聞くことは多くありません。「見学はできますか」「子どもを連れて行ってよいですか」「体験はありますか」「いま、空きはありますか」——この4つで、その日の予定は決まります。
「A事業所とB事業所を、曜日で分けて使いたい」。これはできるのか。複数の事業所を使うこと自体を禁じる条文は、見当たりません。上限を決めているのは、事業所の数ではなく受給者証に書かれた支給量です。
第1項 指定児童発達支援事業者は、支援を提供するときは、その内容、保護者に提供することを契約した支援の量(契約支給量)その他の必要な事項を、通所受給者証に記載しなければならない。
第2項 契約支給量の総量は、当該通所給付決定保護者の支給量を超えてはならない。
第3項 契約をしたときは、通所受給者証記載事項その他の必要な事項を、市町村に対し遅滞なく報告しなければならない。
つまり、2か所を使う場合は両方の契約支給量を足した数が、支給量の枠の中に収まる必要があります。受給者証を見ると、契約した事業所ごとに契約支給量が書き込まれているのは、このためです。
利用料の側にも、複数利用のときの決まりがあります。利用者負担には世帯の所得に応じた月額の上限額があり、上限までは1割です。事業所を2か所以上使うと、それぞれの事業所が別々に請求するため、そのままでは合計が上限を超えてしまいます。そこで、1か所を「上限額を管理する事業所」と決めて、区市町村に届け出るしくみがあります。
大田区の案内はこう書いています。「利用者負担上限月額が4,600円の方で、事業所を2ヶ所以上利用する場合は、上限月額を超えて利用者負担額を支払うことがないよう、利用している事業所のうちから1ヶ所を上限月額を管理する事業所と決めたうえで、区へ上限管理事業所の届出書を提出していただきます。なお、届出の際、受給者証に上限管理事業所を印字しますので、受給者証と一緒に……ご提出ください」。
無償化の対象になっている期間(満3歳になって最初の4月1日から3年間)は、そもそも負担額が発生しないため、この届出が要るかどうかは区市町村の案内によります。無償化の範囲と手続きは自治体で違うので、窓口で確かめてください。
事業所どうしの併用とは別に、保育所・幼稚園・認定こども園に通いながら児童発達支援を使う形もあります。こちらは情報公表システムにも欄が用意されていて、「保育所や幼稚園等と併行通園している利用者の人数」と「併行通園先との連携の有無」が公表項目になっています。ガイドラインも、併行利用している場合の支援内容として「併行利用先とのこどもの状態や支援内容の共有」「併行利用の場合の利用日数や利用時間等の調整」を挙げています。
=すでに園に通っているご家庭が多いことは、制度の側の前提です。「園を休ませなければいけませんか」と心配する前に、見学のときに「園と併行して通っているお子さんは何人くらいですか」「園とはどんなやり取りをしていますか」と聞いてみてください。公表項目になっているくらいですから、答えられる質問です。
通い始めてから「思っていたのと違う」と感じることは、あります。そのときに使える道は、いきなり「やめる」だけではありません。手前に二つ、段があります。
省令 第50条は、事業者に対して「その提供した指定児童発達支援に関する障害児又は保護者その他の家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない」と定め、受け付けた場合にはその内容等を記録しなければならない、としています。この記録は、第54条により5年間の保存が求められる書類のひとつです。
情報公表システムには、苦情に対応する窓口の名称・電話番号・対応している時間・定休日と、苦情処理結果の開示状況の欄があります。契約前に確かめておける項目です。
事業所に言いにくいときは、区市町村にも受け皿があります。練馬区は「契約とサービス内容が違うなど疑問がある場合には、事業者の苦情受付担当者に確認します。また、区役所にある保健福祉サービス調整委員でも苦情や相談を受け付けいたします」と案内しています。同じような窓口の名前は自治体ごとに違いますので、障害福祉の担当課に聞いてください。
省令 第27条第8項は、児童発達支援管理責任者に対して、計画の実施状況の把握(モニタリング)を行い、「少なくとも六月に一回以上、児童発達支援計画の見直しを行い、必要に応じて、当該児童発達支援計画の変更を行う」ことを求めています。そして計画は、保護者に説明して、文書により同意を得るものです(第6項)。=合わないと感じたことを言う場が、半年に一度は必ず来ます。そこで内容が変わることもあります。移るかどうかを決めるのは、そのあとでも間に合います。
移ること自体は、制度上ふつうに想定されています。板橋区は申請の区分を「新規申請の方」「継続申請の方」「変更申請の方」の3つに分け、変更申請については「障がい児支援係へご連絡いただき、必要書類を郵送させていただきます。原則申請のあった翌月からの変更となります」と書いています。オンライン申請にも対応しています。
時間の見積もりも公表されています。大田区は「支給決定から通所受給者証の送付までに1か月程度かかります」とし、「通所受給者証がお手元に届きましたら、通所支援事業所と契約していただき、サービスを利用することができます」としています。=受給者証が動いてから契約、という順番です。
希望する事業所がいっぱいで、待つことになる場合があります。ここで一つ、確かめた事実をお伝えします。
東京都障害者サービス情報には「空き情報から探す」という便利そうな入口があります。けれども実際に開くと、選べるサービスは短期入所/施設入所支援/共同生活援助/宿泊型自立訓練/自立訓練/就労移行支援/就労継続支援/就労選択支援の8つだけで、児童発達支援をはじめとする障害児通所支援は、選択肢に入っていません。
=空き状況は、検索では分かりません。各事業所か、区市町村の窓口に直接聞くしかありません。「空きがなかなか見つからない」のは、探し方が悪いからではなく、そういうしくみだからです。
そのうえで、待つあいだにできることを並べます。
待っている期間も、受給者証の有効期間は進みます。更新の時期が近い場合は、更新の手続きと事業所探しが重ならないよう、区市町村の窓口に「いつまでに何を出せばよいか」を先に聞いておくと落ち着いて進められます。
※上記の出典は2026年9月7日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
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