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特別児童扶養手当とは——対象・等級・所得制限を条文で確かめる

最終更新:2026年9月8日
「特別児童扶養手当」という名前は知っていても、いくらもらえるか、誰が対象かは、条文を見ないと分からないことが多い制度です。

この記事は、特別児童扶養手当等の支給に関する法律第2章の条文を実際に引きながら、対象・障害等級(1級・2級)・所得制限・請求先・診断書・支給月を確かめます。

手当額は毎年度、政令によって改定されます。この記事の額は令和8年4月以降の月額です。制度が変わる可能性がある点は、そのつど「いつ時点か」を添えて書きます。同じ法律に定められている障害児福祉手当との違いにも、1節を割きます。

結論から——同じ法律の中に、3つの手当があります

特別児童扶養手当等の支給に関する法律 第1条(この法律の目的)
この法律は、精神又は身体に障害を有する児童について特別児童扶養手当を支給し、精神又は身体に重度の障害を有する児童に障害児福祉手当を支給するとともに、精神又は身体に著しく重度の障害を有する者に特別障害者手当を支給することにより、これらの者の福祉の増進を図ることを目的とする。

1本の法律の中に、対象がまったく違う3つの手当が入っています。この記事では、第2章に定められている特別児童扶養手当を中心に、条文を確かめます。第3章の障害児福祉手当との違いは、後半の1節にまとめました。

手当の種類誰に支給されるか
特別児童扶養手当(第2章)障害児(20歳未満)を監護する父母、または養育者
障害児福祉手当(第3章)重度障害児本人(日常生活で常時の介護を要する子ども)
特別障害者手当(第3章の2)20歳以上の著しく重度の障害者本人(この記事では扱いません)

※この記事は児童(20歳未満)に関わる制度に絞っています。20歳以上が対象の特別障害者手当(第26条の2以下)は扱いません。

対象になるのは誰か——支給要件(第3条)

特別児童扶養手当等の支給に関する法律 第3条第1項
国は、障害児の父若しくは母がその障害児を監護するとき、又は父母がないか若しくは父母が監護しない場合において、当該障害児の父母以外の者がその障害児を養育する(その障害児と同居して、これを監護し、かつ、その生計を維持することをいう。)ときは、その父若しくは母又はその養育者に対し、特別児童扶養手当を支給する。

支給先は、子ども自身ではなく、監護する父母、または養育者です。「養育者」は条文上、同居して監護し、かつ生計を維持している人と定義されています。

場面支給先(第3条第1項・第2項)
父母のどちらかが監護しているその父又は母
父母が両方とも監護している主として生計を維持する方(どちらも生計を維持していなければ、主として介護する方)
父母がいない、または監護していない同居して監護し、生計を維持する養育者
同法 第3条第3項
手当は、障害児が次の各号のいずれかに該当するときは、当該障害児については、支給しない。一 日本国内に住所を有しないとき。二 障害を支給事由とする年金たる給付で政令で定めるものを受けることができるとき。ただし、その全額につきその支給が停止されているときを除く。

「障害児」の定義そのものは第2条第1項にあります。20歳未満であって、第2条第5項に規定する障害等級(次の節で説明します)に該当する程度の障害の状態にある人、と定められています。

※第3条第5項は「手当の支給を受けた者は、手当が障害児の生活の向上に寄与するために支給されるものである趣旨にかんがみ、これをその趣旨に従つて用いなければならない」と定めています。使い道を細かく指定する条文ではなく、趣旨に沿って使うことを求める規定です。

障害の程度で決まる「障害等級」——1級・2級(第2条第5項)

特別児童扶養手当等の支給に関する法律 第2条第5項
障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級及び二級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。

等級の中身そのものは法律に書かれておらず、「政令で定める」とだけ委任されています。実際に定めているのは、特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令 第1条第3項です。

同法施行令 第1条第3項
法第二条第五項に規定する障害等級の各級の障害の状態は、別表第三に定めるとおりとする。

別表第三は、視力・聴力・上肢や下肢の機能・体幹の機能・精神の障害などの項目ごとに、1級・2級それぞれの基準を定めた表です。たとえば「両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの」(1級)、「両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの」(2級)というように、項目ごとに数値や状態が示されています。

※どちらの等級に当たるかは、この記事では判断できません。等級は、医師の診断書をもとに、都道府県知事等が個別に認定するものです(次の節で扱います)。この記事は「法令上どういう仕組みで決まるか」だけを書いています。

手当額——令和8年4月以降の月額(第4条・施行令第5条の2)

特別児童扶養手当等の支給に関する法律 第4条(手当額)
手当は、月を単位として支給するものとし、その月額は、障害児一人につき三万三千三百円(障害の程度が第二条第五項に規定する障害等級の一級に該当する障害児にあつては、五万円)とする。

ここに書かれている「3万3,300円」「5万円」は、法律の条文そのものに書かれた基準額です。ただし、実際に支払われる額はこの数字ではありません。物価の変動に応じて、政令で毎年度、この金額を読み替える規定が置かれているためです。

特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令 第5条の2(特別児童扶養手当の額の改定)
令和八年四月以降の月分の特別児童扶養手当については、法第四条中「三万三千三百円」とあるのは「三万八千九百三十円」と、「五万円」とあるのは「五万八千四百五十円」と読み替えて、法の規定を適用する。
障害等級月額(令和8年4月以降)
1級58,450円
2級38,930円

🔴 この額は令和8年(2026年)4月以降の月額です。物価の変動に応じて政令で毎年度改定されるため、翌年度以降は変わる可能性があります。最新の額は、お住まいの市区町村の窓口、または本文末の出典でご確認ください。

所得制限——本人と、配偶者・扶養義務者、それぞれに限度額があります

特別児童扶養手当等の支給に関する法律 第6条
手当は、受給資格者の前年の所得が、その者の扶養親族等(中略)の有無及び数に応じて、政令で定める額以上であるときは、その年の八月から翌年の七月までは、支給しない
同法 第7条
父又は母に対する手当は、その父若しくは母の配偶者の前年の所得又は…扶養義務者でその父若しくは母と生計を同じくするものの前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以上であるときは、その年の八月から翌年の七月までは、支給しない。

第8条は、養育者に対する手当について、養育者の配偶者や扶養義務者の所得を同じしくみで確かめる規定です。つまり所得を見られるのは、請求者本人だけでなく、配偶者や、生計を同じくする扶養義務者も対象になります。

確かめる相手(扶養親族等0人の場合)限度額(施行令第2条・令和8年度時点)
請求者本人(父・母・養育者)459万6千円
配偶者・扶養義務者628万7千円

※扶養親族等の数が増えると、限度額はその分上がります(施行令第2条第1項・第2項)。ここに書いたのは扶養親族等が0人の場合の額です。ご自身の限度額は、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

請求から認定まで——認定するのは都道府県知事、窓口は市区町村

特別児童扶養手当等の支給に関する法律 第5条第1項
手当の支給要件に該当する者(受給資格者)は、手当の支給を受けようとするときは、その受給資格及び手当の額について、都道府県知事(指定都市の区域内に住所を有する受給資格者については、当該指定都市の長)の認定を受けなければならない。

認定するのは都道府県知事(または指定都市の長)ですが、請求書を受け付ける窓口は市区町村です。これは、次の政令の規定で、事務の一部が市町村長に任されているためです。

同法施行令 第13条第1号
法第三十八条第一項の規定により、次に掲げる事務は、市町村長(特別区の区長を含む。)が行うものとする。一 法第五条に規定する認定の請求の受理及びその請求に係る事実についての審査に関する事務
同法施行規則 第1条第2号
(認定請求書に添えるべき書類として)支給対象障害児が法第二条第一項に規定する状態にあることに関する医師又は歯科医師の診断書、及び当該状態が別表に定める傷病に係るものであるときはエツクス線直接撮影写真

※障害児福祉手当(第3章)の請求手続きの細目は、この法律の施行規則ではなく、別の省令(障害児福祉手当及び特別障害者手当の支給に関する省令)で定められています(施行規則第32条)。この記事で診断書について確かめたのは、特別児童扶養手当の分だけです。

いつからいつまで、いつ振り込まれるか——支給期間と支払期月(第5条の2)

特別児童扶養手当等の支給に関する法律 第5条の2第1項
手当の支給は、受給資格者が前条の規定による認定の請求をした日の属する月の翌月から始め、手当を支給すべき事由が消滅した日の属する月で終わる。

請求した月ではなく、翌月分から始まる、という点が条文上のポイントです。災害などやむを得ない理由で請求が遅れた場合の特例は、同条第2項に定められています。

同法 第5条の2第3項
手当は、毎年四月、八月及び十二月の三期に、それぞれの前月までの分を支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであつた手当又は支給すべき事由が消滅した場合におけるその期の手当は、その支払期月でない月であつても、支払うものとする。

※障害児福祉手当(第3章)の支払期月は、特別児童扶養手当とは異なります。次の節で比較します。

障害児福祉手当との違い——同じ法律の、別の章です

「障害児福祉手当」は、名前が似ていますが、条文上はまったく別の要件を持つ手当です。第3章(第17条〜第26条)に、独立した支給要件・手当額・所得制限が定められています。

特別児童扶養手当等の支給に関する法律 第17条(障害児福祉手当の支給要件)
都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長は、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に住所を有する重度障害児に対し、障害児福祉手当を支給する。ただし、その者が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。一 障害を支給事由とする給付で政令で定めるものを受けることができるとき(略)。二 児童福祉法に規定する障害児入所施設その他これに類する施設に収容されているとき。

支給先が父母・養育者(特別児童扶養手当)ではなく、重度障害児本人(障害児福祉手当)である点が、最初の大きな違いです。「重度障害児」は第2条第2項で、障害児のうち常時の介護を必要とする程度の子ども、と定義されています。

項目特別児童扶養手当 と 障害児福祉手当
支給先特別児童扶養手当:監護する父母・養育者(第3条)
障害児福祉手当:重度障害児本人(第17条)
月額(令和8年4月以降)特別児童扶養手当:1級58,450円・2級38,930円
障害児福祉手当:16,560円(施行令第9条の2)
支払期月特別児童扶養手当:4月・8月・12月(第5条の2)
障害児福祉手当:2月・5月・8月・11月(第19条の2)
所得制限(本人・扶養親族等0人)特別児童扶養手当:459万6千円(第6条)
障害児福祉手当:375万8千円(第20条)

※両方を同時に受け取れるかどうかを正面から禁じた条文は、確認した範囲では見当たりませんでした。第17条ただし書の不支給事由(第1号)は「政令で定める給付」を受けられるときですが、施行令が指すのは障害基礎年金など年金制度の給付であり、特別児童扶養手当そのものは含まれていません。ただし、重度障害児は障害等級1級に該当することが多く、実際の該当関係は個別の状況によります。障害児福祉手当そのものの要件・手続きの詳細は、別の記事で扱います。

今週、動けること

  1. お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談する——「特別児童扶養手当を請求したい」と伝えると、必要書類の案内を受けられます。
  2. 医師または歯科医師に診断書の作成を依頼する——認定請求書に添える診断書が必要です(施行規則第1条第2号)。
  3. 戸籍謄本・住民票など、本人確認の書類をそろえる——窓口で必要な部数・様式を確認しておきます。
  4. 前年の所得が限度額を超えていないか確認しておく——本人・配偶者・扶養義務者、それぞれの所得が対象になります。
請求してから振り込みまでの目安
認定を受けられれば、請求した日の属する月の翌月分から支給が始まります(第5条の2第1項)。実際に手元に届くのは、直近の支払期月(4月・8月・12月)です。認定にかかる審査の期間は、条文には具体的な日数の定めがありません。窓口でおおよその見込みを確認しておくと安心です。

この記事で書かないこと

この記事は「特別児童扶養手当」の対象・等級・所得制限・手続きに絞っています。次のことは、別の記事・別の制度です。

※確かめられなかったこと——認定までにかかる標準的な審査期間、自治体ごとに追加で求められる書類は、条文には定めがなく、市区町村によって異なります。推測で埋めず、ここに「確認できなかった」と書きます。

出典

※上記の出典は2026年9月8日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

特別児童扶養手当は、いつからいつまでもらえますか?
認定請求をした日の属する月の翌月分から始まり、支給の事由が消滅した日の属する月で終わります(特別児童扶養手当等の支給に関する法律 第5条の2第1項)。実際の振込は、毎年4月・8月・12月の年3回です(同条第3項)。
手当はいくらですか?
令和8年(2026年)4月以降の月額は、障害等級1級が58,450円、2級が38,930円です(同法施行令 第5条の2)。この額は物価の変動に応じて毎年度改定されるため、翌年度以降は変わる可能性があります。
所得制限はいくらですか?
扶養親族等が0人の場合、請求者本人は459万6千円、配偶者・扶養義務者は628万7千円が目安です(同法施行令 第2条)。扶養親族等の数が増えると限度額も上がります。正確な額は窓口でご確認ください。
申請には診断書が必要ですか?
はい。認定請求書には、医師又は歯科医師の診断書を添えることになっています(施行規則 第1条第2号)。対象の傷病によっては、エックス線直接撮影写真も必要です。
どこに申請すればいいですか?
認定を行うのは都道府県知事(指定都市の場合はその長)ですが(第5条第1項)、請求書を受け付ける窓口はお住まいの市区町村です(同法施行令 第13条第1号)。
1級と2級は、誰がどうやって決めるのですか?
障害等級(1級・2級)の基準そのものは、特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令の別表第三に定められています(法第2条第5項・施行令第1条第3項)。実際の認定は、医師の診断書をもとに、都道府県知事等が個別に行います。
障害児福祉手当と、両方もらうことはできますか?
特別児童扶養手当は父母・養育者に、障害児福祉手当は重度障害児本人に支給されるもので、条文上の支給要件は別々です(第3条・第17条)。確認した範囲では、両方を同時に受け取れないと定めた条文は見当たりませんでしたが、個別の該当関係は状況によります。障害児福祉手当そのものの要件は、別の記事で詳しく扱います。
手当を受け取ったら、使い道に決まりはありますか?
第3条第5項は「手当が障害児の生活の向上に寄与するために支給されるものである趣旨」に従って用いなければならない、と定めています。使い道を細かく指定する条文ではありませんが、この趣旨に沿って使うことが求められています。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

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