まず結論——別の制度です
| <b>通所受給者証</b> | <b>愛の手帳</b>(療育手帳) |
| 何のためのもの | 児童発達支援などのサービスを使うため | 知的障害があることを証明し、各種の手当や制度を活用するため |
| 根拠 | 児童福祉法 | 東京都愛の手帳交付要綱(自治体の制度) |
| 対象 | 障害児(手帳がなくても、市町村が支援の必要を認めれば交付) | 知的障害と判定された方 |
| 窓口 | 区市町村の障害福祉担当 | 18歳未満は児童相談所/18歳以上は東京都心身障害者福祉センター等 |
| 区分 | 支給量・有効期間・負担上限月額を記載 | 1度〜4度 |
療育に通うために、手帳は必要ありません
児童発達支援を利用するために必要なのは
通所受給者証です。
手帳がなくても、市町村が支援の必要を認めれば交付されます。逆に、手帳を持っていても、受給者証がなければサービスは使えません。
2つは別々に申請します。
受給者証については受給者証とは?をご覧ください。
「療育手帳」と「愛の手帳」——名前が違うだけです
3種類ある障害者手帳のうち、知的障害に対応するものが療育手帳です。
| 障害 | 手帳の名前 |
| 身体障害 | 身体障害者手帳 |
| 知的障害 | 療育手帳(東京都は「愛の手帳」) |
| 精神障害 | 精神障害者保健福祉手帳 |
東京都心身障害者福祉センターは、この3つの対応をそのまま公表しています。「療育手帳」と「愛の手帳」は、同じものの呼び方の違いです。
身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳が法律にもとづくのに対し、療育手帳は自治体が要綱で定める制度です。東京都の場合は東京都愛の手帳交付要綱にもとづきます。そのため、名称も区分の呼び方も自治体によって違います。
🔴 交付の対象——知的障害を伴うかどうかで分かれます
ここが、発達に心配のあるお子さんのご家庭にとっていちばん大事な点です。
東京都心身障害者福祉センターの記載
東京都では、
発達期(18歳未満)までに何らかの原因により知的機能の障害がおこり、そのために日常生活に相当な不自由を生じ、福祉的配慮を必要としている方に愛の手帳を交付しています。
※
自閉症スペクトラム障害などの方で、知的障害を伴うと判定された場合には、愛の手帳が交付されます。(知的障害を伴わない場合は、愛の手帳の交付対象とはなりません。)
つまり——
| 愛の手帳 |
| 自閉症スペクトラム障害などがあり、知的障害を伴うと判定された | 交付されます |
| 自閉症スペクトラム障害などがあるが、知的障害を伴わない | 交付対象になりません |
手帳が出なくても、支援は受けられます
知的障害を伴わない場合、愛の手帳は交付されません。けれども
通所受給者証は別の制度です。
市町村が支援の必要を認めれば交付され、児童発達支援は利用できます。
「手帳が出なかったから療育も無理」ではありません。
なお東京都は、知的障害を「知的機能の障害が発達期(18歳未満)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にあるもので、知的機能と日常生活能力のいずれもが基準に該当するもの」と説明しています。知能検査の数値だけで決まるものではありません。
判定のしくみ
愛の手帳は、申請すれば出るものではなく判定を受けます。
- 生育歴・日常生活の聞き取り——心理判定員が、本人と同行の保護者や家族から、18歳までの知的発達の状態と現在の状況を聞きます。
- 知能検査——本人に実施します。
- 身長・体重の計測
- 医師の診断——精神科医師が本人や同行の方から話を聞き、知的障害かどうかを診断します。精神的・身体的合併症や行動について聞くこともあります。
- 総合判定——精神科医、心理判定員等の協議により行われます。
🔴 知能検査ができなくても、判定はできます
東京都はこう明記しています——
「知能検査が実施できなくても『愛の手帳』の判定は可能です」。
言語に障害のある方には、
言葉を話さなくても取り組める、動作的な検査課題を主に実施し、面接中の様子も参考にしながら、理解の程度を全体的に判定するとされています。
「うちの子は検査を受けられないから無理」と思われている方に、ぜひ知っていただきたい点です。
| 判定にかかる時間(東京都の記載) |
| 初めて手帳を取得する方/程度の見直しの方 | 3時間程度 |
| 更新の方 | 2時間から2時間半程度 |
年齢や障害の状況によって異なります。半日がかりになると見込んで予定を立てておくと安心です。
1度〜4度の区分
愛の手帳の程度は、数字が小さいほど障害が重く、4つに分かれます。
| 度 | 程度 | 知能指数(IQ)の目安 | 状態の例 |
| 1度 | 最重度 | おおむね19以下 | 生活全般にわたり常時個別的な援助が必要 |
| 2度 | 重度 | おおむね20〜34 | 社会生活をするには個別的な援助が必要。単純な会話はできる |
| 3度 | 中度 | おおむね35〜49 | 何らかの援助のもとに社会生活が可能 |
| 4度 | 軽度 | おおむね50〜75 | 簡単な社会生活の決まりに従って行動することが可能 |
※上の説明は東京都が示している18歳以上の場合のものです。東京都は「児童については年齢に応じて異なった基準で度数を決定しますので、同じ度数でも年齢により異なった状態になります」と明記しています。また判定基準の一部分の例示であり、最終的には総合判定で決まります。
程度は、知能指数と日常生活の様子から総合的に判断して決められます。
手帳に書かれること
東京都によれば、愛の手帳には次のことが記載されます。
- 所持者の氏名・生年月日・住所・顔写真
- 総合判定による手帳の程度
- 合併障害の有無
- 運賃割引の区分(第1種・第2種)
合併障害とは、知的障害のほかに合併している精神障害や身体障害のことです。精神障害者保健福祉手帳または身体障害者手帳を所持している方は「有」と記載されます。
第1種・第2種は、交通機関(JR・民営鉄道・旅客船など)の運賃割引制度の種別です。
| 種別 | 該当 | 割引の対象 |
| 第1種 | 愛の手帳1〜2度/3度で身体障害者手帳1〜3級を重複所持 | 本人及び付添いの介護人 |
| 第2種 | 愛の手帳3〜4度 | 本人のみ |
※運賃割引制度の詳細は、ご利用の会社にお問い合わせくださいと案内されています。
また東京都は、他の手帳を持っていても、判定基準に該当すれば愛の手帳を持つことができるとしています。
どちらを先に考えるか
発達に心配があって、これから動く場合の順番です。
- まず区市町村の窓口に相談する——児童発達支援を使いたいなら通所受給者証の申請から。手帳の有無は問いません。窓口は東京23区の申請窓口 一覧・比較にまとめています。
- 手帳が必要かどうかは、あとから考えられる——手当や割引などの制度を使いたいときに検討します。
- 手帳の相談は、18歳未満なら児童相談所へ——東京都は「18歳未満の場合には、児童相談所が窓口になります」としています。
急ぐなら受給者証です
愛の手帳の判定は
予約が必要で、3時間程度かかります。一方、児童発達支援を始めるのに必要なのは
通所受給者証だけです。
手帳の判定を待つ必要はありません。
※本記事は東京都の制度について、東京都心身障害者福祉センターの公開情報にもとづきまとめたものです。療育手帳は自治体の制度のため、東京都以外では名称・区分・手続きが異なります。必ずお住まいの自治体でご確認ください。
出典
※上記の出典は2026年9月4日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。
よくあるご質問
手帳がないと、児童発達支援は使えませんか?
使えます。児童発達支援に必要なのは通所受給者証で、児童福祉法にもとづく別の制度です。手帳がなくても、市町村が支援の必要を認めれば交付されます。
自閉症ですが、愛の手帳はもらえますか?
東京都は「自閉症スペクトラム障害などの方で、知的障害を伴うと判定された場合には、愛の手帳が交付されます。(知的障害を伴わない場合は、愛の手帳の交付対象とはなりません。)」と明記しています。手帳が出なくても、通所受給者証は別の制度ですので、児童発達支援は利用できます。
「療育手帳」と「愛の手帳」は違うものですか?
同じものです。知的障害に対応する手帳が療育手帳で、東京都ではこれを「愛の手帳」と呼びます。療育手帳は自治体が要綱で定める制度のため、名称や区分の呼び方が自治体によって異なります。
うちの子は知能検査を受けられそうにありません
東京都は「知能検査が実施できなくても『愛の手帳』の判定は可能です」と明記しています。言語に障害のある方には言葉を話さなくても取り組める動作的な検査課題を主に実施し、面接中の様子も参考にして総合的に判定するとされています。
どこに申し込めばいいですか?
18歳未満の場合は児童相談所が窓口です(東京都)。18歳以上で希望する方は、東京都心身障害者福祉センター又は多摩支所で申請し判定を行います。判定は予約制で、初めての方は3時間程度かかります。
身体障害者手帳を持っていますが、愛の手帳ももらえますか?
東京都は「判定を受けて東京都愛の手帳交付要綱の判定基準に該当すれば、身体障害者手帳等を持っていても『愛の手帳』を持つことができます」としています。なお両方をお持ちの場合、愛の手帳の「合併障害」欄が「有」と記載されます。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。
制度のこと、見学のときに一緒に確認できます
のびのび発達ラボを運営する児童発達支援てらぴぁぽけっと早稲田教室(東京都新宿区・早稲田駅徒歩1分)では、受給者証の申請や利用料のしくみについても、見学・ご相談の際にご案内しています。手続きが不安な段階からお声がけいただけます。見学・ご相談は、診断の有無に関わらず承ります。