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居宅訪問型児童発達支援とは——支援者が家庭を訪れる児童発達支援

最終更新:2026年9月8日
居宅訪問型児童発達支援という制度をご存じでしょうか。重い障害などで、事業所に通う児童発達支援や放課後等デイサービスを利用するために外出すること自体が難しいとき、支援者のほうが家庭を訪ねてくるという仕組みです。

児童福祉法は、この支援を第6条の2の2第4項で定義しています。ただし、条文が挙げているのは「重度の障害の状態その他これに準ずるものとして内閣府令で定める状態」という言い方だけで、具体的に何を指すのかはすぐには読み取れません。

この記事では、条文と、それを補う内閣府令(施行規則)、こども家庭庁のQ&Aを実際にあたり、誰が対象になるのか何をしてもらえるのか通所の支援と何が違うのかどこに申し込むのかを整理します。

結論から——居宅訪問型児童発達支援は、条文にこう定義されています

「事業所に通わせたいが、外出そのものが難しい」——そうした子どものために、支援者が家庭を訪ねる仕組みがあります。まず、条文そのものを確かめます。

児童福祉法 第6条の2の2 第4項
この法律で、居宅訪問型児童発達支援とは、重度の障害の状態その他これに準ずるものとして内閣府令で定める状態にある障害児であつて、児童発達支援又は放課後等デイサービスを受けるために外出することが著しく困難なものにつき、当該障害児の居宅を訪問し、日常生活における基本的な動作及び知識技能の習得並びに生活能力の向上のために必要な支援その他の内閣府令で定める便宜を供与することをいう。

条文を分解すると、要素は三つです。①誰が対象か(重度の障害の状態などにあり、外出が著しく困難な子)、②どこで行うか(事業所ではなく、その子の居宅)、③何をするか(基本的な動作・知識技能の習得と、生活能力の向上のための支援)。この記事では、この三つを順番に、条文にあたって確かめていきます。

※この記事で「条文」という場合、まず児童福祉法(法律)を指し、それでも書かれていない部分は「内閣府令で定める」という委任の先——児童福祉法施行規則——を確かめます。条文に書かれていないことは、推測で埋めず「条文にはありません」と書きます。

対象になるのはどんな子か——条文が挙げる二つの要件

第6条の2の2第4項をもう一度読むと、対象になる子の要件は、二段構えになっています。

要件条文の文言(第6条の2の2第4項)
①状態の要件重度の障害の状態その他これに準ずるものとして内閣府令で定める状態にあること
②外出の要件児童発達支援又は放課後等デイサービスを受けるために外出することが著しく困難であること

この①と②は、条文の文言上「であつて」でつながれており、両方に当てはまることが前提になっています。①の「重度の障害の状態その他これに準ずるもの」が具体的に何を指すのかは、次の章で確かめます。

要件①の中身——省令が列挙する二つの状態と、こども家庭庁Q&Aの考え方

内閣府令(児童福祉法施行規則)が定めているもの

条文は「重度の障害の状態その他これに準ずるものとして内閣府令で定める状態」と、具体的な中身を内閣府令(児童福祉法施行規則)に委ねています。この委任の先を確かめました。

児童福祉法施行規則 第1条の2の3
法第六条の二の二第四項に規定する内閣府令で定める状態は、次に掲げる状態とする。
一 人工呼吸器を装着している状態その他の日常生活を営むために医療を要する状態
二 重い疾病のため感染症にかかるおそれがある状態

つまり、条文と省令を合わせて読むと、①の要件は「人工呼吸器の装着など、日常生活を営むために医療を要する状態」か、「重い疾病のため感染症にかかるおそれがある状態」の、いずれかに当てはまることを指しています。省令が列挙しているのは、この二つだけです。

こども家庭庁のQ&Aが示している、もう少し広い考え方

一方で、こども家庭庁が示している報酬改定に関するQ&Aには、この二つより広い場面を扱った問答があります。

こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A VOL.5」問1
居宅訪問型児童発達支援については、外出することが著しく困難な障害児(18歳未満)に対し、生活能力の向上のために必要な訓練等の支援を提供するものであり、精神障害や行動障害により外出や集団生活が著しく困難である障害児(就学児含む)はこの対象になり得る
同Q&A 問2
(「外出」に学校への登校が含まれるかについて)学校への登校も含むものとして差し支えない。ただし、学校に登校できない状態のみをもって支援の対象とするものではない

省令が列挙する二つの状態は、人工呼吸器の装着など医療的な状態が中心です。これに対してこども家庭庁のQ&Aは、精神障害や行動障害によって外出や集団生活が著しく困難な場合も「これに準ずるもの」として対象になり得る、という考え方を示しています。ただし、これは法律の条文そのものではなく、こども家庭庁が実務上の解釈として示した回答です。個別のケースにその子が当てはまるかどうかは、最終的に市区町村が判断します。

※このQ&Aは、居宅訪問型児童発達支援を行うにあたって障害児相談支援事業所による相談支援を求めており、できる限り段階的に通所支援へつなげていくこと、集団生活への移行にあたっては医師や児童相談所の意見書等の客観的な評価も参考にすることが望ましい、とも述べています。

支援の内容——条文が定める三つの要素

次に、実際にどんな支援を受けられるのかを確かめます。第6条の2の2第4項の後半部分がこれにあたります。

要素条文の文言
行われる場所当該障害児の居宅を訪問し
支援の内容①日常生活における基本的な動作及び知識技能の習得
支援の内容②生活能力の向上のために必要な支援その他の内閣府令で定める便宜

「その他の内閣府令で定める便宜」の中身も、念のため施行規則で確かめました。

児童福祉法施行規則 第1条の2の4
法第六条の二の二第四項に規定する内閣府令で定める便宜は、日常生活における基本的な動作及び知識技能の習得並びに生活能力の向上のために必要な支援とする。

この施行規則は、法律本文とほぼ同じ言葉を繰り返しているだけで、新しく付け加えられている中身はありません。つまり、支援内容として条文が定めているのは、基本的な動作・知識技能の習得生活能力の向上のために必要な支援の二本柱で、それ以上の具体的な項目(例えば入浴・排せつの介助など)は、この条文には書かれていません。

運営基準 第71条の7(事業の基本方針)
居宅訪問型児童発達支援に係る指定通所支援(指定居宅訪問型児童発達支援)の事業は、障害児が日常生活における基本的動作及び知識技能を習得し、並びに生活能力の向上を図ることができるよう、当該障害児の身体及び精神の状況並びにその置かれている環境に応じて適切かつ効果的な支援を行うものでなければならない。

通所の支援と何が違うか

同じ第6条の2の2には、児童発達支援・放課後等デイサービスの定義も並んでいます。並べて読むと、条文の作り方そのものが対照的です。

比べる点通所の支援と、居宅訪問型児童発達支援の違い
行われる場所児童発達支援・放課後等デイサービス:児童発達支援センター等の施設に「通わせ」(第2項・第3項)
居宅訪問型児童発達支援:障害児の「居宅を訪問し」(第4項)
対象となる子通所:施設に通うこと自体は前提になっている
居宅訪問型:通所支援を受けるために外出することが著しく困難な子(省令が定める二つの状態など)
申し込みの窓口通所・居宅訪問型のいずれも共通:保護者の居住地の市町村が通所給付決定を行う(第21条の5の5)。受給者証が交付される点も同じ

つまり、居宅訪問型児童発達支援は、通所支援とまったく別の制度ではなく、「障害児通所支援」という同じ枠組みの中で、支援が行われる場所と、対象となる子の状態だけが違う制度として設計されています(第6条の2の2第1項=障害児通所支援には児童発達支援・放課後等デイサービス・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援が含まれる)。

組み合わせて使えるか——こども家庭庁Q&A(前掲)の注記
居宅訪問型児童発達支援は、対象者が、児童発達支援又は放課後等デイサービスを受けるために外出することが著しく困難であると認められた障害児であることから、児童発達支援等と組み合わせて通所給付決定を行うことは、原則として想定されないものであるが、通所施設へ通うための移行期間として組み合わせることは差し支えないこととしている。

担当する人——訪問支援員と児童発達支援管理責任者

家庭を訪問するのは、誰でもよいわけではありません。運営基準(児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準)第五章が、配置すべき人と資格を定めています。

職種配置基準(第71条の8)
訪問支援員事業規模に応じて訪問支援を行うために必要な数(第1項第1号)。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・保育士のいずれかの資格を取得後、又は児童指導員・心理担当職員として配置された日以後、障害児の介護や支援に関する業務等に3年以上従事した者(第2項)
児童発達支援管理責任者1以上(第1項第2号)。うち1人以上は、専らその指定居宅訪問型児童発達支援事業所の職務に従事する者でなければならない(第3項)

※訪問支援員になれる資格の組み合わせは、条文上かなり細かく定められています。ここでは代表的な資格のみを挙げました。正確な要件は、契約する事業所に直接ご確認ください。

費用の仕組み——通所利用者負担額と、訪問のための交通費

費用の項目仕組み(運営基準 第71条の12)
通所利用者負担額指定居宅訪問型児童発達支援を提供したとき、事業者は通所給付決定保護者から通所利用者負担額(法定代理受領を行わない場合は指定通所支援費用基準額)の支払を受けるものとする(第1項・第2項)
訪問のための交通費事業所が通常の事業の実施地域以外に訪問して支援を行う場合は、それに要した交通費の実費の支払を受けることができる(第3項)。ただし、あらかじめ額を説明し、保護者の同意を得なければならない(第5項)

通所利用者負担額のしくみ自体は、通所の児童発達支援・放課後等デイサービスと共通で、世帯の所得に応じた月額上限額があり、上限までは1割負担という仕組みです(2026年9月時点)。居宅訪問型に特有なのは、事業者側が訪問するための交通費を、保護者が実費で負担する場合があるという点です。

※利用料・無償化の制度は変わることがあります。金額の詳細は、契約する事業所と、住んでいる市区町村の窓口に、その時点の情報としてご確認ください。

どこに申し込むのか——手続きの流れ

  1. 住んでいる市区町村の障害福祉担当窓口に相談する——通所給付決定を行うのは、児童発達支援や放課後等デイサービスと同じく、保護者の居住地の市町村です(児童福祉法第21条の5の5)。
  2. 相談支援事業所に、障害児支援利用計画(案)の作成を依頼する——こども家庭庁のQ&Aは、居宅訪問型児童発達支援を行うにあたって障害児相談支援事業所による相談支援を求めています。
  3. 子どもの状態を確認する——施行規則が定める二つの状態のいずれかにあるか、外出することが著しく困難かどうかを、必要に応じて医師の意見等も踏まえて確認します。
  4. 市町村が通所給付決定を行い、通所受給者証が交付される——ここは通所の児童発達支援と同じ仕組みです(児童福祉法第21条の5の3・第21条の5の5)。
  5. 指定居宅訪問型児童発達支援事業者と契約し、支援が始まる——訪問の頻度や内容は、個別支援計画にもとづいて決まります。

受給者証そのもののしくみや、通所給付決定が何を決めているかという一般的な説明は、受給者証とは?——法律が定める「通所受給者証」のしくみにまとめています。あわせてご覧ください。

この記事で書かないこと

この記事は「居宅訪問型児童発達支援とは何か」に絞っています。次のことは、別の記事で扱っています。

※確かめられなかったこと——訪問支援員になれる資格の細かな組み合わせ、個々の医療的ケアの具体的な内容までは、この記事では扱いきれていません。また、実際の申し込みの流れや必要書類は、市区町村によって違います。お住まいの窓口でお確かめください。

出典

※上記の出典は2026年9月8日に閲覧して内容を確認しました。各団体の記載は更新される場合があります。最新の情報は各サイトでご確認ください。

よくあるご質問

居宅訪問型児童発達支援は、どんな子どもが対象ですか?
児童福祉法第6条の2の2第4項は、「重度の障害の状態その他これに準ずるものとして内閣府令で定める状態」にあり、かつ児童発達支援又は放課後等デイサービスを受けるために「外出することが著しく困難」な障害児、と定めています。内閣府令(児童福祉法施行規則第1条の2の3)は、この状態を「人工呼吸器を装着している状態その他の日常生活を営むために医療を要する状態」と「重い疾病のため感染症にかかるおそれがある状態」の二つに定めています。
「重度の障害の状態その他これに準ずるもの」とは、具体的にどんな状態ですか?
児童福祉法施行規則第1条の2の3が列挙しているのは、人工呼吸器の装着など医療を要する状態と、重い疾病のため感染症にかかるおそれがある状態の二つです。条文(省令)に書かれているのはこの二つだけです。
精神障害や行動障害があるだけでも対象になりますか?
こども家庭庁のQ&A(令和6年度報酬改定等に関するQ&A VOL.5)は、精神障害や行動障害により外出や集団生活が著しく困難である障害児(就学児含む)も対象になり得る、と回答しています。ただし、これは法律の条文そのものではなく、こども家庭庁が示した実務上の考え方です。個別のケースへの当てはめは、市区町村が判断します。
学校に登校できない状態だけで、対象になりますか?
こども家庭庁のQ&Aは、「外出」には学校への登校も含まれるとしつつ、「学校に登校できない状態のみをもって支援の対象とするものではない」と述べています。登校できないことだけが理由で自動的に対象になるわけではありません。
通所の児童発達支援と、同時に利用できますか?
こども家庭庁のQ&Aは、居宅訪問型児童発達支援は「外出することが著しく困難」と認められた子が対象であることから、通所の児童発達支援等と組み合わせて通所給付決定を行うことは原則として想定されない、としています。ただし、通所施設へ通うための移行期間として組み合わせることは差し支えないともしています。
誰が家に来てくれるのですか?
運営基準第71条の8は、事業所に「訪問支援員」と「児童発達支援管理責任者」を置くことを定めています。訪問支援員は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・保育士などの資格を取得後、又は児童指導員・心理担当職員として配置された日以後、障害児の介護や支援に関する業務に3年以上従事した者でなければなりません。
費用はどれくらいかかりますか?
通所の児童発達支援・放課後等デイサービスと同じく、世帯の所得に応じた月額上限額があり、上限までは1割負担という仕組みです(2026年9月時点)。居宅訪問型に特有なのは、事業所が通常の実施地域外に訪問する場合の交通費で、実費を保護者が負担することがあります(運営基準第71条の12)。
どこに申し込めばいいですか?
通所の児童発達支援と同じく、まずは住んでいる市区町村の障害福祉担当窓口にご相談ください。通所給付決定を行うのは保護者の居住地の市町村です(児童福祉法第21条の5の5)。手続きの詳細な流れは市区町村によって違いますので、窓口でお確かめください。
この記事について:本記事は、子育て・発達に関する一般的な情報の提供を目的としています。内容は学会・職能団体・国の機関が公開している情報にもとづいてまとめていますが、お子さまの発達には個人差があり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。診断や治療に関する判断は、医師などの専門機関にご相談ください。

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